第4期日野市地域福祉計画 〜ともに支え合うまちプラン〜 (素案) はじめに 目 次 第1章 総論 1 第1節 計画策定の背景・目的 1 第2節 計画の期間 2 第3節 計画の位置づけ 2 第4節 エリア(圏域)の考え方 6 第2章 日野市の現状と課題 8 第1節 地域福祉に関する日野市の現状 8 第2節 第3期地域福祉計画から見えてきた課題 26 第3節 地域福祉に関する日野市の重点課題 27 第3章 計画の目的と基本理念・基本目標及び施策 28 第1節 目的と基本理念 28 第2節 計画の体系 30 第3節 基本目標及び施策 32 第4章 計画の推進 36 第1節 計画の推進体制 36 第2節 計画の進行管理 37 第1章 総論 第1節 計画策定の背景・目的 (1)社会的情勢   現在進行形で少子高齢化が進む中、核家族化や一人暮らし高齢者、高齢者のみの世帯の増加といった社会的孤立が社会問題となり、また、自治会加入率の低下、空き家の増加など生活に直結する地域コミュニティの崩壊の危機にも直面しています。  また、子どもの虐待や貧困問題、長期間のひきこもりなど対応が困難な新たな問題や介護離職、障害者の親の高齢化など、高齢化の進行によってこれまでは表面化してこなかった課題が事件等の発生によって明確になり、中にはこれらの課題を複合的に抱える事例も多く生じています。  さらには、少子高齢化に関連して、社会保障関連費の増大がクローズアップされ、医療費の利用者負担や介護保険制度の見直しなど、財政の持続可能性が大きな課題となっています。 (2)国の動向   平成28年度(2016年度)に、「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部が厚生労働省に設置されました。ここでは、これまでの制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が「我が事」として主体的に取り組む仕組みをつくり、地域での課題の解決に向けた「丸ごと」の包括的な総合相談支援の体制整備を進めていくことで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域を共に創っていく社会である「地域共生社会」の実現に向けた取組が進められています。 (3)市が本計画を策定する目的   本市においても高齢化は着実に進行しており、令和元年(2019年)10月末時点では高齢化率が24.7%、4人に1人が高齢者という状況にあります。市では、平成26年度(2014年度)に主要3戦略を策定し、その中でもヘルスケア・ウェルネス戦略において、いずれ訪れる高齢化の進展を見据えて、市政の基本方針である「住み慣れた地域で生き、看取られる、暮らし・福祉・医療の展開」に沿って健康寿命の延伸を図るため、様々な予防施策に取り組んだこともあって、確実に健康寿命が伸びています(東京都保健所長方式※による)。一方で、後期高齢者※を中心に「フレイル※」の方の増加や認知症高齢者の増加、介護人材の不足など高齢者数の増加に伴う課題や、「8050問題」と言われているひきこもりの潜在化、地域コミュニティの希薄化、年々高まる災害のリスクなど、行政だけでは対応が困難な多様で複合的な課題が顕在化してきています。  このため、地域において誰でも安心して生活していけるよう、今後急激な増加が予測されている高齢化対策として、重点的に取組むべき施策についての基本的な方向性を示すものとして「第4期日野市地域福祉計画」を策定します。 第2節 計画の期間  本計画の期間は、令和2年度(2020年度)から令和6年度(2024年度)までの5か年です。  ただし、社会情勢の変化や高齢化の状況、法改正の動向、本計画と現状とのギャップ等に応じ、必要な見直しを行います。 第3節 計画の位置づけ (1)地域福祉計画の位置付け   本計画は、社会福祉法第107条の規定に基づく「市町村地域福祉計画」で、本市における地域福祉を推進するための施策展開の基本となるものです。  国の地域福祉計画の策定に関するガイドラインでは、福祉分野の上位計画として各個別計画と調和をとることが求められています。  