令和4(2022)年度 所信表明

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ページID1019394  更新日 令和4年3月15日

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 令和4年第1回日野市議会定例会に当たり、市政運営における所信と新年度の主要な施策を申し述べ、議員各位ならびに市民の皆さまへ一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 私は就任以来、
(1) 住み慣れた地域で生き、看取()られる、暮らし・福祉・医療の展開
(2) 日野市の良さである恵まれた社会的・自然的資源を生かし、地域の個性を伸ばすまちづくりの推進
(3) 厳しい財政状況を踏まえた経営戦略に基づく市政の運営

以上の三つを基本姿勢として掲げ、全力で市政運営に取り組んでまいりました。
 その上で、子どもも、若者も、高齢者も、障害のある方も、外国籍の方も、すべての方が関わり合い、生きがいを感じることができる、多様性が尊重され、さまざまな人や団体が持つ力をより合わせた「諸力融合のまちづくり」を市民の皆さまと共に進めてまいりました。

 昨年、25年ぶりに東京都の年間人口が減少しました。コロナ禍の影響の大きさを改めて感じるとともに、かつてない人口減少社会が目前に迫っていることも認識しなければなりません。25年前の状況とは異なり、わが国全体が2008年から人口減少社会に突入していることから、東京だけが再び右肩上がりの人口増加や経済成長を目指すのは難しいとも言えます。
 また、2025年には団塊の世代が75歳以上となります。こうした中で、暮らしや地域を支える雇用・医療・福祉といった分野への需要や負担が急増するなど、さらなる影響が予測されています。
 日野を取り巻く社会全体が大きく変化していくただ中にあるからこそ、既存の枠組みや考え方から脱却し、将来予測される課題に対して協力して当たっていくことが大切です。
 まちづくりの場においても、行政が考える課題に市民が参加する、という市民参加・公民協働の考え方を時代に即したものにステップアップしていく必要があります。それは、性別や年齢、障害の有無、国籍などに関わらず、それぞれが社会参加の希望に応じて役割を担い、力を生かすことができる社会の姿であり、これまでの市民参加・公民協働を引き継ぐ「諸力融合のまちづくり」の理念です。

 こうした地域を実現していくためにも、コロナ禍で先送りとなっていた大きな取組みを進めてまいります。その一つが財政非常事態宣言に基づく財政再建計画の策定・実行です。既に策定している第6次行財政改革と財政再建方針を踏まえ、その実行の担保として、財政再建計画を令和4年度中に策定し、持続可能な自治体運営の基盤としてまいります。
 もう一つは、第5次日野市基本構想・基本計画(2020(ニーマルニーマル)プラン)の後継である(仮称)2030(ニーマルサンマル)ビジョンの策定です。これはSDGsの達成年次と同じく2030年からあるべき姿を逆算する、いわゆるバックキャストで考えて策定する計画であり、将来の日野市がどこに向かっていくかを認識するための羅針盤として策定いたします。
 市民の皆さまにも積極的に議論に参加いただきたいと考えております。コロナ禍を踏まえ、デジタルやオンラインを活用し、新しい市民参加を実現してまいります。

 また、変えるべき古い体質についても変えていかなければなりません。
 元副市長問題は、これまで第三者委員会を設置し、全容解明に当たってまいりました。議会においても職員の任免など人事管理の問題や補助金支出の妥当性、文書管理の在り方などをご指摘いただくなど、私自身の管理監督責任を痛感しております。引き続き全容解明に取り組むとともに、内部統制を中心とした再発防止策を講じてまいります。令和4年度については、補助金事務の適正化や、文書の作成・保存の適正化に重点的に取り組んでまいります。
 3市共同可燃ごみ処理施設に出入りするごみ収集車の専用路を都市計画公園予定区域内に設置したことの適法性が争点となっている、北川原公園予定地ごみ搬入路整備に関する住民訴訟においては、違法ではないという市の主張が認められず、非常に残念です。今後も市の立場を丁寧に説明していかなければならないと考えておりますが、二度の司法判断を重く受け止め、対応していく必要性も感じております。早急に問題とされている状態の改善策を検討してまいります。
 4月以降は強化された体制とコンプライアンス遵守の下、適切な事務の執行に努めてまいります。

