令和7(2025)年度 市政運営の基本について

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ページID1028709  更新日 令和7年3月31日

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日野市長 大坪 冬彦

 令和7年第1回日野市議会定例会にあたり、市政運営の基本と新年度予算の概要について申し述べ、議員各位ならびに市民の皆さまに一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 私が幅広い市民の皆さまからのご支援をいただき、平成25年に市長に就任して以来、まもなく12年の歳月が経過いたします。このたび市長の職を退くことといたしました。これまで市政運営にご理解、ご協力をいただいた議員各位ならびに市民の皆さまに心 から感謝申し上げます。

 私は就任以来、
 (1) 住み慣れた地域で生き、看取られる、暮らし・福祉・医療の展開
 (2) 日野市の良さである恵まれた社会的・自然的資源を生かし、地域の個性を伸ばすまちづくりの推進
 (3) 厳しい財政状況を踏まえた経営戦略に基づく市政の運営

 以上の三つを基本姿勢として掲げ、「諸力融合のまちづくり」を市民の皆さまと共に進めてまいりました。

 少子高齢化の急速な進展に伴い、市民の暮らしは大きく変化してきました。こうした変化に対応し、子育て環境の整備や子どもの健やかな成長を支える取り組みを進めてきました。
 平成26年には全国に先駆け、0歳から18歳までの発達や行動、学校生活の面において支援が必要な子どもや子どもの育ちに不安のある保護者、関係機関に対する、福祉・教育分野一体となった総合的な支援拠点、日野市発達・教育支援センター「エール」を 開設するとともに、全国に誇れる特別支援教育や不登校対策の充実に取り組みました。
 さらに、子どもの貧困対策や保育園待機児童解消に取り組むとともに、子ども・家庭・地域の子育て機能の総合支援拠点となる、子ども包括支援センター「みらいく」 を開設し、子どもなんでも相談、子どもオンブズパーソンの設置、ヤングケアラー・コーディネーターの配置など、子育てに関する包括的な支援を進めました。
 子どもや若者、高齢者、障害のある方、外国にルーツのある方など、すべての方が関わり合い、支え合いながら生きがいを感じられる社会を目指し、多様性を尊重し、誰もが安心して暮らせるまちづくりに取り組んできました。
 これまでの男女平等課をベースに、新たに「平和と人権課」に改組し、多様な性のあり方、外国人市民の増加に伴う多文化共生などに対応してきました。
 また、核兵器廃絶・平和都市宣言を行っている市として、「平和が市民生活の基本である」との理念のもとで平和事業に取り組んできました。さらに、「日野市すべての人の性別等が尊重され多様な生き方を認め合う条例」を施行し、日野市パートナーシップ制度もスタートしました。
 また、「日野市障害者差別解消推進条例」を制定し、障害の有無に関わらず、誰もが安心して暮らせる共生社会の実現を進めました。
 多摩平の森 A 街区では、保育園、病院、健康増進施設、休日準夜診療所、ひの社会教育センター、特別養護老人ホームなどを計画的に設置し、地域包括ケアの体制整備を進めました。さらに、市立病院や日野市医師会と連携し、高齢者が安心して暮らせる質の高い医療・介護サービスを充実させ、少子高齢化に対応する持続可能な地域モデルを構築しました。

