平成28年第1回定例会の開会にあたり、市政への所信と新年度の主要な施策を申し述べ、議員各位ならびに市民の皆さまに、一層のご理解ご協力をお願い申し上げたいと存じます。

 私が市民の皆さまのご信任を得て、早いもので任期を締めくくる年となる4年目を迎えることとなります。

 この間、議員各位のご指導とお力添えをいただき、また市民の皆さまのご理解、ご協力により、就任以来堅持してきた基本姿勢である

  1. 住み慣れた地域で生き、看取られる、暮らし・福祉・医療の展開
  2. 日野市の良さである恵まれた社会的・自然的資源を生かし、地域の個性を伸ばすまちづくりの推進
  3. 厳しい財政状況を踏まえた経営戦略に基づく市政の運営

の三つに基づいて全力で市政に取り組んでまいりました。

 昨年、市は日本国憲法を否定しているのでは、という誤解を与えるような出来事を生じさせ、ご批判をいただきました。すべての公務員は、「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」を基本原則とした憲法を守る義務を負っております。このことを再認識し、昨年の反省を踏まえ、改めて憲法の理念の遵守を徹底してまいります。

 私は、社会課題を共有する市内の大学や民間企業等、地域に関わる様々な主体と共に連携し、地域を共創する「諸力融合」によってまちづくりに取り組んできたことで、「可能性のある未来」の実現に着実に向かっていると考えております。

 昨年度の所信表明において掲げた、「希望が持てる地域が“住みたい”を育む」まちの実現を目指して、3つの戦略「人口バランス・定住化促進戦略」、「産業立地強化・雇用確保戦略」、そして「ヘルスケア・ウェルネス戦略」のもと、各種事業を推進してまいりました。

 今年度はリニューアルした『2020プラン後期基本計画』を踏まえ、「3つの戦略」の理念を継承した『日野市まち・ひと・しごと創生総合戦略』を中心に、様々な行政課題の解消に取り組んでまいります。

 『総合戦略』と共に策定した『日野市人口ビジョン』において、本市の人口は、2025年の約18万5千人をピークに減少局面に入り、2060年には約16万5千人に減少すると見込んでおります。

すでに生産年齢人口は、1995年の約12万6千人をピークに、2060年には約8万9千人に減少すると見込まれ、労働力の減少による税収減や地域活力の衰退が懸念されます。

 また、人口が急増した高度経済成長期から定住している市民の高齢化が進んでおり、2060年の高齢者人口は約5万9千人、高齢化率は35.9%に達する見通しで、医療や介護の問題の深刻化が懸念されます。

 さらに、未婚化・晩婚化等に起因する合計特殊出生率の低い状況が続いており、今後も少子化の傾向が続くことが見込まれます。

 喫緊の課題である人口減少問題に対応するためには、『2020プラン』の施策を分野横断的に、また、選択・集中して実行していく必要があります。
 そのため、『日野市まち・ひと・しごと創生総合戦略』において、

  1. 「共創による地域産業の新たな展開」
  2. 「多様な就業環境の創造による生活価値の向上」
  3. 「人と人とがつながる生活基盤の整備」
  4. 「健康に住み続けられる潤いのある地域づくり」

の4つの基本目標を掲げ、平成27年度から平成31年度の5か年の取り組みとして優先度の高い施策・事業を位置づけました。

 この『総合戦略』により、ポスト・ベッドタウンとして、暮らしやすさだけではなく、働きやすさも兼ね備えた職住近接の生活価値共創都市を目指した施策を展開してまいります。

 それに加えて、今年8月にはリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、今後ますます、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会への期待が高まるものと思われます。東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催をターゲットイヤー(目標とする年)とし、そこに向かって様々な課題に対応する取り組みを地域内外との「諸力融合」により行い、その成果を開催後のレガシーとしてまいります。

 将来に向けて地域経済が発展し、活力ある地域社会が形成される日野市を、子どもたち、若者たちに引き継いでいくことが、我々の世代の責任であります。

 将来を担う子どもや若者に課題を先送りしない「未来(あす)への責任」を強く意識して市政に取り組んでまいります。

平成28年度の重点施策と取り組み

 当面する行政課題に対する重点施策とその取り組みについて述べさせていただきます。

1 次代をつくる子どもや子育て家庭を地域で支えるまちづくり

 人口減少に大きな影響を与える合計特殊出生率の改善、未婚化・晩婚化の改善が急務となります。
そのため『総合戦略』においては、「多様な就業環境の創造による生活価値の向上」を目標とし、若年層の経済的基盤を整備・支援することとしており、これらと併せて地域の中で多様な世代が子育てに関わる環境づくりや子育て世代が必要とするサービスを地域コミュニティが提供できる場づくりを促進してまいります。

