3ページからの続き 想定される社会課題 ―2025年、2040年問題― 市長 厳しい未来として、2025年問題、2040年問題があります。 他の世代に比べて非常に数が多い団塊世代の人たちが75歳になるのが2025年で、今から10年後です。 そして、その子供たちが65歳以上になるのが25年後の2040年です。 個人差はありますが、人は年齢が高くなると病気になったり、介護が必要になったり、支援を必要とする可能性が高くなります。 注目しなければならないのは、高齢者人口(65歳以上)の割合が右肩上がりに増加していくのに対し、 社会の中核を担う生産年齢人口(15歳以上65歳未満)の割合は減少(左上図参照)していくということです。 働き手が減って経済活動は停滞し、自治体や国に入る税金は減る中で、 医療費や介護の費用は今よりもさらに増えていくという非常に厳しい未来の到来が予想されます。 そうなると、十分な医療・介護を受けられない医療難民・介護難民が発生するのではないかといわれています。 そして、未来を考える上で、もう一つ押さえておかねばならないことが、まちの高齢化です。 経済が発展して人口も急増した頃に作った道路・橋・下水道管・学校・公民館・保育園・住宅などのインフラが老朽化して、 一斉に建て替えや大規模修繕をしなければならない時期がこれから到来するということです。 高齢者の増加やインフラ問題についてどう感じますか? 内山 私は、デザインを勉強する中で、高齢者の生活について考える機会がありますが、 それは自分の将来のことを考えることでもあると実感しています。 年金や雇用などの大きな問題も取り組むべきことですが、 高齢者の移動手段や通信手段などの充実も今より重要になってくると思います。 今から先を見据えて、調査を行い、各分野でできることに取り組むことが重要であると思います。 梶原 ただでさえ介護の担い手が少ないと言われているのに、高齢化が進むにつれて、より深刻になっていくと思います。 私たちが高齢になる頃にはどうなっているのか不安に思います。 市長 今、梶原さんから将来が不安だというお話もありました。 今まで私が話した未来予想は、今の社会制度や人々の暮らし方が、今のままで変わらなければそうなってしまうというものです。 人の暮らし方や社会制度、経済のあり方という大きな流れは簡単に変えられないけれど、 未来を明るく暮らしやすいものにするために、単に少子高齢化の波をそのまま受け入れるのではなくその影響を最小限にするために 中・長期的な対策が必要です。そういう意味で市としては、 目の前の課題に取り組むだけでなく、10年後、20年後という将来への課題に取り組んでいかなければならないと考えています。 高齢者が生き生きと暮らせる社会 市長 皆さんも心配している高齢化についてですが、 今、日本全国の65歳以上の人口が全人口に占める割合(高齢化率)は25%、日野市は約23%です。 この割合がこれからどんどん増えていき、先ほど話した2040年には34%と予想されています。 2040年を迎える25年後、皆さんはどんな高齢者になっていると思いますか? 栗原 自分が高齢者になるというのは、まだ想像がつきませんが、 海外では現在、小型ジェット機のタクシー化が盛んになってきています。 日本では現在、電車や車がメインですが、もうすぐ、リニアモーターカーが走りますし、 誰でも乗れる空路を使った小型の飛行機も研究されたり、 遠くに住んでいる高齢者と子供が身近に暮らしている感覚で通信できるサービスなども発展していけば 高齢化問題への対策は生まれてくるのではないかと思います。 三輪 私は昨年、多摩平の森地区で実践女子大学と高齢者の方が共に健康づくりとして、 ウオーキングと体操を行っている「JISSEN桜風会」に参加しました。 ここでは、一人暮らしの高齢者がとても多い中で、みんなで集まって、 楽しく散歩や食事をする様子を見て、健康だけではなく、つながりの大切さを感じました。 私もこの方々のように元気に活動し、日々に生きがいを感じて、健康で楽しく毎日を送りたいです。 市長 そうですね。これからの高齢者は年をとっても健康を維持してほしいし、 そのためには高齢者になる前から健康づくりに努めてほしいと思います。高齢者が健康で元気であれば、 医療費や介護の費用は削減できるし、元気な高齢者が増えて就労・社会参加をしていただければ、 地域社会は活性化し、人口減少社会にも対応ができるはずです。 日野市は三つの中・長期的な戦略のうちの一つである健康づくりに重点を置いています。 昨年の11月には市内の企業GEヘルスケア・ジャパンと少子高齢社会における地域連携モデル作りのための パートナーシップ協定を締結しました。地域の医療・健康・福祉の向上や地域産業の活性化などに向けて取り組んでいきます。 子育てしやすい社会 市長 高齢化とともに問題になっているのが、少子化です。 昨今、女性が一生の間に産む子供の数が低下して少子化が叫ばれています。 子供の数が減る、若者が結婚しない・結婚できない、子供をつくらない、 子供をつくっても3人・4人は無理。就職も大変で派遣など非正規雇用で働かざるを得ないという方も増えています。 このような少子化をめぐる現象についてどう思いますか? 梶原 子育てをしやすい環境を作っていくには、経済的な支援はもちろんですが、 子育てをする方たちの精神面を支援していく仕組みなどがあるといいと思います。 三輪 私の周りでは早く結婚して、子供も産みたいという女性が多いですが、 同じ年の男性で結婚する人はあまりいないように思います。経済面で厳しいと考えている人が多いのではないでしょうか。 同じ年の男性もどんどん結婚して一緒に子育てをしていけたらと思います。 内山 現在、女性の社会進出が活発になっている中で、 女性が出産を機に職場を離れると職場復帰が難しいという話を聞きます。 女性の職場復帰の体制や男性も育児休暇が取りやすい社会への環境作りをもう少し積極的にしていかないといけないと思います。 市長 日野市では、少子化に向けて、子育て世代への経済的な負担軽減や仕事と子育ての両立が可能となる環境を整えるために、 保育園の待機児解消を目指し、公立保育園の定員拡大や市内認可保育園全園で18時以降の延長保育事業を行っています。 また、今年の4月には病児保育事業を1カ所開設する予定です。 さらに学童クラブの充実を図り、子育て環境の改善に向けて取り組んでいます。 中・長期的な課題解決に向けて、今後の具体的な対策を打ち出しています。 さて、ここまでは厳しい未来予想について話してきましたが、明るい話題として、 2020年に東京でオリンピック・パラリンピックが開催されることが決定し、大きな話題となりましたね。 2020年東京開催のオリンピック・パラリンピックにどんな思いをもっていますか? 栗原 とても楽しみにしています。オリンピック・パラリンピックは、世界中の人々が日本に注目する大イ 6ページへ続く