令和6(2024)年度 所信表明

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ページID1026051  更新日 令和6年3月4日

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 令和6年第1回日野市議会定例会に当たり、市政運営における所信と新年度の主要な施策を申し述べ、議員各位ならびに市民の皆さまへ一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。
 まず初めに、本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震によってお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみ申し上げます。また、被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。
 被災地への支援は長期化が予想されます。日野市としてできる支援について、すでに実施している市立病院看護師やDMAT隊の派遣、義援金の受付などの取り組みのほか、保健師派遣の要請などに対して、即時に対応できるよう準備しております。また、自分事として、この度の地震を教訓として、災害対策を講じてまいります。

さて、私は就任以来、
(1)住み慣れた地域で生き、看取(みと)られる、暮らし・福祉・医療の展開
(2)日野市の良さである恵まれた社会的・自然的資源を生かし、地域の個性を伸ばすまちづくりの推進
(3)厳しい財政状況を踏まえた経営戦略に基づく市政の運営

以上の三つを基本姿勢として掲げ、全力で市政運営に取り組んでまいりました。
 これまで市の人口は緩やかに増え続けてきました。2023年も微増となっております。ただし、その人口動態をみると、人口減少は確実に近づいております。現在、4人に1人が高齢者である少子高齢社会です。高齢化のピークを迎える2040年まで、社会保障費の増、労働力不足など人口構造がもたらす課題は多くありますので、必要な措置を計画的に対応していきます。
 暮らし・生活においては、子どもの貧困など生活における格差も大きな課題です。近年のエネルギー価格の高騰など物価高は、市民の生活・暮らしに大きな影響を及ぼしております。国では、さまざまな給付金による対策を行っており、日野市においても支援体制を整えてまいります。
 また、デジタルツールの導入が大幅に進んでいます。生成AIなど新たなツールも活用の幅を広げており、今後も、デジタル化・DXは時代のトレンドとして進んでいきます。
 社会では、これからも大小さまざまな変化が起こります。これまでの取り組みを活かしながら、変化に対応しつつ、昨年策定した日野地域未来ビジョン2030のもと、将来にわたって持続可能な市政運営をしていくことが必要です。 
 未来に生きる世代へより良い環境を残すためには、気候変動対策に行政・民間・地域が一体となって真剣に取り組まなければなりません。昨年は観測史上、最も暑い1年となり、この危機的な状況が「地球沸騰化」という言葉で表現されています。「極端気象」とも言われる気象災害も多数発生し、日野市においても、令和元年の台風19号に代表される猛烈な雨を伴う台風の襲来や、部活動・行事ができないほどの猛暑、市内農産物への被害など私たちの生活に多くの影響を及ぼしております。
 こうした気候変動の原因と言われているのが、CO2などの温室効果ガスです。市では、CO2排出量2050年実質ゼロとする目標の実現に向けた意思表明として「日野市気候非常事態宣言」を発出しております。その具体化に向けた政策検討のために開催した「気候市民会議」より、本年2月10日に提言をいただきました。この提言を真摯に受け止め、市の重要施策として推進し、さまざまな事業に展開してまいります。
 将来世代へ可能性に満ちた未来を継承するためには、子どもたちが健やかに成長することを社会全体で支えていくことが必要です。
 国では、昨年「こども大綱」を閣議決定しました。「こどもまんなか社会」としてすべての子ども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる社会を目指していくものです。この方針に基づき、こども家庭庁が中心となってさまざまな取り組みを進めております。
 日野市においては、本年5月に、すべての子どもの健やかな成長を切れ目なく支援する子ども・家庭・地域の子育て機能の総合支援拠点である子ども包括支援センター「みらいく」を開設します。子どもの権利を守る子どもオンブズパーソンや子ども条例委員会の設置、また、子どもの意見表明の場・参加の権利の保障により、子どもたちが心身共に健やかに成長していく環境を整えてまいります。
 教育委員会では、第4次日野市学校教育基本構想がスタートします。第3次構想の理念を継承しつつ、学校、家庭・地域、行政などの全員が当事者としてプロジェクトに取り組み、子どもたち自らが「すべての“いのち”がよろこびあふれる今と未来をつくっていく力」を育んでいく姿を目指すものです。
 全ての子どもが健やかに、そして自分らしく過ごせるまちに向けて、教育委員会と連携して取り組んでまいります。
 持続可能な日野市を目指すためには、諸力融合で取り組んでいかなければなりません。そのためにも日野市に関わる全ての方々のウェルビーイングを高めていくことが大切です。多様性や個性に配慮しながら誰もが自分らしくいられるよう、あらゆる年代層が参画する地域づくりに取り組んでまいります。また、北川原公園ごみ搬入路問題や、公共施設の老朽化などさまざまな課題に対して、市民の皆さまと共に協議を重ね、解決を図ってまいります。
 これらの取り組みを進めていくには、より強くしなやかな組織が求められます。限られた人材と財源の中で効率的かつ効果的な組織運営を行ってまいります。
 議員各位ならびに市民の皆さまのお力添えをいただきながら持続可能な地域づくり・まちづくりに諸力融合で取り組んでまいります。