 いくつもの課題がある中で、市として執行体制を強化しなければならないと考えております。まずは、私の公約にも掲げておりました、女性副市長を新たに登用し、副市長2人体制としていきたいと考えております。新副市長の担当分野は子ども・子育てや福祉分野などを想定しております。日野市の将来を見据え、広い視野や見識を生かした取り組みを期待するとともに、女性活躍のさらなる推進にもつなげていきたいと思っております。
 また、昨年8月から不在となっている教育長のポストについても充足させるため、その職にふさわしい方を4月から新教育長に据えてまいりたいと考えております。

 諸外国と比較し、少子化と高齢化、長寿命化が進行するわが国は、課題先進国という言われ方をしてきました。課題が多いからこそ、何に取り組むべきかをしっかりと見据え、柔軟性を持ち、それぞれの力を最大限に発揮していくことこそが、困難な時代を生き抜く道標()となります。
 令和4年度もコロナ禍の影響が続くことが予見されます。先が見通しづらい厳しい一年となりますが、その中においても、議員各位ならびに市民の皆さまのお力添えをいただきながら、諸力融合によってさまざまな課題解決の取り組みが生まれる日野市を目指してまいります。
 

 令和4年度の重点施策と取り組み

1  新型コロナウイルス感染症対策

 新型コロナウイルス感染症との闘いから2年が経過しました。デルタ株の3倍以上の感染速度といわれるオミクロン株による感染が全国的に急拡大し、日野市においても1月以降感染者数が増加するなど、厳しい状況が続いております。このような中、日々それぞれの現場で力を尽くしていただいている医療関係者やエッセンシャルワーカーの皆さまなど、すべての関係者に改めて感謝申し上げます。
 日野市はこれまでも都や保健所、医師会などと連携しながら療養体制の確保に努めてまいりました。高齢者や一般の方への3回目のワクチン接種は当初の予定を前倒しし、既に2月から開始していますが、3月11日からは5歳から11歳までを対象とした接種も加わる予定です。迅速かつ着実なワクチン接種を進めるとともに、刻々と変わる感染状況や国の方針に対して、適切かつ柔軟に対応し、市民の命と暮らしを守り抜いてまいります。
 一方で、回復が期待されていた経済活動は、一層先行きが不透明なものとなりました。コロナ禍が長引くほど、生活困窮など家計への影響、中小事業者などの経営環境への影響が深刻になります。働き方の変化や外出控えなどによる、児童虐待やフレイル、学びの格差なども課題です。こうした喫緊の課題については、これまでの取り組みやネットワークなど使えるものは最大限活用するという姿勢で取り組んでまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など国や東京都の動きにも目を配りながら、地域団体や市民などの取り組みをバックアップし、地域全体の復調につなげてまいります。
 

2  市政運営とサービスの高度化を支える体制づくり

 人口減少社会やウィズコロナ時代を前提とした市政運営を考えていかなければなりません。私自身公約に掲げておりました女性副市長を登用することで、まずはその体制づくりをしたいと考えております。SDGsや持続可能なまちづくり、共生社会と女性活躍のさらなる推進につなげてまいります。そして、新たな行政課題への対応のためにも「デジタル技術」「既存の資産」「人材」の三つを上手に活用していかなければなりません。
 デジタル分野においては、多くの方が利用される市税や証明手数料、施設利用料などの納入方法について、スマートフォンなどからも納入ができるキャッシュレス化を行い、市民サービスの向上につなげてまいります。また、日野市では令和3年度に立川市・三鷹市と共に全国に先駆けて住民情報システムの共同利用を開始しました。この経験を生かしながら、令和7年度末の国主導による地方自治体における情報システムの標準化・共通化への対応とさらなるデジタル活用の検討を進めてまいります。
 公共施設などは、これまでも人口動向を見越して計画的に設置などをしてまいりましたが、今後は人口減少などにより、日野市全体で利用需要が大きく変化してまいります。既存の行政保有資産については、公共施設等総合管理計画の見直しをきっかけとした公共施設や不動産の有効活用を検討してまいります。
 人材の確保・育成は重要な経営課題です。働き方改革を進め、デジタル技術などを活用することで、働きがいやモチベーションの向上と職員同士がコミュニケーションを取りやすい環境を整備し、働きがいのある職場づくりを目指します。これらは、市政運営に対するチェック機能の改善などと併せて実施してまいります。良い仕事は、職員それぞれの工夫や業務削減といった仕事の見直しの積み重ねで実現されます。心理面での安全性を確保し、風通しの良い職場をつくることは、職員の創造性を育み、ひいては市民サービスの向上にもつながるものです。息の長いものではありますが、財政が厳しい中においても、人材育成には投資をする、という姿勢で取り組んでまいります。
 

