日野市におけるワーク・ライフ・バランスの取組事例をご紹介します(1)

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ページID1018665  更新日 令和5年2月16日

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ワーク・ライフ・バランスの施策を実行するポイントを大学生がお伝えします!

日本では、少子高齢化により労働力人口が減少し、今度益々働き手が不足する事態となっています。また、労働力不足にも関わらず、女性や高齢者、外国人などが働きにくい社会・企業体制であり、多様な選択肢を可能とする仕事と生活の調和の必要性が示されてきました。そうした中、2007年には「ワーク・ライフ・バランス憲章」とその行動指針が制定され、2019年に関連法が施行された「働き方改革」においても、働き過ぎを防ぐことで、働く方々の健康を守り、多様な「ワーク・ライフ・バランス」を実現することがポイントの第1に挙げられています。

日野市においても、2020年度にまとめられた第4次日野市男女平等行動計画の中の目標3.において「女性と男性があらゆる分野でともに参画できる環境づくり」が掲げられています。その計画の柱は「ワーク・ライフ・バランス」の推進で、家庭・職場・地域におけるワーク・ライフ・バランスへの目配りが示されています。中でも、「ワーク・ライフ・バランスの推進に向けた企業への働きかけ」は第4次計画で重点的に取り組む7つの施策の1つとされています。

そこで、日野市男女平等推進委員会に関わるメンバー(日野市平和と人権課・委員長の明星大学鵜沢教員とゼミ生・副委員長の実践女子大学須賀教員とゼミ生)が協働し、日野市内の企業、団体などを訪問して、ワーク・ライフ・バランスを中心としたインタビュー調査をする企画を実施しました。優れた事例を取り上げ、ワーク・ライフ・バランスの施策を実行するポイントをフレッシュな学生がお伝えし、日野市の企業や市民の皆様に広く知っていただきたいと思っております。ご参考になれば幸いです。(明星大学 鵜沢由美子教授)

事例1 見えないものを見える化して社会課題を解決する企業 コニカミノルタ

明星大学3年 須惠菜摘・鵜沢

インタビュー風景(コニカミノルタ)

私はコニカミノルタ株式会社にインタビューを行いました。インタビューでは主にWLBに関する会社の歴史や制度、今後の課題についてお聞きしました。

コニカミノルタ株式会社は、2007年12月に国の「ワーク・ライフ・バランス憲章」ができた翌年の2008年に早速WLBの取り組みを始め、2013年には3年計画で新たな制度を作るなど、積極的に取り組みを進めています。

会社には多様な制度があり、常に法改正で求められることよりも+α何かやろうという意識で取り組んでいるとのことで、会社を一言で表すと「看る・診る・視る・見る・観るの観点で、社会課題解決を行い、見えないものを見える化する会社」だと仰っていました。

育児休業制度は、最長2年3カ月取得可能であり、社員の希望で取得期間を決めることができる点において、個人の価値観の尊重と多様な働き方を支援する体制が整っていることが分かりました。また、有給休暇を貯めておけるストック休暇制度を2019年度から育児休暇に使えるように変更した会社の柔軟な対応が、男性の育児休暇取得増加(2021年3月38%)に影響を与えたこともわかりました。

実際に育児休業制度を2年間利用し短時間勤務中の女性社員のAさんは、会社の魅力について「多様な制度があるので、どんな局面でも安心して働けるところ。」と語っていました。社員が魅力に感じる多様な制度の中でも人事部のBさんは、一度退社しても状況に応じて復職できるジョブリターン制度やイノベーションを起こす副業等、個人がいろんな制度を自由に選択しながらサポートできるような仕組みが会社の強みだと仰っていました。

今後の課題としては、コロナ禍で定着したテレワークを今後どう活用していくかということと、就職してくる学生のうち、そもそも理系の女性比率が低い中にあって、製造業の企業として女性管理職比率をいかに伸ばすかということだとのことでした。女性管理職比率を伸ばすため、候補者には特に業務の振り分けを意識的に実施、育成を強化しているということです。

事例2 誰もが成長できる職場環境を整備する 日野自動車

実践女子大学3年 岡崎沙羅・角田奏瑛

インタビュー風景(日野自動車)

