令和5(2023)年度 所信表明

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ページID1023558  更新日 令和5年3月23日

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 令和5年第1回日野市議会定例会に当たり、市政運営における所信と新年度の主要な施策を申し述べ、議員各位ならびに市民の皆さまへ一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 私は就任以来、
(1) 住み慣れた地域で生き、看取(みと)られる、暮らし・福祉・医療の展開
(2) 日野市の良さである恵まれた社会的・自然的資源を生かし、地域の個性を伸ばすまちづくりの推進
(3) 厳しい財政状況を踏まえた経営戦略に基づく市政の運営

以上の三つを基本姿勢として掲げ、全力で市政運営に取り組んでまいりました。
 その上で、子どもも、若者も、高齢者も、障害のある方も、外国籍の方も、すべての方が関わり合い、生きがいを感じることができる、多様性が尊重され、さまざまな人や団体が持つ力をより合わせた「諸力融合のまちづくり」を市民の皆さまと共に進めてまいりました。

 昨年2月のウクライナ危機以降、エネルギー・原材料価格の上昇や円安により、物価が高騰しました。これにより、食料品や生活必需品なども価格が上昇し、市民生活に大きな影響を及ぼしております。令和5年度も消費者物価は当面上昇していくことが見込まれており、市民生活へのさらなる悪影響が懸念されます。市として、国・都を含めたさまざまな機関や団体と共有し、連携しながら市民の生活に寄り添った対応をしてまいります。
 日野市における2022年の年間人口は微減となり、22年ぶりに人口減少に転じました。日野市においてはおよそ4人に一人が65歳以上の高齢期にあり、これからますます高齢化が進む中、医療・介護の深刻化が懸念されます。また、2022年のわが国の出生数は80万人を下回る見込みです。日野市の出生数も減少傾向にあり、超高齢社会への対応とともに、少子化が進行していく中だからこそ、子育て世代や若者、子どもたちなどへの対応をしていかなければなりません。
 こうした状況下で、国では子育て施策を推進するための「こども家庭庁」を設置します。東京都においても都政の政策全般を子ども目線で捉え直し、子育て政策を総合的に推進する「子供政策連携室」が立ち上がりました。日野市においても、妊娠期からの切れ目のない子育て支援体制を提供する「(仮称)子ども包括支援センター・通称『みらいく』」の建設を進めております。基礎自治体として、当事者の意見を直接聞くことのできる利点を活かし、国・都を先導するという気概で子育て施策を推進してまいります。
 また、地球温暖化などによる気候変動対策は喫緊の課題です。生活に多大な被害が出る気候災害はすでに私たちの生活に影響を及ぼしています。昨年、日野市は、「日野市気候非常事態宣言」を発出しました。この非常事態を切り抜け、次の世代、さらにその先の将来の世代まで安心して暮らすことのできる環境を引き継ぐためには、市民や地域のさまざまな企業・団体が共に手を取り、持続可能な未来という目標に向かって今こそ行動を起こさなければなりません。

 少子高齢化、人口減少など縮む社会の中、気候問題も深刻化しており、複雑な課題に直面する中で、いかに課題や未来像を共有できるかが重要となっています。
 現在パブリックコメントを実施している「(仮称)日野地域未来ビジョン2030(ニーゼロサンゼロ)」の策定には、これまでタウンミーティングやアンケート、SNSなど、多くの方に関わっていただきました。参加いただいた方と、日野らしさとは何か、個々人が実現したい姿とは何かを一緒に考えてまいりました。それぞれが大切にしていきたいことをタネに見立て、ありたい姿という花を、未来を担うさまざまな立場の方々が関わり合うことができる日野の土壌や、気風を生かすことで大きく育てていくことを目指し、「しあわせのタネを育てあう日野」として表現しています。市民、団体、企業の方と一緒にありたい姿を育ててまいります。
 また、教育委員会では、令和5年度に「第四次学校教育基本構想」を策定します。教育に関する基本構想の新しい形を切り開いた「第三次学校教育基本構想」をさらに前に進め、未来を担う子どもたちの学びと育ちを諸力融合で支えてまいります。

