みんなのふるさとこぼれ話32
ふるさとこぼれ話32
女流画家野村千春と日野
日本の女流画家の草分けの1人である野村千春は、明治41年(1908)、長野県諏訪郡平野村(岡谷市)に生まれました。画家中川一政に師事し、春陽会研究所に学びました。今年は生誕110年です。
昭和7年(1932)、児童文学者で詩人の巽聖歌と結婚、長男圦彦(いりひこ)・長女やよひの二人の子供を育てながら、画業に励みました。中野区上高田に住んでいた新婚時代には、聖歌の友人だった童話作家新美南吉をモデルに人物像を描き、病弱だった南吉の献身的な看病もしました。
昭和23年、聖歌とともに疎開先の岩手県沼宮内から上京し、日野町東大助(旭が丘)に居を定めました。以後、平成12年に92歳で亡くなるまで、同地に居住していました。
昭和27年に旭が丘周辺を描いた「冬のたんぽ」が女流画家協会賞を受賞し、翌28年、春陽会会員に推挙されました。まだまだ男性が中心だった画壇で、女性では2番目の正会員となったのです。
千春の作品は、重厚で意志の強さを感じさせる油絵で、大地と花を好んで描きました。特に後半生に多く描いた花の絵は、力強く、美しく、誰にもまねのできない個性的なものです。
「畑の中の六桜社(ろくおうしゃ)」「丘の上の日野ヂーゼル」「冬の八高線」など、日野を描いた作品もいくつかあります。12月7日(金曜日)に旭が丘地区センターで開催されるたきび祭前夜祭では、「巽聖歌と野村千春」をテーマに、自立した女性の先駆である千春の生涯と画業を紹介します。
広報ひの 平成30年12月1日号 掲載
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