日野市長  大坪 冬彦

 平成29年第1回日野市議会定例会の開会にあたり、1期4年間の総括を含め、市政運営の基本と新年度予算の概要を申し述べ、議員各位ならびに市民の皆様に一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 

基本姿勢

  私が幅広い市民のご信任をいただき市長に就任して以来、まもなく4年の歳月が経過いたします。市政の運営にご支援、ご協力をいただいた議員各位ならびに市民の皆様に心から感謝し、お礼を申し上げます。

  私は就任以来、

  1. 住み慣れた地域で生き、看取られる、暮らし・福祉・医療の展開
  2. 日野市の良さである恵まれた社会的・自然的資源を生かし、地域の個性を伸ばすまちづくりの推進
  3. 厳しい財政状況を踏まえた経営戦略に基づく市政の運営

を基本姿勢として掲げ、人口減少・少子高齢化によって生じる諸課題に対し取り組み、諸力融合によって日野市らしい個性あるまちづくりや戦略的な市政運営に全力で取り組んでまいりました。

 

4年間の総括

  4年間の総括として、主な内容を申し上げます。

  私は平成25年、市制施行50周年の年に市長として就任させていただきました。

  公民協働を更に進め、諸力融合による市政運営を行う土台づくりとして地域懇談会の仕組みを刷新し、8中学校区でのアクションプランには、延べ1万人以上の市民にご参加いただきました。

  さらに、市内外の企業、大学と相互協力・連携に関する包括協定を締結し、地域の活性化につながる取り組みを進めてまいりました。

  効率的な行政運営のため、第4次行財政改革を積極的に推進してまいりました。公有財産の有効活用などによる歳入確保と様々な歳出削減を図り、これまで着手していなかった使用料・手数料を見直し、行政サービス向上の財源創出を行いました。

  子どもへの施策としては、保育園の待機児童解消に取り組み、4年間で478名の定員増を図りました。

  また、教育環境充実のため、第二中学校北校舎改築、学校トイレの改修を行うとともに、ICT活用教育を推進し学習環境の充実に取り組んでまいりました。

  特に、発達に関する相談・支援を、福祉と教育が一体となって継続的に行う発達・教育支援センター「エール」を全国に先駆けて開設いたしました。

  「子どもの貧困」問題に対しては、実態調査を踏まえた、子どもの貧困対策基本方針の策定を進めてきており、学習・居場所支援として「ほっとも」を3か所開設いたしました。

  主要三戦略の一つとしてヘルスケア・ウェルネス戦略を掲げ、高齢になっても生き生きと暮らせるための施策を進めてまいりました。

  市民の健康づくりの施策として、歩きたくなるまちづくり事業を進めるとともに、レセプトデータの分析に基づくデータヘルス事業を積極的に実施してまいりました。 

  高齢者向け施設では、市内6か所目となる特別養護老人ホーム「ラペ日野」の開設を支援し、多摩平の森A街区には、地域包括ケアの拠点を目指して福祉関係施設の誘致を行いました。

  障害者向け施策では、重度心身障害者の活動の場として「工房夢ふうせんアネックス」の開設を支援し、また、障害者差別の解消を推進する基本方針の策定を進めました。

  大規模な工場の移転が相次いでおり、新たな成長産業の創出が課題となっています。そのため産業スポーツ部を設置し、日野市の産業をさらに発展させる体制づくりを行いました。

  企業立地支援条例を制定し、企業の支援、誘致を進め、「PlanT」では新たな事業や産業の創出、活性化に取り組んでいます。

  「第3次農業振興計画・アクションプラン」を策定し、都市農業の継続と農地の保全に取り組みました。

  商業分野では、大規模店舗の進出にあわせ、市内商業の活性化を図る「ひの新選組ポイント」の導入を支援するとともに、産学官民金の関係者からなる商業まちづくりプラットフォームの支援と連携を進めました。

  また、都市間交流を積極的にすすめ、その成果として岩手県紫波町との姉妹都市の盟約締結に至りました。

  環境分野では、国分寺市と小金井市との連携による新可燃ごみ処理施設の建設に向け、浅川清流環境組合を設立しました。より一層のごみ減量のため、市民との協働で第3次ごみゼロプランの策定と、プラスチック類資源化施設の建設に向けた準備に取り組んでまいりました。

  「水都・日野」のまちづくりの取り組みとして、「水辺のある風景 日野50選」を選定いたしました。また、身近な水辺への関心を取り戻すため、地元漁協との連携による浅川アユまつりを実施しました。