3  気候危機への取り組み

 地球温暖化は災害の被害が深刻になるなど、私たちの暮らしにも大きな影響を与えております。令和元年度の台風第19号では日野橋が損壊いたしました。また、環境省の「2100年未来の天気予報」においては、約80年後の東京の8月の気温は43度を超えるとされています。私たちの世代が当たり前にできていたことが、将来にはできなくなっているかもしれない。そうしたことを、考えなければならない時期になっています。
 日野市はこれまでも環境基本条例におけるさまざまな取組みをはじめ、二度のごみ改革などを市民の皆さまと協力して進めてまいりました。2020年にはプラスチックスマート宣言を行い、使い捨てプラスチックの削減・再資源化に取り組んでおります。今年4月には国においてもプラスチック資源循環法が施行され、さまざまなプラスチックを包括的に資源循環させる仕組みが社会全体で整います。
 今までの行政や地域での取り組みを総括するとともに、SDGsにも掲げる持続可能な地球環境の実現につなげるため2050年カーボンニュートラルも見据えた気候非常事態宣言を行います。また、環境基本条例に掲げる理念の下、第3次環境基本計画に基づくさまざまな取り組みを推進してまいります。併せて、第4次地球温暖化対策実行計画では、脱炭素社会を目指していくとともに、気候変動対策にも取り組んでまいります。そして、気候変動市民会議を市民と共に立ち上げ、こうした問題に対して市民自ら議論・提言できる場を整備してまいります。
 諸力融合で気候危機に取り組む一方で、事業所の責務としても足元のCO2削減を図ります。公共施設における電力供給を見直し、再生可能エネルギー導入施設をカワセミハウス1施設から32施設に拡大いたします。こうした取り組みを通じ、より一層のCO2削減を見込んでまいります。
 地域全体での自発的な取り組みにつなげていくためにも、学びや気付き、体験の機会提供が大切になっていきます。石田環境プラザやカワセミハウスなどの拠点を活用した環境情報の発信や、子どもたちをはじめとしたあらゆるステークホルダーへの環境学習を庁内外のさまざまな主体者と連携して推進し、身近な環境意識を育んでまいります。
 

4  地域と共に目指す誰もが生きやすい社会の実現

 私は、自治体の基本は基本的人権の尊重と恒久平和であると考えています。令和4年度についても、男女平等施策や差別解消の取り組みをさらに推し進め、すべての人を社会的孤立や排除から守り、互いの多様性を認め合うことのできる地域づくりに取り組んでまいります。
 当事者を交えて検討しているパートナーシップ制度については、令和4年度中に制度を開始できるように準備を進めてまいります。このことにより、同性カップルなどの2人の関係性を公的に証明することが可能となります。パートナーシップ制度開始のために必要となる条例や規則、要綱などを整備するとともに、行政サービスへのさらなる適用を引き続き検討してまいります。
 庁内においても、働き方改革などと併せながら、雇用形態や障害の有無にかからず、すべてのメンバーが能力を発揮しやすくなる環境づくりを目指してまいります。
 これまで取り残されやすかった問題についても、取り組んでいかなければなりません。令和3年度に立ち上げた医療的ケア児支援協議会や精神障害にも対応した地域包括ケアシステム推進協議会については、当事者を中心に課題を共有できる場ができました。また、引きこもりの課題については、空き家施策との連携により、当事者、家族などを対象とした居場所の提供により自立支援につなげてまいります。こうした取り組みを引き続き地域と共に推進してまいります。
 

