■ふるさとに届けた思い 日野市に残るゆかりの品 歳三は日野を離れてからも、家族やふるさとの人々に手紙や愛用品などを送りました。 ふるさとに届けた品々は、今も大切に守られています。 紹介している遺品はすべて土方歳三資料館所蔵 ◆鉢金(はちがね)と送り状 鉢金は額にあてて頭部を守るもので、送り状とともに佐藤彦五郎に届けられました。 裏面に「土方義豊」(義豊は歳三のこと)の名が刻まれ、表面には刀傷が残っています。 ◆天然理心流木刀 歳三が使った天然理心流の稽古用の木刀で、「義豊」の「義」の字が彫られています。 長さ122センチメートル、柄の長さ37.8センチメートル。つばは木と革を合わせたもので、縦横ともに約13センチメートル。 ◆新選組隊士の「誠の袖章」 袖章とは、所属・身分などを表す、袖につける目印。ダンダラ模様の袖章をつけることで、新選組の隊士だということが分かりました。 ◆池田屋事件使用鎖帷子(くさりかたびら) 戦の際に身を守るために、細かい鎖を編んで作られた防護服。 かなり使い込まれ、所々縫い直された跡があります。首の後ろには刀か槍で突かれたとみられる穴が開いています。 ◆和泉守兼定(いずみのかみかねさだ) 晩年に歳三が使った刀で、箱館から遺品として届けられました。 当時は刃こぼれや傷があり、戦いの激しさを物語っていました。 その後、研ぎあげられ現在の姿になりました。 ◆豊玉発句集(ほうぎょくほっくしゅう) 歳三は俳句にも親しみました。「豊玉発句集」は京都へ行く前に歳三が詠んだ41句を自らまとめた句集です。 線で囲んだ「しれハ迷ひしなけれハ迷はぬ恋の道」は、恋について詠んだ句です。 ◆歳三の行商用石田散薬薬箱 土方家は農業のかたわら、「石田散薬」という家伝薬の製造・販売をしていました。 日野時代の歳三は、剣術の稽古や手習いをしながら、薬の行商を手伝っていました。 中央の「山丸印」は、土方家の道具につけられた目印でした。