市は、平成18年12月に、「市立病院跡地活用事業に対する地域検討会報告を受けた市の対応」として、平成16年度に実施したプロポーザルの結果は白紙撤回せず、地域検討会が示す優先交渉権者への再審査を実施することを明らかにし、その具体的な方法として、地域検討会が付加条件として報告に示した5項目について、優先交渉権者である株式会社 極楽湯に提示し、この付加条件に対する事業者の提案を受け、その提案内容について審査を行い、方向性を明らかにすることを公表しています。
 市は、同年12月5日付けで優先交渉権者に対し地域検討会が付加条件として報告に示した5項目について通知し、この付加条件に対する優先交渉権者の提案を求めました。優先交渉権者からは、同年12月20日付けで提案がされ、その提案内容について慎重に審査し、その結果をまとめましたのでお知らせいたします。
 なお、市は、市立病院跡地活用の地域検討会報告書が、周辺地域の方々の代表で構成されている検討会で作成されたこと、当会の討議要点録が、その都度図書館や地域広報板等で地域に周知されたこと、また定期的に報告会を開催し地域の理解を求めていることから、地域の理解を得られる報告と考えています。つきましては、本審査結果により優先交渉権者の取扱いを明確にし、事業計画を進めていきます。

地域検討会の再審査の条件項目

(1) 契約解除に伴う施設の撤去には、基礎、杭、配管、工作物、樹木根など地中埋設物も含む。
(2) 施設の早朝および深夜に及ぶ利用は認めないこととし、23時から翌朝6時までは駐車場を含む営業を停止する。
(3) 住居専用地域の生活環境を維持する施設であり、利用形態とする。
(4) 車両の利用を含む諸問題については、近隣市民の合意を得る。
(5) 将来に亘る環境への影響が明確でない、施設計画は認めない。(大深度温泉掘削などを行う場合には、環境に対する安全性を学説などを用いて証明する )
  

1 再審査の条件項目に対する優先交渉権者の提案と市の見解

(1)契約解除に伴う施設の撤去には、基礎、杭、配管、工作物、樹木根などの地中埋設物も含む。
事業者提案概要
・ 契約終了時には施設が建設される前の状態に戻して土地を返却する。
・ 地中埋設物も次の土地使用に支障が生じないように、また安全性が確保できるように撤去する。
・ 温泉井戸は、他の例により埋め戻さず日野市に無償で譲渡する。その際ポンプは撤去し、安全性を確保する処理を行い引き渡す。
提案を受けた市の見解
・ 基本的に条件項目を満たす提案と考えます。
・ 検討会が提示する地中埋設物についても、撤去することを明確にしています。
・ 温泉井戸は条件項目に該当する地中埋設物が残らないものと考えます。また、次の土地使用に支障をきたすものではないと考えます。
 

(2) 施設の早朝及び深夜におよぶ利用は認めないこととし、23時から翌朝6時までは駐車場を含む営業を停止する。

事業者提案概要
・ 店舗ならび駐車場の営業時間は朝9:00から夜23:00までとする。
・ 当初提案の営業時間(午前2:00まで)を夜23:00までに短縮するためには、条件を提示する。
 条件
 20号バイパスの開通による周辺環境の変化と当該施設の建設による遮音効果、営業の開始に伴う状況変化等が生じる毎に、その変化を理解してもらいながら営業時間について協議する場を周辺住民と持たせてもらいたい。
・ 営業時間の短縮による店舗の減収分を土地賃借料から減額してもらいたい。消防詰所の設置分(88.39平方メートル約630,000円)と時間短縮分を考慮した土地賃借料は、44,295,600円で、当初提示額(消防詰所分除く)との差額は5,474,400円で11%の減額率である。減額の根拠は、本件土地の立地条件とより近似している店舗の売上高構成比率から算出している。