  豊かな自然環境を、まちの宝として子ども達に残し、地域の新しいつながりを育てていくための拠点として、カワセミハウスの開設に取り組みました。

  安全で安心して暮らせる災害に強いまちを目指し、地域防災計画の改定を行いました。

  自主防災組織の立ち上げを支援し、女性防災リーダーの育成に取り組みました。また、災害時の避難行動要支援者を地域で支える体制づくりを進めてまいりました。

  小中学校の体育館の耐震化を図り、地域の安全な避難所としての整備を行いました。

  多くの市民がスポーツを通じた健康づくりに親しむことを目指し、スポーツ推進計画を策定し、スポーツ実施率の向上に取り組みました。また、地域コミュニティ及び防災拠点としての機能を備えた南平体育館の建替え計画に着手いたしました。

  東京2020オリンピック・パラリンピックの機運醸成に向けて、小中学校におけるトップアスリートを招いたスポーツ教室や、伝統芸能・文化を学び継承する取り組みを実施しました。

  日野文化を育て地域の魅力を活かしたまちづくりとして、多摩地域で最古のビールであるTOYODA BEERを復刻しました。日本洋画界の重鎮であった小島善太郎氏の記念館を開館し、桑ハウス(旧蚕糸試験場 第一蚕室)を、文化財として保存・活用し、市民の憩いの場とするために取得いたしました。

  都市基盤整備の分野では、日野都市計画道路3・4・24号線の基本設計を行い、平成34年度の完成を目指し着手しました。また、国道20号日野バイパスの延伸部、日野都市計画道路3・3・2号線の未事業化区間の事業化に向けて、国への要請を継続してきました。

  橋梁並びに道路の長寿命化を計画的に進めるため、それぞれの修繕計画を策定し実施しております。

  ミニバスについては、外出しやすいまちづくりとして、市民からの要望に応え川辺堀之内や旭ヶ丘循環など複数の路線において増便を行いました。

  国の「空家等対策の推進に関する特別措置法」の制定を受け、今後市内で増加が予想される空き家への対応のため、空き住宅等対策計画を策定し、それを踏まえた条例を制定いたしました。

  人口減少、少子高齢化という課題に対応するため「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定いたしました。ベッドタウンとして発展してきた日野市が新たに目指すべき姿として、ポストベッドタウンを掲げ、職住が近接し、子育てや介護に取り組みやすい、全ての世代が質の高い生活を送ることができるまちを目指すものです。この新しい生活価値を、諸力融合で創り上げていく取り組みを進めています。

 

平成29年度の重点施策と取り組み

子育て施策の更なる充実

  保育園待機児童の解消に向け、第三幼稚園跡地や多摩平の森K街区、及び川辺堀之内地区において、民間保育園の設置に対する支援を行います。これにより合計で378名の保育児童の定員拡大を行います。

  また、認証保育所などにおける利用者負担の軽減を図るため、所得階層別補助制度により公平な負担軽減を図ります。

自然環境の保全

  日野用水は、平成29年に開削450周年の節目を迎えました。日野のまちを形作ってきた日野用水を、かけがえのない地域の宝として保全活用を図るため、市民向けのシンポジウムや特別展示を行います。

  また、4月に開設を予定しているカワセミハウスを拠点とし、恵まれた自然環境の保全やコミュニティづくりを、市民と共に進めてまいります。

子どもの貧困対策の推進

  現在策定を進めている「子どもの貧困対策に関する基本方針」を基に、実態調査の結果を踏まえ、課題解決に向けた対応を、部間横断的な取り組みとして進めてまいります。

  また、現在3か所で実施している子どもの学習支援と居場所づくりの施設を1か所増設いたします。

諸力融合の更なる推進

  8つの中学校区ごとで実施してきた地域のアクションプランを支援し、さらに学校区の枠を超えた全体懇談会を実施することで、地域ごとの知恵を互いに共有していきます。

  事業者や大学、周辺自治体などとの連携強化・ネットワーク化を図り、防災や健康などの生活課題から高付加価値の産業化を目指す、生活課題産業化事業に引き続き取り組んでまいります。

ごみ処理広域化によるごみ減量の推進

  日野市、国分寺市、小金井市で進める可燃ごみ処理施設共同化事業については、地元住民の方々との話し合いを続けながら、施設建設と周辺環境整備として北川原公園の計画的な整備を進めるとともに、根川橋梁及びクリーンセンター専用路等の整備事業を推進します。

