市民に信頼され選ばれる病院に向けて [お問い合わせ]市立病院(電話番号042・581・2677) 地域とともに歩む病院であるために 市立病院院長:井上宗信 ▼第三次日野市立病院改革プラン完成~南多摩医療圏の10~20年後を見据えて このたび、当院にとっては第三次の改革プランである日野市立病院改革プランが完成しましたので、 その報告を兼ねて病院の現況、今後の方針をお知らせします。 まず、東京都の地域医療構想をご存じでしょうか。2025年の医療需要予測を基に病院機能の整備を都内の病院に促しています。 日野市が属する南多摩医療圏ではこれから10~20年は特に高齢患者を中心に医療需要が著しく増加します。 日野市立病院改革プランは、これに対する答えとして新たに作成された当院の基本運営方針です。 市内には急性期病院や夜間運営診療所が少ないため、 当院は日野市の中核病院として一次救急を含めた24時間365日の二次救急医療を提供する必要があります。 当院の役割は、この急性期医療を中心として近隣地域の診療所、回復期病院、慢性期病院、医療介護施設 そして超急性期病院と連携して地域包括ケア体制の一翼を担っていくことであると認識しています。 ▼経営改革への道程~人材確保・病床利用率改善・診療報酬単価向上 経営改革への道程には大きく三段階あり、 優先すべき第一に人材確保、第二に病床利用率改善、第三に診療報酬単価向上と考えています。 最初の改革プランの努力を続けて、当院の医師は5年ほど前から、看護師は数年前から人員体制が整うようになりました。 病院職員の9割が国家資格を持つ専門職ですから、その職員をつなぎ止められる病院になってきたと実感できるようになりました。 第二段階の病床利用率は、充実してきた病院職員の一丸となった改善活動の効果により毎年右肩上がりとなり、 昨年度は目標の83%を越えて83.4%を達成し、平成20年度から約20%の改善になりました。 救急車搬入件数は毎年15%増加し、昨年度は3,800台以上を受け入れできました。 そして、本年度はやっと第三の診療報酬単価向上に取り組める段階となりました。 プロジェクトチームを立ち上げて、トヨタ自動車のような「KAIZEN(かいぜん)活動」を Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のPDCAサイクルで回していきます。 手術部門の効率化や病診連携の活性化はその大きな改善点となる予定です。 市民ニーズを満たせる良質で安全な医療を提供することを第一としますが、 結果として診療報酬単価向上に繋げ、更なる経営改善に取り組んでいきます。 ▼地域の連携の中で市立病院が果たす役割 改革プランを活用して病院がうまく機能するためには、病院内の活動だけではなく地域の中での連携が欠かせません。 患者さんに選ばれて使っていただくこと、診療所や他の病院からの患者紹介が豊富なこと、救急隊から選ばれる病院になること、 そして逆紹介と言って、病状が安定した患者さんを地域の医療施設へ戻すことが大切です。 日野市が計画する豊田駅北部地域における地域包括ケアシステム構想のなかでこれがより一層充実できると考えます。 市立病院が果たす役割は、特に急を要する病状に対する対処、短期間の病院避難であるレスパイト入院、 在宅・介護患者への援助などであると想定しています。 この夏から市立病院に隣接したA街区に設立される医療介護施設ともしっかりと連携できる仕組みを作っていきたいと思います。 ◎日野市立病院改革プラン(平成32年度まで)を策定 市立病院では、さまざまな改革を実施するため、 目標数値を掲げた第1次プラン(平成20年度)、第2次プラン(平成25年度)を策定し実行してきました。 平成27年に総務省から新公立病院改革ガイドラインが示されたことに伴い、 これまでの改革プランをガイドラインに沿ったものにするため本プランを策定しました。 ●新改革プランの概要1 1新改革プラン策定の経緯とプランに求められる主な視点 【1】新たな基準に基づくプランの策定と報告 【2】新ガイドラインの中で求められる四つの視点と新たに求められること (1)地域医療構想を踏まえた役割の明確化 (2)経営効率化(経常収支の黒字化) (3)再編・ネットワーク化 (4)経営形態の見直し(計画の明記) 2新改革プランの本編 【1】急性期・中核・300床の2次救急医療機関としての持続と発展 (1)中核病院として現在の17診療科の維持と発展 (2)地域医療連携による機能分担と連携強化 (3)救急医療への取り組み (4)急性期総合病院としての役割の明確化と推進(5疾病5事業などへの対応) ・がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病・精神疾患 ・救急医療・災害時医療・周産期医療・小児医療(「へき地医療」は除く) ・高齢化による医療ニーズへの対応 【2】人材確保と職員がいきいきと働き続けられる職場環境の整備など (1)人材確保の基本方針(慶應義塾大学医学部などとの連携、職員確保、定数管理) (2)人材育成・職員評価の確立 (3)教育体制の充実 (4)職場環境の整備 (5)チーム医療推進、医療安全の推進、看護体制の充実など 【3】経営の効率化 (1)経営管理部門の強化 (2)診療報酬の確実な確保と支出の削減 (3)経営目標・収支計画・経常収支の黒字化を計画に明記・病床利用率、救急件数、紹介率などの目標数値の設定 【4】経営形態の見直し 市立病院に最適な経営形態のあり方として、まず地方公営企業法全部適用への移行を検討(プラン計画期間内) 【5】一般会計負担の考え方(市立病院事業会計の財源に対する考え方) (1)内部留保金は7~10億円を積み立て安定的に病院を運営 (2)さらなる経営改善による一般会計財政負担の段階的な削減 3改革プランの進行管理 【1】経営企画室の設置 【2】実行計画の作成とPDCAサイクルによる進行管理 4市立病院機能向上計画の推進 【1】市立病院機能の向上・充実・急性期・中核・300床の2次救急医療機関としての新たな機能の検討 【2】多摩平の森地区A街区再開発事業との連携による地域包括ケアシステムの構築・推進 《表》 ■病床利用率および救急車件数の現状と目標値 病床利用率 平成25年度…80.7% 平成26年度…79.3% 平成27年度…82.1% 平成28年度…83.4% 平成32年度…85.0% 救急車件数 平成25年度…2,640件 平成26年度…2,713件 平成27年度…3,368件 平成28年度…3,856件 平成32年度…4,000件以上 このプランは市立病院3階総務課、市内各図書館、市立病院ホームページでご覧いただけます。 ◎病院概要 [診療科]内科、循環器内科、小児科、外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、 リハビリテーション科、精神神経科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、救急科の17科 [病床数]300床 [関連大学医局]慶應義塾大学、杏林大学、東京医科大学 [医師および看護職員数]医師64人、看護職員228人(平成29年4月現在) [1日平均患者数]入院250人、外来866人(平成28年度実績) [機関の指定・認定]東京都災害拠点病院、(財)日本医療機能評価機構認定病院 ◎市立病院日本DMAT隊の活動 市立病院は、平成25年12月に東京都災害拠点病院の指定を受け、平成26年9月に日本DMAT隊を編成しました。 ■DMAT(災害派遣医療チーム)とは 災害時に被災した医療現場に入り、 医療行為はもちろん通信や医療ニーズにあわせた医療資機材、医薬品の供給などを行う訓練を受けた災害医療チームです。 ■熊本地震で災害救護活動を実施 昨年4月に発生した熊本地震の際には日本DMATからの要請を受け、災害現場での災害救護活動を行いました。 災害時以外では、日野市、日野市医師会などと協力し、防災訓練やひのよさこい祭などに救護支援として参加するなど、 活動の幅を広げています。 ◎市立病院で9人の認定看護師が活動 認定看護師とは、日本看護協会の認定看護師認定審査に合格し、 特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識で水準の高い看護が実践できる看護師のことで、 現在、市立病院では9人の認定看護師が活動しています。 [看護分野]認知症看護・皮膚排泄ケア・救急看護・糖尿病看護・緩和ケア・がん化学療法看護・集中ケアがいずれも1人、感染管理2人 ◎市民の皆さまがさまざまなかたちで市立病院を支えています 市民や患者の会などが、市立病院と協働し、外来患者の案内、講演会、院内の美術品展示や意見交換会など さまざまなかたちでサポートや活動を行っています。 【市立病院応援団】 市立病院を愛する会、日野法人会応援団、多摩平の森自治会応援団、市立病院を応援する市民の会 【サポート団体】 ホスピタリティー日野、ヒールアート、市民ボランティア 【患者の会】 未病の会、青葉の会、そら豆の会