 日野市が直面する課題の解決に向けて、行政だけでなく、多様な主体が持つ社会資源やネットワークを活用し、諸力融合で取り組んできました。
 市の現状や地域資源を的確に把握し、課題解決に向けた戦略的な視点を持って取り組むため、「日野市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、職住近接の生活価値共創都市、ポスト・ベッドタウンを目指した施策を展開してまいりました。
 また、多様な担い手によるまちづくりを推進するため、地域と多様な関係者が出会い、新たな価値を作り出す地域懇談会とアクションプランを推進しました。
 官民連携や地域との対話を通じた社会課題の解決に向けた取り組みや、第2次ごみ改革への着手の結果、東京都で初めて「SDGs 推進未来都市」に選定され、次世代に引き継ぐ持続可能な地域づくりを進めました。
 さらに、童謡「たきび」の作詞者・巽聖歌の縁で、平成29年に姉妹都市盟約を締結した岩手県紫波町や、新選組を通じて親交を持つ福島県会津若松市とは、現在まで継続してさまざまな交流事業を行っております。
 また、国分寺市・小金井市とともに、可燃ごみの広域処理化を進め、処理施設の共同設置・共同運営を推進し、新可燃ごみ処理施設を稼働させました。

 人口減少や高齢化に伴う社会保障費の増加や、公共施設の老朽化対策費用の増大などにより、行財政運営は一層厳しさを増しています。
 こうした状況を踏まえ、市政の経営基盤を強化し、効率的な行政運営を推進するため、第5次行財政改革に取り組んでまいりました。
 しかし、税制改正などの影響により、市税収入が伸び悩む一方で、社会保障関連経費の増加や公共施設の老朽化などへの対応が求められ、厳しい予算編成が続いていました。その結果、大幅な財源不足が生じることが明らかになりました。そこで、将来世代が安心して暮らせる環境を引き継ぐため、令和2年に財政非常事態宣言を発出し、日野市財政再建計画・第6次行財政改革大綱実施計画を策定・実行しました。また、単なる事業抑制にとどまらず、業務の見直しや効率化、働き方改革、DX 推進などを進めることで、持続可能な財政運営の確立を目指しています。

 さまざまな諸課題に加え、元副市長による不祥事などの問題も顕在化しました。これらを真摯に受け止め、市民から信頼される組織を目指して、内部統制の強化と、コンプライアンスの徹底を図るとともに、職員の意見を組織運営に反映させる取り組みを進めました。東京都から就任した初の女性副市長と、文部科学省から就任した教育長の新たな視点を生かし、職員にとってよりよい市役所「SHIN HINOSHIYAKUSYO」の実現に向けて、「想いをカタチにプロジェクト」の推進など、職員の働き方や意識改革に取り組みました。
 北川原公園ごみ搬入路問題につきましては、最高裁の上告不受理決定を受け、違法性の早期解消に向けた検討会を立ち上げました。周辺地域の意見を踏まえつつ、違法性解消に向けたあらゆる方策について慎重に議論を続けてきました。そして、令和7年2月16日に検討会からの提言書を受領しました。今後は、その内容を真摯に受け止め、市としての方針を決定してまいります。
 こうした諸課題への対応を含め、日野市全体で取り組むべき指針として、令和5年3月に「日野地域未来ビジョン2030」を策定しました。日野市に関わるすべての人が自らの可能性を最大限に発揮し、主体的・能動的に社会に参加できるよう、キーコンセプト「しあわせのタネを育てあう日野」を共有し、ビジョンが示す価値観や未来像を発信しながら、諸力融合によるまちづくりのヒントとして活用していきます。
 さらに、新たな市民参画の形として「ミニ・パブリックス」を取り入れた日野市気候市民会議を開催しました。また、オンライン上で多様な声やアイデアを集め、プロジェクトやアクションにつなげる地域共創プラットフォームを導入し、多様な主体が垣根を超えて協力し合う地域づくりの土台を形成しています。

 令和7年度当初予算は、これまでの取り組みを継続しつつ、4月の市長選挙を見据え、義務的経費や継続的事業を優先しながら編成しております。市民生活への影響を最小限に抑えつつ、市が抱える喫緊の課題に迅速かつ的確に対応してまいります。
 