  また、3市の市民による「ごみ減量市民会議」を立ち上げ、市民と行政の連携を深めながら更なるごみ減量に取り組むとともに、プラスチック類資源化施設の整備事業を進めます。

市民窓口サービスの民間委託化

  現在、「窓口業務における民間委託モデル自治体」として国が作成を進めている窓口業務の標準仕様書を基に、10月から市民窓口課6業務を民間委託します。来庁者の待ち時間の短縮や土曜開庁業務の充実など、市民サービスの向上に取り組みます。

市民の健康を守る取り組み

  「住み慣れた地域で生き、看取られる、暮らし・福祉・医療の展開」の実現に向けて「生涯活躍のまち実施計画」の策定を進めます。市内の医療・介護事業者等との連携を図り、市民一人一人に合った居住地や医療・介護サービスを選択できる地域づくりの検討を進めます。

  また、多摩平の森A街区に認知症対策の総合拠点を整備するとともに、在宅医療の推進や、連携体制の構築により、地域包括ケアシステムの実現に向けた取り組みを行います。

障害者差別解消条例の制定に向けて

  「(仮称)障害者差別解消基本方針」を市民、事業者、市職員に周知し、理解を図ってまいります。市民・事業者向けの講座やイベント開催による普及を図るとともに、職員研修などにより、市としても率先した取り組みを実施してまいります。

  また、この基本方針を踏まえ、「(仮称)障害者差別解消条例」の制定に向けた条例検討委員会を設置し、障害を持つ方や専門家などの意見を幅広く伺いながら、内容の検討を進めてまいります。

商業振興条例の制定に向けて

  商業の更なる振興を図るため、市民、商店、企業、大学等で構成される商業まちづくりプラットフォームと連携し、商業振興策や商業振興条例についての検討を進めます。地域商業の実態把握や、空き店舗の活用など商業活性化に向けた方策を検討してまいります。

  PlanTを拠点としたセミナーや講座により創業者支援等を引き続き行い、地域における新たな産業価値の創出を図ってまいります。

都市農業の推進

  第3次農業振興計画・アクションプランを推進し、国の都市農業振興基本計画に基づく、東京都の地方計画と整合した日野市版地方計画の検討を進めます。 

  また、平成34年に多数の生産緑地の解除が懸念される問題についても、対応を開始してまいります。

都市基盤の整備

  将来の人口減少社会を見据え、まちづくりマスタープランの改定において、想定される行政課題への対応を盛り込んでまいります。駅周辺や丘陵部の住宅地のあり方、地区特性に応じて必要となる都市機能を明らかにするとともに、国の立地適正化計画の活用による誘導策を検討します。また、減少著しい生産緑地や、市街化調整区域も含めた樹林地の保全活用についても盛り込んでまいります。

  更に、日野都市計画道路3・4・24号線や幹線市道I-20号線の築造など、特に重要な都市基盤の整備を引き続き着実に進めるとともに、空き住宅等対策計画に基づき、良質な住宅ストックの形成と空き家の適切な管理や利活用を推進し、社会課題に取り組んでまいります。

学校教育環境の充実

  学習面での地域との協働や英語・道徳の授業研究開発など、平成32年度から全面実施が予定されている学習指導要領に先駆的に対応してまいります。

  学習用校内LANの整備と児童生徒用タブレットPCを全小中学校に整備します。

  また、特別支援教室モデル校を8中学校全てに拡大し、七小・八小のトイレ改修工事を進め、教育環境の充実を図ってまいります。

生涯学習に関する推進基盤の強化

  新しい時代や社会情勢に合った図書館のあり方を位置付けるための、第3次図書館基本計画の策定を行うとともに、中央図書館が身近な分館を繋ぐセンター機能を継続して担えるよう、耐震化実施設計に取り組みます。

  また、日本の近代化を支えた絹産業遺産である「桑ハウス」の魅力と価値を、広く市内外へ周知する取り組みを進めてまいります。

市立病院改革プランの推進

 急性期300床2次救急病院として維持・継続するために、『地域医療構想』及び『新公立病院改革ガイドライン』に対応した「新市立病院改革プラン」を推進します。診療体制の充実及び経営の健全化を図るとともに、外部識者などの意見を踏まえながら、地方公営企業法の全部適用も含む経営形態の移行に向けた検討を進めます。

東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて

  東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、「スポーツ、人づくり、おもてなし」の3つのレガシー創出を目指し、部間横断的な取り組みを展開してまいります。

