第1 日野市障害者差別解消推進条例とは  1 目的  日野市障害者差別解消推進条例は、全ての市民が障害の有無によって分け隔てられることなく、互いに人格と個性を尊重し合う共生社会を実現することを目的に制定されました。  2 定義等   (1)障害者     障害者手帳の有無に関わらず、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、高次脳機能障害、難病、その他の心身の障害があり、障害及び社会的障壁により継続的又は断続的に日常生活や社会生活に相当な制限を受ける状態にある人のことです   (重複障害者を含む)。   (2)社会的障壁     社会の様々な仕組みや社会的構造物が、障害のない人を中心として発展した結果、障害者が日常生活や社会生活を営む上で妨げとなっていることを意味します。建築物などのハード面だけでなく、障害のない人を前提として作られた制度やルール、常識・慣行等あらゆるものを含みます。障害者差別解消法第2条第2号の規定と同じ趣旨となります。   (3)障害を理由とする差別     不当な差別的取扱いを行うこと、および合理的配慮を提供しないことを指します。 詳細は後述します。   (4)不当な差別的取扱い     間接差別、関連差別を含むあらゆる区別、排除又は制限であって、障害者を障害者でないものと比べて不利に取り扱うことを、不当な差別的取り扱いと定義します。    ※「間接差別」:外形的には中立の基準、規則、慣行ではあっても、それが適用されることにより結果的には他者に比較し不利益が生じる場合。      (事例:説明会に手話通訳者がいないため、内容が分からなかった)     「関連差別」:障害に関連する事由を理由として行われる区別、排除又は制限。      (事例:介助犬を連れていることを理由に入店を拒否された。)   (5)合理的配慮     (6)の障害の社会モデルを踏まえたもので、障害者が、他の者と等しく、全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するために必要となる適切な調整や変更を過重な負担の生じない範囲で行うことです。過重な負担については、個別の事案ごとに、事務・事業への影響の程度や実現可能性の程度、費用・負担の限度等を考慮しつつ、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。詳細は後述します。   (6)障害の社会モデル     障害者が日常生活または社会生活において受ける制限は、その心身の機能の障害のみに起因するものではなく、社会的障壁と相対することによって生ずるものであるとする考え方です。社会的障壁を取り除くことは、障害者だけでなく、すべての市民が暮らしやすいまちづくりにつながります。   (7)市民、事業者     「市民」は、日野市内に居住する人に加え、日野市に在勤・在学する人、および 市を訪れる人を含みます。買い物や観光等で市を訪れる人を含めている点が、日野 市の条例の特徴です。     「事業者」は、市内で商業その他の事業活動を行う者をいいます。 3 差別解消のための措置等  差別解消条例では、市の職員に加え、民間事業者にも合理的配慮提供の義務が課されています。また、市・民間事業者・市民に、障害者及びその家族に対する不当な差別的取り扱いを禁止している点が、日野市の条例の特徴です。家族が障害者を隠したり、隔離したりするようなことが起こるのは、家族への差別があるからだという考えに基づいています。 不当な差別的取扱い 合理的配慮の提供 市・民間事業者 障害者及びその家族に対する不当な差別的取扱いが禁止されます。 障害者に対し、合理的配慮を行わなければなりません。 市民 障害者及びその家族に対する不当な差別的取扱いが禁止されます。 4 障害者差別に関する相談体制整備、紛争防止・解決の仕組み (1) 相談機関 条例の施行に併せて障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるための相談窓口の設置と、紛争を解決するための機関「日野市障害者差別解消支援地域協議会」の設置をします。 障害者、その家族若しくは関係者又は事業者若しくは市民は、障害を理由とする差別に該当すると思われる事案について市及び市が指定した以下相談機関に相談をすることができます。 相談機関 住所 連絡先 備考 障害福祉課 神明1-12-1 日野市役所1階 ?514-8991 ??583-0294 月〜金(祝日、年末年始除く) 8:30〜12:00 13:00〜17:15 日野市発達・教育センター エール 旭が丘2-42-8 ?589-8877 ??514-8740 月〜金(祝日、年末年始除く) 9:00〜12:00 13:00〜18:00 自立生活センター日野 高幡2-9 ウイステリアガーデン1階 ?594-7401 ??594-7402 月〜金(祝日、年末年始除く) 9:00〜17:00 地域生活支援センター ゆうき 高幡864-15 ?591-6321 ??599-7203 月〜金(祝日、年末年始除く) 9:30〜17:30 指定相談事業所 やまばと 旭が丘2-42-5 ?582-3400 ??582-3302 月〜金(祝日、年末年始除く) 9:00〜17:00 相談機関で受けた相談は、速やかに障害福祉課に報告(相談受付票)し、障害福祉課にて以下の対応を進めます。 (1) 事実の確認及び把握 (2) 必要な情報提供および助言 (3) 差別事案の関係者間の調整 (4) 関係行政機関への紹介及び連携 紛争を解決するための市長の附属機関である「日野市障害者差別解消支援地域協議会」を設置します。日野市障害者差別解消支援地域協議会は、以下の対応を行います。 相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑におこなうための協議を行います。 @障害者差別に関する事例共有、情報交換 A障害者差別の解消を推進するための取組 Bその他障害者差別に関すること (2) 市の各部署による相談受付 市の各部署では、当該部署に関係する差別等事案(合理的配慮の提供含む。)に関する相談を受け付け、日野市障害者差別解消推進条例第3条に規定する基本理念を踏まえて各部署で適切な対応をします。相談を受け付け次第、各部署は速やかに市障害福祉課に報告します。※ 様式は庁内情報システムび書式集からご利用ください。 日野市障害者差別解消推進条例(抜粋) (基本理念) 第3条 障害を理由とする差別の解消は、次に掲げる事項を基本理念として図られなければならない。 ? 障害のある人もない人も等しく全ての人権及び基本的自由を享有する個人としてその尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること。 ? 社会的障壁の除去や合理的配慮の提供は、障害の社会モデルを踏まえて、障害の有無にかかわらず全ての市民にとって有益であることを認識し、互いに協力する必要があること。 ? 障害者が社会を構成する一員として、生涯にわたって、社会、政治、経済、教育、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。 ? 障害者は、どこで誰と生活するかについての選択の機会が保障されること。 ? 障害者は、言語(手話等を含む。)、点字、音声情報、イラストその他の意思疎通のための手段が最大限に確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会が拡大される必要があること。 ? 障害のある女性が、障害及び性別による複合的な原因により困難な状況に置かれている場合等、障害者が性別や年齢等の複合的な原因により困難な状況に置かれている場合は、その状況に応じた適切な配慮がなされること。また、障害のある児童に対しては、障害のある成人と異なる支援を必要とすること。 第2 対応要領の趣旨  1 目的   この対応要領は、障害者差別解消法第10条の規定に基づき定めるものです。   地方公共団体における対応要領の策定は努力義務ですが、市では、法の趣旨を庁内に浸透させ、障害を理由とする差別の解消に向けた取組みを積極的に推進するために、この対応要領を策定することとしました。   市職員(非常勤職員、臨時職員を含む。以下「職員」という。)は、職務の遂行に当たっては、障害者差別解消法及び条例の趣旨を理解し、この対応要領に定める基本的事項に基づき、障害者に対して適切に対応しなければなりません。   また、この要領を受けて各部署の業務に関して適切な対応ができるよう、各課において 障害を理由とする差別の解消の推進に関する 「取組方針」「各課対応シート」(43、44,45ページ参照)を作成することとします。  