 令和6年度の重点施策と取り組み

1  未来に生きる世代へより良い環境を残すための気候変動対策

 令和5年度に開催した「日野市気候市民会議」にご参加いただいた市民の方々から、37項目・390の提言を本年2月10日にいただきました。
 提言に込められた想いとして、早急な施策の実行が求められることから、対応できる事業については、令和6年度の補正予算等で審議いただきながら、順次進めてまいります。
 これらの実行体制の強化として、環境政策課を設置すると共に、グリーントランスフォーメーションの観点から各種事業の見直しを図ってまいります。
 また、気候変動は、日野市・市民・市内の事業者の取り組みだけで解決できるものではないことから、広域的な取り組みに広げてまいります。広域化の一環として、近隣自治体等と連携し合同市民会議の開催を検討することで、お互いの取り組みを発展させてまいります。また、若年層を中心としたミーティングを実施し、これからの次代を担う方々の視点を掘り下げ、より活発な行動変容につなげたいと思っております。こうした気候変動対策を行う自治体のネットワークを構築し、連携を加速させてまいります。

2  すべての子どもが健やかに、そして自分らしくすごせるまち

 妊娠期も含め、すべての子どもを切れ目なく支援するため、母子保健と児童福祉部門のさらなる一体化と、教育と福祉の連携の一層の充実を図る子ども包括支援センター「みらいく」を本年5月に開設します。みらいくでは、すべての妊産婦や子どもとその家庭が気軽に相談できる総合相談窓口として、子どもなんでも相談を設置します。子どもが相談したい時にいつでも相談できるよう、教育委員会と連携し、学校の学習者用端末からも相談できる仕組みです。また、中高生世代が安心して過ごせる中高生の居場所スペースを設置します。居場所支援に加え、相談支援、学習支援、親に対する養育支援等を合わせて提供することで、様々な課題や困難を抱える中高生世代を支援します。
 市は「子ども条例」において、一人ひとりの子どもの権利を尊重し、保障、擁護することで、子どもの幸福の実現を目指すと定めています。子どもを権利侵害から救済するための第三者機関として「子どもオンブズパーソン」を設置し、子どもの健やかな成長を支援してまいります。併せて子どもの権利の保障・擁護の状況の検証を行う子ども条例委員会を設置します。
 子どもの意見を聞きながらまちづくりを進めます。東京都子供の遊び場等整備事業補助金を活用し、「西平山あそびばづくりプロジェクト」を開始しております。令和6年度は、実施設計について子どもたちから意見をいただきながら進めてまいります。また、市内中高生・大学生世代を中心に「まちの未来」について語り合うワークショップを行います。
 近年の課題となっている「ヤングケアラー」については、本人にその自覚がない場合が多く、いち早く見つけ、支援につなげることが重要です。コーディネーターを配置し、相談支援を行うとともに、早期発見に向けたヤングケアラーの認知度向上のための啓発にも力を入れてまいります。「医療的ケア児等」及びその家族が、地域で安心して生活できるよう、対応強化を図ります。医療、福祉、教育等にまたがるサービスを総合調整し、必要な情報提供や助言を行う医療的ケア児等コーディネーターを配置します。また、屋外での移動が困難な障害者及び障害児に外出のための支援を行う移動支援事業について、新たに「通学」でも利用できるようにいたします。
 保護者の就労等の有無にかかわらず、子どもの良質な成育環境と子育て支援の充実を図るため、未就園児の定期的な預かりを行う東京都の「多様な他者との関わりの機会の創出事業」を令和6年度は公立及び私立の幼稚園において実施してまいります。