 また、日野市総合教育会議では、福祉と教育が連携し、子どもたちが、よりよく育ち、世界へ羽ばたいていくことを反映した本市の総合教育大綱の策定に向けて議論してまいりました。将来を担うすべての子どもたちを、学校、家庭、地域社会が一体となり、包み込みながら育んでいくことをさらに推し進めてまいります。

多様なニーズを受け止める子育て支援

 子育てしながら安心して働けるまちを目指し、出産直後からの総合的な子育て支援に取り組みます。また、子育てのしやすい地域として魅力を高め、認知度の向上に努めることで、「住みたいまち」として選ばれることを目指してまいります。

 本市においては『新!ひのっ子すくすくプラン』に沿って平成27年度からの5年間で600人を超える保育所定員の拡大に取り組むこととしており、平成28年度は多摩平の森地区A街区への民間保育園の開設支援等を行います。さらに、『人口ビジョン』や直近の人口動向を基に『新!ひのっ子すくすくプラン』における保育所定員拡大の計画を見直し、更なる待機児解消に努めてまいります。

 また、就学後の支援として、児童館・学童クラブ事業の質の向上を図り、育成時間延長モデルの検討を行うとともに、夏休み期間の放課後子ども教室「スーパーひのっち」の実施校を平成27年度の4校から6校に増やしてまいります。

子どもの貧困対策の充実

 厚生労働省の調査によると2012年の「子どもの貧困率」は 16.3%であり、17歳以下の6人に1人、全国で300万人が貧困状態であるとされています。貧困は子どもの健康や学力に大きな影響を与える深刻な問題です。将来を担う子どもたちが自信と元気を身に付けていけるよう、子どもたちの育ちを地域社会で見守っていくことに取り組みます。

 そのために、有識者を含む貧困対策の協議会を設置し、すべての子どもたちが将来に希望を持ち、意欲ある人が活躍できる社会となるよう、子どもの貧困対策に係る基本方針を策定します。また学習習慣や生活習慣の育成のための居場所支援、高等学校進学に向けた学習支援の場を平成27年度の1か所から3か所に増やしてまいります。

 さらに、高校生への奨学金制度については、定員枠をなくし、一定要件を満たす高校生に全員支給するようにいたします。

一人ひとりを大切にする教育の推進

 「人・もの・こと」のかかわりの中で、自ら学び、未来を拓くひのっ子を育てていくことに取り組みます。

 児童・生徒が抱える様々な課題に対応するため配置しているスクールソーシャルワーカーを、相談件数の増加や相談内容の深刻化に伴い、2名体制に強化いたします。

 また、特別支援教育の推進を図るため、小学校3校で情緒障害等通級指導学級から東京都の進める特別支援教室に移行し、平成30年度までにすべての小学校での導入を目指します。中学校4校では、東京都教育委員会の委託を受け特別支援教室モデル事業を実施いたします。

2 市民が生き生きと楽しみを創生するまちづくり

 まちづくりの主役はそこに住んでいる人たちです。様々な世代が地域で活動、活躍できる場・機会をつくり、世代間で相互につながり、助け合い、次世代にもその活動がつながる環境や活力を創出することが求められております。これらの実現に向け『総合戦略』においては、「人と人とがつながる生活基盤の整備」を目標としています。

 市民が生き生きと地域の課題解決に向かい、地域固有の価値を活かし、活動を楽しめる希望の持てるまちづくりを推進いたします。
これらの取り組みが市内だけに終始せず、全国各地域と共有していけるようシティプロモーションに努めてまいります。

新たな集いの場づくり

 地域固有の価値を活かした新たな交流の創生や生き生きとした活動につながるコミュニティづくりを進めてまいります。

 旭が丘地域においては、巽聖歌が作詞した童謡「たきび」を地域固有の価値とし、たきびのような暖かいつながりをコンセプトに誰でも気軽に集える憩いの場として、(仮称)旭が丘公共施設の基本設計・実施設計を進めてまいります。

 また、水と緑のまちを象徴する黒川清流公園のある東豊田地域においては、環境まちづくりの拠点である環境情報センターと地域コミュニティの場である吹上地区センターを複合化した(仮称)東豊田複合施設を建設いたします。この施設を通じ、日野の水と緑の豊かさを発信してまいります。

地域による用水を利用した発電の活用

 「水都 ひの」を象徴する用水路を新たな時代に向けて活用すべく、自然環境に負荷の少ないマイクロ水力発電の導入を、市と市民による委員会において検討してまいります。単なる機器導入ではなく、地域の財産として地域による活用を目指す中で、多摩平の森産業連携センター「PlanT」で市内企業と連携し、市内の技術・英知を結集したマイクロ水力発電を推進してまいります。