2 対象範囲   日野市職員対応要領           ・市長部局 ・議会事務局 ・選挙管理委員会事務局 ・監査委員事務局 ・教育委員会事務局 ・農業委員会事務局 第3 障害を理由とする不当な差別的取扱いについて  1 基本的考え方 障害者差別解消法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、サービスの提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、条件を付けるなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止しています。また障害者差別解消推進条例では、障害者の家族に対する不当な差別的取扱いを含め禁止しています。 なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではないことに留意する必要があります。 したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、障害者差別解消法・障害者差別解消条例に規定された合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供するために必要な範囲で、プライバシーに考慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たりません。  2 不当な差別的取扱いの具体例及び解説   市が事務又は事業を実施するに当たり、職員が次の例示のような取扱いをすることは「不当な差別的取扱い」となります。    (1) 全般 * 事務又は事業の遂行上、特に必要でないにも関わらず、障害があることを理由に、来庁等の際に付添者の同行を求めるなどの条件を付ける。 * 身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬など)の同伴を拒む。 (2) 窓口対応、コミュニケーション * 障害があることを理由に窓口での対応を拒む。 * 障害があることを理由に対応の順番を後回しにする。 * 障害があることを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。 * 障害者本人を無視して、介助者や付添者にのみ話しかける。 (3) 会議・講演会・説明会等 * 障害があることを理由に説明会、シンポジウム、行事等への出席・参加を拒む。 (4) 教育・療育・保育   ●*障害者や家族の意思を尊重せず、必要な情報提供や説明を行わずに、就学する学校等を決定する。   ● 障害をあることを理由に、教育の機会を提供することを拒否し、又は提供する教育内容を一部制限する。   ● 障害があることを理由に、保育を拒否し、又は制限する。   ● 障害のある子供の年齢や特性に応じ、その特性を踏まえた保育が受けられるようにするための支援を行う必要があります。 (5) 福祉・医療及び保健サービス   ● 障害者の意思に反して、福祉サービスの利用に関する適切な相談及び支援を行わずに、施設入所や通所、訪問等の福祉サービスの利用を強制・拒否・制限する。   ● 障害があることを理由に、医療又は保健サービスの提供を拒否・制限する。   ● 障害者の意思に反して、長期間の入院を含む医療を受けることを強制し、又は隔離する。   ● 福祉サービスは、障害福祉サービス、介護保険サービス等すべての福祉サービスを含みます。医療及び保健サービスは、病院、診療所、助産所、薬局、訪問看護ステーション等の医療、健康診査や予防接種、健康教室などの保健サービスを指します。 (6) 雇用及び就労   ● 労働者の募集又は採用に関し、障害者の募集又は採用を行わない。   ● 障害者の雇用に関し、賃金、労働時間、配置、昇進、教育訓練、福利厚生等の労働条件について、障害者でない者と異なる不利益な取扱いをする。 (7) 公共的施設の提供   ● 障害を理由として、障害者の利用を拒否し、制限する。公共的施設とは、官公庁が設置する市役所・公園・道路・図書館・学校(災害時の指定避難所を含む)等のほか、鉄道・バス・タクシーなどの車両等、駅やバス停等の交通施設、病院・店舗・劇場・集会場等の不特定多数の人の利用に供する施設をいいます。 (8) 公共交通サービス   ● 公共交通機関の利用の際、障害があることを理由に、利用を拒否・制限する。 (9) 情報の提供等   ● 障害者に対する情報の提供を拒否する、障害者本人でなくその家族や支援者のみに対して情報を提供する。 ● 障害者が選択した手段による意思表示を受けることを拒否する、障害者から受ける意思表示の手段を制限する。   ● 障害のない人と障害者に同様に情報が保障されるためには、情報を提供する側が個別の障害特性を理解し、配慮を行う必要があります。 (10) 商品の販売又はサービスの提供   ● 障害があることを理由に商品の販売若しくはサービスの提供を拒否し、制限する。   ● 商業施設や店舗、飲食店や遊戯施設等での商品の販売やサービスの提供全般を指します。 (11) 不動産取引   ● 不動産の売買、賃貸借その他の不動産取引の際、障害者や障害者と同居する者に対して、障害を理由に取引を拒否・制限する。 (12) 災害・防災   ● 避難・避難生活の際、障害者でない者と異なる不利益な取扱いをする。   ● 災害訓練や防災活動の際、障害者の参加を拒否する。 (13) 文化・芸術・スポーツ   ● 文化・芸術・スポーツに関する活動の際、障害があることを理由に参加を拒否する。  3 正当な理由の判断の視点   不当な差別的取扱いであるかどうかは、その取扱いを行う正当な理由の有無により判断されます。   正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービス(※)や各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが、客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合のみです。   例えば、上記の「公共的施設の提供」「公共交通サービスの利用」では、建物・施設や公共交通機関等の構造の問題や、障害者の生命及び身体の保護のためにやむを得ないと認められる場合等の理由は正当な理由に相当します。   ※財・サービスとは、人にとって価値のあるもののことで、道路のような有形物を「財」、教育や医療のような無形物を「サービス」といいます。   正当な理由に相当するかどうかについて、職員は個別の事案ごとに、下記の観点から、具体的な場面や状況に応じて総合的・客観的に判断する必要があります。   ・障害者、民間事業者、第三者の権利利益 (例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等) ・市の事務又は事業の目的、内容、機能の維持等   職員は、障害者に対する不利益な取扱いについて、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明し、理解を得るよう努める必要があります。   また、「正当な理由」を根拠に、不当な差別的取扱いを禁止する障害者差別解消法の趣旨が形骸化されるべきではありません。単に抽象的に事故の危惧がある、危険が想定されるといった理由によりサービスを提供しないことは適切ではありません。 第4 合理的配慮の提供    1 基本的考え方 (1)  合理的配慮とは    障害者差別解消推進条例は、行政機関・事業者に対し、その事務又は事業を実施するに当たり、障害者本人等から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合、その実施に伴う負担が過重でない時は、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)を行うことを求めています。    合理的配慮は、障害者が受ける制限について、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生じるものとの「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することにならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組みであり、その実施に伴う負担が過重でないものです。   障害のある方は、ある一つの目的について、障害の特性に応じて、障害のない方と違う方法をとることで、障害があっても、障害のない方と平等の結果が得られるようになります。この際、「違う方法」を取れるように調整することが、合理的配慮です。合理的配慮の提供を行わないことは差別に当たります。    また、合理的配慮は、市の事務又は事業の目的、内容、機能の本質的な変更には及ばないことに留意が必要です。    合理的配慮は、障害の特性や具体的場面によって異なる、多様で個別性の高いものです。