このため、本計画は、福祉分野の各個別計画で示されている取組みの内容等の中で、共通して取組むべき内容を施策の柱に据え、福祉分野以外の「日野市まちづくりマスタープラン」、「日野市住宅マスタープラン」、「日野市まち・ひと・しごと創生総合戦略」、「日野市SDGs※未来都市計画」等とも整合を図り将来を見据えた計画とします。 (2)地域福祉計画に盛り込む事項   本計画においては、社会福祉法で規定されている、次の5つの事項を基本として、本市の状況に沿った施策の展開を行うものとします。 @ 地域における高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉その他の福祉に関し、共通して取り組むべき事項 A 地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項 B 地域における社会福祉を目的とする事業の健全な発達に関する事項 C 地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項 D 包括的な支援体制の整備に関する事項 (社会福祉法第106条の3第1項各号に掲げる事業を実施する場合)  これら事項のうち、地域福祉の増進をより効果的なものとするため、「各福祉分野に共通する事項を共通の施策として示すこと」、及び「住民を中心に包括的な支援体制の構築に関すること」について重点的に取組んでいきます。なお、子ども(児童福祉)、高齢者福祉、障害者福祉等の分野ごとの各施策については、各個別計画に詳細は委ねるものとします。 (3)関連計画との関係   本計画は、第5次日野市基本構想・基本計画の分野別計画として位置付けるもので、本市の将来像「ともに創ろう 心つながる 夢のまち 日野 〜水とみどりを受けつごう〜」の実現に資する福祉政策の基本指針となるものです。  また、地域福祉を一体的に推進する観点から、高齢者福祉、障害者福祉、健康・医療等の分野別計画の上位に位置付け、共通する取組みを俯瞰する福祉の基本計画とします。さらに、防犯や防災、まちづくりや男女共同参画など、地域福祉の推進において関連がある分野と連携を図ります。 [ 位置付け図 ] (4)地域福祉活動計画との関係   日野市社会福祉協議会は、市のパートナーとして「日野市地域福祉活動計画」を策定し、地域住民、福祉活動団体、ボランティア団体等とも連携しながら、総合的かつ計画的に市民主体の地域福祉の推進に取組んでいます。  本計画と日野市社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画とは、地域福祉を進める上での車の両輪として、理念と課題を共有しながら、その取組において相互に補完・連携を図ります。 (5)成年後見制度利用促進基本計画の位置付け   「成年後見制度利用促進基本計画」は、成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成28年法律第29号)第14条において、市町村がその区域における成年後見制度の利用の促進に関する施策について、基本的な計画を定めるよう努めるとされています。  現在、成年後見制度の周知広報・相談・利用等については、福祉政策課・障害福祉課・高齢福祉課、市内に9か所ある地域包括支援センター、社会福祉協議会が設置する「権利擁護センター日野」、近隣4市(調布市、狛江市、多摩市、稲城市)と共同運営している「多摩南部成年後見センター(以下「センター」という)」で行っています。今後、センターを活用している5市が協働してセンターの体制整備を進めていくことが、地域の成年後見制度の利用促進につながると考えられるため、「調布市、日野市、狛江市、多摩市、稲城市 成年後見制度利用促進基本計画」(以下「成年後見制度利用促進基本計画」という。)はセンターの事業計画と合わせて策定することとしました。  また、「成年後見制度利用促進基本計画」では、基本目標ごとに「施策」と「取組の方向性」及び「具体的取組み例」を示して、各市が推進主体となって任意に取り組むとされております。そこで本地域福祉計画では、その取り組みの必要性を精査して、本地域福祉計画に位置付けるものとします。  