 こうしたさまざまな施策を実現していくためにも、持続可能な自治体経営を目指して、令和4年度に策定した「日野市財政再建計画・第6次行財政改革大綱実施計画」を実行してまいります。また、公共施設などの全体の状況を把握し、長期的な視点をもって、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行う公共施設等総合管理計画などの実行によって、持続可能な自治体運営の基盤としてまいります。
 昨年9月に判決が確定しました、北川原公園予定地ごみ搬入路問題につきましては、広く市民の皆さま方と一緒に協議を重ね、違法性解消に向けて取り組んでまいります。
 元副市長による不祥事などの問題もございました。これらを真摯に受け止め、市民から信頼される組織を目指して、内部統制を推進するとともに、コンプライアンス遵守の下、職員の意見を組織運営に反映させる試みである「想いをカタチにプロジェクト」の推進など、職員の働き方・意識改革に取り組んでまいります。

 新型コロナウイルス感染症対策では、引き続きワクチン接種や医療体制の構築などに力を注いでまいります。これまでの生活から多くの変化が生まれようとしており、コロナ禍で得た経験をもとに、新たな日常を作り上げていく必要があります。
 本年は日野市市制施行60周年の記念の年です。この記念の年を「ありがとう60年 誠の心で これからも」をテーマに、日野の未来を考えるきっかけづくりとなるよう、各種事業を実施してまいります。

 議員各位ならびに市民の皆さまのお力添えをいただきながら、諸力融合によってさまざまな課題解決に取り組んでまいります。

 令和5年度の重点施策と取り組み

1  未来を担う子どもたちを応援

 妊娠期も含め、すべての子どもを切れ目なく支援するため、母子保健と児童福祉部門の一体化と、教育と福祉の連携のさらなる充実を図ります。(仮称)子ども包括支援センター「みらいく」では、地域の大学と連携し、中高生の居場所づくりを行ってまいります。
 令和5年4月からこども基本法が施行されます。あらゆる子ども施策の根底にあるのは、子どもの権利保障です。日野市においても、日野市子ども条例にのっとり、子ども条例推進委員会や子どもオンブズパーソンの設置に向けた検討など子どもたちの権利を保障するための取り組みを進めてまいります。
 また、昨年10月に策定した第2期日野市子どもの貧困対策に関する基本方針に基づき、「全ての子どもたちが夢と希望を持って成長していけるような地域」を目指し、ヤングケアラーに関する実態把握と支援など、各種事業に取り組んでまいります。
 安心して妊娠・子育てできる環境づくりに向け、親や子育て世帯の不安・孤立に妊娠期から寄り添う「小児科医・産婦人科医・助産師によるオンライン相談」や出産後の見守り支援など伴走支援に取り組むとともに、養育費の弁護士相談など、ひとり親への支援を開始します。
 幼児教育については、本年2月に立ち上げた幼児教育・保育の在り方検討委員会において、日野市らしい幼児教育の在り方について議論を行い、これを踏まえ、必要な施策を講じてまいります。また、教育部と子ども部を横断する新たな組織体として、幼児教育・保育連携推進プロジェクトチームを立ち上げ、幼保小連携のさらなる推進や特別な配慮を必要とする幼児への対応など、幼児教育の質の向上に取り組みます。
 また、生きた英語を通じて世界にはばたく意欲や力を育むため、本年1月にオープンした体験型英語学習施設TGGでの校外学習を全中学校で実施するほか、物価高騰対応としての給食費支援や、小学校体育館へのエアコン整備、トイレ改修など、子どもたちの教育環境の改善を図ります。
 少子化により学校部活動の持続可能性が全国的な課題となっている中、地域の企業やスポーツ団体と連携した日野市独自の地域スポーツの取り組みとして、本年1月に「ひのスポ!」を開始しました。令和5年度も、子どもたちがスポーツなどに取り組むことのできる持続可能な環境を充実してまいります。
 これらの重点施策を推進しながら、学校教育の羅針盤となる「第四次学校教育基本構想」の策定を支援してまいります。
 

