◎令和2年度(2020年度)所信表明 諸力融合~持続可能なまちづくりのために 日野市長:大坪冬彦 令和2年第1回市議会定例会で市長が令和2年度の所信を表明しましたので、その概要をお知らせします。 全文は市ホームページおよび市政図書室で閲覧できます。 ID:1013681 [お問い合わせ]市長公室秘書担当(代表電話番号042・585・1111) ◆市政の運営に当たって 私が市民の皆さまのご信任を得て、日野市長の職を担わせていただき、8年目を迎えます。 就任以来堅持してきた基本姿勢である、 1住み慣れた地域で生き、看取られる(みとられる)、暮らし・福祉・医療の展開 2日野市の良さである恵まれた社会的・自然的資源を生かし、地域の個性を伸ばすまちづくりの推進 3厳しい財政状況を踏まえた経営戦略に基づく市政の運営 の三つに基づいて全力で市政に取り組んでまいりました。 日本銀行が四半期ごとに実施している全国企業短期経済観測調査(いわゆる日銀短観)の昨年12月調査で、 大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数はゼロと、9月の前回調査から悪化しました。 悪化は4四半期連続で、2013年3月調査以来の低水準となっています。 さらに米中の貿易摩擦、英国のEU離脱、新型コロナウイルスのまん延による国内経済活動への影響など、 景気の下振れリスクが多く存在し、その実態は不安定で、複雑さ、曖昧さを増しています。 また、国内では少子化と高齢化が同時に進行する中、社会保障制度の改革は道半ばであり、 まちづくり全体を、拡大基調の経済を前提としたものではなく、身の丈に合ったものに考え直す時期に差し掛かっています。 団塊の世代が75歳を迎える2025年が目前に迫る中、 介護や医療などの社会保障関連経費の支出は右肩上がりで伸び続けているにもかかわらず、 地域間の税源の偏在是正を名目とした税制改正がなされた結果、法人市民税や地方消費税交付金は減収となっています。 加えて日野市においては、近年待機児童解消に力を注ぎ、保育施設の定員を拡充した結果、子育て支援に係る費用も急増しました。 このような中、財政の弾力化を示す経常収支比率は平成30年度決算において100%となりました。 これは、新たな施策や建設事業などの臨時的支出に使える税収などがないことを表しております。 毎年数十億円の財源不足を、市の貯金である基金の取り崩しと、借金である市債の借り入れで賄う予算編成が常態化しており、 このような貯金と借金に依存する現在の予算編成では、持続可能な財政運営が困難である状況を踏まえ、 市として3度目となる財政非常事態宣言を行うに至りました。 まずは私を含む三役の報酬を減じることとし、日野都市計画道路3・4・24号線道路整備事業の暫時休止を決断いたしました。 令和2年度においては、早急に「財政再建方針」を示し、第6次行財政改革に向けた準備と併せて「財政再建計画」を策定し、 長期的な視点から持続可能な経営基盤を整えてまいります。 財政再建は待ったなしですが、そこで萎縮し、立ち止まることはできません。 引き続き、課題解決を担う組織づくりにも取り組んでまいります。 具体的には、業務の在り方を見直し、事務の効率化を図っていくとともに、働き方改革を進めてまいります。 これにより、年間2億円を超える時間外手当の削減に努めつつ、 職員の成長にもつながるワーク・ライフ・バランスの実現を目指してまいります。 また、昨年明るみに出た市立病院内のハラスメントの問題、元副市長の兼業の問題については、 第三者委員会の調査を踏まえ、今後の方針をご報告させていただいたところです。 この問題を契機に組織としてのコンプライアンス回復に積極的に取り組んでまいります。 令和2年度もさまざまな分野の施策について、「諸力融合」の姿勢を重視してまいります。 この4月からは、 日野市・国分寺市・小金井市三市共同の新可燃ごみ処理施設および日野市単独のプラスチック類資源化施設が本格稼働いたします。 これを契機に、さらなるごみの減量やプラスチック類の再資源化に取り組んでまいります。 また、ごみ処理の状況などの情報発信も進め、その一環として石田地区に設置する公共施設の整備も行ってまいります。 同じく4月からは障害者差別解消推進条例が施行されます。 