土方歳三没後150年 新選組のふるさと・日野 《写真あり》 撮影場所:日野宿本陣 日野市は新選組とゆかりが深く、「新選組のふるさと日野」をまちづくりのテーマの一つとして据えています。 今年、平成31年は、土方歳三が箱館(函館)で没してから150年の節目に当たり、 日野市と新選組・土方歳三の関わりをアピールする上での好機と捉えています。 そこで今号では、市内の新選組関連の資料館の館長にお集まりいただき、 「新選組のふるさと」である日野市ならではのお話を伺います。 [お問い合わせ]市長公室広報担当(電話番号042・514・8092) ◆子孫であり、貴重な資料を引き継ぐ使命 市長 あけましておめでとうございます。 まずは、自己紹介も兼ねて皆さまの資料館と新選組との関わりについてお話しいただけますか。 土方(写真右から2人目) 土方歳三資料館館長の土方愛です。 土方歳三※1との関わりは、歳三の兄が実家を継いでいまして、歳三の兄から数えて6代目に当たります。 当館は、土方歳三生家の跡に建てられた資料館です。 地域の方々や新選組ファンの皆さまからの「遺品を公開してほしい」というご要望にお応えする形で、 平成6年5月11日の歳三の命日に、私の母の代で開館しました。 主な展示物には、歳三の愛刀である和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)や文久3(1863)年の八月十八日の政変で使用した鉢金、 池田屋事件に使用した鎖帷子(くさりかたびら)や、 日野にいた時代に詠んだ歳三自作の発句をまとめた「豊玉発句集」などがあります。 井上(写真右) 私は、新選組六番隊長を務めた井上源三郎※2の兄・井上松五郎から数えて5代目に当たる、井上源三郎資料館館長の井上雅雄です。 平成16年、明治の初期に建てられた蔵を改装し資料館を開館しました。 井上源三郎の兄・松五郎は、八王子の千人同心を務めており、200点以上の資料を蔵の2階に隠していました。 近藤勇※3が松五郎へ贈った愛刀「大和守源秀國(やまとのかみみなもとのひでくに)」や、 土方歳三の書簡、井上源三郎の天然理心流免許などを展示しています。 平成16年NHK大河ドラマ「新選組!」の放映を機に、市からその資料を展示してくれないかと話があり開館の運びとなりました。 佐藤(写真左) 佐藤彦五郎新選組資料館館長の佐藤福子です。 佐藤彦五郎※4は、新選組隊士ではありませんが、新選組のスポンサーという立場でした。 そのため、新選組の隊士から送られた書簡や、沖田総司※5の遺品などが残されており、それらを展示しています。 資料館開館のきっかけは、私が蔵の中の長持の一番下に隠されていた鉄砲を発見したのですが、 調べていくと近藤勇の鉄砲で、それも文久元年のものと分かりました。 これは皆さまにお知らせしなければと平成18年から開館し、公開しています。 ◆小学生からお年寄りまで幅広い年齢層のファンを持つ新選組 市長 平成16年にNHK大河ドラマ「新選組!」が放映され、これが追い風となり、 日野市では「新選組フェスタin日野」というイベントを開催し、多くのお客さまが日野市を訪れました。 今も日野市には多くの新選組ファンが訪れていますが、そのころと比べて「変わったな」と感じることはありますか。 井上 大河ドラマ「新選組!」では、俳優・小林隆さんが温厚で誠実な源三郎役を演じ、源三郎への見方がだいぶ変わりました。 当館のお客さまは、女性の方が75%ぐらいでしょうか。 最近は、若い世代の方が増え、小学生からお年寄りまで、幅の広い年齢層の方々が資料館にお見えになっています。 やはりアニメ「薄桜鬼」や刀剣ブームを生んだゲーム「刀剣乱舞」から、本物の刀を見たいというお客さまが多くなっています。 佐藤 NHK大河ドラマが、多摩地域を舞台にしたのは、とても良かったです。 これまで新選組といえば京都が舞台でしたが、多摩地域、それも日野にスポットが当たったのはありがたいことだと思いました。 また、演じられた俳優陣が若者に人気のある方ばかりで、関心を持ってくれる世代が大変若くなりました。 地元の小学校などから講演の依頼があり、その場で、 「もしかしたらみんなのおじいちゃんたちが新選組に関わっていたかもね。」などと話すと、非常に身近に感じてもらえます。 また、外国人の方も今までは中国の方が多かったのですが、最近はヨーロッパの方もお見えになります。 土方 土方歳三資料館開館当初は、少数の新選組ファンに支えられて細々と運営を続けてきました。 大河ドラマ放映を機に、認知度が高まり、土方を「つちかた」でなく「ひじかた」と呼んでいただけるようになりましたね。 また、ご家族で新選組の史跡めぐりをしたりして、たくさんの方が新選組を好きになってくれました。 昔は小説「燃えよ剣」からのお客さまが多かったのですが、 今は、ゲーム・漫画など、幅広いメディアから新選組に興味をもってくださる。 これは、とてもうれしいことです。 また、市を挙げて案内板の整備や「新選組のふるさと日野」とアピールいただき、大変後押しになっていると思いますし、 本当に感謝しています。 市長 新選組まつりが毎年5月の第2週目に開催されますが、以前は市役所前の中央公園で行っていました。 平成25年、私が市長になった年から、甲州街道を通行止めにして、文字通りかつての日野宿があった場所で新選組まつりを開催し、 私も彦五郎役でパレードに参加しています。 観客数も平成22年が2万5千人、平成30年は5万人を超えていますので、この約10年間で倍になりました。 新選組まつりは海外の方にも人気があるし、女性の観客が非常に多いです。 隊士コンテストでも女性の活躍が目立つのが最近の傾向です。 今後もますます日野市の誇るコンテンツとして日野市を支えてくれると思っています。 〈4ページにつづく〉