『たきびの詩人巽聖歌(たつみせいか)資料集1 野村七蔵から巽聖歌へ』の刊行(令和2年8月20日プレスリリース)
日野市郷土資料館では、『たきびの詩人巽聖歌資料集1 野村七蔵から巽聖歌へ』を刊行し、8月から販売を始めました。
※A4判 120ページ 1600円 市政図書室と郷土資料館で販売
郵送希望の場合は、現金書留または定額小為替1600円分と送料310円(切手可)を日野市郷土資料館(〒191-0042日野市程久保550番地)へ郵送して申込み。
童謡「たきび」を作詩した、詩人・児童文学者の巽聖歌は、昭和23年10月に日野市旭が丘に転居し、48年に亡くなるまでの25年間を日野で過ごしました。平成10年の旧宅の取り壊しに伴って日野市に寄贈された資料は数千点に及ぶ膨大なものです。
平成11年には、旭が丘中央公園に「たきび」詩碑が建立され、18年からは毎年12月に「たきび祭」が開催され、顕彰活動が進んできました。巽聖歌の顕彰活動がきっかけとなり、聖歌の出身地岩手県紫波郡紫波町と市民交流が進み、平成29年1月、日野市と紫波町は、姉妹都市盟約を締結しました。
一方で、関係資料を預かった郷土資料館では、資料の整理を進めながら、巽聖歌やその関係者についての調査・研究を続け、たきび祭前夜祭の講座や企画展・特別展などで、成果を発表してきました。
郷土資料館では、巽聖歌関係資料の調査・研究の成果を、各種リーフレットや、日野市郷土資料館ブックレット1「たきびの詩人巽聖歌」などにまとめて、発表してきましたが、この度資料の一部を資料集として翻刻・刊行し、研究資料としての利用に供することとしました。扱った年代は、巽聖歌の10代後半から20代前半にかけて、童謡詩人としての歩みを始める時期です。
児童雑誌『赤い鳥』で活躍する以前の巽聖歌のことはあまり知られていませんが、10代の後半には、時事新報社が刊行していた「少年」への投稿活動から、童話の執筆、編集者として活動していた時期がありました。今回の資料集には、今ではほとんど目にすることがなかったまぼろしの処女作「山羊と善兵衛の死」ほか童話10編を、大阪国際児童文学館のご厚意で再録することが出来ました。
また、大正13・14年、昭和4・8・9年の日記を翻刻することが出来、学歴も人脈も持たない聖歌が、自分の才能だけを武器に、文学の世界で生きていくという夢に向かって果敢に挑んでいく姿を知っていただけるものとなりました。翻刻した日記類は、今回初めて発表する資料です。
また、師である北原白秋が、聖歌の初めての童謡集『雪と驢馬』に寄せた序文の自筆原稿も初公開しています。
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