日野自動車株式会社は、「ワーク・ライフ・バランスの更なる充実による社内満足度向上のための働き続けられる環境設備」を目的とし、ワーク・ライフ・バランスに関する取り組みを行っています。その中から今回は「女性社員のランチミーティング」と「コアなしフレックスタイム」についてご紹介します。

「女性社員のランチミーティング」は組合活動の一環としての取り組みで、4~5人で集まり、日頃の悩みや働き方について気軽に話せる場になっています。女性社員は、お子さんがいる社員だと子供の保育園に預けてから出社するなどがあるため出社時間や定時・帰社時間が様々ですが、共通してあるお昼休憩の時間を使ってお話ししています。実際にこのミーティングで出た働き方の疑問点として、工場ラインの建物内に設置してある女性用トイレの数が少ないといった些細な疑問があります。これをきっかけに、最終的に工場ラインの現場の女性用トイレの増設を実現することができたそうです。私たちは、日頃働いている中で感じる疑問点や「おかしいな」と感じる制度について、少数の女性社員の集まりで話し合うことができる時間があるということに魅力を感じました。

「コアなしフレックスタイム」は、2020年から始まったコロナ禍における新しい働き方の1つです。出社時間をずらしたり中抜けをすることが可能なため、子どもがいても働きやすく家事と育児、仕事を両立することができるということが特徴です。コロナ禍になりワーク・ライフ・バランスへの意識がより高まったということを感じたと同時に、勤務時間の調整が可能でありそれぞれに合った働き方を選択しやすくなったきっかけの1つになっているのではないかと感じました。

今後の課題として、「男性の育児休暇取得の普及」「女性管理職について」「テレワークでの社員同士のコミュニケーションやメンタルケア」があるそうで、テレワークの向き不向きも併せて今後の働き方についてやワーク・ライフ・バランスについて考えていきたいとおっしゃっていました。

事例3 時代の要請に従って進んだワーク・ライフ・バランス 日野市役所

明星大学3年 長谷川美憂・鵜沢

インタビュー風景(日野市役所)

私は日野市役所の皆さんにワーク・ライフ・バランスについてのインタビューをしました。

日野市役所のワーク・ライフ・バランスの特色は、男性の育児休業制度利用の割合が2020年度64.3%(病院医療職を除く)と高いことや女性職員比率が約半数と高いことが挙げられます。

男性の育休取得率が高いのは、時代の要請と共に、「イクボス宣言」が背景にあります。イクボスとは、職場で共に働く部下・スタッフのワーク・ライフ・バランスを考え、その人のキャリアと人生を応援し、組織の業績も結果も出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司のことです(イクボス宣言|日野市公式HP)。2016年の市長の宣言以降、職場では徐々に男性も育休を取得した方がいいという空気が生まれたようです。2020年度に育児休業を3カ月取得した男性職員のAさんは、同じフロアの男性職員が育休を取得したことに触発されたと語っておられました。

次に、女性職員比率が高いのは、育休取得率が100%とワーク・ライフ・バランスが図りやすく、安定している職場であるためと考えられています。女性課長のBさんは、異動を重ねながらキャリアを形成し、そののち結婚・育児をすることになったそうです。また、周りからの推薦もあり昇進されたとのことでした。しかし、日野市役所の女性管理職は女性職員の割合に比べると少ない現状です。管理職に求められる議会対応等は長時間労働にならざるを得ず、これが今後の課題となります。

最後に、日野市の強みは「人」だそうです。全国から採用試験の受験がしやすい仕組みや中途採用の制度を設け、多様な人材が集う組織となっており、全国でも注目を集めているそうです。時代の流れに沿って、その時々に求められているものを取り入れることが出来る柔軟性のある職場であると感じました。

このページに関するお問い合わせ

企画部 平和と人権課
男女平等ダイバーシティ推進係・平和と多文化共生係

直通電話:042-584-2733
ファクス:042-584-2748
〒191-0062
東京都日野市多摩平2丁目9番地 男女平等推進センター
企画部平和と人権課へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。