障害者差別解消通信No.3 今回の通信のテーマは『行政として求められる取組み−A』についてです。 障害のある方から社会的障壁の除去を求められた時には、何をすべきか 自分で考え、あるいは相談をしながら適切な合理的配慮ができるようになりましょう。 合理的配慮の基本的な考え方 @ 合理的配慮とは、行政機関等が、その事務・事業を行うに当たり、個々の場面で、障害のある人から、 日常生活や社会生活を送るうえで妨げとなっていること(社会的障壁)があり、それを除いて欲しいと意志表明があった場合に、 権利利益を侵害しないために行う必要かつ合理的な取組のことをいいます。 例えば・・・主催するイベントの参加申し込みについて、電話受付しか行っていない場合、 音声や聴覚に障害のある人は申込みができません。 参加したいと表明があった場合には、メールやFAX等での受付も行います。 (既に行っていることと思いますが)また、当日の筆談や手話通訳者の配置等コミュニケーションの支援も必要です。 ■合理的配慮の留意事項 @ 事務・事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること A 障害のない人との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること B 事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと 合理的配慮の基本的な考え方 A  合理的配慮の提供を求められた場合には、現に障害のある人がおかれている状況を障害のある人の立場になって、 妨げとなっていることを解消する手段や方法について、『代替の方法等』も含めて考え、相互に理解しつつ柔軟に対応します。  合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態などに配慮します。 ■現時点における合理的配慮の一例 車イス利用者のために段差に携帯スロープを渡す、高い所にあるもの等を取って渡すなど物理的環境への配慮 筆談、読み上げ、手話等によるコミュニケーション、わかりやすい表現を使って説明する等の意思疎通の配慮 障害の特性に応じた休憩時間の調整などのルール・慣行の柔軟な変更  ‥等 『合理的配慮の意志表明について』   合理的配慮の意志表明は、具体的な場面において、障害のある人が他の人とコミュニケーションを図る際に必要な手段 (言語、点字、拡大文字、筆談、手話、実物の提示や身振りサイン等)により伝えられるもの。 本人の意志の表明が困難な場合には、家族、介助者等コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行うものも 意志の表明に含まれます。  『私たちのことを、私たち抜きで決めないで』  2006年12月、国連総会で『障害者の権利に関する条約』が採択され、約7年後の2014年1月20日に日本は障害者権利条約を批准しました。  この条約の起草に係る委員会に障害者団体も同席し、発言する機会が設けられました。 障害当事者の間で使われているスローガン『Nothing About Us Without Us(私たちのことを私たち抜きに決めないで)』、 障害者自身が主体的に関与しようとの意向を反映し、名実ともに障害者のための条約を起草しようとする、 国際社会の総意でもありました。日本からも200名ほどの障害者団体の関係者が交渉の行われた国連本部に足を運び傍聴しました。 次回のテーマは、『差別事例と良い対応−@』です