なお、各市独自の取組みについては、各市の状況によって施策が異なるため、本市においては、本地域福祉計画の目標の柱の1つに当該成年後見制度利用促進に関する施策を位置づけ「成年後見制度利用促進基本計画」を補完するものとします。 第4節 エリア(圏域)の考え方  第1期日野市地域福祉計画より、市では、地域福祉活動を実践していくための単位を中学校区と位置づけて「ふくし住区※」と定め、展開してきました。市では、面積や人口分布に応じて中学校区を参考に地域包括支援センターを配置し、中学校区ごとに地域内の交流の場である地域懇談会等を開催しています。  既存の地域福祉活動を実践していくための単位を学校教育における学区域としたため、地域住民に比較的浸透しやすく、また、どの地域に居住していても徒歩で行き来ができる範囲で、自治会の行事や公共の事業でも最も活用される単位であることから、本地域福祉計画でも引き続き中学校区を「ふくし住区」として圏域を設定し、課題分析、福祉サービス、専門職による支援など機能に応じて、地域を重層的な視点※で捉えて事業展開を図ります。 ■ ふくし住区のイメージ ■ 重層的な視点のイメージ  課題分析の区域分けや福祉サービスの種類などに応じてエリアを使い分け、効率的な事業展開を図ります。 第2章 日野市の現状と課題 第1節 地域福祉に関する日野市の現状 (1)日野市をとりまく人とまちの状況  @ 日野市の人口・世帯の状況 ・ 人口の推移と推計  日野市の人口は平成31年(2019年)1月1日現在で185,393人(外国人を含む)となっています。今後もしばらく微増傾向は続くとみられ、令和7年(2025年)には194,585人と推計されます。 ・ 一般世帯数と核家族世帯数の推移  核家族世帯数は年々増加しており、平成27年(2015年)で46,582世帯となっています。また、1世帯あたり平均人員は年々減少しており、平成27年(2015年)で2.15人となっています。 ・ ひとり親世帯数の推移 本市の18歳未満の子どもがいる母子世帯は増減を繰り返しており、平成27年(2015年)で692世帯となっています。また、18歳未満の子どもがいる父子世帯は減少傾向にあり平成27年(2015年)で65世帯となっています。 ・ 高齢者単身世帯数と高齢者夫婦世帯数の推移  高齢者単身世帯数(65歳以上の者一人のみの一般世帯数)、高齢者夫婦世帯数(夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦1組のみの一般世帯数)はともに年々増加しており、高齢者単身世帯数は平成27年(2015年)で平成17年(2005年)の約2倍の8,823世帯、高齢者夫婦世帯数は約1.4倍の9,163世帯となっています。 高齢者単身世帯数と高齢者夫婦世帯数の推移 ・ 年齢階級別人口の比較  平成31年(2019年)1月1日現在の年齢階級別人口ピラミッドをみると、昭和46年(1971年)から昭和49年(1974年)生まれの第二次ベビーブームを含む40歳代後半が最も多くなっています。また、平成27年(2015年)との比較では、75歳以上の後期高齢者数が増加する一方で、14歳までの年少人口が微減傾向にあることがわかります。 ・ 高齢者年齢別人口  令和元年(2019年)11月1日現在の高齢者年齢別人口ピラミッドをみると、69歳から72歳までの人口が顕著に多くなっています(団塊の世代)。3年後には、後期高齢者が急増し、その期間が数年続きます。その後は微減しますが、依然高い水準の人口となっています。 ・ 高齢化率の推移と推計  日野市の高齢者人口は今後も増加していくと予想されます。65歳以上の人口比率(高齢化率)も今後ますます高くなり、令和22年(2040年)には30%を超える見込みです。 A 合計特殊出生率  合計特殊出生率は、平成10年(1998年)から平成15年(2003年)にかけて減少していましたが、その後年々増加し、平成30年(2018年)に1.36となっています。全国、東京都と比較すると、東京都より高く、全国より低い値で推移しています。 