地域の魅力の再認識と認知度を高めるシティプロモーションの展開

 日野の宝の掘りおこしや都市間交流を通じて日野市の価値を最大限に高めるため、新たに「シティセールス推進課」を設置いたします。
昨年7月に発売した「TOYODA BEER」を今後も継続した日野ブランドとしていくため、市内店舗での販売促進に向けた取り組みを強化し、展示会・品評会等にも積極的に参加してまいります。

 これら地域資源や観光資源である新選組関連グッズなどをふるさと納税の返礼品として活用し、日野市の認知度向上に努めてまいります。
また、仲田の森蚕糸公園内にある「桑ハウス」を地域の貴重な絹産業遺産と位置付け、国の登録文化財に申請し、日野の宝としてその保存と活用に取り組みます。さらに、「桑ハウス」を通じて、全国の絹産業遺産がつながる『シルクロード・ネットワーク』に参加し、都市間交流を進め、将来にわたる文化の継承と地域活性化に取り組んでまいります。

3 新たな価値を創生する持続可能なまちづくり 

 厳しい財政状況や人口減少等を踏まえ、公共施設の最適な配置、更新・再編、幹線道路のネットワーク化の推進、都市農業の振興等により、人と産業の新たな価値を創り出すまちづくりを推進します。

安全で快適な道路整備

 幹線道路のネットワーク化を推進し、まちの活力を創出していくため、西平山地区と旭が丘地区を結ぶ都市計画道路3・4・24号線においては道路詳細設計等を、西平山地区と豊田地区を結ぶ都市計画道路3・3・2号線においては側道の整備等を実施してまいります。

 また、日野駅周辺の交通渋滞の緩和、利便性・防災性の向上のため、都市計画道路3・4・17号線においては道路拡幅を進めてまいります。

公共施設等の適切な管理、老朽化への対応と配置の最適化

 公共施設全体の状況を把握し、長期的な視点を持って計画的に施設の更新・再編に取り組むため、市民参画の委員会にて公共施設等総合管理計画の策定を行います。

 市民アンケート調査や公共施設現況調査などを踏まえ、公共施設等のスリム化や地域の実情に配慮した取り組みを進めてまいります。

空き家対策の推進

 『住宅マスタープラン』に基づき、空き家等に対する様々な施策を実行していくため、戸建住宅所有者等へのアンケート調査の結果を踏まえ、住宅ストック活用推進協議会準備会における検討を経て、空き家条例を制定してまいります。

都市農業施策の推進

都市農業施策を一層推進し、農業者からの相談体制を強化するため、「都市農業振興課」を設置いたします。
さらに、国の都市農業振興基本計画や東京都版地方計画の内容を受けて、『第3次日野市農業振興計画・アクションプラン』の見直しを検討してまいります。

4 安心して地域で暮らし続けるまちづくり

 高度経済成長期から定住している市民の急速な高齢化に起因する健康・医療・福祉等の課題が今後ますます深刻化することが予想されます。

 そのため、市民、市民団体、企業や大学等と協力し、社会全体でその解決に取り組む環境をつくり、『総合戦略』に位置づけた「健康に住み続けられる潤いのある地域づくり」を目標とし、子ども、高齢者、障害者など多様な方々が、住み慣れた地域で暮らし続けられるまちの実現を目指します。

障害のある方もない方も暮らしやすいまちづくり

 障害者差別解消法が今年4月に施行されるのを受け、今後の障害者差別解消に係る条例の制定も視野に入れ、障害者差別解消検討委員会を立ち上げ、本市における差別解消に係る基本方針の策定を行います。

 また、障害のある方の日常生活への支援を図るため、本庁舎に手話通訳者を週5日配置し、聴覚障害者への窓口サービス支援を図るほか、視覚障害者の同行援護の時間拡充、日野市ユニバーサルデザインロゴマークの活用等、障害のある方もない方も暮らしやすいまちづくりを進めてまいります。

データヘルスの推進と地域福祉・医療体制の強化

 国民健康保険被保険者の医療レセプト分析に基づき作成したデータを活用し、糖尿病等の重症化予防事業や特定検診受診率の向上及び受診後のフォローアップ事業を推進してまいります。

 併せて、地域社会の健康問題や市民全体の医療的な課題の解消、今後ますます必要とされる医療・介護の連携体制の構築に向けた施策展開を図るため、地域医療政策に係る担当職員を配置いたします。

『多摩平の森地区A街区公共公益施設整備構想』の実現

 地域包括ケアシステムのモデル構築に向け、多摩平の森地区A街区に、認知症疾患型の療養病床、特別養護老人ホーム、クリニック等の医療・介護施設及び健康増進施設の整備を行ってまいります。併せて、日野市立病院・日野市医師会等との連携を促進し、UR都市機構や事業決定を受けた事業者、関係団体、地域住民との協働により構想を実現してまいります。

