◎保育園等改革計画(素案)に寄せられた意見への回答 「日野市保育園等改革計画」(以下「改革計画」という)の素案に対する意見公募を6月15日〜30日に実施し、863人の方から意見が寄せられました。これらの意見に対する市の基本的な考え方及び意見の概要と回答を掲載します。  寄せられた意見への回答全文は、市ホームページのほかに、市役所2階保育課・子育て課、市内各図書館・市立保育園・児童館・学童クラブで閲覧することができます。 (保育課) □意見に対する基本的な考え方  市の人口は今後3千〜5千人増加する見込みですが、5年後から少子化が現れ、年を追うごとに加速すると予測されます。一方で、労働人口が減少し「共働き家庭」が増加するなど、子育て支援が求められています。  次世代育成支援対策推進法が制定され、社会や地域が子育てを支援することが義務付けられました。「子育てしやすい市」を目指し、「ひのっ子すくすくプラン」「保育園等改革計画」「子育て先取りプラン」「放課後子ども対策事業」を推進するなど多様な市民ニーズに対応しています。  今回作成した改革計画は、多様化する市民サービスの向上のために作成し、方向性を素案として示しました。第3次行財政改革大網で子育て施策の骨太の方向性を決定し、改革計画の中で施策の具体的な手段、手順を位置づけていきます。  今回素案に寄せられた意見は、計画の中で概ね対応できると考えています。今後、改革を実施するための手順、手続きを市民、民間事業者、市職員の意見・要望を聞きながら作成していきます。 ○意見の概要と回答 1.計画策定委員会  計画策定委員会メンバーに保護者・現場の職員等が入っておらず、当事者の意見が計画素案に反映されていない 【回答】  子育てサービスの実施手段・手順を検討する新たな組織の中で反映していきます  保育園等改革計画策定委員会は、子育てサービスの向上を実現して、質の高い子育てを支援するため公立保育園、児童館、学童クラブのあり方を検討しました。市民5人(公募2人)、社会福祉法人代表1人、市職員12人、合計18人が平成17年9月〜平成18年5月(計9回)に討議を重ね、保育園等の改革の方向性(取り組み内容)を改革計画素案として公表しました。  これからの子育て施策の骨太の方向性は、並行して策定している第3次日野市行財政改革大綱(以下「行革大綱」という)の中で、安全・安心対策、子育て支援、健康対策、教育の充実、環境にやさしいまちづくりなどと併せ、市民サービスの向上のための取り組みとして示されています。改革計画は行革大綱で子育て施策の大きな方向性を決定し、施策の具体的な実施手段・手順を改革計画の中に位置づけ、改革を進めます。  保護者・利用者や子育て施策に携わる保育士等現場の職員の声を、豊富な子育てサービスの実施手段・手順を検討する新たな組織の中で反映していきます。 2.コスト削減  コスト削減をするとサービスが低下し、子育て支援にならない 【回答】  改革計画は、保育サービスと保育の質の維持・向上を目指しています。コスト削減が目的ではありません  私立保育園では、延長保育、休日保育、病後児保育、一時保育、トワイライトステイ等のサービスが行われ、市民ニーズに応えています。社会的ニーズを的確にとらえ、柔軟に対応する私立保育園の運営は、市が目指している、子育てがしやすい環境づくりの方向性に合致していると評価しています。  公立保育園は、延長保育(早朝保育も視野に入れて)を全園に拡大したり、障害児や発達上の問題がある児童の保育の質を高めたり、出張子育て相談を行うなど、市民ニーズに応えるサービスを増やします。  公立保育園も私立保育園もそれぞれ子育てサービスメニューの幅を広げ、市民が安心して子育てができる保育環境を整備していくことによって、日野市の保育の質が向上することになると考えています。それが、改革計画の究極の目的です。  そこで改革計画では、平成21年度から、たまだいら保育園、たかはた保育園、とよだ保育園の3園を順次民営化します。3園は長年、敷地を借りてきましたが、経過年数から土地を返還しなければならない状況となっています。