3  学び合いと育ち合いを応援

 第4次日野市学校教育基本構想を推進する教育委員会を支援いたします。
 構想実現のためには、それぞれの主体が当事者として各種プロジェクトを推進していく必要があります。特色ある学校づくりへの支援や取組のオンラインでの発信、学校支援体制の充実、教員研修の実施など基盤的な環境整備に取り組みます。
 市立図書館では電子図書館サービスを開始します。これまで時間的・物理的制約により図書館を利用できなかった方が、いつでもどこでも自分の生活スタイルに合わせて本や情報と出会い、発見する機会を創出します。学校においては、電子書籍を活用し、全校に配置する学校図書館司書と学校図書館司書をサポートする探究学習アドバイザーが連携して、学習者用端末と学校図書館資料を活用した探究的な学びを推進してまいります。
 幼児教育・保育においては、幼児教育・保育アドバイザーによる巡回支援、全体研修会の実施など、全ての子どもたちに質の高い幼児教育・保育を提供し、小学校教育への円滑な接続を目指します。
 子どもの利益を最優先に考え、教育や福祉、子どもの権利などの視点を取り入れながら、助言を行うスクールロイヤーを導入し、いじめなど学校現場で発生するさまざまな問題への対応を法的観点から強化します。
 不登校児童・生徒の増加に対して、個の状況にあわせた不登校支援を充実するため教育支援コーディネーターを新たに配置するとともに、わかば教室の運営を強化するために、カウンセラー等の配置を拡充します。学校においては、校内登校支援教室を5校拡充し、13校とするとともに、三沢中学校の校内登校支援教室に正規教員の追加配置を受け、東京型不登校特例校であるチャレンジクラスを新たに開設します。また、学校外の居場所として、学校へ通いづらい子どもたちと、地域活動を行う大人とが交流できる地域の居場所・学びの場づくりに多摩市と共同で取り組みます。
 令和6年度はコミュニティスクールを8校に倍増するとともに、地域と連携して実施する地域クラブ活動「ひのスポ!ひのカル!」を通年で実施いたします。また、就学援助世帯の生徒を対象に、地域企業・団体が行う地域クラブ活動に通うための給付型体験奨学金「ひのスポ!ひのカル!奨学金」を新設します。
 物価高騰の影響を緩和する給食費の補助も拡充して実施いたします。
 豊田小学校校舎大規模改造工事をはじめとする学校施設の整備により教育環境の改善を図り、新しい時代の学びに適した学校づくりに取り組むため「新たな学校づくり・社会教育施設づくり推進計画」を策定いたします。

4  誰もがありのままの自分でいられるまち

 日野地域未来ビジョン2030からどのような行動が生まれたか、考え方や方向性がどのような成果につながったかをオンライン上で検証する場として、地域共創プラットフォームを構築し、事例の公開とさらなる対話の推進に活用してまいります。また、オンライン上のコミュニケーションを活性化するための方策やデザインなどを実証実験なども用いながら産学官民の連携で検討・実践してまいります。
 誰もが自分らしく働くことをテーマに女性が生き生きと輝けるまち日野を目指し、女性活躍推進シンポジウムを開催します。また、第5次男女平等行動計画の策定作業をスタートします。この計画は、日野市すべての人の性別等が尊重され多様な生き方を認め合う条例に基づき、令和7年度の策定を目指します。
 さまざまな居場所の確保に取り組みます。現在の勤労・青年会館を「ひの市民活動支援センター」に名称変更し、新たな市民活動の拠点とします。また、ひきこもり状態や対人関係困難など、さまざまな生きづらさを抱えている女性を対象に、当事者同士の交流などを行うひきこもり女性当事者会を開催します。自立相談支援の相談窓口である「みらいと」を拡充し、孤立・孤独解消に向けた多世代・多機能なサテライトセンターを高幡地域に設置します。
 日野市障害者差別解消推進条例については、条例施行後3年が経過したことから、「ともに生きるまち 日野」の実現に向けて条例の検証を行います。また、福祉教育にも力を入れてまいります。福祉教材を活用した授業や障害当事者等と直接交流する福祉体験を通じて、子どもたち一人ひとりが多様性や違いを学ぶ福祉教育ハートフルプロジェクトを充実し、子どものころから福祉にふれる機会を作ってまいります。また、慢性的な人材不足となっている福祉人材の確保・定着のため、市内の介護・障害・保育の各分野の事業所に就職する市内在住者を対象に、奨学金の返還を支援する奨学金返還支援事業に新たに取り組みます。

