みんなのふるさとこぼれ話44 『ラジオ少国民』と童謡「たきび」
みんなのふるさとこぼればなし44
『ラジオ少国民』と童謡「たきび」
ラジオ少国民1941年12月号表紙
毎年12月上旬の週末に、旭が丘中央公園で行われている「たきび祭」は、巽聖歌(たつみせいか)が作詩した童謡「たきび」にちなんだお祭りです。今年は15回目を迎えるはずでしたが、新型コロナウイルス流行のため、残念ながら中止となりました。
「たきび祭」が、この時期に行われるのは、童謡「たきび」が、日本放送協会の幼児のためのラジオ番組で、
昭和16年(1941)12月に初めて放送されたことによるものです。
当時、日本放送協会が発行していた子ども向けのラジオテキストで『放送と科学ラジオ少国民』というA5判の雑誌があります。今ではほとんど目にすることができない雑誌ですが、昭和16年12月号(11月25日発行)に、童謡「たきび」の詩と楽譜(渡辺茂作曲)が掲載されています。童謡「たきび」が世の中に出た、最初のものと言っていいと思います。
目次によると、放送には少国民の時間と幼児の時間があり、「たきび」は、幼児の時間「ウタノオケイコ」という番組で、12月9・10・11日に放送される予定だったことが分かります。指導は、中村淑子(としこ)という、藤原歌劇団でも活躍していた女性歌手でした。おそらくこの人が「たきび」をうたったのでしょう。
さらに、12日には、「ハナシアヒ」(話し合い)という番組が組まれていて、「杉並コドモ会」の子どもたちが出演して「タキビヲ囲ンデ、タキビノ唄ヲ唄ヒナガラミンナデハナシアヒヲイタシマス」という予告が書かれています。
既にご存じの方も多いと思いますが、童謡「たきび」の放送は、12月8日の日米開戦の影響で、10日までしか放送されなかったので、残念ながら11日と12日の「ハナシアヒ」の放送は、ありませんでした。
この雑誌には、読者の投稿欄があり、童謡の選者を巽聖歌が務めていたことが分かりました。昭和15年に勤めていた出版社アルスを退社して、児童文学者として自立した生活を始めていた聖歌は、『ラジオ少国民』の発行にも深く関わっていたようで、別の号には、違う作品も掲載されています。詳しくは、前夜祭の講座で紹介する予定でしたが、来年のたきび祭まで、楽しみにお待ちください。
広報ひの 令和2年12月1日号 掲載
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