第8回(仮称)日野市障害者差別解消推進条例策定検討委員会 会議録(要約) 日時:平成30年8月23日(木)午後3〜5時 会場:日野市役所5階 505会議室 出席者:妹尾委員 島委員 村木委員 佐藤委員 藤田委員 有山委員 浅野委員  一ノ瀬委員 谷委員 岡田委員 根津委員 欠席者:津島委員 奥田委員 石川委員 内田委員 山本委員 高橋委員 重山委員  ●報告事項 〇前回の確認 〇スケジュールの確認 ―事務局から前回の確認、スケジュールの確認― ●議題 〇条例(素案)の検討 ―資料2の「前文」から「8(合理的配慮の提供)」までを事務局から説明― (市職員委員) ・前文について、「全ての人が平等の権利を有している」のか「全ての人が平等に権利を有している」のか、今の表記は「平等の権利」なのだが、このままでいいのかどうか確認したい。 (事務局) ・「平等に権利を有している」という意味のほうが伝わりやすいと思う。 (委員長) ・前文については、今後、前文の原案ができたところで、改めてしっかりと議論をしていきたいと思う。 ・3ページの「2(定義)」だが、「(2)障害を理由とする差別」の中で、前回の文章では、最後に「あらゆる形態の差別、合理的配慮の否定を含む」といった言葉が入っていたと思う。まずこれを削除した理由はなぜか。 ・それから、障害を理由とする差別を「障害者に対する不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供のことをいい」と表現することで、関連差別や関節差別を含むことができるかどうか。 ・「(3) 不当な差別的取扱い」も、ここで新しく定義することではなくて、日野市障害者差別解消基本方針の中で既に定めているので「基本方針に基づき」などをつけていただければいいと思う。 ・「合理的配慮」は(7)で定義しているが、(2)に言葉として出てくるので、順番を入れかえてもいいと思う。 (事務局) ・合理的配慮の不提供を含むというのは、今回の案の最初のところに「障害者に対する不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供のことをいい」と書いてあるため、同じことの繰り返しになるため削除した。 ・不当な差別的取扱いの整理については、障害者差別解消基本方針でも定義がされているが、文章の内容が少し違うので、こちらは基本方針を基に定め直してもいいのかと思うが、皆さんのご意見をいただければと思う。 (市職員委員) ・「基本方針に基づき」という言葉を入れてはということだったが、今回は条例をつくることになるので、改めて定義する形にしたほうがいいと思っている。 (委員長) ・ここでのポイントは、不当な差別的取扱いに関連差別や間接差別が含まれていて、あらゆる形態の差別がこれで網羅されるのかどうかということだ。 (関係団体委員) ・先ほど委員長が言われたとおり、不当な差別的取扱いという話があったが、一般の人から見ると、ちょっとわかりにくい言葉ではないかと思うので、変えたほうがいいのではないかと思う。専門家が見てわかるというのではなくて、一般の方がわかるように、差別の言葉も変えたほうがいいと思う。 (委員長) ・4ページの「3(基本理念)」だが、イの「社会」の中に「教育」については含まれているのか疑問だ。 ・それから、先ほど「どこで誰と生活するか」に結婚・出産の自由は含まれているとの説明だったが、これも皆さん「どこで誰と生活するか」ということを読んでいただいて、障害者の結婚・出産が連想できるかということが一つだ。これまで旧優生保護法に基づいて、多くの障害者が不妊の強制手術をされてきて、それに対して全国で声が上がっている歴史があり、出産や婚姻については、障害者にとっては非常に大きな問題だと思う。これは改めて皆さんのイメージができるような形で表記しなければならないのではないかと考えている。 ・その文の中の「地域社会の一員として」では、地域社会の中に、きっとグループホームも含まれると思う。グループホームの反対というわけでもないし、建設が反対というわけでもないのだが、知的障害者イコール、グループホームといったような観念は、なくしていくような形で表記すべきではないか。そのために、特定様式に縛られないなどの言葉が必要ではないかと思う。 ・カについて、重複障害者が抱える困難さや差別、不便は、非常に絶大である。皆さんが読んだときに、重複障害の方は、大きな困難さを感じているのだ、そんなことがわからないと、意味がないのではないか。 (市民委員) ・先ほど委員長のお話しにもあったように、イの中の「社会、経済、文化」というところで、教育という文言があったほうがいいのではないかと思った。 ・イとウの文章だが、イは「社会を構成する一員として」という前置きが入っていて、ウは「地域社会の一員として生活することを妨げられないこと」とあるが、区別がわかりにくい。イは「生涯にわたって」という言葉を入れることで、障害を持っている方の一生の時系列の中で差別を受けないようにということであり、ウに関しては、時間軸ではなくて、横の広がりというか、暮らしの中で差別を受けないという区別なのかと思ったのだが、そうだとすると、どちらにも抜けがあるのではないかという印象があった。 ・結婚・出産の自由を時間軸の中で捉えるのか、地域の社会の中で、その人の役割として、それを行うと捉えるのかによって、イに含めるべきなのか、ウに含めるべきなのか、どちらのほうがよいのか、皆さんのご意見も伺いたい。特に優先保護法など、過去に問題があったことや、結婚・出産の自由に関しては、私を含め当事者の人間は、現在でもそれについての差別は、あまり表には出てこないところでまだまだあると思っていただいたほうがいいと思う。 ・わかりやすいところで、障害者と結婚などはだめだとか、障害者は子供を産んではだめだなどと、大きな声で言う方はいないかもしれないが、現実には陰ひなたに言われることがあるので、見えないものはないと考えるのではなく、見えなくてもあると、障害当事者が声を上げている以上は、わかりやすく表記していただいたほうがよろしいのではないかと思う。 (事務局) ・イとウの区別についてだが、イについては、いわゆる社会参加の機会の確保という意味で書かれている文章であり、ウについては、生活する場所とか、暮らす場所についての選択の機会の確保という意味で書かれている。 (市民委員) ・そうすると、イは広く社会と障害を持った方の関わりという考え方で、ウはもう少しパーソナルな、障害を持った方自身の身近な問題というか、そういったものを定義しているということでよいか。 (事務局) ・そのようなイメージだと思うが、イは広く生涯にわたって、社会に参加できる機会を確保するという内容で、ウについては、先ほど委員長も言われていたように、特定の施設で暮らさなければいけないとか、障害者本人が暮らす場所を選べないということがないように生活する、暮らす場所を選択できる機会の確保という内容になっている。 (市民委員) ・そうすると、結婚・出産の自由は、イにもウにも含まれないので、もう一文、追加するような形で、理念の中に入れていただいたほうがよいのではないかと思う。 (委員長) ・「4(市の責務)」だが、まず条例の意味としては、差別をなくすことの明確な目的があり、その上で差別をなくすための方法として啓発をしていく。それを計画的に継続して続けていくといったことで、順番を入れかえてもよいかと思う。 ・差別の解消の推進ということだが、明確に「差別の解消に関する必要な施策」と表記してもよろしいのではないかと思う。 ・その下の「必要に応じて支援しなければならない」という文章だが、市は積極的に応援していただいてもいいと思う。もちろん支援の中身について、精査は必要だと思うが「必要に応じて」ではなく「取り組みに対して支援しなければならない」そんな形でもよいのではないかと思う。 ・8ページの「6(事業者の責務)」だが、ここには、合理的配慮は義務であるという文章は入らない予定か。 (事務局) ・「8(合理的配慮の提供)」の条文に入ってくる。 (委員長) ・事業者の皆さんにとっては、我々がすべきことは何だろうということで、最初に見ていただく項目は、このあたりだと思うが、いかがか。 (関係団体委員) ・合理的配慮のことを義務としてここに載せることが必要だと思う。最初からここに載せたほうがよいと思う。 (委員長) ・実際、東京都の条文を見ると、どこに書いてあるのだろうという感覚になってしまう。もちろん「8(合理的配慮の提供)」のところで、それについては定めていくわけだが。 (関係団体委員) ・「不当な差別的取扱いの禁止」について、参考の名張市は、第7条以下、商品の販売及びサービスの提供における差別、不動産における差別と続いていって、最後に、福祉サービス提供における差別ときているのだが、日野市の案では、逆のような感じがするのだが、意図があってこうなっているのかどうか確認したい。 (事務局) ・特に意図はなく、第2回〜4回検討委員会の資料としてお渡ししたアンケートでも、福祉から始まって医療という順番だったと思うが、その順番で書いてある。 (委員長) ・それでは、前回振り返りの最後の部分、14ページの「8(合理的配慮の提供)」も見ていきたい。今回、第7回資料で示していただいた第2案を事務局で選んだということで、少しつくりが変わってきそうだが、それについて事務局から何かあるか。 (事務局) ・前回、案1と案2として出させていただき、案1については、差別の禁止を一文であらわして、合理的配慮について、細かく項目ごとの規定をする。案2については、その反対で、差別の禁止を細かく項目ごとにあらわして、合理的配慮については、簡潔にまとめるという二つの案を出させていただいた。 ・事務局で委員の皆さんの意見を踏まえ、案2を採用したいと考えて、今回「8(合理的配慮の提供)」については、15ページの下の4行にまとめてある。 (市民委員) ・「8(合理的配慮の提供)」については、この簡潔さでは不十分であると思う。 ・個別の細かいところについては、後ほど皆さんとの議論があると思うが、禁止の項目で、除外する条件についての記載が結構あるが、例えば不特定多数の方が利用する施設に関しては、建物、その他の施設の構造上、やむを得ない場合とか、生命・身体保護のためという条件づけが入っている形になっている。 ・「8(合理的配慮の提供)」は、あんばいがすごく難しくて、誰にもよくわからないというか、障害者本人もどこまでかはわからない部分であるし、サービスを提供している事業者の方も、求められたらどこまでやらなければいけないのだ、どこからどこまでが自分たちの事業に影響が出るといえる範囲なのかということは、すごくわからない部分だと思う。 ・このままいくと、建物に階段があるから、車椅子の人は入れない、しょうがない、わかってください、という状況を、何も変えることができない文章だと思う。実際には階段があって、車椅子の人が絶対に上れないかというと、それは違っていて、誰かにおぶってもらうとか、担いでもらう、階段昇降機などの装置があれば、上がることができるわけで、そういう代替の手段を提供することは、果たして過重な要求になるのかどうか。 ・事業者側の事情ももちろんあるし、障害者側が例えば担いで上がってくださいというときに、30キロの体重の子供さんなのか、100キロの体重の方なのかによっては、負担が変わってくるわけで、個別の事情に対して対応していくものを「建設的な話し合いを通じて」の一文でまとめてしまうのは、ちょっと強引過ぎるのではないかと思う。 ・もし「8(合理的配慮の提供)」については、個別の事案ごとに記載をしないというのであれば、建設的な話し合いをするというそのものが非常に難しく、現状、壁に当たっている部分なのだと認識をして、話し合いの仕方をうまくできるような文言というか、そこをガイドして、後押しできるような条文にしていくべきではないかと思う。 (委員長) ・過重な負担をどのラインで引くか、事業者の皆さんによって、ずいぶん変わってくるだろうし、この条文の中で、このラインになるということは、非常に決めにくいだろうというのは、私も認識しているところだ。ただ、それについては、事業者さんを守るシステムも含めて、つくっていかなければならないだろうと思う。 ・今、お話しいただいた「建設的な話し合いを通じて」という文言だけでは、それについて、検討をされない場合もある。もう少ししっかりとした仕組みが整うような形で書いていくべきではないかと思う。 (関係団体委員) ・合理的配慮について、もっと皆さんがわかるように文章を書いたほうがいいと思っている。これだけだと、専門家の人ぐらいにしかわからないのではないかと思う。市民がわかるような文章にしたほうがいいと思う。 (委員長) ・改めて差別禁止の項目で、このように書くことによって、合理的配慮の不提供も含まれるのか、どういうふうに読んだらいいか、見たらいいか、そのあたりも含めて、第2案を採用した場合、そのあたりが網羅され、混乱をきたさなくなる、そういう意図があるかと思うので、改めて説明をいただきたいと思う。 (事務局) ・今回、差別的取扱いの禁止と合理的配慮の不提供の両方を合わせて、障害を理由とする差別の禁止と定義した。 ・また「7(障害を理由とする差別の禁止)」で、市民も事業者も含めた全ての人が障害を理由とする差別をしてはいけないと、差別の一般禁止規定として定めた。これによって、合理的配慮の不提供も禁止されることになる。