5  持続可能なまちづくり

 令和6年能登半島地震は、災害はいつ起こるか分からないということを改めて、我々に示したと感じております。災害に備えるとともに、日頃の生活に防災の考えを取り入れ、日常と備えの垣根をなくす「フェーズフリー」の周知など市民の皆さまを支援してまいります。
 また、児童・生徒等の安全な通行空間を確保するため、ブロック塀等安全対策事業を拡充し、早急な改善・改修を促します。令和元年から取り組んでいる平山6丁目の急傾斜地崩壊対策事業は、引き続き東京都と連携し進めてまいります。
 日野の宝である用水は、風雨災害の際、対処が必要な場所です。遠隔操作監視設備を改修し、溢水の未然防止に役立てます。道路については、優先順位の高い路線や生活道路の補修など、必要な修繕を実施してまいります。
 公共施設再編のパイロットプロジェクトである日野本町地区について、教育委員会が進める「新たな学校づくり・社会教育施設づくり」と連携し、市民意見等を聴取しながら、再編基本構想・基本計画を策定するとともに、民間活力の導入可能性調査を行います。
 日野駅・豊田駅・高幡不動駅周辺の商業地域の分析やヒアリングなどを通して、商業活性化に資するまちづくりや支援施策等の検討を進めます。また、令和5年度に策定する第4次日野市農業振興計画・アクションプランの推進を図ると共に、認定農業者の稼ぐ力の強化を図るため、農業施設の整備経費を補助します。
 都市計画道路3・3・2号線の用地確保、多摩川堤防整備と連携した宅地の整形化や道路整備などを区画整理事業により進めると共に、土地所有者が主体となって実施する組合施行の区画整理事業に対しては、適正な技術的・財政的支援により安全安心なまちづくりを実現します。
 日野市ミニバスの利用者数の調査を実施し、運行形態の検証を行います。また、交通空白地域対策として、地域協働型交通(デマンド型)の実証運行を実施します。

6 信頼され、誇れる組織を構築

 令和6年5月27日より、窓口受付時間を午前8時30分~午後5時に変更します。これにより生み出した時間で、日々の業務の改善を行い、市民サービスの向上につなげてまいります。待ち時間解消に向け、オンラインによる事前予約やリアルタイムの混雑状況の案内、順番お知らせメールを可能にする受付システムの導入や、証明書のオンラインによるキャッシュレス郵送申請、おくやみ手続きのワンストップ窓口の設置などに取り組んでまいります。
 庁内のDXをさらに推進します。生成AIおよびデジタル人材育成については、効果的な取り組みとなるよう、日野市だけでなく他の自治体と協働で研究を進めてまいります。市民税の課税業務では、RPAやAI-OCRの導入により、定型業務を自動化し、残業時間削減等、事務の効率化を図っております。航空写真の判読等手作業で行っていた固定資産税等賦課業務にAIを活用することで、適正かつ公平な課税に取り組みます。また、内部事務システムの全体最適化にも継続して取り組み、ペーパーレス化、財務会計の電子決裁導入などで、事務の効率化を目指します。また、令和5年に東京都が設立したGovTech(ガブテック)東京でのパソコン共同調達を行い、経費削減に取り組んでまいります。
 北川原公園ごみ搬入路の違法状態解消に向けて、地元をはじめ、市民の皆さまから多くの意見をいただき検討を進めております。令和6年度には解消策の選定や住民合意の形成などに取り組んでまいります。
 監査機能を強化します。財政援助団体等に対する監査については、監査委員の補助として専門家による支援を受けて実施できるようにするとともに、住民監査請求等の際、専門家の意見を聴取できるようにいたします。また、職員が財政援助団体の財務諸表の内容等を的確に理解し、補助金交付審査をより高い精度で判断することができるよう、専門家による支援を受けることといたします。
 人事評価制度については、新たにシステムを導入し、評価の精度向上と事務の効率化を図ると共に、異動基準の見直しなどに活かしてまいります。
 効率的・効果的に財政再建・行財政改革を進めるため、特に効果の高い取り組みを中心に実施してまいります。市民の皆さまに信頼される市役所を目指すために、職員との対話を深め、職場の心理的安全性の確保を目的に「想いをカタチにプロジェクト」を推進し、職員の働きがい向上に取り組みます。