 提案を受けた市の見解

・ 基本的に条件項目を満たす提案と考えます。
・ 事業者が提案の中で示す条件は、地域検討会報告書の条件項目を履行した上で、それとは別に、施設に隣接する周辺住民との配慮要件等の調整項目の中に、営業時間の関係も位置づけておきたいという意向であると理解します。
・ 市は、地域検討会の報告書に沿って、事業者に対し条件項目を提示して進めているが、跡地周辺の住民の意見は尊重すべきと考えています。このため、基本的に報告書の条件は履行すべきであると考えますが、地域住民と事業者の話合いの中で営業時間等の変更があった場合はやむを得ないと考えます。この地域住民との話合いの場を持たせてもらいたいとのことであるため、他の配慮要件の調整を含め、むしろ良いことであると理解しています。
・ 営業時間の短縮に伴う土地賃借料の減額は、当初の事業者提案からの調整結果であるためやむを得ないものと考えます。
・ 土地賃借料の減額は、平成16年のプロポーザル時の事業者提案額7,075.18平方メートルで年額50,400,000円(7,123円 平方メートルあたり)から、消防詰所の設置分(88.39平方メートル約630,000円)と時間短縮分を考慮いたします。
・ 事業者が提示する土地賃借料は、44,295,600円で、当初提示額(消防詰所分除く)との差額は5,474,400円で11%の減額率にあたります。
・ 平成16年プロポーザル時の資料による市の試算でも、利用者数(※1)の時間別割合が約11%となるため、事業者の提示額は妥当であると考えます。
・ 平成16年のプロポーザル時、同等の施設規模提案で土地賃借料の提示が40,200,000円という提示と比較しても、今回の提示額は妥当であると判断します。
(※1) 1日当たり平均利用者数が約1,600人から1,750人、22:20~26:00の利用者が約195人という想定から減額割合を算出すると約11%から約12%となる
 
 (3)住居専用地域の生活環境を維持する施設であり、利用形態とする。

 事業者提案概要

・ 提案する施設は、特定の世代に偏ることなく多くの世代の方々に利用してもらえる施設であり、地域検討会が決定した基本方針に即した施設である。
・ 提案する施設は、風紀上の問題、建物配置、施設の概観、営業時間、イベントホールの提案について、地域住民への配慮を十分に考慮した施設であり利用形態である。また、特に風紀上の問題が発生した場合には、営業上のマイナスとなるため責任を持って処理する。

提案を受けた市の見解

・ 基本的に条件項目を満たす提案と考えます。
・ 当該項目は、既プロポーザルの条件として仕様書にも記載されていた内容であり、この仕様で事業者が適切な提案をし、当該条件を満たしていたため優先交渉権者にも選定されています。
  

(4)車両の利用を含む諸問題については、近隣住民の合意を得る。

  事業者提案概要

・ 車両の利用を含む諸問題については、周辺住民と協議しながら進めていく。
・ 検討会が必要最小限の配慮事項に掲げている項目については、安全性を確保し周辺住民に悪影響を与えないように対策を講じる。

 提案を受けた市の見解

・ 基本的に条件項目を満たす提案と考えます。
・ 事業者も地域検討会が考える配慮項目については、調整を要する諸問題として把握しており、周辺住民の生活に悪影響を与えない対策を講ずるとしています。

(5)将来に亘る環境への影響が明確でない施設計画は認めない。(大深度温泉掘削などを行う場合には、環境に対する安全性を学説などを用いて証明する。)

事業者提案概要

・ 温泉掘削及びポンプの設置を行う際には、温泉法により各都道府県知事の許可を取得する事が定められ、都では独自に距離規制と揚湯量の規制を設けており、この規制を遵守して温泉を適正に提供していく。
・ 現状では東京の深層地質及び地下水に関する資料は少ないが、都が設ける距離規制や揚湯量の規制は、環境省の報告書や都が設置した研究会による調査検討の結果設定されたものである。
・ 当該施設では、温泉井戸利用開始後、揚湯量、地下水位の変動や泉質の変動等のデータを管理して環境への影響を監視し東京都に報告、大深度温泉の実態解明へ協力する。