障害者が実際に置かれている状況を踏まえ、取り得る手段及び方法について、それが過重な負担を伴うものかどうか、様々な要素を考慮し、双方の建設的対話による相互理解を通じ、代替措置の選択も含め、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応する必要があります。    さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変遷することにも留意すべきです。。     合理的配慮が必要な障害者の利用が多く見込まれたり、障害者との関係が長期にわたる場合等には、いわゆるバリアフリー化や、情報保障のための機器の導入を行うこと、障害理解等をテーマとした職員研修の実施等により、合理的配慮を円滑に提供できるようにすることが必要です。     (2)  意思の表明の方法    意思の表明は、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを、言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えることをいいます。    また、障害者本人からの意思の表明のみでなく、障害者の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行うものも含まれます。なお、意思の表明がない場合であっても、障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である時には、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提供するために、職員自らが建設的対話を積極的に働きかけることが望まれます。 (3)  合理的配慮における過重な負担の基本的考え方    過重な負担については、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明し、理解を得るよう努める必要があります。    次のような視点を踏まえ、個別の状況等に基づき、適切に対応することが重要です。 @ 事務又は事業の影響の程度 ・事務又は事業の目的、内容、機能を損なうか否か ・当該措置を講ずることによるサービス提供への影響、その他の事業への影響の程度 A 物理的・技術的制約、人的・体制上の制約(実現可能性の程度) ・実施場所の立地状況や所有形態等、当該措置を講ずるための機器や技術、人材の確保、設備の整備等の制約に応じた実現可能性の程度 B 費用・負担の程度   ・当該措置を講ずることによる費用・負担の程度 (4)  指定管理者との協定締結や、委託契約締結にあたっての考え方    市がその事務又は事業の全部又は一部を委託等(指定管理を含む)する場合、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生じることにより、障害者が不利益を被ることのないよう、委託等の条件に、職員対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込む必要があります。    市総務課で行う契約については、仕様書の付記事項として「障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供」を明記することとなっています。各課で行う契約で、事務の詳細を記載する際は、各課で必要な配慮を明記する必要があります。  2 合理的配慮の具体例   障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合は、職員は次のような合理的配慮を提供することが求められます。 (1)窓口等で対応を行う場合の具体例 * 本人の障害の特性を踏まえ、手話、筆談、読み上げ、手書き文字(手のひらに、指先等でひらがなやカタカナを書いて言葉を伝えること)、点字、拡大文字などのコミュニケーション手段を用いる。その際、聴覚障害者が手話を活用できる、視覚障害者が点字を読めるなど、先入観を持たず、できるだけ事前に確認する。 * 代読する場合は、個人情報保護の観点から周りに聞こえないよう配慮する。 * 自筆が困難な場合には、本人の意思を確認した上で、可能な限り代筆を行い、代筆した内容を本人に確認するとともに、その旨を記録しておく。 * 自署する場合は、署名欄の部分だけを切り取った枠(サインガイド)を別途用意することで、位置が明確になり署名しやすい方もいる。 * 意思疎通が不得手な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。 * 聴覚障害の方は相手の口の動きを読み取ってコミュニケーションをとる方もいるため、マスクを外し、口を大きく動かし読み取りやすくする。 * 聴覚障害などにより、名前や受付番号を呼ばれても、呼ばれたことがわからない、また視覚障害や知的障害などにより「次の方」と呼ばれても自分のことを呼ばれているのかわからないことがあるため、あらかじめ本人や家族と呼出し方法等を確認する。順番が来た際には、直接本人を呼びに行く等の配慮を行う。 * 順番を待つことが苦手な障害者に対し、他の利用者の合意を得て順番を変更する、また、落ち着いた場所で待てるよう、別室等を案内する。 * 利用者の状況に応じて、カウンターに拡大鏡や筆談器等を用意しておく。 * 予め視覚障害者や聴覚障害者が来庁されることが分かっている場合は、手話通訳者の手配や点字資料等を用意する。時間等の制約で難しい場合には、理解を得る。 * 聴覚障害者が来庁した場合、本人の意思を確認のうえ手話通訳者と共に対応する。 * 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、職員が書類を押さえたり、バインダー等の貸出しを行う。 * 車いす利用者が来庁したら、窓口の椅子をどけて車いすが入れるスペースを作る。 * 複数の窓口で手続きを行う場合、次の窓口まで職員が同行する、移動が困難な方の場合、担当課の職員を呼ぶなど、その場で手続きができるよう配慮する。 手話通訳者を障害福祉課から本庁舎及びひの煉瓦ホール(市民会館)へ派遣します。 平日の昼休みを除く午前8時30分〜午後5時15分 (2)教育、療育又は保育を提供する場合の配慮の具体例 * 座位が保てない子どもに、ベルト付きの椅子や肘掛付きの椅子を用意する。 * 発達に合わせた玩具を用意する。 * 着脱衣の際、必要に応じて椅子を用意する。 * 転倒防止のため、床に物を置かないようにする。 * 弱視等の場合、なるべく明るい場所に誘導し、座ってもらう。 * 感情のコントロールがうまくいかずイライラしたときに、一人になって落ち着ける場所を設ける。 * 思いを上手に伝えることができない場合は、絵カード等、コミュニケーションを支援するツールを活用する。 * 生活面、運動面では必要に応じて保育士等が傍につき援助する。 * 個々の発達や特性に合わせた教材を用意する。 * 授業の際、支援員の動向を認める。 * 入学試験において、本来の目的を損ねない範囲で別室受験、時間延長、読み上げ機能等の使用を許可する。 * ※保護者が障害者の場合であっても、ほかの障害者への合理的配慮と同様の対処が必要です。 (3)生活環境に関する施設、設備又はサービスを提供する場合の配慮の具体例 * 段差がある場合に、車いす利用者に対して、キャスター上げ等の補助をする、携帯用スロープを渡す等を行う。 * 車いすや杖を使用していて手動の扉を開けられない方に対して扉の開閉を手伝う。 * 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、左右・前後・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりする。 * 高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。また、可能な限り障害者が取りやすいよう配慮をする。 * 市の施設内の表示について、車いすの障害者等が見やすい位置に設置するとともに、絵文字(ピクトグラム)を使用するなど表示内容についても配慮する。 * 投票所にわかりやすい移動経路の案内掲示をし、車いすの方等が記入しやすい低い記載台を設置する。 (4)雇用・就労等の環境における具体例 * 車いす利用者には、希望があれば会場出入口の近い所に座席位置を設定する。 * 障害の特性により頻繁に離席がある場合に、座席位置を出入口付近に設定する。 * 状況に応じ、スクリーン、手話通訳者、板書等が良く見えるような席を設定する。 * 障害の特性に応じた労働時間や休憩時間の調整を行う。 * 障害の特性に応じ、仕事内容を一つずつメモで示すなど、ルールを統一する。 * 障害の特性に応じ、室内の温度調整や動線の確保など、労働環境に配慮する。 (5)災害時の配慮の具体例 * 避難所等の建物に段差がある場合、移動しやすいようスロープを設置する。 * 案内にルビを振る。 * 要支援者用に、部屋を分ける。 * 事故や災害時等、聴覚障害者に対し文字情報等音声以外の方法で情報を伝える。 * 避難所などで、人混みが苦手な障害者が落ち着けるような場所を用意する。 * 災害時、避難が困難な障害者に対し、早めに避難の呼びかけを行う。 * 災害時、希望する障害者がいた場合、自宅等に赴いて移送を行う。 (6)その他日常生活社会生活全般に関わる場合における配慮の具体例 * 発達障害や高次脳機能障害により道に迷ってしまう方のために、わかりやすい写真や地図(目印となる建物のイラスト等が入ったもの)を別途用意する、又は目的地まで付き添いを行う。 * 来庁が困難な方について、申請等で可能な場合は郵送やメールでの受付にする。 * 移動に困難を伴う方について、送迎バス等の車両の乗降場所を、施設出入口に近い場所へ変更する。 * 障害者の来庁が多数見込まれる場合、障害者専用とされていない駐車区画を一時的に障害者専用の区画に変更する。 * 建物の入口に段差がある等により、車いす等を使用している方が通常の入口から入館するのが困難な場合、別ルートからの入館を認める。 * 電動車いすの充電に関して、館内の電源から充電することを許可する。 * 体調の変化が大きい方などは、急に体調が悪くなり、動くことができなくなったりすることがあるので、本人に確認し、休憩できる椅子やスペースを用意する等、必要な支援を提供する。また、冷暖房の設定についても本人に確認する。 * 他人との接触や多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等がある場合、当該障害者に説明の上、希望する場合は、別室を用意する。 * 比喩や二重否定表現などを用いずに分かりやすい言葉で説明する。 * 障害者と話す際には、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら対応する。また、馴染みのない外来語は避ける。 * 必要に応じてメモ等を渡す。メモ等書面を示す場合は、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置き、必要に応じてルビを付す、ひらがなを用いる、分かち書き(文章を書くとき、語と語の間に空白を置く書き方)を行う。 * 視覚障害者に対し、パソコンを使用して読み上げることができるよう、電子データで資料を提供する。 * 視覚障害と聴覚障害のある重複障害者に対して、手のひらに文字を書く(手書き文字)方法でコミュニケーションをとる。 (7)会議・説明会等における配慮の具体例 * 電話、電子メール、ホームページ、ファックスなど多様な媒体で情報提供、利用受付を行う。電子データ(テキスト形式)の資料を、パソコンで読上げソフトを用いて読む視覚障害の方もいます。 * 視覚障害者が参加する会議等では、質疑の際、発言者は毎回必ず氏名等を名乗ってから発言する。 * 講演会等の申込みの際に、必要な配慮の有無を確認し、手話通訳者や要約筆記者の手配をする。UDトークを利用する。 * 会議資料等は、資料や資料の項目に番号をつけ、どの部分の話なのか、すぐに探せる工夫をする。また、視覚障害の方に向けて点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意する。 * 精神障害や発達障害等により、スケジュールが事前に分からないと不安になる方に対し、休憩時間も含めた一日のスケジュールを見えるようにする。 * 非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認める。 * 発達障害や高次脳機能障害により道に迷ってしまう方のために、わかりやすい写真や地図(目印となる建物のイラスト等が入ったもの)を別途用意する、又は目的地まで付き添いを行う。    「身体障害者補助犬」は、目や耳や手足に障害のある方の生活を お手伝いします。身体障害者補助犬法に基づき認定された犬で、特別 な訓練を受けています。 【盲導犬】  目の見えない人、見えにくい人が街中を安全に歩けるようにサポートします。障害物を避けたり、立ち止まって曲がり角を教えたりします。ハーネス(胴輪)をつけています。 【介助犬】  手や足に障害のある方の日常の生活動作をサポートします。物を拾って渡したり、指示したものを持ってきたり、着脱衣の介助などを行います。「介助犬」と書かれた表示をつけています。 【聴導犬】  音が聞こえない、聞こえにくい人に、生活の中の必要な音を知らせます。玄関のチャイム音・FAX着信音・赤ちゃんの泣き声などを聞き分けて教えます。「聴導犬」と書かれた表示をつけています。  補助犬の同伴については、身体障害者補助犬法で、人が立ち入ることのできる様々な場所で受け入れるよう義務付けられています。 ○補助犬の同伴を受け入れる義務がある場所 ・国や地方公共団体などが管理する公共施設・公共交通機関(電車、バス、タクシーなど) ・不特定かつ多数の人が利用する民間施設(商業施設、飲食店、病院、ホテルなど) ・事務所(職場):国や地方公共団体などの事務所、従業員50人以上の民間企業   ※事務所(職場)で従業員50人未満の民間企業や民間住宅も、努力義務です。 ○補助犬の受入れにあたっての留意事項 ・補助犬は、ユーザーの指示に従い待機することができるので、特別な設備は必要ありません。 ・補助犬の同伴を受け入れる際に他の来庁者から苦情がある場合は、「身体障害者補助犬法」で受入義務があること、補助犬の行動や健康の管理はユーザーが責任を持って行っていることを説明し、理解を求めてください。 ・補助犬が通路をふさいだり、周りのにおいを嗅ぎ回ったり、その他、何か困った行動をしている場合は、そのことをユーザーにはっきり伝えてください。 ・補助犬を同伴していても、補助犬ユーザーへの援助が必要な場合があります。困っている様子を見かけたら、まずは声をかけたり、筆談をしたり、コミュニケーションをとってください。 ※「ほじょ犬もっと知ってBOOK」(厚生労働省)より一部引用 【DAISY(デイジー)とは】  Digital Accessible Information Systemの頭文字をとったものです。  音声データを独自の形式で圧縮し、章や節ごとに「見出し」をつけることができる検索性の高い音声媒体です。ただし、一般のCD再生機では聞くことができない方式のもので、専用の再生機や専用のソフトをインストールしたパソコンが必要になります。 【音声コードとは】  QRコードと同じ印刷物上の切手大の二次元コードです。漢字を含めた活字文書を約800文字格納できる音声コードは、マイクロソフト社製のワープロソフト「Word」に音声コード作成ソフトをインストールすることで簡単に作成することができ、活字文書読上げ装置で読むことが可能です。  音声コードを印刷する場合は、視覚障害者が音声コードに気付くことができるよう、所定の位置に切り欠きを入れることが必要です。  ※切り欠きが2つの時は、両面に音声コードがあることを意味しています。 例     第5 様々な場面における対応例  1 対応の基本と考え方   「障害者だから」と特別扱いをするのではなく、まずは接遇の基本に立ち返り、丁寧な対応を心がけることが大切です。   障害者差別解消推進条例が求める対応は、特に新しいものではなく、従来から様々な場面で行われてきた配慮等もたくさん含まれています。   障害者差別解消推進条例は、すべて一律の対応ではなく、様々な場合や障害のある方の状況に応じ、寄り添い、柔軟に対応することを求めています。   また、障害者は「障害」のある人ではなく、障害のある「人」です。障害に関する配慮は必要ですが、それ以上に、一人の個人として、対応することが大切です。   障害者との対話を通じて、日常生活や社会生活を送る中で生じる、障害を理由とする困難さを少しでも軽減するため、以下を参考にこれまでの取組みを振り返ってみてください。 (1) 相手の「人格」を尊重し、相手の立場に立ち対応します。 * 相手の立場に立ち、「明確に」「丁寧に」わかりやすい対応を心がけます。 * 介助者や手話通訳者ではなく、障害者に直接対応するように心がけます。 * 思い込みや押しつけにならないよう、どのような配慮が必要か、本人が必要と考えていることを確認します。 (2) 困っている方には進んで声をかけます。 * 窓口等を訪れる方の障害の有無や種類は明確ではないため、常に、来庁者の中には 障害者がいるかもしれないこと、自分から合理的配慮を申し出ることが難しい場合もあることを念頭に置いて、困っているような様子が見受けられたら、「お手伝いしましょうか?」等と、こちらから声をかけるようにします。 * その際、障害の種類や内容を問うのではなく、「どのような手助けが必要か」を本人に尋ねます。 * 状況に応じて「はい」「いいえ」で答えられる質問を使い、相手の意思を確認します。 * 本人が「ヘルプマーク」や「ヘルプカード」を持っているときは、書かれた内容を確認し、必要な支援を行います。 (3) コミュニケーションを大切に、柔軟な対応を心がけます。 * こちらから挨拶や自己紹介をします。 * 会話が難しいと思われる場合でも、敬遠したり分かったふりをしたりせず、「ゆっくり」「丁寧に」「繰り返し」相手の意思を確認し、信頼感の持てる対応をします。 * 聞き取れなかったり、分からなかった場合は、分かったふりをせず、相手を傷つけないよう尋ね方に留意した上で確認します。 * 対応方法は一つではないことに留意し、建設的な対話を通じて個々の場面や障害特性に応じ、柔軟な対応を心がけます。 * 対応方法がよく分からない時や想定外のことが起きたときは、一人で抱えず周囲に協力を求めます。 (4) 言葉遣いやプライバシーにも配慮します。 * 差別的な言葉はもとより、子供扱いした言葉は使わず、馴れ馴れしい態度をとらないようにします。 * 自分では、相手に不快を与えるおそれのある言葉・表現と気付かずに使ってしまうこともないとはいえません。そのような指摘を受けた時は、厳粛に受け止めてお詫びし、今後の対応に生かすことはもとより、職員間で気づいた場合にも見過ごさず、お互いに注意し合うようにします。 * 障害の原因や内容について、必要ないのに聞いたりしません。 * 仕事上知り得た個人情報については、守秘義務を徹底します。 2 様々な場面における共通的な対応 (1) 案内・誘導 * 入口付近で困っていそうな方を見かけたら、「お手伝いしましょうか」等、積極的に声をかけます * 障害の特性に応じた方法で「明確に」「ゆっくり」「丁寧に」「繰り返し」説明します。声かけは、相手のペースに合わせて丁寧に行います。 * ドアの開閉が困難な方には開閉をお手伝いします。 * 受付の手順等については、障害の特性と必要性に応じ、慣行を柔軟に変更します。 (2) 相談・説明 * 相談内容の把握が難しい場合は、必要に応じて複数の職員で対応します。 * 的確に伝わるように、「明確に」「ゆっくり」「丁寧に」「繰り返し」説明します。 * 伝えることや理解することに配慮が必要な方に対しては、必要に応じ、絵、図、写真等も使って説明します。 * 事前に来庁が分かっている場合は、障害特性に応じた方法で説明できるよう、あらかじめ説明資料等の準備をしておきます。 * 専門的な用語を避け、ポイントを明確に、文章は短く、一般的な分かりやすい言葉で説明します。 (3) 手続 * 書類の記入方法については、記入例も含めて文書で大きく分かりやすく表示しておきます。 * 書類の記入の仕方が分からない方には、「お手伝いしましょうか」と声をかけます。 (4) 緊急時の対応 * 火災等の緊急時には、障害の特性に合わせたコミュニケーション方法により、情報を的確に伝達し、迅速に避難誘導します。 * 日常的な避難訓練において、障害のある方を交えた上で、車いすやアイマスクを用いた疑似体験を実施し、安全な避難方法を確認するなど、自力での移動が困難な方の補助体制を確保できるように努めます。 * 避難路の段差をなくすとともに、荷物等で通路をふさがないようにします。 * 急病時に本人がかかりつけの医療機関への連絡を希望する場合は、協力します。 義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、 妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮 を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としてい ることを知らせることができるマークです。 ※必要な方には障害福祉課で配布していますので、ご案内 ください。 【ヘルプマークに関する問合せ先】東京都福祉保健局障害者施策推進部計画課 障害者が普段から身につけておくことで、緊急時や災害時、  困った際に、周囲の配慮や手助けをお願いしやすくするカード  です。都内の各区市町村が作成・配布しています。   ヘルプカードには、緊急連絡先や必要な支援内容等が記載さ  れています。記載内容に沿った支援をお願いします。  ※必要な方には障害福祉課、七生支所、日野市発達・教育支援  センター「エール」等で配布していますので、ご案内ください。 ※記載内容は一人ひとり違います。 3 環境の整備  障害者差別解消法では、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための環境の整備に努めることとしています。  この環境の整備とは、合理的配慮が必要な障害者の利用が多く見込まれたり、障害者との関係が長期にわたる場合等には、いわゆるバリアフリー化や、情報保障のための機器の導入などの対応を行うことです。 <整備の例> * 窓口への筆談ボードやコミュニケーションボードの設置とその使用方法を学ぶ研修等の実施 * 受付番号等を表示できる掲示板の設置 * 窓口への簡単な手話ができる職員の配置 * 車いすの貸し出しの準備、車いす対応席の設置 * 新しい施設の建設や施設の改修の際は、バリアフリー化を行う。 * 案内図や掲示物の配色の工夫、絵記号の使用  その都度の合理的配慮の提供ではなく、「環境の整備」を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要です。  また、環境の整備には、ハード面のみならず、職員に対する研修等のソフト面の対応も含まれます。 <研修の例> * 障害当事者等を講師とした研修 * この職員対応要領を活用した研修 第6 管理者の責務  職員のうち、課長級以上の地位にある者(以下「管理者」という。)は、障害者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう注意するとともに、障害者に対して合理的配慮の提供がなされるよう留意しなければなりません。また、職員が障害特性や障害者差別解消法・条例に関することを学ぶ研修等へ積極的に参加できるよう配慮します。  管理者は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合は、関係課等と連携し、迅速かつ適切に対応しなければなりません。 第7 障害特性と特性に応じた対応    障害には、さまざまな種類があり、特徴も対応方法もそれぞれ異なります。以下に、代表的な障害の特性と対応時の配慮点をまとめていますので、日々の対応の参考にしてください。 ただし、あくまで代表的なものであり、対応する際は一人の個人として尊重し、柔軟に対応することが大切です。合理的配慮の具体例(11〜15ページ)も参考にしてください。  1 視覚障害 (1) 主な特性  生まれつきの場合もあるが、糖尿病性網膜症などで受障される方も多く、高齢者では、緑内障や黄斑部変性症が多い。見え方・見えづらさは、個人差が大きく、外見からでは判断できないことに留意が必要です。 @ 視力障害  視覚的な情報を全く得られない又はほとんど得られない人と、文字の拡大や視覚補助具等を使用し保有する視力を活用できる人に大きく分けられる(全盲、弱視といわれることもある)。 ・視力をほとんど活用できない人の場合、音声、触覚、嗅覚など、視覚以外の情報を手がかりに周囲の状況を把握している。 ・文字の読取りは、最近では画面上の文字情報を読み上げるソフトを用いてパソコンで行うこともある。(すべての視覚障害者が点字の読み書きができるとは限りません。) ・弱視の方は、補助具を使用したり文字を拡大したり近づいて見るなどの様々な工夫をして情報を得ている。 A 視野障害 目を動かさないで見ることのできる範囲が狭くなる、又は欠ける障害。    ・「求心性視野狭窄」:見える部分が中心だけになって段々と周囲が見えなくなる              遠くは見えるが足元が見えず、つまづきやすくなる    ・「中心暗点」:周囲はぼんやり見えるが真ん中が見えない           文字等、見ようとする部分が見えなくなる (2) 特性に応じた対応 * 声をかける時には、前か横から近づき「○○さん、こんにちは。職員の△△です。」などと自ら名乗る。 * 誘導する際は、介助者の腕や肩をつかんでもらい、歩く速度を相手に合わせることを基本とする。腕や白杖をつかんだり、肩や背中を後ろから押さない。 * 音声や点字表示など、視覚情報を代替する配慮を行う。 * 説明するときには「それ」「こっち」「このくらいの」などと指差し表現や指示代名詞で表現せず、「あなたの正面」「○○くらいの大きさ」などと具体的に説明する。 * 白杖を用いた歩行や点字の解読が困難な人も多いことに留意する。 * 通路(点字ブロックの上等)に通行の妨げになるものを置かない。 * 日頃、視覚障害者が使用している物の位置を変えない。 * 主に弱視の場合、室内における照明の状況に応じて、窓を背にして座ってもらうなどする。  【対応事例】 @ 本人の希望を確認してから誘導を 白杖をつきサングラスをかけた方が窓口等に来庁したら、職員は窓口を出て「こんにちは、職員の○○です。