これが、合理的配慮の提供については簡潔にまとめた理由になる。 ・追加だが、修正ポイントのところにも書いてあるが、条例を施行する際には、一般市民の方にわかってもらうため、普及のために、逐条解説、またはパンフレットをつくって、個別の事例をわかりやすくパンフレットに載せて、啓発を行う予定でいるので、そちらもあわせてご検討いただきたい。 (副委員長) ・今のところは、非常に慎重な議論が必要だと思った。具体的に一つ一つの合理的配慮の提供を詳しく書き、それを市民に届けることが必要だというところは、共通だと思う。それを条例に盛り込んで伝えるのか、パンフレットという形で伝えるのかという手段の問題だと思う。 ・いろいろ考え方があるが、条例に入れたほうが、市が条例として決めたのだという市民に対するインパクトというか、感覚的な意見だが、そういう考え方があると思う。 ・もう一つ、実例的にというか、実際にどのような合理的配慮を提供していけばいいのか、または合理的配慮で、この場面ではどんなことかということを周囲に伝える、具体的にその場面で活用してもらうとなると、パンフレットとか、逐条解説という手段になると思う。皆さんが条例に込めたほうが、市の責任とか、姿勢がよりあらわれ、市民にも伝わるということを重視されると考えるか。または、日常的に合理的配慮の意識啓発とか、運用活用の場面を深めるためにはパンフレットと考えるのか。そういう視点や論点でご議論いただいてはいかがかと思う。 (市民委員) ・先ほど言われた実例などを条例に取り込むという話もあるのだが、条例は、できるだけ簡潔にしていただいて、より多くの内容を含む意味合いで、つくっていただいたほうがいいのではないか。 ・具体的な例は、先ほど言われていたように、パンフレットで一般の市民の方に提示していただく方法をとっていただきたいと思う。それ以外のパターンも考えられるわけで、条例では差別を禁止しているからという一言だけで、それ以外のパターンも含まれると考えられるのではないかと思う。 (交通関係事業者委員) ・今、本当に大事なところで、我々にも関わってくるし、皆さんにも関わってくる問題だと思う。先ほど案内があった逐条解説とパンフレットは、事務局の頭の中の構成があると思うのだが、こんなものだというものがあれば、事前に渡してもらえれば、我々も理解できるのではないかと思ったので、事前にこんな形を考えているということを出していただけると、参考になるのではないかと思う。 (委員長) ・最終判断をするには、もう少し材料が必要だといったご意見かと思うし、簡潔に書けば書くほど、その文章から読み取れるものは、広く求められるし、人によっても、その解釈も変わってくると思う。なので、逐条解説を使いながら、委員会では、こういう議論がされて、こういう内容が含まれていた、そこのところが見えると、これを簡潔に書いたことでの意味も変わってくると思う。 ・それでは、現状では「8(合理的配慮の提供)」について、案2を採用し、その上で、少し言葉が足りないだろうといったご意見をいただいて、なおかつパンフレットや逐条解説を利用しながらつくってみてはどうか、そんな意見もいただいた。 ・差別禁止の項目を検討していく中で、権利や合理的配慮を示さなければいけない部分も出てくるといったことがあれば、そういった形で変更も可能だと思うので、皆さんからご意見をいただいて、練っていきたいと思う。 (市民委員) ・不当な差別的取扱いの禁止の項目立てについてということで、この中に含まれていない選挙、防災、災害等は、必ず入れていただきたいと思った。私自身で判断がつかないと思うものは、司法手続等における差別の解消だ。これは条例づくりの会から出ている条例案の中に入っているもので、私自身が障害者になってから、司法手続をしたことがないので、どの程度問題があるのか現状がわからない。ただ、もし司法手続をすることになったときに差別があったら、ものすごく困るので、もし問題が出ているのであれば、これは含めていただかないと困る内容ではないかと思う。 ・不特定多数の者が利用する施設というのは、何を想定しているのか。前回、確かこれと公共交通機関を分けたほうがいいのではないかという話があって、分けたと記憶している。分けた場合に、不特定多数の者が利用している施設とは何かというのは、商品の販売、またはサービスの提供に関するものとかぶる部分があるのか、そうではないのか、具体的な事例が見えないためにどう話したらいいのかと感じた。 ・教育・療育があるが、保育に関しての差別の解消がないので、これを追加していただいたほうがよろしいのではないか。一般向けには、保育・教育・療育、何が違うのかというところもあるのかもしれないが、もし該当する事業者さんがいたら、保育がなかったら、うちは保育園だからいいとなるのではないかと思うので、時系列で考えていっても、現在のニーズのことを考えていっても、含める形か、または項目別にしてか、これは必要ではないかと思う。 ・つい先日、幼稚園を見学したいと思い電話をしたら、建物がバリアフリーではないと言われた。2階に行くには階段しかないので2階に上がれないが、入った後、困りませんかと言われたが、それで断られたわけではなくて、見学自体はオーケーをいただいた。バリアフリーになっていない部分があるというのは、前提として考えても、そういうものがあった場合、あなたが困るかもしれないから、やめておいたほうがいいのではないかという話し方をされることは、とてもよくあることで、ちょっと考えると差別の事例にもなってくるのかと思う。 ・そこは受け取る障害者側の提案力を問われる部分だと思うのだが、階段は上れないが、そこに行かなければいけないことはどのぐらいあるか。行かなければいけないときだけ、別の人とか、または上に上げてもらう人を自分で手配すればいいかという話を私自身はする。見学したいという問い合わせの時点で、そのような細かいところまで、どこまで言ったものやらということがあり、最初の時点で、ピシャッと扉を閉めるような対応があると、気分はよくないと思う部分がある。 ・差別の事例とは思わないが、そういった小さい積み重ねや知識不足、経験不足の部分が問題を大きくする種になる部分があると思う。お電話した方は園長先生だったのだが、自分たちも車椅子の保護者を受け入れたことは今まで一回もないのでと言われていて、それは不思議なことではないのだが、そういったことも不特定多数の方が利用する施設の責任者である方は、来たときにどうするかということを考えないのかというのは、その事業をしていただくときに読んでもらうものとか、言っておいてもらうものなどがあった方がよいのではないかと感じた。 ・それは差別の事例の参考資料に関わる部分で、項目立てとは別の話だが、そういったこともあったので、対象になる事業を行っている方が見て、はっきり自分のことだとわかっていただけるような条文をつくることが大事ではないかと思う。 ・順番に関しては、我々が生活していく中で優先度が高いものから順番に表記していただくのがいいのではないかと思う。保育・教育といった人間が生まれたところで必要なものから、大人になって必要になっていくものを順番に並べていくのがいいのか。商品、サービスの提供は、毎日のことで、不動産取引はたまにだが、これができないと困るものでもあり、何を上にというのは、皆さんのご意見も伺いたい。 ・情報活動における差別に関しては、私のような障害だと、ぴんとこない部分があるので、これは他の委員から、情報における差別に関し、どのぐらい困ることがあるのかについて、お話しいただければと思った。 (委員長) ・今、まさに我々がつくろうとしている条例は、今までその窓口ですっと切られていたものを、そうではなくて何かほかの方法はないのだろうかということを考えよう、そのための建設的対話、そんな言葉を使っている。もちろん事業者さんの過重な負担という意味では、考えなければならないわけだが、今の話であれば、こちら側からもいろんな提案をしているわけなので、そういった形で、ほかの方法を模索できないか、そのあたりも大事になってくるのだと思う。 ・今、ご意見をいただいた中で、生まれたときから順に、保育・教育・療育なども含め、取り扱うべきではないか、それから、資料にはないが、災害時、選挙、あと司法手続。司法手続については、事例を見ていただくと、手話通訳者が入らなかったがために、自分が主張することを主張できなかったとか、知的障害の方が冤罪に巻き込まれて、本当はしていないのに、あたかもしたかのように取り扱われてしまうとか、そういった実情もあると、事案では上がってくると思う。そういった場合に、どういうふうに守っていくかといった項目だと思う。 ・不特定多数の者が利用する施設、公共交通機関の提供に関する、そのあたりも不特定多数の者が利用するということはどういうことか。このあたりと情報についてほかの方たちから補足いただければと思う。 (事務局) ・不特定多数の者が利用する施設は、いわゆる市役所とか公園とか、公共的な施設を指している。 (市民委員) ・そうであれば、公共施設という言葉のほうが我々になじみのある言葉だ。ただ、公共施設と言い切ってしまうと、例えば遊園地であるとか、スーパー、デパートのような、公的に運営されているものではないが、多くの人が来るであろうということを想定して事業として建てられている建物で、駅なども含まれると思うが、そういったところも、いわゆる個人の家以外のものは全部とするのであれば、公共施設と不特定多数の者が利用する施設と併記したほうがよいのではないかと思う。 (委員長) ・確かに公共施設だけだと、我々が生活する建物は、公共施設だけに限らない。逆に言えば、大型の民間の施設のほうが多いわけで、例えば150平米以下の小さな小規模店舗を我々は多く利用するわけだが、東京都の調査だと、87%ぐらいがまだまだバリアフリーになっていない状況もある。 ・この条例の中で、環境改善まで全部入れるのは、なかなか難しいわけだが、公共施設だけでいいのか、生活空間としては、民間施設も入ってくるのではないか、そのあたりも含め、皆さんにお考えいただければと思う。 ・あと(5)と(6)の違いについて、私が見させていただいた中で、例えばその施設を使うに当たって、施設の環境によってということで書いていたと思う。公共交通機関は、建物というよりは、公共交通機関という分け方なのかと理解した。もし違いがあれば、補足をいただければと思う。 (関係団体委員) ・私の体験をお話ししたいと思う。教育関係について、私は子供が3人いて、長女が知的障害で24歳になる。小学校に入るときに大変だった。教育委員会の考え方では、障害児なので、専門の教育施設に行ったほうがいいと勧められた。私は健常児と一緒に地域で育てたいという気持ちがあったので、そういうことをお話ししたのだが、それよりも、子供がかわいそうなので、専門の障害児の学校に行ったほうがいいと言われた。 ・その後、養護学校に入りながら、小学校にも入った。いろいろと納得がいかないことがあったが、交渉して、今では、自由に障害児でも普通の学校に通えるということになったと思うが、そんな苦労があった。子供の権利は、大変大切だと思っている。日野市の中でも子ども条例があり、とても大事な内容になっている。 ・二つ目の意見なのだが、情報についてだが、2年前、障害者差別解消法が施行されたが、特別に私たちの生活に変わりはない。例えばホテルに泊まった場合、テレビがある。リモコンがついているが、私たちは聞こえない。字幕つきにしようと思ったが、節約のために字幕のスイッチがついていないということだった。フロントに言って、変えてもらいたいと思ったが、用意はないという答えだった。 ・まだまだ不便はある。エレベーターの問題もある。もしエレベーターの中で私1人の状態で止まってしまったら、コミュニケーションがとれない。今はスマホとか、携帯で外とのつながりがあり、電話リレーサービスという便利な制度ができたので、今は少し便利になったが、まだまだ進んでいない面もある。 ・日野市のホームページの中にも、ほとんどファックス番号が載っていない。連絡したいのだが、私たちは耳が聞こえないので、電話はできない。ファックスが必要だ。メールは使えるが、高齢聾者には、メールは使えない方もいる。 ・項目についてだが、条例づくりの会の事例案がある災害、防災、防犯についても、項目の中に含めてほしい。それから、選挙についてもそうだ。全国の様子を見ると、障害者で立候補をする方が増えている。さらに聴覚障害者自身が立候補する。今、聞こえない議員は、全国で3名いる。また2人増える予定だ。新しい聞こえない議員が増えるということになるので、選挙のときだけではなくて、選挙に当選した後の情報が必要になることもある。権利を守るということで、そういった選挙の項目も入れたほうがいいと思う。 (委員長) ・今、教育の場面にも触れていただいた。中身も見てみると、今の案だと、必要な情報提供をするということが書いてあり、障害に応じた教育を受けられるようにするために、支援を行うことが書かれている。 ・本人に障害がある場合とご家族に障害がある場合も、もちろん変わってくることも考えられる。そして、関係団体委員の言われるように、最初から決めつけないで、一般教育をベースに、その上で本人が家族と一緒に考えて望む方法に進むべきではないか、そんな項目も入れたらどうかということだと思う。 ・子ども条例についても、話していただいた。