2  多様な存在と、しあわせのタネを育てあう日野

 「(仮称)日野地域未来ビジョン2030(ニーゼロサンゼロ)」を活用して、日野市に関わるすべての人が自らの可能性を最大限に発揮し、主体的・能動的に社会に参加してもらえるよう、キーコンセプトである「しあわせのタネを育てあう日野」を共有し、意見交換や対話の場の設定などを実施してまいります。
 昨年制定した「日野市すべての人の性別等が尊重され多様な生き方を認め合う条例」が4月1日に施行されます。これにより、日野市においても多様な性・多様な生き方を尊重しあえるまちへの第一歩を踏み出します。性的マイノリティーへの居場所支援、理解促進など、他の自治体とも連携しながら取り組んでまいります。
 多文化共生に向けては、支援団体ネットワーク会議や多文化共生版・地域懇談会などを通して、多文化共生を進める土台づくりを行ってきました。令和5年度も同事業を継続するとともに、外国籍の方が抱える課題をさらに掘り下げてまいります。また、ウクライナ危機により避難されてきた方への支援も継続してまいります。
 高齢者施策においては、社会参加を阻害する一因にもなっている「聴こえ」に関する普及啓発や、新たに補聴器購入費の助成を実施するほか、コロナ禍で一気に加速したICTへの支援についても継続してまいります。
 社会への参加の仕方も多様な時代です。令和4年度に開設した「たきあいあい」を拡充し、自宅以外の居場所が必要な人が安心できる居場所づくりに引き続き取り組んでまいります。
 

3  持続可能な、市民ニーズに対応する公共施設マネジメント

 コロナ禍を契機に、オンライン化・デジタル化が急速に発展しました。こういった社会状況の変化により、公共施設に求められる機能・サービスも変化してきています。
 市の公共施設は、高度経済成長期の急激な人口増加への対応により、集中的に整備されたものが多く、現在に至るまで、市が保有する主な施設は235施設まで膨れ上がっています。多くの施設で老朽化が進んでおり、適正配置適正規模の考えを踏まえながら、市民や利用者の安全安心を最優先に取り組んでいく必要があります。
 現在、パブリックコメントを実施している、「公共施設等総合管理計画改訂版」の中では、市が保有している公共施設などをすべて適切な更新等により健全に維持していくと仮定した場合、現状のままだと、年間約29.5億円が不足し、今後30年間の総額で、約885億円不足することが試算されています。
 今後日野市においては、公共施設の現状把握や老朽化対策、将来更新等費用の財源確保や公共施設整備・維持管理・運営に係る費用の縮減、人口動態の変化に伴う市民ニーズの変化などへの対応ができるよう、施設数量は縮減しつつも、機能・サービスは維持していく、「縮充」の考えを取り入れながら、公共施設マネジメントを進めてまいります。
 令和5年度は、個別施設計画としてコミュニティ施設と社会教育施設について、また、個別再編計画として日野本町周辺地区について、それぞれ公共施設等総合管理計画に基づく個別計画づくりを進めてまいります。併せて、新たな学校づくりの観点から、GIGAスクール構想や個別最適な学びなど、多様な学びの形態に適した学習スペースの検討を行い、同地域に配置されている日野第一小学校の建て替えに向けて準備をしてまいります。
 また、「日野市財政再建計画・第6次行財政改革大綱実施計画」の中で、平山台健康・市民支援センター、教育センターの段階的利用中止に向けて目標年次を定め、公共施設マネジメントを進めてまいります。平山台健康・市民支援センターについては、利用者、地域の方々と意見交換を始めており、令和5年度についても継続してまいります。教育センターについても、利用者、地域の方々と、施設が有している機能について意見交換を始めてまいります。
 持続可能なまちづくりを目指し、市民の皆さまの理解を得ながら、公共施設マネジメントを進めてまいります。
 

