第12回（仮称）日野市障害者差別解消推進条例策定検討委員会　会議録（要約）


日時：令和元年5月17日（金）午後３時～５時
会場：日野市役所５階　505会議室
出席者：妹尾委員　髙島委員　中野委員　佐藤委員　藤田委員　有山委員　浅野委員
　一ノ瀬委員　奥田委員　内田委員　山本委員　仁賀田委員　川鍋委員　熊澤委員
欠席者：村木委員　石川委員　高橋委員　田村委員

●　報告事項
　○新委員の紹介
　○意見公募の結果について

●　議題
　○条例（素案）の検討
　　―　事務局から資料の説明　―
　（委員長）
　　パブリックコメントで反映・修正された箇所を中心にご意見をいただいて最終的なまとめをしていきたいと思う。まず（前文）で、皆さんが気づいた点があれば伺いたい。
　（市民委員）
　　「ともに育ち、ともに学び、ともに働き、ともに尊重して支えあうこと」という文言があるが、学校や就労していない人も生きているということを含めて「暮らす」という文言があってもよかったのではなかいかと思う。
　（委員長）
　　続いて1（目的）に関してはいかがか。
　　とくになければ（目的）についてはこの通りということでいく。
　　次の2（定義）では、私から気になったことで、<考え方>の最後にある「障害者の範囲をイメージできるようにしています。」となっている。障害者の種別にはどんなものがあるか日野市独自の表現の工夫になっているが、範囲を限定するものではないということを皆さんと確認できればと思う。
　　次に3（基本理念）について、パブリックコメントではとくに修正されていないが皆さんの中で気づいた点があればいただきたい。
　（教育関係委員）
　　確認だが「児童」とは、どう定義されているのか。学校では「児童」は「小学生」、「生徒」は「中学生」、「学生」は「大学生」という形で使われるが、ここではどういう定義か。
　（事務局）
　　福祉では18歳未満を児童としている。
　（教育関係委員）
　　わかった。
　（関係団体委員）
　　基本理念のオには、言語（手話を含む）と載っているが<考え方>のオには手話が載っていないので、手話と筆談などと加えて載せてほしい。
　（事務局）
　　条文のオにある、その他の意思疎通のための手段というものがどんなものであるかを、<考え方>のオで説明しているという形になる。もちろん手話は含まれることになるが、もう一度<考え方>の文章を検討していく。
　（市民委員）
　　<考え方>のエについて、具体的に書かれていて良いと思うが、皆が結婚して出産するわけではなく、障害者も一人暮らしをすることができるようになってきているので、具体的に書くのであれば、しつこいかもしれないが一人で暮らす選択肢もあると加えることを検討してもらいたい。
　（委員長）
　　他になければ、4（市の責務）について皆さんからご意見をいただければと思う。
　（市民委員）
　　パブリックコメントでも、市の政策についてもっとふみこんだ内容があったほうがいいという意見もあったが、今までの議論でももう少し前向きな感じがあってもいいのではないかと言われていた。今後、この条例を実行可能なものにしていくために、まず障害者の差別を解消するということから、障害者と社会で調整が起きた時の事例・解決事例・うまくいかなかった時の事例などの情報をどのように集約するか、それを必要な人が参照できるようにするなど、うまく回っていくような好循環を作っていかなければいけないと思う。その部分を担っていくのが市であると考える。9（相談、助言等）にも項目があるが、4（市の責務）か9（相談、助言等）に、事業者・市・学校　などで起きた内容や情報を集約していくということを入れられたらよいと思った。合理的配慮の事例が増えていくにあたって、実際に障害者と社会の間に紛争が起きた時の解決方法などを伝えていくことを市にやってもらいたい。
　（委員長）
　　施策や体制整備という言葉の中に具体的な内容が見えてこないので伝わりにくいことと、合理的配慮に関する事例を集約する方法が条例の中では具体的に示されていないので、市がどうのようにやるのかが見えにくいのだと思う。市や事業者がこれから取り組んでいくことに関して、市がモデル的に取り組むべき立場にあると思う。
　（副委員長）