令和7年度の重点施策と取り組み

1.子どもの希望を育み、健やかにすごせるまちの実現

 妊娠期も含め、すべての子どもを切れ目なく支援していきます。
 みらいくオープン後の集中 PR の最終年度として、令和5年度から継続してきたシンボル絵画の制作などを子どもたちと行うことで、みらいくを広く市民に愛されるような施設にしていくとともに、子どもの声を聴くという市政運営のシンボルとしていきます。
 西平山あそびばづくりプロジェクトの一環で、子どもや地域の方と一緒にまとめた「子ども提言」をもとに、令和7年度は一部工種において、工事に子どもや地域の方が参加する企画を組み込み、子どもの遊び場の整備工事を実施します。遊び場を一緒に作っていくという取り組みを継続しながら、新しいコミュニティの形として、子どもの希望を地域や行政がサポートする関係性を作り出します。
 プレーパークを運営する団体に対し、実施に要する経費の一部を補助し、活動を支援することで、地域における子ども達の居場所、体験の機会の充実を図ります。
 まんがんじ児童館の建替え工事を行い、市内児童館のセンター館として、関係機関との連携による福祉的機能の強化、中高生世代の居場所機能の充実、市施策への子どもの声の反映に取り組みます。
 医療的ケア児やその家族が、保育を必要とする場合に、認可保育所において安全で安心な受け入れと保育が実施できるよう、関係機関の連携体制を構築します。
 また、第3期日野市子どもの貧困対策に関する基本方針の策定に向けて、子どもと保護者の生活困窮の実態などの調査と分析を行い、子どもからのヒアリングや団体などとの意見交換などを実施します。
 日野第八小学校「たちばな学級」と七生緑小学校「あおぞら学級」を閉級し、七生緑小学校に新たな知的障害特別支援学級「なのはな学級」を開設・運営します。また、日野第八小学校に、自閉症・情緒障害特別支援学級「つばめ学級」を開設・運営します。
 今年1月に開始した学校給食の全額公費負担を継続するとともに、市内小中学校の安心安全な給食調理のため、市内小中学校の給食調理室に空調設備の設置を進めます。また、市内小中学校の校舎及び屋内運動場の照明の LED 化を行います。

2.地域との対話が育む共生社会の実現

 第1期日野市こども計画である「ひのっ子若者みらいプラン」に掲載している施策の進捗状況を評価し、市の子ども施策について審議をするため、公募市民や子ども・子育て支援の関係者を委員とする子ども・子育て支援会議を開催します。
 コミュニティ・スクールの全小・中学校導入に向け、保護者や地域住民の参加のもと、学校運営や学校活動の支援について、各学校で協議、支援活動が行われる仕組みを構築し、各学校の取り組みを支援します。
 地域と連携して実施する地域クラブ活動「ひのスポ!ひのカル!」を、さらに充実して通年で実施するとともに、就学援助世帯の生徒を対象に、地域企業・団体が行う地域クラブ活動に通うための費用に利用できるようにするための、給付型体験奨学金「ひのスポ!ひのカル!奨学金」の支給対象プログラムを拡大します。これらの実施を含め、地域クラブ活動の持続可能な運営のため、日野市として初めての企業版ふるさと納税の活用を進めます。
 地域共創プラットフォームにおいて、決まったことだけでなく、方向性の検討時期からの市民参加や共創プログラムなどを進めていきます。また「日野地域未来ビジョン 2030」を地域に普及させていくため、令和6年度日野市妄想実現課事業において創出されたアクションアイデアを産学官民の共創により発展させ、市民一人ひとりの多様なウェルビーイングの実現につながるプログラムを実施します。
 多摩地域26市で連携し、平和首長会議東京都多摩地域平和ネットワーク戦後80年事業として「次世代につなぐ」をテーマに、26市在住の大学生・高校生による広島派遣と、平和サミットを開催します。
 東京都史跡指定・日野市有形文化財指定である日野宿本陣および附(つけたり)上段の間の文化財保存活用計画の策定に向け、東京都と連携して市民、学識経験者などによる保存活用計画策定委員会を設置、開催します。
 多摩平の森K街区に、“地域の「ひと」「もの」「情報」をツナグ”をテーマにした、持続可能な福祉の地域づくりのハブとなる拠点および日野市社会福祉協議会の活動拠点となる「(仮称)日野市立福祉支援センターたまだいら」を開所します。
 また、高齢福祉課に在宅療養高齢者等支援窓口を設置することで、体制の再構築やより一層の機能強化により、地域の関係者との連携を深め、在宅療養支援体制の充実を図ります。
 令和4年5月施行の「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」および令和2年4月施行の「日野市障害者差別解消推進条例」に基づき、障害のある方が日頃からあらゆる情報を円滑に取得、利用できるよう庁内各課の情報発信、対応に関するガイドラインの策定に取り組みます。
 また、障害のある方が、その人自身の希望や適性、能力にあった働き方や就労支援サービスを選択できるようサポートする、就労選択支援を行います。
 さらに、障害者の福祉に関する相談等を総合的に行うにあたり、地域における相談支援の中核的役割を担う基幹相談支援センターについて、令和8年度に障害福祉課内に設置するための相談支援体制の構築を行います。