合計特殊出生率の推移 平成10年度 日野市 1.31 東京都 1.05 全国 1.38 平成15年度 日野市 1.21 東京都 1.00 全国 1.29 平成20年度 日野市 1.27 東京都 1.09 全国 1.37 平成25年度 日野市 1.38 東京都 1.13 全国 1.43 平成30年度 日野市 1.36 東京都 1.20 全国 1.42 資料:人口動態統計(東京都福祉保健局)、平成30年度の日野市のみ南多摩保健所 B 外国人住民数の推移  外国人住民数は増加傾向にあり、平成31年(2019年)で3,139人となっています。 外国人住民数の推移 資料:日野市HP(各年1月1日現在) ≪ポイント≫(人口について)  依然として高齢者人口は増加しており、その中でも後期高齢者の比率がピークを迎える目前となっています。また、介護等のリスクが高まる後期高齢者が高齢者の半数を占めています。後期高齢者の急増に備えた準備が必要です。 C 介護保険認定者の状況  介護保険認定者数は、高齢者の増加に伴って毎年増加しています。今後も後期高齢者が増加することに伴い、介護保険認定者数も増加していく見込みです。 要支援・要介護認定者数の推移 D 障害者(児)の状況 ア 身体障害者の状況  身体障害の程度は1級が最も多く、次いで4級が多くなっています。手帳保持者数については、横ばいとなっています。 イ 知的障害者の状況(愛の手帳保持者数)  知的障害の程度は、4度(軽度)が最も多くなっています。手帳保持者数については、微増傾向にあります。 ウ 精神障害者の状況  自立支援医療(精神通院)は、精神疾患のため通院による治療を受ける場合の、医療費の継続的な負担の軽減を図る制度です。障害の程度は、各級とも増加傾向がみられます。 エ 難病の状況  難病福祉手当は難病医療費助成制度とは別につくられた、日野市の独自制度です。認定難病の増加に伴い、受給者数は年々増加傾向にあります。 E 生活保護世帯、人員の推移  生活保護世帯数・人員及び保護率は増加傾向にあります。平成26年(2014年)7月より、「生活保護法」の一部改正により、就労自立給付金が創設され就労による自立の促進が図られました。また、平成27年度(2015年度)より、「生活困窮者自立支援法」が施行され、生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化が図られました。 ≪ポイント≫(支援が必要な人について)  介護保険認定者・各種障害者・生活保護受給者等、支援を必要としている人達の数は増加傾向にあります。特に高齢者・精神障害者・難病の方の増加が著しく、支援体制の拡充が求められます。 F 福祉の市内相談窓口の状況  市役所内の日野市セーフティネットコールセンターに寄せられた相談内容は、生活困窮者自立支援が平成30年(2018年)で1,421件となっており、平成27年(2015年)に比べ増加傾向にあります。  また、生活保護についての相談件数は平成30年(2018年)で312件となっており、平成27年(2015年)以降微増となっています。 G 地域包括支援センターの周知度  「知っており、利用したことがある」の割合が最も高く44.3%、次いで「知っているが、利用したことはない」の割合が25.7%、「知らない」の割合が22.4%となっています。 資料:第3期日野市高齢者福祉総合計画策定に向けた基礎調査 ≪ポイント≫(相談について)  福祉の初期総合相談窓口については開設以後相談件数が増加しており、相談内容も経済的困窮や病気、家族問題をはじめ多様化・複合化してきています。潜在的なニーズや今後の高齢化の進展を考慮すると、地域ごとの総合的な相談の出来る機能と包括的な支援体制が求められます。 H 日常生活自立度U以上の高齢者数 日常生活を送るために支援が必要な自立度U以上の高齢者が年々増加しています。 I 成年後見制度に関する相談件数 成年後見制度に関する相談件数は年々増加傾向にあり、平成30年度(2018年度)は減少しております。 ≪ポイント≫(「成年後見制度」について)  認知症や知的障害・精神障害で支援が必要な方が安心して暮らしていくためには、支援体制の充実が必要であり、「成年後見制度」はその有効な手段の一つと言えます。「成年後見制度」は、以前は抑制的な利用をされていましたが、近年は経済的な虐待防止や本人の意思の尊重の観点から積極的な利用に変わってきています。