ご案内しましょうか?」と声をかけると、その方は必要に応じて介助を頼むことができます。 A アンケートも多様な方法で  アンケート調査を行う際、調査票を印刷物で配布するだけでなく、市ホームページに電子データを掲載するなど、テキストデータで配布することで、パソコンの読上げソフトを利用した回答を受け取ることができます。    2 聴覚障害 (1) 主な特性  ・生まれつき耳の聞こえない方は、手話でコミュニケーションをとる人も多い。   ・コミュニケーション方法には手話、筆談、口話など様々な方法があるが、どれか一つで十分ということではなく、多くの聴覚障害者は話す相手や場面によって複数の方法を組み合わせるなど使い分けている。   ・難聴者(少しでも音声が聞こえる人)は、補聴器や人工内耳で聞こえを補うことが多い。  ・補聴器や人工内耳を装用している場合、スピーカーを通じた音等、残響や反響のある音は、聞き取りにくい。   ・聴覚障害は外見上分かりにくい障害であり、その人が抱えている困難も他の人からは気づかれにくい側面がある。   (2) 特性に応じた対応 * 手話や文字表示、手話通訳者や要約筆記者の配置など、目で見て分かる情報を提示したりコミュニケーションをとるよう配慮する。 * 音声だけで話すことは極力避け、視覚的な情報も併用する。 * スマートフォンなどのアプリに音声を文字に変換できるものがあり、これらを使用すると筆談を補うことができる。 * 補聴器や人工内耳を装用している人に、マイクやスピーカーの音声を伝えるために、代替する対応(磁気ループ※の利用等)も必要に応じて検討する。    ※磁気ループとは、補聴器を使用している聴覚障害者が、広い空間や騒音の多い場所において、音声を正確に聞き取るために聴力を補うための集団補聴設備の一種です。音声データを磁気に変換し、敷設したワイヤーから発生された磁気を、ループ内側にある補聴器で受信して音声信号に変えることで、目的の音声を届けることができます。磁気ループの貸出しについては障害福祉課にご相談ください。 * 話をする際は、介助者ではなく本人の目や顔をしっかりと見て、十分に理解できたかどうか、表情等を見て確認する。    【対応事例】 @ 窓口での呼出し方法の改善  聴覚障害の方は、発語が可能でも、聞取りが困難な場合があります。窓口等に来庁した際は、呼出し方法を事前に確認し、文字情報での呼出しや直接呼びに行くなどの配慮を行う必要があります。 A 研修会等での配慮  聴覚障害者が研修会や会議等に参加する場合は、その方に合ったコミュニケーション方法を事前に伺う必要があります。補聴器で聞き取ることが可能か、手話通訳者や要約筆記者の派遣が必要かを伺い、対応することができます。  3 盲ろう(視覚と聴覚の重複障害) (1) 主な特性  ・視覚と聴覚の重複障害の人を「盲ろう」と呼んでいるが、障害の状態や程度によって様々なタイプに分けられる(視覚障害、聴覚障害の項も参照のこと)。   <見え方と聞こえ方の組合せによるもの> @ 全く見えず聞こえない状態の「全盲ろう」 A 見えにくく聞こえない状態の「弱視ろう」 B 全く見えず聞こえにくい状態の「盲難聴」 C 見えにくく聞こえにくい状態の「弱視難聴」   <各障害の発症経緯によるもの> @ 盲(視覚障害)から聴覚障害を伴った「盲ベース盲ろう」 A ろう(聴覚障害)から視覚障害を伴った「ろうベース盲ろう」 B 先天的、あるいは乳幼児期に視覚と聴覚の障害を発症する「先天性盲ろう」 C 成人期以後に視覚と聴覚の障害が発症する「成人期盲ろう」   ・盲ろう者が使用するコミュニケーション手段は、障害の状態や程度、盲ろうになるまでの経緯、あるいは成育歴、他の障害との重複の仕方によって異なり、介助方法も異なる。   ・テレビやラジオを楽しんだり本や雑誌を読むことなどもできず、家族といてもほとんど会話がないため、孤独な生活を強いられることが多い。 (2) 特性に応じた対応 * 障害の状態や程度に応じ、視覚障害や聴覚障害の人と同じ対応が可能な場合もあるが、同様な対応が困難な場合が多く、手書き文字(手のひらに、指先等でひらがなやカタカナを書いて言葉を伝えること)などの代替する対応や移動の際にも配慮する。 * 言葉の通訳に加えて、視覚的・聴覚的情報についても意識的に伝える。 例:状況説明として、人に関する情報(人数、性別等)や環境に関する情報(部屋の大きさや机の位置、その場の雰囲気等)  4 肢体不自由 (1)車いすを使用している場合 @ 主な特性  ・脊髄損傷(対麻痺又は四肢麻痺、排泄障害、知覚障害、体温調節障害など)  ・脳性麻痺(不随意運動、手足の緊張、言語障害等のほか、知的障害重複の場合もある)  ・脳血管障害(片麻痺、運動失調)  ・原因となる疾病や障害の程度により、全く立ち上がれない方からある程度の歩行ができる方まで状況は様々である。  ・ベッドへの移乗、着替え、洗面、トイレ、入浴など、日常の様々な場面で援助が必要な人の割合が高い。  ・段差や坂道が移動の大きな妨げになる。  ・自分で車いすを操作できる方は、バリアフリーな場所であれば、移動に支障がない場合もある。 A 特性に応じた対応 * 段差をなくす、車いす移動時に支障のない幅・走行面の斜度、車いす用トイレ、施設のドアを引き戸や自動ドアにするなどの配慮を行う。 * 机へのアプローチ時に車いすが入れる高さや、作業を容易にするために手が届く範囲を考慮する。 * ドア、エレベーターの中のスイッチなどの機器操作のための配慮を行う。 * 車いすを使用する方は目線が低いため、立ったままではなく、目線を合わせて会話する。 * 体温調整障害がある場合は、部屋の温度管理に配慮する。 (2)杖などを使用している場合 @ 主な特徴 ・脳血管障害(歩行可能な片麻痺、運動失調)、外傷などによる切断などがある。 ・杖や装具を使用して歩行が可能な方や、義足を使用して歩行可能な場合は、日常生活動作は自立している方が多い。 ・歩行の障害など目に見える障害だけでなく、失語症や高次脳機能障害がある場合もある。 ・長距離の歩行が困難であったり、階段、段差、エスカレーターや人ごみでの移動が困難な場合もあり、配慮する必要がある。 A 特性に応じた対応 * エレベーターや手すり、休憩できる椅子やベンチを設置する。 * 滑りやすい床などは転びやすいので、雨天時などの対応に留意する。 * トイレでの杖置きの設置や、靴の履き替えが必要な場合に椅子を用意する。 * 上肢に障害がある場合は、片手や筋力低下等、障害の状況に応じて作業をサポートする。   5 構音障害 (1) 主な特性   ・本人が話す言葉自体を聞き取ることが困難な状態で、原因は脳性麻痺、脊髄小脳変性症、脳血管障害、喉頭摘出など。 (2) 特性に応じた対応 * しっかりと話を聞く。 * 会話補助装置(入力した内容を音声で読み上げたり、文章を表示する機器など)の使用や、50音表の指さし、筆談などでコミュニケーションをとることを考慮する。 6 失語症 (1) 主な特性  ・原因は交通事故や脳血管障害など。  <聞くことの障害>  ・音は聞こえるが「言葉」の理解に障害があり、「話」の内容が分からない。  ・単語や簡単な文なら分かる人でも、早口や長い話になると分からなくなる。  <話すことの障害>  ・伝えたいことをうまく言葉や文章にできない。  ・発語がぎこちない、言いよどみが多くなったり、本人が考えている事と違う言葉が出てしまうこともある。  <読むことの障害>  ・文字を読んでも理解が難しい。   <書くことの障害> ・書き間違いが多い、また、「てにをは」などをうまく使えない、文を書くことが難しい。 (2) 特性に応じた対応 * 表情が分かるよう、顔を見ながら、ゆっくりと短い言葉や文章で、分かりやすく話しかける。 * 一度でうまく伝わらない時は、繰り返して言ったり、別の言葉に言い換えたり、漢字や絵を描いたり、写真、実物、ジェスチャーで示したりすると理解しやすい。 * 「はい」「いいえ」で答えられるように問いかけると理解しやすい。 * 話し言葉以外の手段(カレンダー、地図、時計など身近にあるもの)を用いると、コミュニケーションの助けとなる。   ※「失語症のある人の雇用支援のために」(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構障害者職業総合センター)より一部引用 7 高次脳機能障害   交通事故や脳血管障害などの病気により、脳にダメージを受けることで生じる障害。身体的には障害が残らないことも多く、外見では分かりにくいため「見えない障害」とも言われている。 (1) 主な特性  ・以下の症状が現れる場合があるが、症状があることに気付かず、できるつもりで行動してトラブルになる(病識欠如)。   記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害。 ・失語症を伴う場合がある。  ・片麻痺や運動失調等の運動障害や、眼や耳の損傷による感覚障害を伴う場合がある。 (2) 特性に応じた対応 特性 特性に応じた対応例 記憶障害 すぐに忘れてしまったり、新しい出来事を覚えることが苦手なため、何度も同じことを繰り返したり質問したりする。 メモを取ってもらい、双方で確認する。 注意障害 ・集中力が続かなかったり、ぼんやりしてしまい、何かをするとミスが多くみられる。 ・二つのことを同時にしようとすると混乱する。 ・主に左側で食べ物を残したり、障害物に気が付かないことがある。 ・こまめに休憩が取れるよう配慮する。 ・一つずつ順番にやる。 ・左側に危険なものや重要なものを置かない。 遂行機能 障害 自分で計画を立てて物事を実行したり、効率よく順序立てられない。 ・手順書を利用する。 ・段取りを決めて目につくところに掲示する。 ・スケジュール表を見ながら行動したり、チェックリストで確認する。 社会的行動障害 ・ささいなことでイライラしてしまい、興奮しやすい。 ・こだわりが強く現れたり、欲しいものを我慢できない。 ・思い通りにならないと大声を出したり、時に暴力をふるったりする。 ・感情をコントロールできない状態にあるときは、話題や場所を変えてクールダウンを図る。 ・予め行動のルールを決めておく。   8 内部障害 (1) 主な特性 ・心臓機能、呼吸器機能、じん臓機能、膀胱・直腸機能、小腸機能、肝機能、HIVによる免疫機能のいずれかの障害により日常生活に支障がある。  ・常に医療的対応を必要とすることが多い。  ・外見からは、障害があることが分かりにくい。 ・疲れやすく、長時間の立位、早く歩くこと、負荷を伴う歩行や作業が困難な場合がある。 (2) 特性に応じた対応 * 心臓機能障害の場合、ペースメーカーは外部からの電気や磁力に影響を受ける可能性があることに注意する。 * 膀胱・直腸機能障害で、人工肛門・人工膀胱(ストマ)を増設している方(オストミー)は、蓄便袋・蓄尿袋の洗浄等のため、特殊な設備を備えたトイレが必要となることに配慮する。 * じん臓機能障害で人工透析が必要な方については、頻回な通院が必要であることに配慮する。 * 呼吸器機能障害のある方は、慢性的な呼吸困難、息切れ、咳等の症状があることを理解し、息苦しくならないよう、楽な姿勢でゆっくり話をしてもらうよう配慮する。 * 常時酸素吸入が必要な方は、携帯用酸素ボンベが必要な場合がある。 * 免疫機能障害の方には、特にプライバシーに配慮する。  9 知的障害 (1) 主な特性   ・おおむね18歳頃までの心身の発達期に現れた知的機能の障害により、生活上の適応に困難が生じる。  ・「考えたり、理解したり、読んだり、書いたり、計算したり、話したり」する等の知的な機能に発達の遅れが生じる。   ・主な原因として、ダウン症候群などの染色体異常、又は先天性代謝異常によるものや、脳症や外傷性脳損傷などの脳の疾患があるが、原因が特定できない場合もある。  ・てんかんを合併する場合もある。  ・金銭管理、会話、買い物などの社会生活への適応に状態に応じた援助を必要とする。  ・ダウン症候群の場合の特性として、筋肉の低緊張、多くの場合、知的な発達の遅れがみられること、また、心臓に疾患を伴う場合がある。 (2) 特性に応じた対応 * 言葉による説明を理解しにくいため、ゆっくり、丁寧に、難しい言葉を使わずに、分かりやすく話す。 * 本人の年齢にふさわしい話し方をし、失礼な言動にならないようにする。 * 答えやすいように質問方法を工夫し、本人の返事をじっくり待つ。 * 文書は、漢字を少なくしてルビを振るなどの配慮で理解しやすくなる場合がある。 * 作業などの説明は、優先順位を明確にして伝える。 * 写真、絵、絵文字(ピクトグラム)など分かりやすい情報提供を工夫する。 * 説明が分からないときに提示するカードを用意したり、本人をよく知る支援者が同席するなど、理解しやすくなる環境を工夫する。  10 発達障害 (1) 自閉症、アスペルガー症候群を含む広汎性発達障害(自閉症スペクトラム) @ 主な特性 ・相手の表情や態度などよりも、文字や図形、物の方に関心が強い。 ・見通しの立たない状況では不安が強く、パニックを起こすことがある。 ・聴覚や触覚などの感覚刺激への敏感さから、大きな音や光などに過度に反応することがある。 ・知的障害を伴う方もいる。 A 特性に応じた対応 * 本人をよく知る支援者や家族にサポートのコツを聞く。 * 肯定的、具体的、視覚的な伝え方を工夫する(「○○しましょう」といったシンプルな伝え方、相手の興味関心に沿った内容や図、イラストなどを使って説明するなど)。 * 手順を示す、モデルを見せる、体験練習をする、新しく挑戦する部分は少しずつにするなど、スモールステップによる支援を行う。 * 感覚過敏がある場合は、音や肌触り、室温など感覚面の調整を行う(イヤーマフ(耳全体を覆う防音保護具)を活用する、大声で説明せずホワイトボードで内容を伝える、居場所を衝立で仕切る、クーラー等の設備のある部屋を利用できるように配慮するなど)。 * 本人の返事をじっくり待つ。 (2) 学習障害(LD) @ 主な特性 ・「話す」「理解」は普通にできるのに、「読む」「書く」「計算する」ことが、努力しているのに極端に苦手である。 A 特性に応じた対応 * 本人をよく知る支援者や家族にサポートのコツを聞く。 * 得意な部分を使って情報アクセスし、表現できるようにする。活用する際は、文字を大きくしたり行間を空けるなど、読みやすくなるように工夫する。 * 苦手な部分について、課題の量・質を適切に加減する、柔軟な評価をする。 * 提出書類等の代筆を行う。 (3) 注意欠陥多動性障害(注意欠如・多動性障害 AD/HD) @ 主な特性 ・次々と周囲の物に関心を持ち、周囲のペースよりもエネルギッシュに様々なことに取り組むことが多い。 ・その反面、必要な注意をはらったり、それを持続したりすることが難しく、忘れ物やなくし物が多かったり、人の言うことを聞かずに思い込みで行動してしまう。 A 特性に応じた対応 * 本人をよく知る支援者や家族にサポートのコツを聞く。 * 短く、はっきりした言い方で伝える。 * 気の散りにくい座席の位置の工夫、分かりやすいルール提示などの配慮を行う。 (4) その他の発達障害 @ 主な特性 ・体の動かし方の不器用さ、我慢していても声が出たり、体が動いてしまったりするチック、一般的に吃音と言われるような話し方なども、発達障害に含まれる。 A 特性に応じた対応 * 本人をよく知る支援者や家族にサポートのコツを聞く。 * 叱ったり拒否的な態度を取ったり、笑ったり、ひやかしたりしない。 * 一見変わった行動があっても、日常的な行動の一つとして受け止め、時間をかけて待つ、苦手なことに無理に取り組まず、できることで活躍する環境を作るなど、楽に過ごせる方法を一緒に考える。  11 精神障害 (1) 全体的な特性   ・精神障害の原因となる精神疾患は様々であり、原因となる精神疾患によって、その障害特性や制限の度合いは異なる。   ・精神疾患にはいくつもの種類があり、その中には長期にわたり、日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態が続くものがある。  ・代表的な精神疾患として、統合失調症や気分障害等がある。  ・薬物療法が主な治療法となるが、自力での服薬管理が困難な場合がある。   ・障害の特性も様々であるため、積極的に医療機関と連携を図ったり、専門家の意見を聞くなど関係機関と協力しながら対応する。 ※健康福祉部セーフティーネットコールセンターでは、「精神疾患等自立支援相談員」を配置しています(原則、予約制)。 (2) 統合失調症の場合 @ 主な特性 ・発症の原因はよく分かっていないが、100人に1人弱がかかる、比較的一般的な病気である。 ・「幻覚」や「妄想」が特徴的な症状だが、その他にも様々な生活のしづらさが障害として表れることが知られている。    ・認知や行動の障害      考えがまとまりにくく何が言いたいのか分からなくなる。相手の話の内容がつかめず、周囲にうまく合わせることができない。 A 特性に応じた対応 * 統合失調症は脳の病気であることを理解し、病気について正しい知識を学ぶ必要がある。 * 薬物療法が主な治療となるため、内服を続けるために配慮する。 * 社会との接点を保つことも治療となるため、本人が病気と付き合いながら、他人と交流したり、仕事することを見守る。 * 一方で、ストレスや環境の変化に弱いことを理解し、配慮した対応を心がける。 * 一度に多くの情報が入ると混乱するので、伝える情報は紙に書くなどして整理してゆっくり具体的に伝えることを心がける。 (3) 気分障害の場合 @ 主な特性 ・気分の波が主な症状としてあらわれる病気。うつ状態のみを認める時はうつ病と呼び、うつ状態と躁状態を繰り返す場合には、双極性障害(躁うつ病)と呼ぶ。 ・うつ状態では気持ちが強く落ち込み、何事にもやる気が出ない、疲れやすい、考えが働かない、自分が価値のない人間のように思える、死ぬことばかり考えてしまい実行に移そうとするなどの症状が出る。 ・躁状態では気持ちが過剰に高揚し、普段ならあり得ないような浪費をしたり、ほとんど眠らずに働き続けたりする。その一方で、ちょっとした事にも敏感に反応し、他人に対して怒りっぽくなったり、自分は何でもできると思い込んで人の話を聞かなくなったりする。 A 特性に応じた対応 * 専門医の診察の上で、家族や友人、周囲の人が病気について理解する。 * 薬物療法が主な治療となるため、内服を続けるために配慮する。 * うつ状態のときは無理をさせず、しっかりと休養をとれるよう配慮する。 * 躁状態の時は、金銭の管理、安全の管理などに気を付け、対応が難しい時には専門家に相談する。 * 自分を傷つけてしまったり、自殺に至ることもあるため、自殺などをうかがわせるような言動があった場合には、本人の安全を確保した上で、速やかに専門家に相談するよう本人や家族等に促す。 (4) アルコール依存症の場合 @ 主な特性 ・飲酒したいという強い欲求がコントロールできず、過剰に飲酒したり、昼夜問わず飲酒したりすることで身体的、社会生活上の様々な問題が生じる。 ・体がアルコールに慣れることで、アルコールが体から抜けると、発汗、頻脈、手の震え、不安、イライラなどの離脱症状が出る。 ・一念発起して断酒しようとしても、離脱症状の不快感や日常生活での不安感から逃れるために、また飲んでしまう。 A 特性に応じた対応 * 本人に病識がない場合(場合によっては家族も)、アルコール依存症は治療を必要とする病気であるということを、本人・家族・周囲が理解する。 * 周囲の対応が結果的に本人の飲酒につながってしまう可能性があるため、家族も同伴の上で、アルコール依存症の専門家に相談する。 * 一度断酒しても、再度飲酒してしまうことが多いため根気強く本人を見守る。 (5) てんかんの場合 @ 主な特性 ・何らかの原因で、一時的に脳の一部が過剰に興奮することにより、発作が起きる。 ・発作には、けいれんを伴うもの、突然意識を失うもの、意識はあるが認知の変化を伴うものなど、様々なタイプのものがある。 A 特性に応じた対応 * 誰もがかかる可能性がある病気であり、専門家の指導の下に内服治療を行うことで、多くの方が一般的な生活が送れることを理解する。 * 発作が起こっていないほとんどの時間は普通の生活が可能なので、発作がコントロールされている場合は、過剰に活動を制限しない。 * 薬の内服を適切に続けられるように配慮することが重要である。 * 発作が起こった場合には、本人の安全を確保した上で専門機関に相談する。 (6) 認知症の場合 @ 主な特性 ・認知症とは、単一の病名ではなく、種々の原因となる疾患により記憶障害など認知機能が低下し、生活に支障が出ている状態である。 ・原因となる主な疾患として、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症(ピック病など)がある。 ・認知機能の障害の他に、行動・心理症状(BPSD)と呼ばれる症状(徘徊、不穏、興奮、幻覚、妄想など)がある。 A 特性に応じた対応 * 高齢化社会を迎え、誰もが認知症とともに生きることになる可能性があり、また、誰もが介護者等として認知症に関わる可能性があるなど、認知症は皆にとって身近な病気であることを理解する。 * 各々の個性、想い、歴史等を持つ主体として尊重し、できないことではなくできることに目を向けて、本人が有する力を最大限に活かしながら、地域社会の中で本人の暮らし方やなじみの関係が継続できるよう支援していく。 * 早期に気付いて適切に対応していくことができるよう、小さな異常を感じたときに速やかに適切な機関に相談できるようにする。 * BPSDには、何らかの意味があり、その人からのメッセージとして聴くことが重要であり、BPSDの要因として、様々な身体症状、孤立・不安、不適切な環境・ケア、睡眠や生活リズムの乱れなどにも目を向ける。 * 症状が変化した等の場合には、速やかに主治医を受診し、必要に応じて専門機関に相談することなどを促す。 12 難病(難治性疾患) (1) 主な特性   ・治療法が確立しておらず、長期の療養を必要とする疾病。   ・疾病数は数百に及び、医療や福祉の施策により、対象や疾病名が異なる。 ・病気の状態や症状は個人差があり、重篤で全面介助の生活を送っている人もいれば、介助なく日常生活を送っている人まで様々である。  ・症状は一定ではなく、進行したり、体調や服薬の状況によって変動することもある。   ・外見からは障害があることが分かりにくい方もいるなど、必要な配慮についても個々のケースによって大きく異なる。  ・常に医療的対応を必要とすることが多い。 (2) 特性に応じた対応 * 専門の医師に相談する。 * それぞれの難病により特性が異なるため、その特性に合わせた対応をする。 * 疾患により、「疲れやすい」「トイレに頻繁に行く」「暑さ寒さに気を付ける」ことに留意する。 * 相手の様子に注意をはらい、体調がすぐれない時に休憩できる場所を確保する。 * 進行する場合、病態・障害の変化に対応が必要である。 * 多くの疾患で定期的な通院が不可欠であるため、通院ができるよう配慮する。 13 重症心身障害、その他医療的ケアが必要な方 (1) 主な特性   ・自分で体を動かすことができない重度の肢体不自由と、年齢に相応した知的発達が見られない重度の知的障害が重複している。   ・てんかんを有していることが多い。   ・ほとんど寝たままで自力では起き上がれない状態が多い。   ・食事、移動、寝返り、着替え、洗面、トイレ、入浴などが自力ではできないため、日常の様々な場面で介助者による援助や全面的な介助が必要である。   ・食事を摂れない方は、鼻に留置した管や胃ろうから注入している方もいる。   ・常に医学的な管理を必要とし、人工呼吸器を使用する場合や、胃ろうや吸引など医療的ケアが必要な方もいる。 (2) 特性に応じた対応 * 人工呼吸器などを装着して専用の車いすで移動する方もいるため、車等の乗降時等、人手が必要なときは、周囲の人が介助者に声をかけ、何を手伝えばよいか聞くなど配慮する。 * 体温調整がうまくできないことも多く、常に医学的管理が必要なため、急な温度変化や一定の湿度の保持等環境に配慮する。 第8 各部署での取組みについて  市の業務は多岐にわたり、業務の中で障害者との関わりがどの程度あるかは各部署で大きく違います。しかし、職員一人ひとりが日々の業務を進める上で、想定される必要な配慮について常に意識する必要があります。 1 障害を理由とする差別の解消に関する「取組方針」「各課対応シート」の作成 各課において、法・条例・職員対応要領・ハンドブックを踏まえて必要となる配慮について、下記 障害を理由とする差別の解消に関する「取組方針」「各課対応シート」を作成し、課内で回覧後、掲示して共有してください。 また、各部署の対応状況の把握と情報共有を図るため、年1回、障害福祉課で調査を行います。提出は年1回ですが、日々の業務の中で気付いた配慮すべき点を適宜加え、常に更新・進化させていっていただきたいと思います。 【様 式】   様式は、庁内情報システムの書式集からご利用ください。   なお、次ページ以降に記入例を掲載しています。 <記入例>                         所属内で回覧⇒掲示 令和2年度 障害を理由とする差別の解消の推進に関する 各課対応シート 各課で作成した「取組方針」を踏まえ、主な業務の主な場面を想像して各課で行う配慮を記入ください。 【障害福祉課】 課の主な業務内容 障害者差別解消の推進、避難行動要支援者への対応 主な場面 具体的な配慮方法 物理的環境への配慮 窓口対応 コミュニケーション  ・車いす利用者のために、窓口の椅子をどける。 ・窓口に筆談器、老眼鏡を設置する。耳マークを掲示する。 会議・説明会等 ・手話通訳者を配置する。UDトークを使用する。 災害時の避難 ・福祉避難所を用意する。 意思疎通の配慮 窓口対応 コミュニケーション 災害時の避難 ・聴覚障害者への対応にあたり、マスクを外して対応する。 ・要支援者に災害情報を自動音声電話で伝える。 会議・説明会等 ・開催案内は紙以外に電話、FAX、メール等、障害の特性に合わせて対応する。 ・申込の際に必要な配慮の有無を確認し、手話通訳者の手配をする。 通知文、配布資料、パンフレット等の作成 ・視覚障害者のため、できる限り音声コードを印刷する。 ルール・慣行の柔軟な変更 窓口対応 ・来庁が困難な方には、郵送やメール等で受付する。 ・本人の希望を確認し、次の窓口や玄関まで付き添う。 会議・説明会等 ・情報管理の担保を得たうえで障害者の介助者の同席を認める。 ・拡大コピーや点字資料、個別の追加資料を準備する。 その他 ・合理的配慮に係る市内事業者への助成制度を開始する。 作成担当者   障害福祉課 援護係 日野太郎 対応責任者(所属長)  神明一郎