5  安心して育ち、学べる環境の充実

 コロナ禍においても、子どもが健やかに成長し、安心して子育てできるまちでなければなりません。妊娠期も含めすべての子どもを切れ目なく支援するため、母子保健と児童福祉部門の一体化と教育と福祉の連携の充実を目指し、かねてより掲げてまいりました(仮称)子ども包括支援センターの建設を進めます。急増する児童虐待への対応をさらに充実し、窓口のワンストップ化や中学校卒業後の支援など新たな取組みを進めてまいります。
 また、貧困の問題にも早急に対応していかなければなりません。現在、平成29年3月に策定した子どもの貧困対策に関する基本方針の見直しを行っております。新たな方針も踏まえて、取り組みを継続してまいります。また、令和5年度以降に具体的な取り組みにつなげることを目指し、ヤングケアラーの実態把握と解決策の検討を進めます。
 学校分野においては、新たな授業支援を目的としたソフトと学習支援を目的としたソフト、また、小学校1年生の学習者用端末を導入し、自分に合った多様な学びと、みんなで考え生み出す学びの実現を図ってまいります。併せて、教員の負担軽減についても期待しております。
 また、民間活力を生かし、子どもたちの水泳学習の質と環境を向上させる学校プール改革に新たに日野第六小学校、七生緑小学校を追加し、実施します。学校トイレ改修と小学校体育館へのエアコン設置、豊田小学校体育館の大規模改造工事を進め、学習環境と災害時の避難所環境の改善を図ります。
 さらに、GIGAスクール構想・ICT活用などこれからの時代に求められる学習環境の実現と持続可能な学校運営、維持管理を踏まえた新たな学校施設のあり方について検討を進めてまいります。
 

6  フレイル問題への取り組み

 2025年問題が目前に迫る中で、市ではこれまでも受け皿となるサービスの充実と担い手の確保、重度化防止の観点からの介護保険制度の運営など、多角的に取り組んでまいりました。その中でも、コロナ禍によって外出控えが進む中でフレイル課題が顕在化しているという認識の下、今までの取り組みをベースとしながら新たな取り組みを加え、フレイル対策を推進してまいります。
 介護予防については、介護予防教室や地域団体と連携して介護予防に取り組む地域介護予防活動支援事業を実施します。フレイル予防のための基礎知識の習得機会や摂食嚥下(えんげ)機能、筋力を高める介護予防体操などを提供してまいります。
 コロナ禍でつながりの維持といった課題も生じています。こうした課題については地域や市民などとも連携しながら取り組みを強化してまいります。これまでもふれあいサロンの運営活動支援や、課題の共有・改善を検討する地域ごとの協議体の立ち上げ支援などを行ってまいりましたが、さまざまなニーズに寄り添うなど取組みを強化してまいります。また、住民主体活動型の介護予防・生活支援サービス事業においては、地域の困りごとを解決する活動をされている団体に対し、その活動を補助する枠組みを新設します。
 デジタルの視点も取り入れてまいります。市民同士の学び合いを促進するスマホ教室を民間事業者などとも連携しながら継続実施するほか、見守り支援の一環としてLINE活用なども進めてまいります。
 後期高齢者においては保健事業と介護予防事業の一体化を進め、健康課題に応じたフレイル予防施策を展開してまいります。後期高齢者の医療や健診のデータを有効活用しながら、専門職による保健指導などの個別支援や、通いの場などへの積極的関与を行う体制を整備します。
 こうした取り組みと併せて介護施設などを対象とした人材確保事業や研修事業についても実施し、サービスの充実と担い手の確保にも引き続き取り組んでまいります。
 

7 共創で進めるまちづくり

 大手事業所や大学が立地する日野市においては、在勤・在学者など人材が豊富であることも特徴です。日野や日野を含む多摩地域の強み・魅力の一つは、さまざまな人や活動の積み重ねやその多様さにあります。こうしたまちの魅力を高めるためにも、都や近隣自治体、民間企業などとの連携を促進することにより、多摩イノベーションパーク構想の推進を図ってまいります。
 SDGsをきっかけにした連携も進めてまいります。令和3年度に開始した中小企業を対象にしたSDGs宣言制度を推進するとともに、これまでの施策も組み合わせながら市内企業における中長期の価値創出を後押しします。工業の分野においては、コロナ禍で先送りとなっていた(仮称)日野市工業振興計画を策定いたします。併せて、企業立地奨励金を継続して実施し、産業基盤の充実を図ります。また、多様な業の受け皿にもなる創業支援施策や商業者の自主的な取り組みを推進してまいります。
 身近な農地や新鮮な農産物は暮らしにおける魅力にもなっています。農業分野においても若い世代など新たな担い手の創出や、NPOなどと連携した販売支援、市民や農業者などと連携した農の学校の運営を行います。さまざまな主体者と共に、農のある風景を次世代につなげる活動を通じ、良好な資源を引き継いでいきます。
 