日野市には条例があるが、その中に育つ権利があって、これは教育に限らず、地域の中で育ち合うことも非常に大切にされていると思う。 ・障害者の権利条約第24条においても、教育について触れられている。 ・教育に関して、私がいいと思うのは、名張市の中で使っている第12条第2項「市及び学校等は、共に生き、共に学び、共に育ち合うことを基本とし」ということで、最初から一般の教育をベースとして考えられている。その上で、本人が必要な配慮を受けましょうといったことが規定されていて、ぜひ日野市も目指してほしいと思う。 ・選挙の項目にも触れていただいた。障害者が立候補する場合において、それがまだまだ当たり前ではない社会かもしれない。なので、その辺もしっかり規定することによって、障害者も立候補するのだ、していいのだ、それが社会に伝わっていくような、皆さんに知っていただくような条文にできたらと思う。 (関係団体委員) ・(9)商品の販売又はサービスの提供に関する差別的取扱いの文章を読むと、具体的なことがわからない。例えばサービスの中で、施設も含まれると思うが、民間の施設やホテルについて、スロープが設置してあることなど、内容や範囲について、これを見ただけではよくわからない。 (事務局) ・今、言われたホテルなどの建物の物理的なところについては、先ほど公共的施設と言った「(5)不特定多数の者が利用する施設」に入ると思う。「(9)商品の販売、またはサービスの提供」に関するところは、例えば先ほどの事例、字幕つきのリモコンを全ての部屋に設置するとか、そういったサービスの内容のことを指しているとお考えください。 (関係団体委員) ・先ほど市民委員が言われたように、日常的なところとか、あるいは年代順みたいなことで、順番はもうちょっと考え直したほうがいいと思った。 ・もし優先順位が高いものから順番になっているということであれば、福祉サービス事業者としては、私たちも専門性や倫理性を持って事業をしているので、差別的な扱いは実際少ないと自負してやっているところもあるので、一般に浸透していないようなところから出ていたほうがいいと思った。 ・それと、中身について、「(2)医療の提供」に関して、先ほど委員長が少し触れた、旧優生保護法の不妊治療の問題は、このタイミングで条例を定めるのであれば、見逃せないと思う。「障害者の意思に反して、長期間の入院」とだけしか書いていないので、治療そのものについて、触れられていない。意思に反して不妊治療を受けたわけで、明らかに差別であって、また「法令に特別な定めがある場合は除き」となっているのが、旧優生保護法の下で行われていたわけなので、その法令が差別的であったことは明らかなところだと思う。今ある法令が全て差別的でないかというと、そうではないと思うので、こういうふうに限定してしまうと、もしかしたら、差別的な法令になる可能性もあるので、ここの内容は、もう一度、考え直したほうがいいと思った。 ・それと、教育については、先ほど委員長も言われたように、13ページの名張市の第12条第2項の文言は、すごくいいと思うので、こういった内容もぜひ日野市においても、入っていればいいと思った。 (市民委員) ・今の合法的に差別するというお話しだと思うのだが、つい昨日の夕刊に、沖縄で精神障害者を私宅監置するという施設が発見されたということで、こんなことを1970年代までやっていたということだ。あれはどう考えたらいいのかと思ってしまった。妄想とか、幻聴がひどくて、その男性が包丁を持って町を歩いた。それで警察沙汰になったことがきっかけで、この人間を私宅で監置していいかと役所に届けでて、役所の許可を得て、自宅の裏庭にコンクリートづくりの個室をつくって、食事を提供するときは、小さな窓から提供する。トイレは自然に流れるような施設をつくるという、大変な人権侵害のように見えるのだが、これはまさに合法的にやられているわけだ。 ・今、文章の中にも、医療事業者は、障害者の意思に反してとあるのだが、その前の文言に「法令に特別の定めがある場合を除き」と書いてある。つまり合法的なら本人の意思に反してやっていいのだということになるのだが、そもそも差別とか、障害は、一体何なのかとても考えさせられた。 ・私もいろいろ経験したのだが、例えば入院すると、大体3カ月は入院する。今の制度だと、3カ月すると、その先は医療費ががくんと下がってしまうので、3カ月過ぎたら退院してくれとなっているようだ。そうすると、3カ月たって強制的に退院させられ、ちょっと具合がいい人でも強制的に3カ月入院させられる。