条例に基づく合理的配慮を実現するため、事業者への助成制度などがスタートします。 障害福祉課には新たな事業を担当する係を設置いたします。 また、夏には東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が控えています。 ウクライナ空手チームのホストタウンとして準備を進めてまいります。 スポーツへの関心が高まる中、日野レッドドルフィンズやコニカミノルタ陸上競技部など、 地元チームとの連携をこれまで以上に深め、スポーツの力を地域活性化につなげてまいります。 これと同時に、新たな市の方針についても議論を進め、「(仮称)2030ビジョン」を策定いたします。 策定に当たっては、「できることの積み重ね」であるフォアキャスト型の発想ではなく、 「2030年に日野市がどうあるか、そのために何をしていかなければならないか」というバックキャスト型の発想から 各部門でできることを洗い出し、検討を進めてまいります。 SDGs(エス・ディー・ジーズ)(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の17のゴールを共通の目標とし、 東京都唯一のSDGs未来都市としてふさわしいものにしてまいります。 また、昨年の台風19号を教訓とした災害対策や避難所対応に取り組み、地域防災計画の改訂も行ってまいります。 Society(ソサエティ)5.0のデジタル社会に向けた対応として、電子自治体を目指し、 AIやRPAの取り組みについても引き続き進めてまいります。 多くの行政課題がある中で令和2年度予算案は、非常に厳しいものとなりました。 真に必要な市民サービスを提供し、持続可能な行政運営を行うためには、 財政再建を進め歳入増加と歳出削減を図るとともに既存事業の見直しを行っていかなければなりません。 何とぞ皆さまのご理解、ご協力を賜りますようお願いいたします。 ◆令和2年度の重点施策と取り組み 1…将来ビジョンの策定と多様性と調和が息づく社会の実現 「日野市まち・ひと・しごと創生総合戦略」と「日野市第5次基本構想・基本計画(2020プラン)」が終期となることに伴い、 次期長期ビジョンを策定します。 また、夏に開催されるオリンピック・パラリンピックの機会なども生かしながら、 多様性を認め合い、誰もが活躍できるまちの実現に向けた取り組みを実施してまいります。 ▼「(仮称)2030ビジョン」の策定 ▼障害者差別解消に向けた取り組み ▼多文化共生社会の実現に向けた取り組み 2…持続可能な経営基盤の強化と業務効率化の推進 真に必要な事業の実施のため、第5次行財政改革を推進するとともに、業務の在り方についても見直しを進め、 事業やイベントの休止・廃止なども検討してまいります。 また、新たに「日野市第6次行財政改革大綱」と「財政再建計画」を策定し、早急に財政健全化の道筋をつけてまいります。 ▼第5次行財政改革の推進と第6次行財政改革実施に向けた準備 ▼財政状況を鑑みた持続可能なまちづくりの推進 ▼公共施設などの適正な管理方針の決定 ▼市立病院の地方公営企業法全部適用に向けた準備 ▼働き方改革による業務効率化の推進 ▼AI・RPAの導入 3…地域の資源を共に守り育て、活かす(もりそだて、いかす)「地産地縁(ちさんちえん)」のまちづくり 日野市には昔から引き継がれている地域資源や、新たに形作られてきた人のネットワークなどの多様な資源が存在します。 日野で産まれ育った有形・無形の資源を日野という地縁でつなぎ、諸力融合で守り育て(もりそだて)てまいります。 ▼「廃棄物ゼロ社会」に向けた取り組みの推進 ▼緑と農地が共存するまちづくり ▼商業振興条例に基づく新たな商業者支援 ▼「(仮称)空き家の学校」の開校 〈4ページにつづく〉 ◎市民の皆さまへ 現在、政府をはじめ全国で新型コロナウイルス感染症の拡大を抑制するためのさまざまな取り組みを行っています。 本市においても2月23日に日野市危機管理対策本部を設置し、市民の皆さまの安全・安心の確保を最優先に、 国や都と連携して感染拡大の防止に取り組んでいるところです。 感染症拡大に伴うイベントの中止、学校の休校、外食の抑制などにより、 市民の皆さまのくらしや経済活動に多大な影響が及んでいることを踏まえ、 市としての役割を全力で果たしてまいります。