今後、高齢化に伴う認知症の方の増加が予想され、制度の周知と相談支援体制づくりの推進が求められます。 J 避難行動要支援者  避難行動要支援者の名簿提供同意数は平成28年度(2016年度)から平成29年度(2017年度)にかけて増加し、その後減少して1,704となっています。 K 避難行動要支援者名簿提供団体の状況  避難行動要支援者名簿提供団体数は微増傾向にあり、平成30年度(2018年度)に18団体となっています。 L 福祉避難所の状況  福祉避難所数は平成30年度(2018年度)で高齢施設が14、障害施設が7となっています。 ≪ポイント≫(防災について)  高齢化に伴い、避難行動要支援者も増加しています。災害時の迅速な避難には、防災に関する正しい知識と日頃の準備(自助)、適切な災害情報の提供と誘導・移動支援(共助・公助)が必要です。 (2)日野市における地域活動の状況  @ 自治会の状況  加入率は年々減少し、平成30年度(2018年度)には45.1%となっています。地域によっては、加入率が高い地域もあり、回覧板などによる情報は回りますが、加入率が高い地域がすべて活発な地域活動を行っているとは言えません。 A 老人クラブの状況  老人クラブ数は平成30年度(2018年度)で48となっており、健康で生きがいのある暮らしに向けた各種地域活動を通した仲間づくりなどを推進しています。近年高齢者人口が増加していますが、一方で会員数は年々減少しています。 B 地域活動への参加意向  「参加してもよい」の割合が最も高く53.2%、次いで「参加したくない」の割合が34.5%となっています。 ≪ポイント≫(地域活動について)  日野市の自治会や老人クラブは微減傾向にあり、各種地域団体毎に様々な取り組みをしていますが、新規に加入する人が減少しています。地域での福祉・防災の為にも地域活動に興味がある人達へのアプローチと、それ以外の人達に対してもより魅力的な地域活動の企画・広報・運営に携わる人の負担軽減が必要となっています。  また、民間の活力や創意工夫を活かすため、地域のNPOや企業が行う社会貢献活動との協働・連携や、それらの活動への行政による支援・コーディネートが求められています。  さらに、地域住民が地域活動を気軽に行える環境づくりは、地域住民の社会参加につながり、特に障害者や一人暮らしの高齢者のフレイル予防の第一歩となるため、行政による積極的な関与が求められます。 第2節 第3期地域福祉計画から見えてきた課題  第3期日野市地域福祉計画では、「誰もがその人らしく生きることができ、一人ひとりが地域を支え、地域が一人ひとりを支える」という基本理念のもと、3つのアクションプランを実施しました。取り組みにより見えてきた課題は下記のとおりです。 (1)セーフティネットプログラム(福祉の初期総合相談窓口)  ≪取り組みから見えてきた課題≫ ・相談内容が複雑で多岐に渡るケースが多く、相談窓口では今までの分野ごとの支援体制を超えた高度なコーディネート機能が求められている。 ・窓口に来た時点で生活困窮度が重症化しているケースが多く、早期に支援体制をとれない原因として自ら支援を求めることが難しい潜在的な相談者の把握が困難であることが挙げられ、これらの方が気軽に相談できる体制構築が必要である。 ・一般就労が難しい人への支援策(就労準備・訓練等)が十分ではない。 (2)情報発信プログラム  ≪取り組みから見えてきた課題≫ ・各地で災害が頻繁に発生している中、災害時に支援を必要とする要配慮者への情報伝達体制について更なる推進が必要である。 ・情報弱者となる高齢者や障害者に対して、市が制定した「障害者差別解消推進条例」に基づいた情報の受け手となる方の状況に合った合理的配慮が必要である。 (3)地域福祉いきいき活動プログラム  ≪取り組みから見えてきた課題≫ ・地域福祉活動の担い手となる人材の確保と育成、それらの方々の活動拠点の確保が必要である。 ・地域にある様々なネットワークから「福祉の初期総合相談」につなげることができる仕組みづくりの構築が必要である。 ・地域福祉活動を継続するためには、活動に参加する人を増やす等により、活動を担う人の負担を少なくする必要がある。 