3.未来につながる公共施設マネジメント

 日野市公共施設等総合管理計画に基づき、公共施設の「縮充」の発想を取り入れながら、個別施設計画及び個別再編計画の策定と着実な実行を進めます。
令和7年度については、日野本町地区の公共施設再編事業のさらなる推進を図るため、令和6年度策定の再編基本構想を踏まえて、引き続き、多様な市民意見などを集めながら、再編基本計画を策定します。
 また、公共施設の維持管理水準の向上と施設管理業務の効率化等を目指して、民間事業者のノウハウを最大限に活用しながら、複数の公共施設の維持管理業務を包括的に一括管理する包括施設管理業務委託の令和8年度の導入に向けた取り組みを進めます。
 福祉施設のうち、老朽化が進んでいる一部の福祉センター及び福祉支援センターについて、今後の施設運営の見通しと安全な施設を持続的に提供するため福祉施設個別施設計画を策定し、社会福祉活動を推進するための環境を整備します。
 また、令和2年度に策定した日野市体育施設個別施設計画について、5年間の短期計画期間が終了し、令和8年度から中間計画期間に入ることに伴い、より実効性の高い計画となるよう適切な評価・改善のもと中間見直しを行います。
 日野市立みさわ保育園を公立の認定こども園に移行するにあたり、日野市公共施設等総合管理計画および令和7年3月策定予定の日野市子育て支援施設個別施設計画で定められた公共施設の総量の縮減と子育て支援サービスの充実を目指し、三沢周辺地区における子育て支援施設などの利便性の向上と効率的な再編を推進します。
 老朽化した公共施設について、解体、跡地活用の検討を進めていきます。平山台健康・市民支援センター、百草台コミュニティセンター、教育センターの跡地活用におけるサウンディング調査を実施します。平山台健康・市民支援センターについては、地域の抱える課題解決を踏まえ、まちづくりの視点を取り入れながら、自治会やまちづくり協議会、施設利用者など多岐にわたる関係者とともに、跡地活用に関する検討、意見の集約、方針の確定を目的として検討を進めてまいります。
 また、長山団地市営住宅や旧商工会館について、解体に着手し、跡地活用については市の施策や財政的効果などあらゆる側面から検討を進めてまいります。