よって、3園の民営化をする中で土地返還の課題とサービスメニューの拡充に取り組みます。2年ほど時間をかけて市民、保護者、職員と十分に話し合いをしながら進めていきます。  そして、民営化で得た人員をサービスメニューの拡充のために注ぎこみます。今は職員を新たに採用する余裕がありませんので、民営化で活用できる人材を注ぎこんで保育サービスの提供体制を確立していきます。 3.保育の質  営利優先の施設運営では安全性や保育の質が低下する 【回答】  改革計画は、公立・私立保育園の良いところを伸ばして、ともに成長しながら日野市の保育の質がレベルアップすることを目指しています  市内の保育サービスの状況を見ると、私立保育園(全17園)では、延長保育が16園(うち9園が2時間延長)、休日保育が1園、一時保育が4園、トワイライトステイが1園、病児・病後児保育が2園で実施され、多様な市民ニーズに応えています。通常の保育のほかに、育児相談、育児講座、世代間交流等の育児支援も取り入れ、各園がしっかりとした理念の下で質の高い保育が行われています。  公立保育園(全12園)では、誕生会等の行事に地域の親子が参加できる交流行事も盛んです。また、障害児や発達上の問題がある児童の受け入れ、子育て相談、食物アレルギーに対応する給食調理等のきめ細かいサービスを提供して市民のニーズに応えています。さらに初産婦の体験保育、中・高校生の体験保育等で次の世代の親を育てる支援も行っています。今後も(1)支えを必要とする一人ひとりの児童への対応をしっかりと行う(2)おいしい給食の提供(3)親の子育て力・教育力アップを推進します。 4.子どもへの負担  民営化により職員が入れ替わると子どもの負担、親の不安になる 【回答】  職員の入れ替わりにより子どもや保護者が不安にならないように配慮します  保育園では、子どもと保育士の安定した関係を大切にするために、保育環境がゆるやかに変化するよう十分な準備期間を確保し、移行計画を立て、細心の注意を払って円滑な引き継ぎを行います。  保護者と公立園職員と事業者職員で引継ぎ協議会をつくります。円滑な引き継ぎに向けた話し合い・交流を通して、三者の信頼関係を作ります。移行前後の半年間は、公立園保育士と事業者保育士が組んで保育にあたり、子どもと保護者の不安を解消するよう配慮します。  学童クラブでは、十分な準備ができる移行計画を立て、保護者と公立施設職員と事業者職員で円滑な引き継ぎに向けた話し合い・交流を通して、三者の信頼関係を作ります。   児童館では、話し合いの場を設けるなど保護者と事業者職員の安定した関係が築けるよう支援します。  事業者には、保育水準を維持・向上できるよう補助金、研修、人材育成などの支援をします。  この取り組みに加えて、保育園、児童館、学童クラブの民営化に関し、その準備段階に、保護者や施設職員、地域の方、市民の皆さんなどから広く意見を聴き、それらの意見を積極的に活用してスムーズな移行が行えるよう十分に配慮します。 5.市の責任  保育の質を担保できるよう、市が民営化後の運営業者を責任を持って管理・チェックする体制が必要 【回答】  民営化後に保育内容に問題が生じたときは、市が責任を持って解決に向けて努力します  障害児や発達上の問題がある児童の受入れ、子育て相談、食物アレルギーに対応する給食調理等のきめが細かいサービス等、公立保育園の良いところは事業者に継承し、維持・向上されるように引き継ぎます。  併せて、保護者や施設職員を加えた組織で、保育の質を担保するための仕組みを作り、保育水準を維持・向上できるよう取り組みます。 (1)移行後の保育内容等の確認  事業者が公募条件を確実に履行しているか、保護者・事業者・市で話し合って決めた事項を確実に実施しているかを確認します。問題が生じた場合は、市が必要な改善、指導を行います。 (2)保護者・事業者・市が話し合う場の設定  移行後も一定期間、保護者・事業者・市が定期的に話し合いを続け、保育内容、育成内容等を確認します。 (3)苦情解決の仕組みづくり  保護者が中立・公正な立場から苦情解決の助言が得られるように「第三者委員」を事業者に配置させます。 (4)評価機関による評価(第三者評価制度)  事業者に評価機関によるサービスに関する第三者評価を受けさせ、事業者自身が評価結果を見て改善につなげることを目指します。評価結果は公表し、保護者も事業者の保育の質を確認することができます。  これらの取り組みの他にも、保護者等から提案される要望等は迅速に対応し、良質な保育サービスが提供され、安心してサービスを受けられる体制を整えます。 6.運営基準  学童クラブに運営基準を作るべきである 【回答】  「日野市児童館条例」等で対応していますが、今後基準は必要と考えます  東京都では施設基準や運営方針についての一律の定めを設けておらず、事業の実施主体である市町村の創意工夫により実施することが可能となっています。  市では、全員入所の原則の下、学童クラブの運営を行っています。また、学童クラブの設置の根拠となる「日野市児童館条例」の中では、育成時間(下校時〜午後5時45分、学校休業日は午前8時30分〜午後5時45分)、入会対象者(保護者の適切な監護に欠ける小学1年〜3年生、障害がある児童は4年生まで)などを規定しています。運用としては、各学童クラブとも障害児を3人まで受け入れ、夏休み期間中(8月)には小学4年生の育成を実施しています(大規模学童クラブを除く)。学童クラブの運営に関する詳細について基準はありませんが、「日野市学童クラブ入会案内」に学童クラブの育成目標、育成の期間・日時及び開所日、諸注意事項などがまとめられています。  今後の運営については、意見の多かった午後7時まで育成時間の延長を行うなど、学童クラブのサービス向上の取り組みを進めていきます。  学童クラブの運営は、当該条例などで主要な部分は規定されていますが、運営基準を設ける必要はあると考えています。 7.保育料等の負担  民営化で保育料・学童クラブ費が値上げされ、児童館が有料となるのか 【回答】  保育料、児童館・学童クラブの使用料は、民営化を理由に値上げすることはありません  保育園の保育料は、公立・私立を問わず保護者の負担能力に応じて規則で決めています。児童館の使用料は、条例で無料と定められています。学童クラブ費は、条例で月額5千円と定められています。  運営が民間委託されても、各施設の使用料は市が決定しているため、民間事業者が独自に基準を定め、現行を超える使用料を徴収することはできません。使用料が変更となるのは、市が事業にかかる経費や利用者負担割合の見直しなど、自ら使用料基準を見直す場合に限られます。  また、市では子育て施策を重点的な事業に位置づけ、女性が働きやすい環境を整え、子育てがしやすい環境をつくり、安心して子どもを産めるまちづくりを進めていくために、各施設とも市民が利用しやすい環境を整えています。したがって、各施設の使用料の変更には細心の注意を払い、変更を実施する場合でも利用者が納得する根拠を示し、変更を検討していきます。  なお、現在の保育料の水準は、国の基準に対する割合で見ると44・8%であり、26市の中では最も保育料が安いグループに属しています。 ○その他の意見 (1)ひの児童館万願寺分館の閉鎖には反対 【回答】  ひの児童館万願寺分館を引き継ぐ本館を開設することにより、環境整備を図るなど子育て支援策を充実させます。  また、それぞれの児童館に特色を持たせ、創意工夫を凝らした活動を展開します。 (2)臨時職員の雇用は続くのか 【回答】  臨時職員・非常勤嘱託職員については、新たな子育て施策の中で必要な部署に配置していきます。 (3)児童館でボランティアが続けられなくなり、地域との結びつきが弱くなる 【回答】  地域の子どもたちとの結びつきを絶やさないためにも、ボランティア活動を続けていただきたいと考えます。 (4)時間延長等のサービス拡大は子どもの負担になる 【回答】  仕事等で保護者の迎えが遅くなる子どもが一人でいることがないよう、時間延長等のニーズに応じていきます。 ○日野ケーブルテレビで「情報掲示板広報ひの」放送中