4  次世代につなぐ地球環境問題対策

 昨年策定した「第4次日野市地球温暖化対策実行計画」に掲げたCO2排出量2030年マイナス46%、2050年実質ゼロという目標の実現に向けた意思表明として、昨年11月に「日野市気候非常事態宣言」を発出しました。その具体化に向けた市民参画による政策検討のため、16歳以上の無作為抽出した市民にご参加いただく「気候市民会議」を開催します。会議は世代や性別などが日野市の縮図となるように構成され、気候変動の問題を学び・共有しながら、継続的な5回程度の会議で政策提言をまとめていただきます。この提言を受け、施策の具体化に向け取り組んでまいります。
 また、ごみ減量、リユース実績の増が見込まれることから、令和4年度から実証実験を開始した粗大ごみのリユース事業を継続し、脱焼却を含めたごみゼロ社会の実現を目指してまいります。
 昨年11月に近隣9市で開催された広域連携サミットでは、グリーントランスフォーメーション・GXについて、共同文書が採択されました。1自治体だけの取り組みで終わることなく、多様な主体との連携も図ってまいります。
 環境負荷低減につながる、地産地消を支える都市農業の分野においては、第4次農業振興計画・アクションプランの策定時期となりました。日野が誇る農業の今後を、環境問題の側面を踏まえながら、検討してまいります。また、ハウス栽培における温室効果ガス排出削減に取り組んでまいります。
 事業者の責務としても、庁用車の電気自動車化を順次進めるとともに、職員の意識改革として、各種イベントや会議における行動指針を示すなど、市をあげて気候変動対策に取り組んでまいります。
 

5  信頼される組織を目指す「シン・日野市役所」

 持続可能な組織経営として、財政再建はかかせません。効率的・効果的に財政再建・行財政改革を進めるため、特に効果の高い取り組みに資源を集中させてまいります。
 策定中の「(仮称)日野市DX推進計画」に基づき、「誰もが」「便利で」「豊かな」を基本理念に、内部事務のDX、行政サービスのDX、地域全体のDXの3層に分けて、各種アクションプランに取り組みます。庁内においては、文書・財務・人事などの内部事務システムの全体最適化に向けた検討、また若手職員などで構成されるデジタル改革推進委員会の意見を取り入れながら、窓口サービスの向上、事務の効率化、並びに働き方改革を進めてまいります。
 内部統制に関しては、リスクの把握・予防について研修議題とするなど、統制の定着・充実に引き続き取り組んでまいります。
 市民の皆さまに信頼される市役所を目指すために、職員との対話を深め、職場の心理的安全性の確保を目的に進める「想いをカタチにプロジェクト」を推進し、職員の働きがい向上に取り組みます。
 

6 安全安心で活力あるまちづくり

 豊田駅南口駅前広場に面する豊田南土地区画整理事業86街区では、土地の高度利用を推進するため、街区内の複数の権利者が協力して実施する共同ビルの建設を支援してまいりました。この共同ビルが、令和5年6月に完成する見込みとなっており、区画整理事業による駅周辺の道路整備とともに、駅前に相応しい街並みの形成が着実に進んでおります。
 黒川踏切は、JR中央線の南北を結ぶ主要生活道路であり、豊田小学校の通学路にも指定されるなど歩行者が多く通行しておりますが、幅員が狭く、安全対策について多くの要望をいただいておりました。踏切の改良について、JR東日本と令和4年10月に施行協定書を締結し、令和5年度から2年間で拡幅工事を実施してまいります。
 日野市を東西に横断し、都市基盤の骨格となる都市計画道路3・3・2号線は、西平山土地区画整理事業により、用地取得を進めております。市の財政状況が厳しい中においても、国の公共施設管理者負担金を活用しながら、区画整理事業により、道路用地の確保と沿道の基盤整備を進めてまいります。
 多摩地域で広域的に普及が進んでいる電動アシスト自転車によるシェアサイクルについて、貸し出しと返却が可能なステーションを市内の公共施設に設置いたします。市民の多様な移動手段を確保するだけでなく、放置自転車の削減、車利用からの転換によるCO2削減などの観点から、令和5年度より実証実験をスタートさせ、検証を進めてまいります。また、交通空白地域解消への取り組みとして、運行管理システムのDX化が急速に進んでいるデマンド型交通について、バスやタクシーといった既存交通事業者との導入に向けた協議に着手します。
 京王線高幡不動駅南口のロータリーは、朝夕の通勤通学時間帯において、バスの乗り入れが飽和状態となり、新たな停留所の確保が課題となっておりました。関係機関との協議を重ねた結果、バス停の増設工事に着手できる段階まで進んでおり、令和5年度の早期には、新たなバス停の運用を開始し、利用者の利便性向上を図ります。
 長年、防災上の懸案となっておりました平山6丁目の急傾斜地については、令和4年度から法面の崩壊対策工事を開始しています。東京都と連携して令和8年度の工事完了を目指し、大雨・台風などの災害に備えてまいります。
 