8 安全安心な都市基盤

 令和3年度に修正した地域防災計画に基づき、防災情報配信システムの充実や避難者と協働した避難所運営のための地域自主防災会の活動支援などを行ってまいります。また、災害時に自力で逃げることができない避難行動要支援者、高齢者および障害のある方の個別避難計画を関係機関と連携しながら順次作成いたします。
 令和元年12月から実施していた南平体育館の建て替え工事が令和3年度中に完了することを踏まえ、新体育館の利用促進を図るとともに、浅川以南の防災拠点として活用していきます。
 都市計画道路3・3・2号線、いわゆる日野バイパスについては、区画整理事業による用地取得を進めるとともに、東西の交通網改善のためにも早期実現を目指し、国に働きかけてまいります。

 

 令和4年度予算の基本的考え方および概要

 令和4年度予算の基本的考え方及び概要を申し上げます。
 当市は新型コロナウイルス感染拡大以前から財政非常事態宣言下にある中で、人口減少・少子高齢化、インフラの老朽化、気候変動や災害リスクの増大など、先延ばしできない課題への対応が求められています。SDGsをはじめとした地域や社会の持続可能性が強く問われる中で、職員一人ひとりが業務の在り方を見直すよう求め、次の2点を令和4年度予算編成の基本方針といたしました。
 1点目は、「厳しい社会環境、財政状況下でも積極的に課題解決に向かう、“諸力融合”を基本とした、市の財源負担のみによらない事業推進体制をつくる」、2点目は、「日常的に新型コロナウイルスの感染防止に留意しながら生活する『ウィズコロナ』を契機として、より効果的・効率的な実施となるよう事業を見直す」です。
 この基本方針に対して取り組む手法として、歳入フレームをベースとした各部への枠配当方式を令和3年度に引き続き採用するとともに、分野横断で取り組むテーマについては政策課題連携枠を設定し、社会情勢などを考慮したメリハリのある施策展開・コロナ禍で顕在化した新しい行政課題への対応ができるよう検討してまいりました。
 予算フレームが縮小した結果、一般会計予算の規模は令和3年度比で30億円の減となりました。主な要因は、投資的経費の平準化や大規模工事が完了したこと、3市住民情報システム共同利用の導入が完了したことなどが挙げられます。

 基本方針に基づく取り組みによって一定の成果は得られましたが、人口減少・少子高齢化、インフラの老朽化といった社会全体の構造は変わりません。このままでは将来の歳出増大は明らかであり、現在の財源不足を将来世代への負担として先送りしないためにも、自主財源の規模に応じた、身の丈に合った財政運営を目指します。そのために踏まえるべきポイントは3点あると考えています。
 1点目は、将来的な投資的経費の動向です。建築後30年以上経過している公共施設が延床面積で60%を超えており、施設の老朽化対策が喫緊の課題です。加えて、カーボンニュートラルに向けたさらなる省エネルギー対策が求められます。こうした情勢を踏まえると、公共施設の今後の在り方を検討しながら投資的経費の平準化に取り組みつつ、それでも必要な施設設備の老朽化対策・省エネルギー化のための投資を行わなければなりません。
 2点目は、2025年問題、2040年問題などの高齢化の進展への対応です。令和4年度一般会計予算においても、民生費の伸びは大きく、9億円以上の増となっている状況です。この問題は日野市だけではなく、国全体の課題と認識しているところではありますが、社会保障関連経費の増大への対応は大きな課題であります。
 3点目は、市税を中心とした自主財源の規模に合わせた財政運営への転換の必要性です。市税の一般会計歳入に対する構成比はやや増加し46.1%となりましたが、依然として予算総額の半分以下の状態であり、一般会計予算総額に占める義務的経費の割合は、令和3年度予算から3.5ポイント増加して57.4%と、6割に近い数値となり、財政の硬直化が進んでおります。自主財源の不足を基金と市債で穴埋めしてきた結果、この10年間で、全会計合計最大158億円あった基金の残高は、令和4年度当初予算編成後には108億円となり、50億円減少しています。
 市債については、特に赤字公債である臨時財政対策債の借入額が増大しています。平成30年度の借入額は7.9億円でしたが、令和元年度は14.3億円、令和2年度は13.3億円を借り入れ、令和3年度においては20億円を超える見込みです。一般会計の市債残高は342億円ですが、このうち臨時財政対策債の残高は132億円で、この5年間で17.2%増加しています。現在の財源不足を将来世代への負担として先送りする赤字公債は、極力借り入れを抑制しなければなりません。
 こうした情勢を踏まえ、令和4年度は財政非常事態宣言を継続しながら、財政再建計画と第6次行財政改革大綱実施計画を策定し、財政再建の道筋をつけてまいります。また、足元では歳出の抑制と合わせ、市税を中心とした自主財源の確保にしっかりと取り組んでまいります。