第3節 地域福祉に関する日野市の重点課題 前述の「ポイント」及び「課題」はどの項目も解決していかなければならない課題ですが、その中でも市民の命を守る行動や、今後団塊世代が後期高齢者になり始める令和4年(2022年)までの3年間の間に集中的に取り組むべき課題については、重点課題として位置付けて施策の組み立てや予算配分等で優先的に取り扱います。 重点課題1 地域での総合相談機能の整備 重点課題2 福祉人材の育成・確保・定着 重点課題3 災害時の避難行動要支援者等への対応 第3章 計画の目的と基本理念・基本目標及び施策 第1節 目的と基本理念 (1)目的  現在の社会保障制度においては、高齢者に対する介護等の支援や障害のある人に対する日常生活の支援、また、子どもへの保育の提供など、対象者ごと、また生活に必要な機能ごとに各関係法において公的責務が定められ、支援の充実が図られています。しかしながら、地域福祉をめぐる状況は大きく変化しており、様々な分野の課題が絡み合い複雑化・多様化しており、これらの課題の解決に向けては、地域住民が主体的に地域福祉活動に参画するとともに、行政と三師会(医師会・歯科医会・薬剤師会)、福祉関係機関や地域活動団体、福祉活動団体、ボランティア団体、社会福祉協議会など関係団体や関係機関が協働・連携を図りながら、包括的に取り組んでいく体制を構築することが必要です。  本市に暮らす全ての人が、お互いにやさしさと思いやりの気持ちを持つことで、支援を必要とする人を中心に関係機関等がつながり、助け合い・支え合いの輪が広がります。その輪が広がっていくことで、高齢者や障害者のみならず、外国人の方、セクシュアルマイノリティの方、社会復帰を目指す方を含めた全ての市民が、差別がなく、安心して暮らせる地域共生社会の実現につながります。  目指すビジョン 地域で支え合い、誰もが安心してともに暮らせるまち (2)基本理念  高齢化・単身者の増加・社会的孤立などの影響により、人々が暮らしていくうえでの課題は、様々な分野の課題が絡み合い複雑化しています。これらの課題解決にむけては、地域福祉推進の主役である住民と関係機関等が、自らが暮らす地域の問題を「我が事」ととらえて主体的に活動することと、住民の生活課題を共通の意識と視点を持って解決できる体制を構築することが必要となります。支援の「支え手」「受け手」という関係を超えてつながり、助け合い・支え合いの輪を広げるため、本計画の理念を次のように設定します。 1 地域で必要な支援につながる環境を整えていきます 2 将来を見据えて、地域を核とした支え合う福祉を実現していきます 3 地域で暮らす人たちが、地域で安心して生活していけるよう支援していきます 第2節 計画の体系 第3節 基本目標及び施策  基本目標の達成状況を測るため、成果指標を定めるものとします。 成果指標  地域の総合相談窓口の設置数   実績値平成30年度末  1 中間目標値令和4年度末 3  最終目標値令和6年度末 4 成果指標  市が行う人材育成研修や資格取得講習等の事業による職員確保数(職員確保数=新規就業者−離職者)・(累計値) 中間目標値令和4年度末 プラス15人  最終目標値令和6年度末 プラス25人 成果指標  避難準備情報事前提供者率(事前情報提供者数/事前情報提供希望者数) 中間目標値令和4年度末 100%  最終目標値令和6年度末 100% ※1 ただし、市が行う事業による職員の確保だけでは、市内にある特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・通所介護事業所・居宅介護支援事業所など、今後高齢化の進行により需要の増加が予想される施設の人員の不足に対応できないため、需要と供給のギャップを埋める視点を持つ必要があります。そこで、施設等の人材の不足の現状把握を行い、人材確保につながる支援策を並行して実施し、必要に応じて、個別計画等で成果指標を設定します。 ※2 希望者全員への情報提供とともに、事前情報の提供を希望する避難行動要支援者を増やす施策を合わせて実施します。 (基本目標1) 身近な地域で気軽に相談できる機能を整え、ニーズに 合った支援に努めます  社会情勢の変化とともに、福祉等に関する相談内容も複雑化・多様化しています。その中で市民のニーズに対応していくため、現行の相談機能を見直し、利便性の向上に努めていきます。