7 未来を拓(ひら)く地域経済支援

 昨年から開始した、日野市SDGs推進事業者登録制度は、経営にSDGsの視点を取り入れ、SDGsの達成に取り組む市内企業を支援する制度です。第1回は、4社が登録されました。今年も新たな事業者の募集や、申請に当たっての支援、登録事業者への優遇制度の設定など、事業者がSDGsに積極的に取り組んでいただける環境を構築してまいります。高度な技術・特色ある企業が一定数存在する強みを生かし、SDGsを連携軸として、企業間をはじめ、大学、創業者等のさまざまな主体との連携を推進してまいります。
 現在策定中の「日野市工業振興計画」では、変化の激しい社会経済環境に対応するため、工業の今後10年間の課題解決の方向性と主な取り組みを盛り込み、基本理念である「顔の見える産学官金の担い手による多様性・柔軟性に富んだ産業創出都市『日野』の実現」を目指していきます。
 日野市の3大商業地域である日野駅、豊田駅、高幡不動駅周辺の活性化に向けた施策の基礎資料とするため、日野市周辺の事業者を対象に、同地域への進出意向や関心項目、課題などの調査を行います。また、豊田駅北口および日野駅周辺の商業地域について、土地建物の利用状況や課題を調査し、市から権利者に提案するまちづくりの方向性およびそれを実現するための具体的な手法を検討してまいります。
 これまでも多くの事業者に利用いただいている商工会における専門家相談事業の取り組みを一定期間継続し、昨今の社会情勢に応じ、事業者ごとの課題に対する伴走支援を行います。
 

8 ありがとう60年 誠の心で これからも

 本年は日野市市制施行60周年の記念の年です。コロナ禍で得た経験を活かし、市民の皆さまと未来を考えるきっかけとなる年としてまいります。公募により、素晴らしいキャッチコピーとロゴマークを決定することができました。施行記念日である11月3日に記念式典を開催します。記念行事として、未来に向けて残したい・つなげていきたい「地域の魅力~ひと・こと・もの」を集めて、子どもたちと一緒にオリジナル動画やマップを作成いたします。
 また、ひの新選組まつりなどを冠事業とするとともに、市民の皆さまと日野の未来を考えていく姿を映していく記念誌・記念映像を作成いたします。さらに、クラウドファンディングの活用など、先を見据えた取り組みを実施してまいります。
 

