農業基本条例を策定するにいたった背景

日野市において、農地は長い歴史のなかで生活基盤として新鮮で安全な農産物を提供し、良好な都市環境を保全していく上で多面的で重要な役割を果たしてきましたが、環境保全に向けた農業の実現、ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う自由化の進展、新食糧法制定など大きな転換期を迎え、新たな発展を模索し始めていた中、貴重な自然である農地・農業を守ると共に、農業の抱える様々な課題等に対し市民の理解を得ながら、農業を永続的に育成していけるように、条例制定に着手することになりました。

農業基本条例を策定するにあたって留意した点

(1) 農業振興計画で定める基本施策を条例で位置づけ、計画との担保性を図る。

(2) 市・農業者・市民それぞれに責務を定める。

(3) 市長の付属機関として「農業懇談会」を設け、常に市民や農業者の意見が反映されるように道を開く。

制定されるまでの経過について

主管課である産業振興課が条例の原案をまとめ、農業委員会に原案を示し、策定部会を設置しました。農業委員会の意見等を踏まえ、最終的な原案の取りまとめを行いました。平成10年3月の市議会定例会に条例案を提出し、委員会では全会一致で可決され、本会議で議決された。平成10年3月31日制定、同年7月1日から施行されました。 

農業基本条例の特色

(1) 基本理念

農業振興は、新鮮で安全な農産物の供給を受け、自然環境を享受する全ての市民にかかわる施策として、将来の世代に継承していくことを目的に行わなければならない

(2) 農業施策の基本事項

農業経営の近代化、環境に配慮した農業、消費者と結びついた生産及び流通、農業の担い手の確保及び育成、農地の保全、災害への対応 など

(3) 推進体制

・農業振興計画の策定

・市、農業者の責務だけでなく市民の責務も明確化

・農業懇談会を設置(公募市民、農業者、農業団体や行政機関の代表)

 条例が制定されたことにより、農業施策がどのように変化したか

「農業は市の基幹産業」として位置づけた農業基本条例において、農業施策の基本事項として、農業経営の近代化、環境に配慮した農業、消費者と結びついた生産及び流通、農業の担い手の確保及び育成、農地の保全、災害への対応 などを掲げています。
   

こうした基本事項を推進していくために、第2次農業振興計画アクションプランを策定して着実な実行を図るとともに、市、農業者の責務だけでなく市民の責務も明確にした推進体制をとっていることに特徴があります。
   

策定した第2次日野市農業振興計画・アクションプランの具体的な施策として、市民による援農ボランティアの養成講座「農の学校」の開校、市民農園の増設・農業体験農園の開設、食育推進事業、女性農業者支援事業、学校給食用地元野菜等供給事業など、市民の理解と協力を得ながら、多くの農業施策を実施し、農地の保全や産業としての農業振興に取り組み続けており、農家と市民の距離は確実に縮まっています。 

条文

平成10年3月31日
条例第1号
   農業は、豊かな自然の恵みを受けて、長い歴史のなかで地域の特性を生かしながら新鮮で安全な農産物を供給し、市民生活の安定に大きな役割を果たしてきた。また、生活基盤である農地は、日野市に残された貴重な自然として緑地や防災空間としてさらには生活に潤いを与える場所を提供するなど、 良好な都市環境を保全していく上で多面的な機能を持っており、 市民生活にとって重要なものとなっている。 他方、農業を取り巻く状況は、地球規模での環境保全に向けた地球にやさしい農業の実現やウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う自由化の進展、 新食糧法の制定など農業の大きな転換期を迎えており、新たな発展の道のりを模索し始めている。   今この農地の持つかけがえのない自然環境に対し、市民の理解を得ながら「市民と自然が共生する農あるまちづくり」を展開し、この産業を永続的に育成していくためこの条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、農業に関する基本理念を定め、日野市(以下「市」という。)の責務を明らかにするとともに、農業に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、農業経営の安定化と市民への新鮮で安全な農産物の供給促進を図り、もって市民及び農業者の健康で文化的な生活の向上に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 農業の振興は、新鮮で安全な農産物の供給を受け自然環境を享受するすべての市民にかかわる施策として、将来の世代に継承していくことを目的として行われなければならない。
2 市民と自然が共生する農あるまちづくりを構築するためには、これを目的とするすべての者の積極的な取組と相互の協力によって行われなければならない。

(農業施策の基本事項)

第3条 市は、第1条の目的を達成するため、次の各号に掲げる事項につき農業施策を総合的に推進しなければならない。
(1) 農業経営の近代化
(2) 環境に配慮した農業
(3) 地域性を生かした農業生産
(4) 消費者と結びついた生産及び流通
(5) 農業用水路の継続保全
(6) 農業の担い手の確保及び育成
(7) 農業者と地域住民との交流
(8) 農地の保全
(9) 災害への対応

(市の責務)

第4条 市は、前条の施策を推進するため、将来にわたった総合的な農業振興計画を策定し、実施する責務を有する。

(農業者の責務)

第5条 農業者は、生産活動を行うに当たって市民への新鮮で安全な農産物の供給、環境保全等に十分配慮するとともに、市と連携を取りながら農業振興計画の実現に向け、努力しなければならない。

(市民の責務)

第6条 市民は、自然環境を保全し、新鮮で安全な農産物の生産を維持することができるよう市及び農業者に対し、協力するものとする。

(農業団体及び関係行政機関との連携)

第7条 市は、農業振興計画の推進に関して農業団体、東京都その他関係行政機関と連携を保ちながら施策実現に努めるものとする。

(農業懇談会)

第8条 農業施策の推進について、調査し、意見を求めるため、市長の附属機関として、日野市農業懇談会(以下「懇談会」という。)を置く。
   2 懇談会は、農業振興計画の見直しに係る事項について調査検討し、結果を市長に報告する。
   3 懇談会は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する委員12人以内をもって組織する。
(1) 市民(公募による。) 3人
(2) 関係機関の代表 6人
ア 日野市農業委員会委員 2人
イ 農業協同組合の代表 2人
ウ その他行政機関の代表 2人
(3) 農業者 3人
   4 委員の任期は3年とし、補欠委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
   5 懇談会に会長を置き、委員の互選により定める。
   6 会長は、会務を総理する。
   7 会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、あらかじめ会長の指定する委員がその職務を代理する。
   8 懇談会は、会長が招集し、委員の3分の2以上が出席しなければ会議を開くことができない。
   9 懇談会の庶務は、まちづくり部において処理する。
(平成11条例27・平成15条例37・一部改正)

(委任)

第9条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。

付 則

この条例は、平成10年7月1日から施行する。

付 則(平成11年条例第27号)

この条例は、平成12年4月1日から施行する。ただし、第2条の規定は平成13年10月12日から、第4条の規定は平成13年2月19日から、第5条の規定は平成12年12月24日から、第6条の規定は平成13年9月1日から、第9条の規定は平成11年8月9日付けで日野市教育委員会が委嘱し、又は任命した日野市余裕教室活用計画策定委員会委員の任期の末日の翌日から、第11条の規定は平成12年5月1日から施行する。

付 則(平成15年条例第37号)

この条例は、平成16年4月1日から施行する。