みんなのふるさとこぼれ話63 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と勝五郎生まれ変わり物語
みんなのふるさとこぼれ話63
小泉八雲と勝五郎生まれ変わり物語
日野市程久保に伝わる藤蔵・勝五郎の生まれ変わり物語は、小泉八雲が著した随想集『仏国土の落穂ひろい』(『仏の畠の落穂』)に収載された「勝五郎の転生」によって海外に紹介され、今では正確に記録された生まれ変わり関係資料としては、最も古いものとして海外の研究者たちに認識されています。
「勝五郎の転生」は、江戸時代にまとめられた『珎説集記』という書物にある「文政六未年生替物語」を英訳し、考察を加えたものです。八雲は、当時の日本人の「魂の再生」をありのままに受け入れる心情に共感し、海外の人々にも伝えたいと考えたのでした。
『珎説集記』を八雲に紹介したのは、元福井藩士の雨森信成(あめのもりのぶしげ)という人物で、英国留学の経験があり、八雲の友人でした。英語に堪能だった雨森は、明治天皇の側近でもあった伯爵佐佐木高行の蔵書からこの資料をみつけ、英訳して八雲に紹介したのです。
八雲が、どのようにして勝五郎の生まれ変わりを知ったのかということは詳しくわかっていませんでしたが、平成18年から活動している「ほどくぼ小僧勝五郎生まれ変わり物語探求調査団」の地道な調査によって、ようやく明らかになりました。
令和5年1月に刊行した『ほどくぼ小僧勝五郎生まれ変わり物語調査報告書―改訂版―』には、雨森の英訳の原稿を新たに掲載することが出来ました。八雲が「勝五郎の転生」を執筆するまでの経緯を資料と共に記録することが出来たことは、大変意義深いことだと思います。
「勝五郎の転生」が英文で紹介されたことがきっかけとなり、アメリカのバージニア大学医学部知覚研究室では、医学の立場から胎内記憶の研究が行われています。
報告書改訂版は、郷土資料館と市政図書室で販売していますが、調査団ホームページから全文をPDF版で公開予定です。
広報ひの 令和5年(2023年)5月号 掲載 (詳細版)
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