4.安全安心で持続可能なまちづくり

 危機感が強まっている南海トラフなどの大規模地震に備え、避難所の環境改善に努めてまいります。マンホールトイレについては、指定避難所に設置できるよう計画的に進めてまいります。また、備蓄についてもオストメイト対応の簡易トイレや、障害のある方も使用できる段ボールベットなどに順次入れ替えるなど、環境整備に努めます。
 団塊世代ジュニアが高齢者となる2040年に向け、市民が安心して暮らせるよう持続可能な病院経営と地域医療提供体制を確保し、経営強化プランに基づく経営強化策の一環として、市立病院を令和8年4月に地方公営企業法全部適用へ移行するための準備を進めます。また、移行後の経営の在り方についても検討していきます。
 市内中小企業及び大学研究室と大手企業のマッチングや、市内における産産連携及び産学連携を目的に、市内中小企業及び大学研究室の特徴的な製品や技術力をまとめた「企業の魅力 PR レポート」の改訂、市内中小企業及び研究室を対象とした交流会の企画・運営を行います。
 市施行4地区の事業完了に向けて、都市計画審議会の場で議論していただきながら、生活に必要な基盤を整えるという区画整理事業の意義を再確認し、事業の完了に向けた事業費と資金計画を再整理し、今後の進め方を決定します。
 道路の特性に見合った補修を実施するため、令和6年10月に改訂した舗装補修計画に基づき、損傷が著しく補修が必要な状態の区間から予防保全型管理を基本とし、計画的に補修を実施します。また、第三次日野市バリアフリー特定事業計画に基づき、幹線市道2.-48号線の道路改良工事によってバリアフリー化を図ります。
 市民が安全安心に生活できるよう、市内の樹木の適正な管理を進めるため、公園・緑地および緑地内散策路や街路樹などについて、優先順位を付け、枯損木や枯れ枝のある樹木を対象とした点検および剪定・伐採作業を実施します。

5.DX の推進と信頼される組織づくり

 業務の効率化や働き方改革を推進するため、市内部事務において DX などによる業務の効率化を進めます。
 滞納者の財産調査において、金融機関への預貯金の照会業務をオンライン化することにより、滞納整理の効率化を図ります。
 今後、より一層の職員不足、コスト低減下においても安定的な行政運営を行うため、三鷹市、立川市、小金井市、そして日野市の4市で事務を共同で委託した場合の効果について、調査研究を行います。
 市民・事業者などが参加する会議においても、ペーパーレス会議が行えるよう、システムを導入し、紙の削減と将来のオンライン会議化を目指します。
 オンラインでの行政手続きを行うシステムに、デジタル窓口、オンライン決済、マイナンバーカードによる電子認証などの機能を取り入れ、さらなる手続のオンライン化を推進します。
 また、係の統合・再編等、機能的な組織運営のための組織改正を行い、効果的な人的リソースの配置に努めます。
 信頼される組織づくりを目指すため、監査機能を強化します。公金支出及び使途の適正性を確認するため、財政援助団体等に対し、専門的知見を有する監査法人による監査を行います。また、市の財政の効率性、透明性を確保するため、財政援助団体等への補助金適正化を進めます。補助金額の妥当性について専門事業者の視点から確認するとともに、市職員自らが、財政援助団体の財務諸表などの内容を的確に理解し、補助金交付審査をより高い精度で判断することができるよう、研修を行います。

令和7年度予算の基本的考え方および概要

 次に、令和 7 年度予算の基本的考え方および概要を申し上げます。
 令和7年 1 月の内閣府月例経済報告によると、「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」とされており、全国的に雇用や所得環境が改善しているという分析が背景にあるものと思われます。一方で、円安の影響などによる物価の高騰も継続しており、現役世代、退職世代を問わず実質的な所得でみると厳しい状況にあるものと考えられます。
 日野市としても、所得の回復などを背景に市税全体で増収を見込んでおり、加えて景気に連動する各種交付金でも増収が見込まれることから、歳入全体では増額を見込んでいます。しかしながら、人件費や物価などの上昇は、委託料や工事費などの歳出額を押し上げており、実質的に歳入が増となるかは不透明であり注意が必要となります。
 特に、令和 6 年度の当初予算編成で39.4億円に上る財政調整基金を取り崩した結果、当初予算編成後の残高は16.7億円となり、持続可能な財政運営とは言い難い状況となりました。このことから、日野市財政再建計画・第6次行財政改革大綱実施計画に基づく取り組みに加え、新たな事業見直し、歳入拡大・歳出抑制の取り組みが必要な状況であること、令和 7 年度は市長の改選期に伴う予算編成であることから、法改正に伴う制度改正への対応や、継続して取り組む事業などを除き、真に必要な事業、予算を精査することとして予算編成に臨みました。

