第5次行財政改革大綱・実施計画の実施結果を公表
第5次行財政改革大綱・実施計画は、市の財政状況の改善と財源不足の解消に向けた対応策を進めるため、4つの財政指標と延べ464の取組項目を設定し、行財政改革の取組を通じて市民サービスの向上を推進してきました。その計画期間(平成29年度~令和2年度)が終了しましたので、結果を公表します。概要は次のとおりです。
4つの財政指標目標値と達成状況
主要数値目標 |
平成27年度 (計画開始の前年度) |
令和2年度 (計画期間最終年度) |
財政指標目標値 |
達成状況 |
---|---|---|---|---|
指標1 経常収支比率(普通会計) |
91.8% |
100.1% |
91.0%以下 |
未達成 |
指標2 市債等の残高(土地開発公社を含む全会計) |
736億円 |
646億円 |
690億円以下 |
達成 |
指標3 財政調整基金の残高(普通会計) |
43億円 |
36億円 |
45~50億円 |
未達成 |
指標4 人件費構成比率(普通会計) |
15.3% |
12.6% |
15%台の維持 |
達成 |
指標1 経常収支比率について
経常収支比率とは
財政構造の弾力性を判断するための指標で、人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費(経常的経費)に充当された一般財源の額が、地方税、普通交付税を中心とする毎年度経常的に収入される一般財源(経常一般財源)、減税補てん債および臨時財政対策費の合計額に占める割合のこと。
100%になると、経常的経費と経常一般財源が同額となり、経常一般財源からその他の施策経費に回すお金がない状態となる。
達成状況の分析
平成27年度から令和2年度へ大きく悪化し、目標からは大きく乖離して達成できませんでした。令和2年度は、東京都26市平均の93.3%からも乖離しており、26市中23位の水準となりました。
少子高齢化に伴う扶助費や繰出金等が増となっている一方で、新型コロナウイルス感染症の影響から法人市民税等が減少、全体としても収入は横ばいとなっている状況です。今後、抜本的な事業の見直しなどが求められます。
指標2 市債等の残高について
市債とは
公共施設の建設など、市が一度に多額の出費を必要とする場合に認められる、会計年度を超えた借入金のこと。多額となる出費への財源確保と、その返済を長期間の分割で行うことによる財政負担、住民負担の平準化機能があります。
達成状況の分析
平成27年度からは約90億円の残高減に成功し、690億円以下との目標を達成することができました。特に、令和2年度においては全体で15億円の残高減少となったところです。
ただし、市民一人当たりの残高では、26市平均が27万3千円/人のところ、日野市は34万6千円/人であり、26市中21位となっており、引き続き市債等の残高を低減していく必要があります。
指標3 財政調整基金の残高について
財政調整基金とは
年度間の財源の変動を調整するため、決算剰余金などを積み立て、財源が不足する年度に活用する目的の資金のこと。
大規模災害等による急な税収減や財政出動に備え、将来にわたって安定的な行政サービスを維持するために一定の基金積立が必要となる。
達成状況の分析
令和元年度、令和2年度と残高が継続して減少し、36億円となり目標値である45~50億円とは大きく乖離しておりました。なお、計画期間の外になりますが、令和3年度当初予算編成後には13億円となっており、さらに減少しております。
令和2年度末時点の36億円を基準にすると、市民一人当たりの財政調整基金の残高は26市中22位の水準であり、低水準にあります。今後も高齢化の進展や新型コロナウイルス感染症の影響により一般財源の減収が見込まれており、計画的な基金の積立が必要です。
指標4 人件費構成比率について
人件費構成比率とは
普通会計の歳出総額に占める人件費(報酬、給料、職員手当、共済費)の割合のこと。
達成状況の分析
令和2年度は目標15%台だったところ12.6%と大幅に目標を達成しているように見えますが、これは主に、特別定額給付金をはじめとした各種新型コロナウイルス感染症対策事業により決算の歳出総額が大幅に膨張したことが要因です。実際には、会計年度任用職員制度が導入されたことなどを受け、人件費の決算額は令和2年度は令和元年度比13.7%の増となっています。
人件費構成比率は26市中25位となっており、今後も人件費の抑制は必要であり、各事業の必要性や有効性を検証する中で、適正な人員配置の視点を踏まえた精査を行ってまいります。
最終年度の改革項目の達成・実施状況(令和2年度、全119項目)
目標を達成または完了した項目 |
12項目(10%) |
---|---|
計画どおり進捗中の項目 |
64項目(54%) |
取り組みが遅れている項目 |
42項目(35%) |
取り組みを中止した項目 |
1項目(1%) |
財政効果(総額)
約37億6,298万円
※上記財政効果は、「第5次行財政改革を行ったことにより、行わなかった場合と比較した計算上の効果」であり、「取組に係る経費を正確に除いた結果、もたらされた効果」として実際に市の歳入に反映されたものではありません。
第5次行財政改革の主な実施項目
持続可能性を確保した財政運営
- 市債発行の見直し
- 都市計画税の税率の定期的見直し
- 行政財産・市有財産使用料の見直し
- 行政評価システムに基づく既存事業・制度等の見直し
- 後期高齢者医療特別会計の健全化
- 日野市市民会館文化事業協会への援助のあり方等の見直し など
経営感覚のある市政運営と適正な事務管理
- 市立保育園運営のあり方の見直し
- 長時間労働の是正(時間外勤務の縮減)
- 自治体クラウドによる広域連携の推進 など
市有財産の適正なストックマネジメントと有効活用
- 電力調達方法の見直し
- 法定外公共物の適正な管理・処分(廃道敷) など
今後の行財政改革
第5次行財政改革は令和2年度をもって終了しましたが、市の財政は依然として厳しい状況です。特に、令和2年2月には財政非常事態宣言を発出することとなり、第6次行財政改革では、財政再建と一体となり取り組むため、「日野市財政再建方針・第6次行財政改革大綱」として策定したところでございます。
これを具体化するため、令和5年度から取り組む日野市財政再建方針・第6次行財政改革大綱実施計画を策定中でございます。日野市を持続可能なまちとして発展させることができるよう、仕事の合理化や生産性の向上、施設の統廃合や複合化などを含め、積極的な予算捻出、行政サービスの向上に繋げてまいります。
実施結果の詳細について
実施結果の詳細については、下記の添付ファイルまたは市内各図書館でご覧いただけます。
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