また、関係する機関がそれぞれの専門性を発揮して協力・連携して複雑化する課題を解決していく体制の整備に取り組みます。 施策1 地域における福祉の総合相談機能の強化 【事業】  ・圏域ごとの福祉の総合相談窓口の設置  ・専門職によるアウトリーチ※の強化  ・個人の特性に応じた雇用・就労支援の実施 施策2 関係機関ネットワークによる包括的支援体制の構築支援 【事業】  ・医療・福祉ネットワークによる「包括ケアシステム※」の運用  ・専門職を軸にした支援の連携 (基本目標2)地域福祉を担う人材を育成するとともに、福祉サービスの質の向上に取り組みます  福祉を支えるためには、支援を行う人材を確保することが重要です。高齢化に伴い、高齢者の増加と生産年齢人口の減少が予測される中、福祉の人材を育てて定着を図る施策に取り組みます。また、よりよい暮らしを実現するために福祉サービスの質の向上にも取り組みます。 施策1 福祉人材の育成・確保・定着策の強化 【事業】  ・福祉人材の育成・確保・定着策への関係機関の参画推進  ・介護資格取得機会の創出  ・福祉体験の機会の創出や職業としての福祉の仕事の魅力発信 施策2 福祉サービスの充実及び質の向上 【事業】  ・事業所等への指導検査の強化とフィードバック  ・事業所等の状況と課題の把握による施策展開の検討 (基本目標3) 地域住民等が主体的に行う地域福祉活動を支援します  高齢化が進展すると、行政だけでは市民が抱える課題を解決することが困難になります。そのため、行政は地域の様々な主体の力を借りて行政の手の届かない地域の課題解決につなげ、地域課題の解決に積極的に取組む主体への後方支援を行います。 施策1 福祉関係者や地域住民による地域力を高める取り組みへの支援 【事業】  ・地域の力で地域課題を解決することを目的とした事業・活動への支援及び協力  ・地域福祉関係者が参画する事業・会議体の整理統合による効率化と情報の集約 施策2 社会福祉法人や企業・NPO等の地域貢献事業への支援・協働 【事業】  ・社会福祉法人ネットワーク等による公益的活動への支援及び協働  ・企業等の先駆的な福祉貢献活動への協力 (基本目標4) 市民の権利を擁護する支援体制を整備していきます  高齢化の進展とともに認知機能が低下した高齢者等も増加しています。少子化、核家族化も進んでいるため、これらの高齢者等の尊厳を守り、住み慣れたまちで安心して暮らしていくためには、既存の成年後見制度を知ってもらい、かつ、わかりやすいものにする必要があり、もっと身近なものとする工夫をするとともに、担い手として協力してくれる方の育成にも取り組みます。 施策1 「権利擁護センター日野」を“身近な地域の相談支援を行う中核機関”とした権利擁護支援・成年後見制度利用促進体制の構築 【事業】  ・主たる中核機関※である「多摩南部成年後見センター」との機能分担による効率的な制度の運用  ・「権利擁護センター日野」を中心とした成年後見制度の相談支援体制づくりの推進 施策2 「成年後見制度利用促進基本計画」に沿った制度利用の推進 【事業】  ・成年後見制度のメリットの周知・広報活動の推進  ・市民後見人候補者の育成  ・日常生活上の様々な判断に支援が必要な方の権利を擁護する仕組みの整備 (基本目標5) 災害時要配慮者となる高齢者や障害者の防災対策が適切にとられる体制づくりを推進します  災害時に配慮が必要な高齢者や障害者の命を守るため,「自助・共助・公助」のそれぞれの立場から必要な支援策に取組み、地域で安心して暮らせる環境を整えていきます。 施策1 災害時要配慮者の命を守るための対策を強化 【事業】  ・災害時要配慮者やその関係機関の意見と災害経験を活かした市の防災対策への反映  ・災害時要配慮者や関係機関への情報伝達方法の確立  ・避難行動要支援者の迅速な避難と安心して過ごせる避難所体制の整備  ・災害に備えた準備・災害時の迅速な避難につながる「自助」の意識啓発の実施 第4章 計画の推進 第1節 計画の推進体制  (1)計画の周知   地域福祉を推進するうえで、本計画の考え方や施策の展開方向について、地域住民、福祉活動団体、ボランティア、医療・福祉関係者など全ての人が共通の理解を持つことが必要です。  