 令和7年度の一般会計当初予算案は、780 億 7,400 万円を見込み、令和6年度比で 53.9 億円、7.4%の増となります。昨年度に引き続き、過去最大の予算となります。
 歳出につきまして、概略をご説明します。
 義務的経費では、人件費を 2.6%増の 121 億 2,941 万円と見込んでおります定年退職年齢の引き上げにより、職員退職手当が減となりますが、東京都人事委員会からの勧告に伴う給与引き上げなどによる影響が大きく、総額では増となるものです。扶助費は児童手当の制度改正への対応や、障害者自立支援給付費などの増を背景に、263億 3,617 万円として 22.8 億円、9.5%の大幅な増を見込んでおります。
 次に普通建設事業費は、令和 6 年度から引き続き実施する豊田小学校大規模改造工事や豊田跨線人道橋補修工事業務委託料などの大型事業に加え、新規事業として「まんがんじ児童館改築工事」などを実施することから、10.7%増の31 億 9,037 万円を見込んでおります。
 この他の経費では、物件費は物価上昇の影響による委託料の上昇などにより8.8%増の 138 億 8,658 万円を見込み、補助費などは学校給食費に対する補助金の増をはじめとした、子ども関連の補助制度の充実などにより 10.6%増の90 億 1,493 万円を見込んでおります。
 また、市長改選期に伴う事業の追加実施の財源を想定し、3 億 4,000 万円を政策的予備費として増額しております。
 次に歳入における市税は個人市民税、法人市民税、固定資産税などの伸びを背景に 322 億 4,265 万円を見込み、令和6年度比で 18.5 億円、6.1%の増となり、市税全体額では過去最高額となる見込みです。また、地方消費税交付金は 2 億円増の41億円を見込むほか、利子割交付金などの交付金でも増を見込んでおります。
 国庫支出金および都支出金は、歳出における扶助費などの各種事業財源として大幅な増となり、合わせて 274 億 9,489 万円を見込み、31.2 億円、12.8%の増となります。
 また、基金からの繰入金は 5.4%減の 42 億 7,642 万円を見込んでおり、財政調整基金の取り崩し額は 37 億 8,410 万円と、令和 6 年度比では減となりましたが、引き続き多額の取り崩しにより財源不足を埋めて対応せざるを得ない状況です。なお、当初
予算編成後の財政調整基金の残高は 23.2 億円を想定し、目標額には及ばないものの、残高を回復することができる見込みとなります。
 次に、特別会計当初予算案につきましては、総額 611 億 8,564 万 6,000 円で、前年度比 3.5%増、額として 20 億 8,820 万 3,000 千円の増額となります。
 被保険者数の減少などを背景に4億円の減となった国民健康保険特別会計を除き、人件費や物価高騰に伴い全般的に予算増となったこと、加えて介護保険特別会計でサービス利用者の増加などにより 12 億円の増が見込まれることなどにより、全体額では増額となりました。

 結びに、私の市長としての任期は4月26日まででございます。あらためてこの 12 年間のご支援、ご協力に感謝を申し上げます。
 新たに市長が選出されるまでの残りわずかな任期ですが、市が抱える諸課題と真摯に向き合い、全力で取り組んでまいります。各位におかれましては、これまでと同様のご高配を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 重ねて市議会議員各位ならびにすべての市民の皆様からいただきました長年のご支援、ご協力に心から感謝を申し上げ、市政運営の基本といたします。

このページに関するお問い合わせ

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代表電話:042-585-1111
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