　　条例は抽象的なので、前向きな政策や具体的な方法がもう少し見えるほうが市民にも受け止めやすいのでは、という意見だと思うが、これを絶対にやるとはまだ決めていないので書き方には困ると思う。私からの提案だが、各条項と条項がどんなふうに繋がっているか市民にわかりにくいので、<考え方>の所に、繋がっている項目を見やすくするような一文を加えられるか検討してもらいたい。また、相談の窓口や差別の事案の件数や取り組みをパンフレット等に記載する、啓発の資料等に反映させる、なども<考え方>に入れるとよいのではないかと思う。
　（委員長）
　　条例そのものを変えるのか<考え方>のほうに読み手がわかりやすいような文章を付け加えるのか検討していきたい。
次にパブリックコメントでは指摘はなかったが、5（市民の責務）についてはいかがか。
特になければ6（事業者の責務）についてはいかがか。
よろしければ次の7（不当な差別的取扱いの禁止）に移るが、何かご意見があればいただきたい。
　（市民委員）
(1)教育・療育に関する取扱いの中で、個々の状況に応じて支援を行わなければならないという文が合理的配慮に移っているが、今のこの内容だけでは学校（就学）を決めるところでの差別的取扱いだけが禁止されている感じだ。他の福祉サービスや医療サービスでは、入所や利用を始めるところで差別されることを禁止する以外にも、使っているサービスを利用している間も差別されてはいけないということが記載されているので、（1）だけ何もないと、教育現場では差別がないと思ってしまう。実際には差別があるのではないかと思われるので、教育の中で障害を理由として必要な教育を拒否する、または教育を受ける内容を不当に制限することは禁止したほうがよいのではないかと思う。
(11)災害・防災に関する差別的取扱いについて、<考え方>には異なる配慮を必要とする場面がある、と記載されているが、実際に熊本地震や東日本大震災の時には避難所に指定されている建物がバリアフリーではない設備の所が多数あって、障害を持っている方が避難所を利用できなかったというケースがかなりあったと聞いている。この文章だけで、同じようなケースを防げるのか、避難所に指定されている建物をバリアフリー化していくことができるのか、気になった。
　　（事務局）
　　この条では不当な差別的取扱いになるので、環境整備や建物をバリアフリー化していくという部分については含まれない。また(6)公共施設等の差別的取扱いの項目には一部含まれる。
　（委員長）
　 （6）の<考え方>については、避難所などのワードが出てこない。あくまで不特定多数の人が利用する施設ということで、おおかたすべての施設が含まれるはずだが、イメージできないと思う。
　（関係団体委員）
　　参考資料の19には選挙に関する意見が載っているが、資料2の(12)には選挙の項目が入っていない。やはり選挙権・被選挙権があることをはっきり載せたほうがよいのではないか。
　（事務局）
　　参考資料19では3つの意見をいただいたが、選挙権・被選挙権については想定されるものが合理的配慮の内容に含まれるので、今回は差別的取扱いには入れていない。合理的配慮の考え方、パンフレットなどで説明していく。
　（関係団体委員）
　　合理的配慮の提供には選挙の項目は入っていないが、別のパンフレットなどを作るのか。
　（事務局）
　　資料2の16～17頁が合理的配慮の提供になっている。条文には選挙については記載されていないが、<考え方>の(5)に選挙の時に想定される具体的な内容が記載されている。もちろんこれとは別にパンフレットにも説明は載せていく予定である。
　（関係団体委員）
　　誤解しやすい。車いすの障害者に対しての配慮だけで、視覚障害者・聴覚障害者に対しての整備なども含めたらどうか。
　（事務局）
　　視覚障害者・聴覚障害者の方を対象にして、ということになると17頁（3）の意思疎通の中に、いろいろな情報のやりとりをする方法を検討するような内容が書いてあり、選挙の場面に限らず意思疎通に関する合理的配慮ということで記載してある。
　（関係団体委員）
　　わかった。
　（委員長）
　　不当な差別的取扱いの禁止について他にあればご意見をいただきたい。
　（市職員委員）
　　災害時・選挙権に関して、考え方の中でも文言が出るか出ないかで姿勢が見えてくることもあるので、検討事項として考えていきたい。
　（委員長）