 令和5年度予算の基本的考え方および概要

 次に、令和5年度予算の基本的考え方および概要を申し上げます。
 日本の社会・経済は、いまだ新型コロナウイルス感染症の影響の下にあり、感染拡大による経済リスクは今後も発生しうるものの、緊急事態宣言など厳しい行動制限を課すような状況から、経済社会活動を止めない方向へと転換されつつある状況にあります。政府の月例経済報告でも、「景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」とされ、先行きについても「ウィズコロナの下で各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される」とされております。
 一方、不安定な海外情勢を要因とした、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動などが景気を下押しするリスクとなっています。直近の消費者物価指数(東京都区部における総合指数)は対前年同月比で4.4%の上昇となり、41年ぶりの高水準と報道されています。
 新型コロナウイルス感染症との闘いが3年にわたる上、物価高騰などの影響が加わり、家計への悪影響や生活困窮の問題などが生じやすくなっている社会情勢の中で、人口減少や少子高齢化、インフラの老朽化、気候危機など複雑な問題が顕在化しつつあります。令和5年度予算編成においては、当市を取り巻く環境や国内外の予測し難い情勢を踏まえつつも、ウィズコロナ、アフターコロナの視点を持ち、通常の経済社会活動を止めないように地域の課題解決に当たっていく観点から、次の3点を令和5年度予算編成の基本方針といたしました。
 1点目は、「諸力融合により地域全体の自立性や持続性を高めていく」、2点目は、「中長期的な視点から経営の最適化を図る」、3点目は、「自律的に学びあう組織風土を実現していくための、4つのC(Compact Challenge,Change Create)の推進」です。
 この基本方針の下で取り組む手法として、令和4年度に引き続き各部への枠配当方式や、枠配当とは別に「政策課題連携枠」を設定するとともに、財源や事業実施主体の再検討を進め、これまでの官民連携や共創の取り組みを活かしつつ、民間活力導入を積極的に推進するべく、検討を行ってまいりました。
 また、令和2年2月に財政非常事態宣言を発出した後、新型コロナウイルスの感染拡大があり、市民の命を守り、市民生活および市内経済活動をしっかりと支える方針の下、策定を延期してきた「日野市財政再建計画・第6次行財政改革大綱実施計画」を、令和4年12月に策定いたしました。令和5年度から令和9年度までを財政再建期間とし、持続可能な財政運営のあるべき姿として「財政調整基金の当初予算編成後残高」「経常収支比率」「公債費負担比率」「標準財政規模に対する人件費の割合」の4つの指標を設定し、この指標を達成するために必要な財源確保額の目安を、5年間で80億6,600万円といたしました。
 設定した指標の達成に向け効率的・効果的に財政再建・行財政改革を進めるため、特に効果の高い取り組みに資源を集中することとし、強化取組方針として「行政サービスのアップデート」「公共私のベストミックス」「収支バランスの改善」「経営基盤の最適化」の4つを掲げました。また、歳出予算計上の考え方として、2点お示ししております。1点目として、財政非常事態宣言を発出する一因ともなった投資的経費については、一般会計における単年度当たりの一般財源負担が25億円程度になるよう平準化を図ることとしました。2点目は、新規事業に対する考え方です。働き方改革やDXなど、人的、財政的課題を解決する新規事業については一定の予算枠を確保し積極的に推進するとともに、気候変動やダイバーシティの推進など、新たな課題に取り組む事業については、社会関係資本の活用やデータの積極的活用、新たな官民連携制度や手法の積極的な活用の検討を進めることとしました。
 このような方針の下、編成した令和5年度一般会計予算の規模は令和4年度比で約25.9億円の増加となりました。増加の主な要因は大きく2点ございます。
 1点目は、物価高、原油価格高騰や、最低賃金の上昇などの影響による、経常的な経費の大幅な増加です。光熱費、委託料などさまざまな科目で増となっております。そうした中でも、人的・財政的課題の解決のための取り組みとして、プラスチック類資源化施設等の運営管理については、民間活力を導入し、長期包括運営管理業務委託を開始するほか、財源確保の観点では、市制施行60周年記念誌作成、日野宿本陣建造物の調査業務の2事業についてクラウドファンディングを活用いたします。事業の見直し、財源確保の観点を持ちながら、経費の増加にも対応してまいります。
 2点目は、(仮称)子ども包括支援センターの建設や、学童クラブの充実などに係る普通建設事業費の増加です。このほか、国の令和4年度補正予算(第2号)によって防災・減災、国土強靭化の推進のための財源が確保されたことから、小学校屋内運動場冷暖房設備設置、小中学校トイレ改修など一部の事業を令和4年度の補正予算に前倒し、令和5年度に繰り越して実施します。いずれも未来を担う子どもたちを応援する施策として重要なものです。繰越事業も含め、令和5年度に実施する普通建設事業の一般財源負担は約25億円となっております。財政再建期間中は、国・都の財政支援を有効に活用しながら一般財源負担25億円程度を維持し、必要な投資的事業については着実に進めてまいります。
 また、今後の公共施設への投資に際しては、「縮充」の考え方を念頭におき、施設の数量を縮減しつつ、公共施設に求められる機能・サービスを持続的に提供できるよう、取り組みを推進してまいります。