 令和6年度予算の基本的考え方および概要

 次に、令和6年度予算の基本的考え方および概要を申し上げます。
 令和6年1月の内閣府月例経済報告によると、「景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している」とされております。背景といたしましては、コロナ禍以降の国内消費の回復と、円安の進行による輸出関係企業の業績回復があると見込まれますが、その一方で国内における人件費や材料費などの物価が高騰しており、引き続き令和6年度も同様の状況であると考えられます。
 日野市としては、市内事業者全体では減益となる見通しであり、法人市民税は減収を見込んでおります。令和6年度の市税全体でも、定額減税の影響もあり減収を見込んでおりますが、普通交付税や地方消費税交付金は、引き続き高い水準を維持できること、定額減税の影響は全額を国から補填されることなどから、基金繰入金を除いた一般財源全体は若干の増を見込んでおります。
 市の取り組みとしては、令和2年2月の財政非常事態宣言の発出以降から投資的経費の抑制などの取り組みを進めると共に、令和5年度から9年度を計画期間と定めた日野市財政再建計画・第6次行財政改革大綱実施計画に基づき、事業の見直しに着手したところでございます。令和6年度の予算編成の方向性を定めた「予算編成方針」においても、真に必要な事業に絞った予算とすることを掲げ、歳出の抑制に努めた予算編成に取り組みました。事業の抑制を図るだけでなく、より効率的な事業運営を進める体制の実現として、働き方改革やDXの推進など、人的、財政的課題を解決する新規事業については積極的に推進するなど、メリハリのある予算編成に努めました。
 一方、子ども施策の充実や、教育現場の課題への対応など、新たな社会的需要拡大を背景に、事業の充実を図る上での多額の事業費が必要となる見通しです。また、社会全体における物価高騰の影響は非常に大きく、一般会計における経常的な委託料の試算で、令和5年度比で4.7%、額として約4億円を超える上昇額と見込んでおりますが、使用料及び賃借料などの経費でも増となる見通しです。結果として、新規事業の追加と経常的経費の増加による歳出の伸びは、歳入の伸びを大きく超えるものと想定しております。
 次に、令和6年度予算の概要について申し上げます。
 一般会計当初予算案は、726億8,900万円で、令和5年度比で40.4億円、5.9%の増となります。初めて700億円を超え、過去最大の予算となります。
歳出につきまして、義務的経費では、人件費が職員退職手当の増や会計年度任用職員に関連した増などにより、7.4%増の118億1,962万円を見込んでおります。扶助費は障害者自立支援給付費や生活保護費が引き続き増加傾向であることから、3.2%増の240億5,948万円、公債費は本庁舎免震改修工事や子ども包括支援センター建設事業の借り入れに対する償還が始まることから、3.1%増の33億4,103万円となっております。
 次に普通建設事業費は、豊田小学校大規模改造工事や豊田跨線人道橋補修工事業務委託料などから、14.9%増の28億8,290万円を見込んでおります。
 この他の経費では、物件費は物価上昇や子育て関連分野を中心とした新規事業の増加などの影響により、13.4%、額として約15億円増の127億6,590万円を見込んでおります。
 次に歳入における市税につきましては、先ほどご説明した通り2.1%、額といたしまして約6億5千万円減の303億9,337万円を見込んでおります。また、地方交付税は4.9%増の21億3,000万円、地方消費税交付金は同額の39億円をそれぞれ見込んでおります。
 その他の地方譲与税及び各種交付金等は、ほぼ令和5年度と同水準を見込んでおりますが、地方特例交付金は定額減税による減収補填として9億円程度想定されるため、令和5年度比で400%増の10億8,456万円を見込んでおります。
 分担金及び負担金は、子育て関連分野における支援制度が充実することを背景に、民間保育所を利用する保護者負担金の減などを受けて16.7%減の2億5,753万円を見込み、国庫支出金及び都支出金は歳出における扶助費の増加や各種事業財源の確保に努めたことなどから6.7%増、額として約15億増の243億7,751万円を見込んでおります。
 また、基金の取り崩しとなる繰入金は77.3%増の45億1,967万円を、市債の借り入れは4.6%増の15億8,900万円をそれぞれ見込んでおります。なお、市債の借り入れのうち、臨時財政対策債の借入額は、限度額として想定される5,000万円を計上しております。
 次に、特別会計当初予算案につきましては、総額590億9,744万3,000円で、前年度比3.1%増、額として17億9,229万円の増加となります。
 高齢化を背景とする社会保障関連経費の増加に加え、国の財源を活用した土地区画整理事業の推進や、市立病院における人件費や材料費の増額により、下水道会計を除くすべての会計で増額を見込んでおります。
 令和6年度当初予算を総括いたしますと、真に必要な事業に厳選いたしましたが、物価高騰の影響が大きく、当初予算編成後における一般会計財政調整基金の残高が17億円を下回り、令和5年度当初予算編成後と比較すると半額以下となる見込みでございます。今の状況が続くと、数年後には財政調整基金の枯渇が想定されることから、引き続き財政再建に向け市全体として取り組んでまいります。議員各位及び市民の皆様におかれましても、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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