どちらにしても、強制が働く。 ・いろいろな人の話を聞いたり、読んだりすると、人間の人格は、固定的なものではなくて、いつでもどんな場合でも成長するものだ、どんな障害があろうとも成長するものだ、固定的なものの見方をして、これはだめだということで、大体強制的に何かやるときには、この人間はもう会話が成立しない、理解不能なのだという前提で、上から目線で物事を処理していくという姿勢になっていると思う。旧優生保護法もそうだと思うが、我が国で自主的に禁止したというよりも、例えば外国、国連の人権委員会などの圧力によって、やむを得ず禁止していこう、そういう流れがあったのではないかと思う。 ・そもそも差別というのは、なくしていけるものなのかどうかということで、私は人間として、みんな、他人より有利になりたいわけだから、少なくとも他人より低い地位は嫌だから、あらゆる手段を使っても、優位になれないときは差別することは、最も有効な手段だと思う。私の勝手な考えだが、そんなことを考えると、法令に特別の定めがある場合を除きという抜け道もちゃんとつくってあって、合法的に、場合によっては、意思に反して、長期の入院もすると私には読めてしまう。 (委員長) ・差別はなくなるのだろうかというご意見をいただいた。私個人的には、差別はなくならないだろうと思っている。ただ、この条例をつくることによって、今まで100あった差別が99、90、80になる、そういうことは可能なのではないか。 ・合法的に守られて、意思に反してといった文章も、これまで何十年もほかの方法がなかったのか、そういう検討もされなかったのか、そういったところに少し疑問を持つ。本人の人権、一回そうなったから、ずっとそういう人に見られる、そういったところも、我々はしっかりと向き合っていかなければいけないことだろうと思う。 ・それでは、間もなく終わりの時間が近づいている。全ての議論というわけにはいかなかったわけだが、ある程度皆さんの中で見ていただいた差別の禁止の項目は、大体この項目を載せようといったところで見えてきたと思う。改めて議論をする機会をいただければと思うが、事務局で少し手を加えていただいて、その順番を我々の生活の実情に合った順番で並びかえてみてもいいのではないか、そんな意見を反映していただいて、提案をたたき直していただくというところかと思う。その上で、合理的配慮について、検討をする機会を持ちたいと思う。 ・本日は、紛争解決の仕組みにも触れる予定だった。これについては、少し紹介はしておきたいと思う。 ―資料2の「9(相談、助言等)」から「14(公表)」までを事務局から説明― (委員長) ・皆さんには、初めて提示されたものになる。この参考資料イの関係図案についても、準備会で意見をしながら練ったものを、今回、委員会に提案をしたことになる。 ・あっせん案を提示するとここでは書いてあるが、あっせんというのは何をするのか、なかなかよくわからないと思う。事務局で、具体的に示していただけないか。 (コンサル学識者) ・あっせんというのは、個別法の中にこういうものであると定まっている場合もあるが、ここで書いてあるようなあっせんというのは、間に入って、関係調整をするという一般的な意味で、他の自治体でも条例をつくっている。 ・実際に関係調整は、立ち位置として何をやることになっているかというと、両当事者の意見を聞いた上で、このあたりであれば、合意ができるであろうという内容をあっせん案という形でまとめ、両当事者に示し、両当事者からの合意を受けた上で、その案に基づいて、調整を図るということだ。それが一般的にあっせんと言われている。 (委員長) ・現段階で、あっせんに行く前に調査、調整、助言等ということで、示していただいたがNHKの実際の調査アンケートによると、どうもこれまでそういった事案に対し、指導したという言葉が使われている。確かに明らかに条例違反であれば、アドバイス程度でいいのかという気もする。今、ここには示していただいていないが、そういった意味合いも入ってこないといけない、それによって、あっせんまで進む場合も減ってくる気がする。 ・今回、皆さんに見ていただいて、この関係図案ないし紛争解決の仕組み全体、これで障害当事者がしっかり相談できるのか、事業者の皆さんは、これによって合理的配慮をすることに直接関わってくるわけだから、事業者の皆さんも守られるのか、そういったあたりも確認していただいて、次回、ご意見をいただきたいと思う。 〇その他 ―次回の委員会日程について事務局から説明―