そのため、市のホームページなどへの掲載や各種イベント開催時など様々な機会をとらえて、計画を広く市民に周知していきます。  (2)協働による計画の推進  地域の多様な課題やニーズに対応していくためには、地域住民をはじめとした地域を構成する様々な主体と行政が連携して、対応していくことが必要です。  住み慣れた地域で、共に支え合い、助け合いながら安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指すため、地域住民、地域活動団体、ボランティア団体、医療・福祉関係者、社会福祉協議会、行政等がともに連携・協働しながら、計画を推進していきます。 第2節 計画の進行管理  本計画の進捗状況の管理・評価については、計画を立て(Plan)、実行(Do)、その進捗状況を定期的に把握・評価したうえで(Check)、その後の取組を改善する(Action)、一連のPDCAサイクルの構築に努めます。  なお、計画の進行管理や評価検証・見直しを行うため、学識経験者や医療・福祉関係者、公募市民などで構成する「日野市地域福祉計画推進委員会」を設置します。この委員会において、第3章に記載している成果指標や、各事業の実施状況等を把握・評価しながら改善・見直しを行います。  また、本計画は各個別計画の上位に位置付けられることから、地域や庁内関係部署間との連携を支援し、個別計画間の整合を図るために、「日野市地域福祉計画庁内連絡会」を必要に応じて設置し、施策の実施状況の調査点検を行い、改善を図ります。 PDCAサイクルのイメージ ※ 【東京都保健所長方式】:65歳以上の人が何らかの障害のために要支援・要介護認定を受ける平均年齢をいい、65歳平均自立期間(日常生活を自立して暮らせる平均生存期間)に65を足して年齢としてあらわすものである。65歳健康寿命 = 65(歳) + 65歳平均自立期間(年) ※ 【後期高齢者】:75歳以上の方のこと。なお、65歳から74歳までの方を前期高齢者という。 ※ 【フレイル】:加齢に伴い虚弱な状態にあること。 ※ 【SDGs】:国連が決議した世界が2030年までに目指す持続可能な開発目標 ※ 【ふくし住区】:市内を面積や人口区分に応じて8区域に分けたエリアで、地域包括ケアシステム、地域懇談会やアクションプラン、まちづくりマスタープランでも活用しているエリアです。自宅から歩いていける地域住民に身近な範囲で、地域包括支援センターも同規模のエリア設定をしています。2つのふくし住区を1つのエリアと捉えて事業展開を行うこともあります。 ※ 【避難行動要支援者】:対象要件は@介護保険法における要介護度3以上の方。A身体障害者手帳の交付を受けており、障害の程度が身体障害1・2級の方、ただし肢体不自由は3級以上の方(内部障害を除く)。B愛の手帳の交付を受けている方。C精神障害者保健福祉手帳の交付を受けており、障害の程度が1・2級の方。D障害者総合支援法に定める難病等で、障害福祉サービスの支給決定を受けている方。Eその他、民生委員等の日頃の見守り活動を通じて支援を必要とするひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯の高齢者で「登録申請書」を市に提出した方。  同意・不同意は災害時に支援者となり得る関係機関に提供して良いかどうかの回答。 ※ 【アウトリーチ】:社会福祉を担う機関がその職種により潜在的な利用希望者に医療・福祉関係者が手を差し伸べ、利用を実現させるような積極的な支援 ※ 【包括ケアシステム】:医療・介護・介護予防・住まい及び生活支援が一体的に提供され、住み慣れた地域で暮らし続けることのできる地域の包括的なサービス提供体制 ※ 【中核機関】:市区町村が設置するもので、支援が必要な人が成年後見制度の適切な利用ができるように、地域の保健医療・福祉関係者や司法関係者などとの連携(ネットワーク構築)の調整を担う中核的な機関のこと。中核機関は担うべき業務を分担することもできるため、市では広域で5市に共通する課題に取り組む中核機関としての「多摩南部成年後見センター」と身近な地域の相談支援を行う中核機関としての「権利擁護センター日野」に機能を分散して、成年後見制度の利用促進を推進していく。