市長新春鼎談 覚悟を そして希望を〜いつか思いは叶う〜 法政大学大学院教授 岡本義行氏 (株)レスカ代表取締役社長 岩澤光洋氏を迎えて 明けましておめでとうございます 皆さま、希望を胸に新年をお迎えのことと思います。今年の市長新春鼎(てい)談には、法政大学大学院教授・岡本義行氏、株式会社 レスカ代表取締役社長・岩澤光洋氏をお迎えし、これからの工業についてのあり方、将来の展望などを語り合っていただきました。 (文中敬称略) 問合せ先:市長公室広報担当 プロフィール 岡本義行(おかもと・よしゆき) 昭和22年東京都生まれ。経済学者。専門は企業論、産業論。昭和51年法政大学社会学部助手、昭和53年京都大学大学院経済 研究科博士課程修了(経済学博士)、昭和59年エイナウディ財団(イタリア・トリノ)研究員、昭和62年法政大学社会学部教授、 平成20年から同大学大学院政策創造研究科研究科長。主な研究テーマは、企業・産業の国際比較研究、地域振興・まちづくり、 商店街の活性化の研究など。主な著作に「イタリアの中小企業戦略」「政策づくりの基本と実践」など。 プロフィール 岩澤光洋(いわさわ・みつひろ) 昭和25年東京都生まれ。東海大学工学部光学工学科卒業。分析機器メーカーで開発、マーケティングに従事。平成3年株式会社 レスカに入社。平成8年同社役員、平成21年代表取締役就任。現在、中国をはじめとする海外販売に力を注いでいる。 株式会社レスカ 昭和30年設立。平成12年本社を日野本町に移転。研究や検査などに使われる理化学機器や試験機の開発・製造・販売を行う。また 独自の技術を有する製品、特許製品を数多く揃え、常に信頼性の高い製品を提供している。近年は、中国、東南アジアなど、海外への 販売比率が30パーセントを占める。平成21年、これまで不可能とされていた数百ナノレベルの単繊維の力学強度の測定を可能にした 「極細ファイバー力学強度評価試験機」が評価され、東京都トライアル発注認定制度の認定を受ける。 次なる50年、100年に向けまちの有様をどの方向にシフトすべきか 市長 明けましておめでとうございます。 岡本・岩澤 明けましておめでとうございます。 市長 今回の新春鼎談では、この難しい経済状況・社会情勢の中、工業都市でもある日野市の現状、そして今後、どのような方向に 向かうべきか話し合いたいと思います。 今回は、日野市工業振興基本構想策定協議会の会長で法政大学大学院の岡本教授と、市内日野本町で研究機器や検査機器などを製作 しているレスカの岩澤社長をお迎えしました。 学識者および生産に携わる現場の立場から日野市のものづくりについてお話を伺い、将来展望につなげたいと思います。 岡本 私は、地域経済、地域の活性化や地域の再生などについて研究をしています。 ここでは、地域の活性化につながるような工業化あるいは産業を、どのように根付かせて育成していくかなどについてお話ししたいと 思っています。 岩澤 私の会社は、研究機器、検査機器などを作り、世界に向け販売している中堅の企業です。平成12年に、本社を日野市に移し、 今後日野市に長く根付いていきたいと思っています。 私からは、ものづくりをしている者の視点、経営者の立場からお話したいと思います。 市長 市民の皆さまはあまりご存知ないのですが、日野市は工業都市です。平成15〜20年度、東京都の製造品出荷額ではトップ でしたし、現在でも2位と常に上位に位置しています。 昭和初期まで日野の産業は農業中心で米作りが盛んなまちでした。しかし、昭和の初めに大恐慌があり、70数年前になりますが、 当時の為政者やまちの有力者、大きな農地の所有者が、工場を誘致しようと決断しました。それで、いわゆる日野五社(注1)が来て くれた。 以降、日野市は大企業のお陰で産業や雇用、経済のみならずお祭りなど地域のイベントから企業スポーツに至るまで、市民文化が向上 しました。 さらに戦後、平山工業団地には東芝日野工場をはじめ有力企業が進出し、さらなる工業都市に成長しました。 ところが、ここにきて東芝日野工場が撤退し、さらに日野自動車も本社と研究部門は日野市に残りますが、将来、工場は全て移転して しまいます。 しかし、日野市には、先進的なものづくり企業がたくさんあるほか、環境面で優れた業績を上げる企業もあります。 今後、行政が、ものづくりのまち「工業都市・日野」を、維持してゆくために、この地で業務を続けてくれる会社にどのような支援が できるのか真剣に考えなければなりません。 そういう意味で今は、大きな転換期です。かつての為政者たちの大英断に学び、私たちは、次なる50年、100年に向け、どのような 方向にまちの有様をシフトす 〈2面へ〉