 提案を受けた市の見解

(将来に亘る環境への影響について)
・ 地域検討会の条件項目を満たす回答は、現時点では困難であると考えます。
・ 環境省のレベルでも大深度温泉掘削が環境に及ぼす影響に関する調査データが不十分な状況であり、環境に影響があるかないかは判断ができていない。また、大深度温泉掘削に限らず、施設の建設そのものが、更地である当該跡地の現状と比較すれば環境への影響があると考えられます。

 大深度温泉掘削について

・ 東京都は、東京都自然環境審議会の会長発言を受けて、「市街地の大深度温泉掘削及び地盤沈下に関する研究会」を設置しています。この研究会の報告(平成16年9月)では、東京の大深度温泉水は、塩分濃度が高く、循環速度が遅いため、過剰な揚水をすれば、枯渇や泉質の低下を招きやすいとしています。その一方で、大深度温泉に関する科学的情報は不十分であり、今後も情報の蓄積が必要であるとも提言している。また、温泉の枯渇や地盤沈下、周辺の利用者への影響を生じさせないため、事業者の責務として揚湯量の制限を履行すべきとも報告しています。
・ 東京都は、市街地の大深度温泉掘削及び地盤沈下に関する研究会の報告を受けて、改めて東京都自然環境審議会に、温泉に係る地盤沈下防止対策及び適正利用について諮問、平成17年1月に答申内容が発表されました。その内容は、温泉を掘削する場合は、地盤沈下の防止及び源泉間の相互影響の観点から、温泉の許可基準として多摩地域は、掘削深度500mを超える場合は制限距離を1,000mとしています。
・ 温泉掘削等の許可権者である東京都環境局は、これら提言や答申を受け、過剰な揚湯をすれば温泉の枯渇や地盤沈下、周辺の利用者への影響を与えるということを理解した上で、「温泉動力の装置の許可に係る審査基準」における一日の揚湯量は、平成10年度策定基準(1日最大150立方メートル)をそのまま活用し、掘削深度及び制限距離は審議会答申の「温泉の許可基準」(掘削深度500mを超える場合は制限距離1,000m)を、現在の許可基準としています。
・ 市は、東京都が適切な課程を経て定める基準を遵守することが、温泉資源と健全な水循環の保全及び地盤沈下の防止につながるものと考えます。
・ 事業者提案では、東京都が定める掘削深度及び制限距離、一日の揚湯量を遵守するとしているため、提案は妥当であると判断します。 

 2 市の審査結果

  条件項目に対する提案審査まとめ
・ 条件項目(1)から(4)について、事業者提案は地域検討会が示した条件をそのまま受け入れており、周辺住民に配慮した提案であると判断します。
・ 条件項目(5)については、現状では大深度温泉掘削データが決して十分とは言えず、市は将来に亘る環境への影響を科学的には判断できません。ただし、許可権者である東京都は、専門家からなる研究機関等の意見を尊重し定めた許可基準を設定しており、事業者はこの基準を遵守することを提案しているため、妥当であると判断せざるを得ないと考えます。
 

 市の見解・審査結果

・ 市は、市立病院跡地活用についての事業者提案は、基本的に全ての条件項目を満たす提案であると判断しました。
・ 市は、株式会社 極楽湯(旧 株式会社 自然堂)を市立病院跡地活用事業計画の事業者として、今後「日野市まちづくり条例」に従い周辺住民と協議を行いつつ、事業を進めさせていくことに決定いたしました。
 
※     周辺住民への事業説明、協議を経て事業計画が固まり次第、市は事業者と土地の賃貸借契約を締結する予定ですが、地域検討会が示した必要最小限の配慮事項、条件項目に対する事業者提案内容その他を、契約書の付帯条項として整理いたします。