南平体育館の整備

 南平体育館は、本市のスポーツ・文化の二大拠点の一つとして、防災機能も強化しつつ、国や都の支援を受け、建替に向けた取り組みとして基本計画をとりまとめてまいります。

平成28年度予算の基本的考え方及び概要

 次に、平成28年度予算の基本的考え方及び概要を申し上げます。

 国の景気の現状は、このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いているとされております。

 本市の平成28年度の市税収入も、景気の動向などを反映して、いくぶん状況が改善するものと見込んでおります。

 しかし、この傾向は、リーマンショック以前と同程度に戻りつつあるものとして、決して楽観せず、冷静に受け止めております。

 法人市民税については、税制改正による税率引下げの影響などから減収を見込んでおりますが、今後もさらなる税率引下げが予定されている状況です。

 また、個人市民税についても、中長期的には生産年齢人口が減少する見通しであることから、市財政の根幹である市税収入は、今後も大幅な増収は見込めない状況です。

 一方、歳出面では、少子高齢化の進展などから社会保障関連経費の増加が続いております。これに加えて、大規模災害への備えや老朽化した公共施設の更新・長寿命化の対応も喫緊の課題であることから、財政負担は今後も増加し、厳しい状況が続く見通しです。

 このように、税収が伸び悩み、経常的な支出が増加する中にあっても、複雑化・多様化する新たな社会課題への対応が求められています。これまでの行政側からだけのサービス提供という視点を転換し、「諸力融合」による課題解決に向けた取り組みをさらに進めていく必要があります。

 そのため、平成28年度予算は、『2020プラン後期基本計画』と『日野市まち・ひと・しごと創生総合戦略』を中心に、限られた財源を効率的・効果的に配分することを基本に編成いたしました。

 平成28年度の重点施策と取り組みを着実に進めていくためには、限られた経営資源を有効に活用していくことが重要となります。
最終年度となる『第4次行財政改革大綱』を確実に推進し、積極的な歳入確保と徹底した事務事業の見直し・効率化に努めるとともに、行政マネジメントの強化にも取り組んでまいります。

 また、公共施設の老朽化対策などには、基金と市債の活用が必要となりますが、将来にわたる安定的な財政運営のために、基金残高の確保と市債借入の抑制にも努めてまいります。

 次に、平成28年度予算の概要について申し上げます。

 一般会計当初予算案は、615億1,000万円で、前年度比18億5,000万円、3.1%の増となります。

 歳出につきまして、義務的経費では、人件費は一般職の給与改定の影響などから、2.7%増の102億5,056万円となります。また、扶助費も障害者自立支援給付費や生活保護費の増加傾向が続いていることなどから、1.8%増の168億5,424万円となります。公債費は市債借入の平準化と利率の低下傾向から、0.8%減の27億4,858万円となっております。

 また、公共施設の老朽化対策や都市基盤整備の推進などから、維持補修費は29.9%増の4億2,072万円、普通建設事業費は6.3%増の42億6,929万円となっております。

 このほか、子育て支援の充実なども、一般会計予算の伸びに影響しております。

 次に、歳入につきまして、市税は1.5%増の298億4,782万円を見込みました。法人市民税は減収となりますが、個人市民税は、20歳以上の人口増加、雇用・所得環境の改善傾向などから増収となり、固定資産税、都市計画税も新築家屋の増加などから増収となります。

 地方譲与税及び各種交付金等の総額は50億2,200万円で、平成27年度の地方消費税交付金の増額のような大きな変動は無く、200万円の微増となります。

 次に、普通交付税は、引き続き交付団体となる見通しで、平成27年度の決定額5億9,827万円から16.4%減の5億円を見込んでおります。
国庫支出金及び都支出金は、歳出における扶助費や普通建設事業費の増加などから、総額で4.6%増の165億2,312万円となります。

 また、基金の取り崩しとなる繰入金は3.8%減の27億6,097万円を、市債の借入は15.4%増の33億9,700万円を予定しております。

 次に、特別会計当初予算案につきましては、総額549億67万1,000円で、前年度比4億5,471万3,000円、0.8%の減となります。

 これは、主に国民健康保険特別会計が、加入者の減少による保険給付費の減少などから1億7,797万円、0.9%の減となったこと、下水道事業特別会計が、多摩平地域の雨水管きょ整備事業の完了などにより、6億5,698万円、11.9%の減となったことによるものです。

 以上をもって、所信とさせていただきます。

 市議会議員各位ならびに全ての市民の皆さまに重ねてご理解、ご協力をお願い申し上げます。