◆子ども、孫、その先の世代のことを考える想像力 市長:市が自らSDGsに取り組むということは、取り組みやすい環境を市として整えていかなければいけないことだと考えています。 それが具体的にどういうことかとなると難しい話でありますが、 目標の達成に向けて着実に取り組んでいく姿勢を、関係する方々とも共有していかなければなりません。 ちょうど今年は第5次日野市基本構想・基本計画(2020プラン)が最終年度を迎えて、次の10年のための2030プランの策定に入ります。 これはつまりSDGsと同じ目標年になるということですので、このプランは思いきり姿を変えたいと思っています。 SDGsの視点を取り入れるということは、単にSDGsの文字を並べるのではなくて、 SDGs的な発想、つまりバックキャストの発想での計画になると考えています。 例えば、未来の日野市が描かれていても、それはどういうことなのか、それに向けて今何をしなければならないのかを示さなければ、 いくらSDGsの発想で計画を作っても誰も見ません。 ではそのためにどうするか、口で言うのは簡単ですし、重たい課題ですが、そんなことを考えていきたいと思っています。 蟹江:ぜひそういう発想で、身近な行動から始めて、それが積み重なって2030年につながっていく。 そういうことを想像できるようなイメージを描くと、たぶん楽しくなると思います。 ぜひ楽しくやっていただきたい。 SDGsはポジティブなことしか書いてなくて、それが実現できると本当に良い社会になるだろうなと感じます。 未来の姿を描いて新たな形を作っていく計画というのはとてもいいと思いますし、 これをすることで日野市民、日野市も良くなるし、実は世界も、そして地球も良くなるという、 そこを結び付けてくれるのがSDGsだと思います。 ぜひそういった結び付け、発想力を盛り込みながら、2030年から出発するプランを描いていただきたい。 バックキャストで考えるということもそうだと思いますし、 もう一つ重要なのは、モノであったり、コトであったりを目の前にあるものだけで考えない。 それがどこから来てどうやって廃棄されていくか、 あるいは形を変えて使われていくのかということまで想像力を膨らませることが大事ではないかと思います。 ライフサイクル全体で考えるといいますか、そこには想像力が必要です。 未来に向けて何かを続けていくというのは、 子どもたち、孫たちの世代、さらにその先の世代のことを考えるということと同じであると言えます。 ◆まとめ~令和2年度に向けて 市長:今回の対談に学びながら、SDGs未来都市にふさわしい基本構想・基本計画を、 バックキャストの考えで、しっかりと作っていきたいと思います。 そして今年は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の年です。 昨年のラグビーワールドカップでの盛り上がりをそのままに、オリンピックにつなげたいと思います。 この他、受動喫煙に関する法令や働き方改革に関連する会計年度任用職員などの公務員の制度改革、 障害者差別解消推進条例の施行など新しい制度が入ってきます。 第二次ごみ改革を支えるプラスチック資源化施設の本稼働も始まります。 新たな課題にしっかりと対応していくことが令和2年度の抱負と思っています。 最後に先生から、本日の対談の感想とSDGs未来都市日野市に期待していることなど、メッセージをいただきたいと思います。 蟹江:SDGsは、組織のトップがリーダーシップをとって始めていくというところが割と多いと思いますが、 日野市においても市長の考え方とSDGsの考え方が多くの部分でシンクロしていると感じました。 特に障害者や、取り残されがちな人に焦点をあてるというのは最も優先して取り組むべきことです。 そういったところでの市長のリーダーシップに期待したいと思いますし、 それがみんなが幸せになる、みんなが住みやすいと考えるまちにつながると思います。 ぜひ率先して進めていただきたいと思います。 リーダーシップを実際の行動に変えていったり、 縦割りを乗り越えて実際にやっていくというところでは非常に難しいこともあると思いますし、反発もあると想像されますが、 SDGsには大義がありますので、大義をうまく味方につけて進めていただくのがいいと思います。 その一方で、やはり主役は市民だと思います。 市民が提案した時に「やってみよう」、「やってみたらどうですか」、 「やってみるためにはどうすればいいのか一緒に考えよう」というように、 ぜひその考えをポジティブに捉えて、進める場づくりをしていただきたいと思いますし、 市民の方もぜひいろいろなアイデアを出していただけると、SDGsの未来にすごく近づくのではないかと思います。 市長:ありがとうございました。