　　他になければ、教育現場における意見・防災に関する意見・今入っていない選挙権、被選挙権についてなどを含めて、どのような表現ができるかどうか改めて検討していく。
　　次の8（合理的配慮の提供）では主に分野のみを掲げている。記載されている例示だけではなく他にも事例はでてくるはずである。皆さんでお気づきの点があればご意見をいただきたい。
　（関係団体委員）
　　<考え方>（2）生活環境についてだが、知的障害者のことがほとんど書かれていない。やはり知的障害者に対することについても整備が必要。例えば、生活の中で知的障害者に簡単な言葉で助言する、などの文言が入ると良いと思う。知的障害者のことをもう少し表現を加えてほしい。
　（委員長）
　　他にはいかがか。
　（市民委員）
　　災害時の環境について、（合理的配慮の提供）（2）の条文の中に、避難所など具体的な事例を入れることが難しいのであれば<考え方>の中に避難所に指定されている建物はバリアフリー化を行う、というような文章を入れてもらえればと思う。あまり具体的な事例は難しいと思うが、気になる部分なのでできれば入れてほしい。選挙についても、選挙権は基本的人権にかかわる大事な権利なので、（合理的配慮の提供）に選挙での配慮が含まれるのであれば、少し増えてしまうが（4）と（5）の間に“選挙を行うとき”というような文言を追加してもよいのではないかと思う。
　（委員長）
　　今回から追加された（合理的配慮の提供）に、仮に生活環境の中で避難所が含まれるのであれば、避難所のバリアフリーといった文言があるとイメージしやすくわかりやすいということ、選挙についても7（不当な差別的取扱いの禁止）ではなく８（合理的配慮の提供）に含まれると思う。（5）の日常生活・社会生活の中に含まれると思うが、それでも項目を増やして選挙の場面で合理的配慮がなされるということがイメージできるといいのではないか、というご意見だったと思う。各委員の意見をいただいたが、どこまで示すかが難しい。パブリックコメントでいただいた意見に対して、パンフレットなどを使いながら啓発を進めていくということだが、例えばそのパンフレットが防災に特化した合理的配慮にはこんなものがある、というようなものを作ってもよいのではないか。読み手が違う、ということも考えて、どのように皆さんに知ってもらうための資料を作っていくか工夫しなければならないと思う。
他になければ9（相談、助言等）に移るが、4（市の責務）と関わってくるという意見もあった。具体的な相談をしたときに、市や窓口がどのように動いていくのか、どのように解決されるのか、が示されている条である。これまでの議論を踏まえて、皆さんからご意見をいただきたい。
　（市民委員）
　　相談・助言するときは、差別を受けている側しかできないのか。差別されたと言われた事業者は相談・助言の対象にならないのか。
　（事務局）
　　一般の事業者ももちろん、相談することはできる。障害者も家族も関係者も事業者も相談ができる、ということになる。<考え方>の文章は、わかりにくい部分もあるので、検討したい。
　（委員長）
　　合理的配慮してほしいと言われたがどうしたらいいかわからない、という時に事業者も相談できるということ。
　（副委員長）
　　<考え方>のところでもう1つ入れてもらいたい。事業者が別の事業者のことを相談できることも、事例なども含めて加えられないか。実際に、不適切な対応で利用者が不利益を受け続けるのではないか、という相談もある。家族・ご本人からの相談、事業者からの相談、事業者が別の事業者を改善してもらいたい相談、などを考えていただきたい。
　（関係団体委員）
　　確認だが、市民も含まれるのか。
　（事務局）
　　市民というのは、障害者の家族・関係者ではない一般市民のことか。
　（関係団体委員）
　　一般市民からみて、障害者の家族が差別をしているのではないか、という相談ができるかどうか。
　（事務局）
　　その場合は関係者に含まれると思うので、相談をすることは可能。
　（委員長）
　　関係者・事業者に含まれる範囲が広いので、イメージがしにくいところもあると思う。
　（市職員委員）
　　関係者だけで読み取るのは難しいと思うので、検討したいと思う。
　（委員長）