 次に、令和4年度予算の概要について申し上げます。
 一般会計当初予算案は、660億6,000万円で、前年度比30億円減、4.3%の減となります。
 歳出につきまして、義務的経費における人件費は、東京都人事委員会勧告に対応した期末手当の減額や、一部の人件費について特別会計に移管したことなどから、3.1%減の116億7,841万円となります。また、扶助費は、障害者自立支援給付費や生活保護費を中心に増加し、4.3%増の230億6,720万円となり、公債費は3.7%増の31億7,326万円となっております。
 普通建設事業費は、南平体育館の整備工事や豊田小学校東校舎の改築工事などの大規模な公共工事が完了したことなどから、72.0%減の14億1,751万円となります。なお、国の令和3年度補正予算(第1号)によって防災・減災、国土強靭化の推進のための財源が確保されたことから、小中学校トイレ改修、豊田小学校屋内運動場大規模改修事業など、一部の事業を令和3年度の補正予算に前倒し、令和4年度に繰り越して実施いたします。また、(仮称)子ども包括支援センターの建設については、令和3年度からの実施を計画しておりましたが、コロナ禍による国際的な物流の停滞などを原因として入札が不調となったことを踏まえ、再積算の上、令和4年度の補正予算にて計上する予定です。
 この他の経費では、物件費は3市住民情報システム共同利用の導入が完了したことにより、5.0%減の99億4,059万円となります。また、補助費等は、市立病院事業会計、下水道事業会計への拠出の減などから、1.7%減の75億3,028万円となっております。

 歳入につきまして、市税は5.5%増の304億4,117万円を見込みました。令和3年度においては、個人・法人をはじめ、市民税は新型コロナウイルス感染症の影響により大幅な減収を見込んでおりましたが、影響は限定的となりました。合計で15億9,077万円の増となります。
 地方譲与税および各種交付金などは、一部減額しているものはありますが、全体的には増額を見込みました。特に法人事業税交付金は法人市民税が回復基調であることから、18.4%増の4億4,500万円を見込んでおります。地方消費税交付金についても5.0%増の35億4,000万円を見込みました。総額では2.7%増の50億5,350万円となります。
 地方交付税は、市税の増収はあるものの、高齢化の進展や人口増などによって需要が伸びており、4.3%増の16億6,000万円を見込みました。
 国庫支出金および都支出金は、歳出における扶助費の増加や各種事業財源の確保に努めたことなどから、総額で1.4%増の222億1,153万円となります。
 また、基金の取り崩しとなる繰入金は62.4%減の19億6,899万円を、市債の借入は55.4%減の16億300万円を予定しております。この合計が市の恒常的な収入で賄えない財源不足分ですが、約35億7,000万円となります。令和3年度の約88億3,000万円から52億6,000万円の減少となっております。

 次に、特別会計当初予算案につきましては、総額556億4,794万7,000円で、前年度比7億9,633万8,000円、1.5%の増となります。国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療の各特別会計において、高齢化の進展などの影響によって14億4,588万円の増となりましたが、土地区画整理事業特別会計、下水道事業会計においては、投資的経費の平準化の観点から、現在の事業の進捗状況と中期的な将来見通しを勘案し、改めて事業の優先順位付けと見直しを徹底した結果、7億4,761万円の減となっております。

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