 物価高騰など、先行きが不透明な要因がある中で、難しい財政運営となりますが、令和5年度予算は財政再建計画・第6次行財政改革大綱実施計画を実行する初年度の予算となります。必要な事業への予算は確保しつつ、財政非常事態宣言の解除に向け、しっかりと財政再建に取り組んでまいります。

 次に、令和5年度予算の概要について申し上げます。
 一般会計当初予算案は、686億5,100万円で、前年度比25.9億円、3.9%の増となります。
歳出につきまして、義務的経費では、人件費は、東京都人事委員会勧告に対応した若年層職員の例月給の引上げや、勤勉手当の引き上げがあった一方、定年延長により令和5年度は定年退職が発生しない年度となり、退職手当が減額となったことから、5.8%減の110億545万円となります。また、扶助費は、障害者自立支援給付費や生活保護費が引き続き増加傾向であるほか、高校生等医療費助成制度が始まることに伴い、1.1%増の233億1,532万円となります。公債費は2.1%増の32億4,022万円となっております。
 次に、普通建設事業費は、(仮称)子ども包括支援センターの建設工事や、七小学童クラブの新園舎建設などから、77.0%増の25億970万円となっております。
 この他の経費では、物件費は、先に申し上げた光熱費や、委託料が含まれ、13.2%増の112億5,358万円となります。特に光熱費は、令和4年度当初予算の約2.4倍、約6億3,000万円の増加で、約10億9,000万円を計上している状況となっております。

 次に、歳入につきまして、市税は2.0%増の310億4,189万円を見込みました。新型コロナウイルス感染症の影響からの回復傾向があり、個人市民税は増加を見込む一方で、物価高、エネルギー価格の高騰、円安などの影響により、市内企業の業績見通しが不透明なため、法人市民税は減少を見込んでおります。
 地方譲与税及び各種交付金などは、一部減額しているものはありますが、全体的には増額を見込みました。特に、法人事業税交付金は25.8%増の5億6,000万円を見込んでいます。先ほどの法人市民税の見込みと異なりますが、東京都では企業業績が堅調に推移すると見込まれており、また、按分基準の経過措置が終了し、市町村に交付される比率が拡大することから増額を見込んでおります。地方消費税交付金についても、個人消費や輸入額が堅調に推移すると見込まれており、また、近年の実績でも予算額を上回る額が交付されていることから、10.2%増の39億円を見込みました。総額では8.7%増の54億9,250万円となります。
 次に、地方交付税は、市税の増収はあるものの、高齢化の進展や地域のデジタル化の推進などによって需要が伸びており、22.3%増の20億3,000万円を見込みました。一方で、国の地方財政計画では、臨時財政対策債の大幅な抑制が明記されており、臨時財政対策債の借り入れは80.0%減、2億5,000万円を見込んでおります。
 国庫支出金及び都支出金は、歳出における扶助費の増加や各種事業財源の確保に努めたことなどから、総額で2.9%増の228億5,484万円となっております。
 また、基金の取り崩しとなる繰入金は29.5%増の25億4,888万円を、市債の借入は、先ほど申し上げた臨時財政対策債の減を含めて5.2%減の15億1,940万円を予定しております。この合計が市の恒常的な収入で賄えない財源不足分ですが、約40.7億円となりました。令和4年度の約35.7億円から5.0億円の増加となりました。
 次に、特別会計当初予算案につきましては、総額573億515万3,000円で、前年度比16億5,720万6,000円、3.0%の増となります。
 国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療の各特別会計において増加となっており、特に後期高齢者医療特別会計においては、団塊世代全員が75歳以上となる2025年を間近に控え、被保険者数の急増等から11.9%の大幅増となっています。土地区画整理事業特別会計においては、投資的経費の平準化の観点から、現在の事業の進捗状況と優先度を勘案し5.5%の減、下水道事業会計においては、市債の償還が着実に進んでいることなどにより2.0%の減となっております。

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