  「スポーツ」の取り組みでは、オリンピアン等のトップアスリートを招き、市民との交流イベントや障害者スポーツの振興事業により、スポーツを、「する」「みる」「支える」市民の増加に向けた取り組みを図ります。

  「人づくり」の取り組みでは、スポーツボランティアの養成などにより、地域の課題解決に自ら考え行動する市民の増加に繋がる取り組みを進めます。

  「おもてなし」の取り組みでは、ふれあいホールを各国の競技団体が練習会場などに活用するよう働きかけるとともに、今後増加が見込まれる海外からの訪問客を迎えるため、外国人に特化したホームページや観光サインの整備などを進めます。

 

平成29年度予算の基本的考え方及び概要

  次に、平成29年度予算の基本的考え方及び概要を申し上げます。

  国の景気の現状は、一部に改善の遅れも見られるものの、緩やかな回復基調が続いているとされております。

  本市の平成29年度の市税収入は、個人市民税等は増収となりますが、法人市民税等の減収から、市税全体では減収となる見通しです。

  市財政の根幹となる市税収入が伸び悩むなかでも、増加が続く社会保障関連経費の対応や公共施設等の老朽化・耐震化対策、また、複雑化・多様化する新たな行政課題の解決等にも取り組んでいく必要があります。

  このため、平成29年度予算は、市の将来を見据えて、「第5次基本構想・基本計画(2020プラン)後期基本計画」と「まち・ひと・しごと創生総合戦略」による施策・事業を推進するとともに、持続可能な市政運営を行っていくために、限られた財源を重点的かつ効果的に配分することを基本に編成いたしました。

  財源の確保にあたっては、行財政改革大綱を着実に推進し、積極的な歳入確保と徹底した事務事業の見直しと効率化に努めてまいりました。

  次に、平成29年度予算の概要について申し上げます。

  一般会計当初予算案は、612億6,000万円で、前年度比2億5,000万円、0.4%の減となります。

  歳出につきまして、義務的経費では、人件費が一般職の退職手当の減少などから、1.3%減の101億1,334万円となります。また、扶助費は保育所の定員拡大による給付費の増加等から、5.1%増の177億945万円となり、公債費は2.3%増の28億1,175万円となっております。

  次に、普通建設事業費は、市役所本庁舎の免震改修、プラスチック類資源化施設整備や日野都市計画道路3・4・24号線整備、北川原公園整備等に取り組みますが、日野第二中学校北校舎改築や防災行政無線デジタル化の完了などから、11.2%減の37億9,012万円となっております。

  繰出金は、介護保険特別会計等は増加しますが、国民健康保険特別会計等が減少するため、1.7%減の90億518万円となります。

  この他の経費では、物件費は学校ICT教育環境の整備等による増加はありますが、日野第二中学校北校舎改築に伴う仮設校舎借上げや備品購入費の減少などから0.8%減の102億6,190万円となります。

  また、補助費等は子育て支援の充実等による増加はありますが、臨時福祉給付金を平成28年度予算で計上したことなどから、1.3%減の68億6,059万円となっております。

  なお、平成29年度は市長の改選を控えているため、予備費は3億円を計上しております。

  次に、歳入につきまして、市税は1.6%減の293億8,186万円を見込みました。個人市民税は、人口の増加や景気動向等から増収となりますが、法人市民税は、前年度の収入見込みや企業動向等を踏まえて減収を見込んでおります。

  地方譲与税及び各種交付金等は、金利や株価の推移等から、総額で9.5%減の45億4,700万円となります。

  次に、地方交付税は、市税や各種交付金等の減収などから63.8%増の9億5,000万円を見込みました。

  国庫支出金及び都支出金は、歳出における扶助費の増加や各種事業財源の確保に努めたことなどから、総額で4.0%増の171億7,978万円となり、財産収入は土地建物貸付料の増加等から90.4%増の1億2,079万円となっております。

  また、基金の取り崩しとなる繰入金は9.4%減の25億113万円を、市債の借入は5.1%減の32億2,360万円を予定しております。

  次に、特別会計当初予算案につきましては、総額556億1,946万7,000円で、前年度比7億1,879万6,000円、1.3%の増となります。

  これは主に、国民健康保険特別会計は、保険給付費の減少などから8億649万円の減となりますが、介護保険特別会計が保険給付費及び地域支援事業費の増加などから12億8,447万円の増となったことによるものです。

  以上、市政運営の基本、平成29年度予算案の基本的考え方及び概要を申し上げました。

  市議会議員各位ならびにすべての市民の皆様に、かさねてご理解とご協力をお願い申し上げます。