　　具体的なものは条文だけでは見えにくいと思う。15条にある（委任）の規則の中に詳細が加わっていくと思うが、それと合わせて今後確認していただきたい。
　　次に10（あっせんの申立て）について、皆さんからご意見をいただきたい。
　（交通関係事業者委員）
　　この条例についてだが、市の責務・市民の責務・事業者の責務とあるが、観光に来ているような一般の方も、市民と定義してきている。条例の4・5・6・7条には市民の方も関わってくると思うので、市民も含めて考えてもらいたい。
　（委員長）
　　当然ながら市民も差別をしてはいけない、という対象の範囲に入ることをもう一度皆さんと確認しておきたい。日野市を訪れる方、他市から働きに来ている方、学生の方、そういった方たちも市民の定義に含まれるということだ。
他になければ、11（あっせんの手順）について、パブリックコメントでは意見は出ていなかったが、最後のページの図表も参考にしながら、何か気づいた点があればご意見をいただきたい。
次の12（勧告）も合わせてみていただきたい。あっせんをしてもなお、なかなかあっせん案が認められないときに、事業者に対する勧告が行われるが、このような事例は全国にもまだないのではないかと思う。なおかつ13(公表)では、勧告さえも従わない場合には公表という仕組みを設けているということが、この条例には含まれている。（勧告）（公表）に関しても、皆さんからご意見があればいただきたい。
特になければ14（障害者差別解消支援地域協議会）になるが、何かご意見があればいただきたい。
なければ15（委任）では、9条の相談を受ける仕組みについて、から14条の支援地域協議会に関する中身ごとの規則について決めることができるということで、（委任）の条を設けている。
よろしければ16（その他）では、条文の改正・見直しなどを、どのタイミングでどういう機会に行うかが書かれている。
よろしければ、ちょうど時間になったので、今回いただいたご意見を最終的には取りまとめをしていかなければならない。
　（関係団体委員）
　　最後に申し訳ないが、この条例文について皆さんはご理解いただけたが、一般の市民には読んでもわからないと思うので、絵付きのパンフレットを作っていただきたい。おまかせするばかりでなく、皆さんと一緒に作っていきたいと思う。もう1つ、学生に対して差別の啓発方法を今後どうするのか、皆さんで検討が必要だと思うので、今後ともよろしくお願いしたい。
　（委員長）
　　どの市民にも読んでいただいてもわかりすいよう作ってきたつもりだが、確かに条文は難しい。関係団体委員から提案があったように、市民の啓発のためにどういったツールが使えるかも考えていかなければならないと思う。今後の検討課題としていきたい。
　　今回いただいたご意見に関して最終的なものを決めきれていないので、委員長・副委員長・事務局に一任いただくという形でもよいか。
―委員、了承―
　　では、今後の予定について事務局から説明をお願いしたい。
　（事務局）
　　今後については、皆さんのご意見を踏まえて、委員長・副委員長・事務局で最終的な素案の取りまとめを行う。出来上がった素案については、改めて委員の皆さんに送る予定である。現在のところ9月の市議会に上程して、条例の施行については来年4月を予定して進めている。施行までの間に市民の方や事業者への周知を行う予定である。また、事業者の合理的配慮の提供についての補助制度についても合わせて検討を進めていく予定である。
　（委員長）
　　最後に、長きにわたる検討委員会お疲れさまでした。委員の皆さん、毎回傍聴に来てくださる市民の皆さん、この委員会を支えてくださった事務局の皆さんのおかげで今日までやってくることができた。委員会の開催回数も予定よりも増やし、今できる条例を丁寧に議論してきたつもりだが、完璧な条例かと問われれば、まだまだ課題を多く残す部分もある。今後の予定で示された4月の施行後、市民の皆さんに運用していただいて、改めて課題を含めて発展していくことを願っている。
　　皆さん、ご協力ありがとうございました。これから障害者の権利を守っていける、大きな柱が立とうとしている。この条例がよりよいものに発展して成長していけるように、これからもよろしくお願いします。






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