第10回(仮称)日野市障害者差別解消推進条例策定検討委員会 会議録(要約) 日時:平成30年11月30日(金)午後3〜5時 会場:日野市役所5階 505会議室 出席者:妹尾委員 村木委員 佐藤委員 藤田委員 有山委員 浅野委員  一ノ瀬委員 石川委員 山本委員 高橋委員 谷委員 岡田委員 根津委員 欠席者:島委員 中野委員 奥田委員 内田委員 重山委員 ●報告事項 〇新委員の紹介 〇前回の確認 〇スケジュールの確認  ―事務局から中野委員の紹介、スケジュール等の確認― ●議題 〇条例(素案)の検討 (委員長) ・前回の続きの「4(市の責務)」から進めていきたい。 (事務局) ―「資料2 (仮称)日野市障害者差別解消推進条例素案 検討案」について説明― (市民委員) ・「4(市の責務)」では「啓発」がとても重要だと、以前から何回か議事に上がったと思う。テレビで、別の自治体の事例で、知的障害者の家族が、知的障害の方によくある行動などをまとめたポスターを作って、それをいろんなところに掲示して啓発に努めていて、とてもわかりやすい、とてもいい取組だと取り上げられていた。例えばそういった取組は、「啓発」という言葉一つ規定するだけで、行われるようになるものだろうかと感じた。 ・東京都の条例検討時の会議録を見たのだが、事業者が合理的配慮の提供で、どこまですべきか迷った際に、中小企業等の先進事例をまとめて例示し、障害者側にだけ情報を渡すのではなくて、事業者、サービスを提供する側にも情報を提供する体制を整えることを検討すべきではないかという話があった。そういった要素は、「啓発を行わなければならない」の中に含まれると言えば、含まれると思うが、もう少し踏み込んで、具体的な施策につながるような文言が盛り込まれてもよいのではないかと思った。 (関係団体委員) ・条文だけだとよくわからないので、例えばわかりやすい言葉のパンフレット、リーフレットをつくって、あわせて配布するような形にしたら、啓発のことなどもわかりやすくなるのではないかと思う。 (関係団体委員) ・市民委員の意見は、体制整備のことを言われたと思うが、東京都の条例の都の責務では、最初に「必要な体制整備を図るものとする」と書かれている。事業者などに対して、何か参考になるようなものを用意しておくことなどに、もっと積極的に市として取り組んでいくことを示せればと思う。 (委員長) ・「4(市の責務)」の中で、「差別の解消の推進に関する必要な施策を」といった形で文章化されているが、具体的に書いてあるわけではない。メリットとすれば、様々な施策をこれから組んでいくことができると解釈できる書きぶりである。デメリットは、中身がわかりにくいと言える。 ・先ほど市民委員から出た、事業者の方が参考になるような事例に関しては、後の紛争解決の「10(相談、助言等)」で、事業者の皆さんからも相談を受け付けることができるといった文章が入っているので、その中で事業者の皆さんにお示しできるようなものがつくれるのか、情報提供ができるのかを含めて考えていきたい。 ・「4(市の責務)」の中で私が思うことは、2行目にある「地域における障害及び障害者に関する理解の促進」の中に、基本理念の中にも出てきた社会モデルの理解も、ぜひ加えてはどうかと思う。 (産業経済団体委員) ・先ほど市民委員から、啓発が非常に大切だろうという発言があったが私も同感だ。啓発と一言でいうと、ちょっとわかりにくいが、まずは、本条例が施行されたということを周知する啓発が非常に大切なのではないか。特に日野市の今回の条例は、法令、あるいは他市の条例と比べて、どのような点に特徴があるのかなど、周知する意味での啓発がまず必要だと思う。 ・条例には、逐条解説、あるいは内容についてのパンフレットは、当然必要だと思うが、そのパンフレットや様々な機会を捉えて、市民の皆さんに、どういうふうに行動してもらえばいいのか、どのように理解してもらえばいいのか、内容について、啓発することが必要なのではないか。 ・私は、以前、立川市の条例に携わったときに、立川市の教育委員会の方と一緒に、小学校の児童生徒さんに、ワークシートのようなものを使って、立川市の条例の内容について周知する取組を実際に行った。様々な分野で、そういった周知・啓発にかかわる活動は、日野市でも幅広く考えて、実行していただくとよいのではないかと思う。 (委員長) ・次は「5(市民の責務)」について、ご意見があればいただきたい。 (関係団体委員) ・もうちょっと市民が主体的にとか、積極的にといった言葉を加えるような形がいいと思う。例えば積極的に理解を深めるとか、主体的に自ら理解を深めるという言葉が入っていると、より前向きな感じがするのではないかと思った。 (委員長) ・ここでも社会モデルについて理解を深めるといった文言が入ったほうがいいのではないかと思っている。 (関係団体委員) ・「2(定義)」の中に社会モデルの言葉の定義がないので、解説しておいたほうがいいのではないかと思った。 (市民委員) ・市民の責務と言っていいのかわからないが、先ほども関係団体委員から、立川市では、学校教育の現場で啓発の活動を具体的に進めているという話があった。社会モデルについてもそうだと思うが、学校教育の場で子供からそういった新しい考え方と、障害をどういうふうに捉えるべきなのかということを伝えていくのは、ものすごく重要なことだと思う。 ・まず学校などで、必ずそういった教育をしていくのは、責務として必要なのではないかと思う。それが市民の責務なのか、市の責務なのか、市でも、市民でも何でもなくて、それは教育として考えるべきなのか、区分けがどうなるのかはわからないが、教育の現場でそれを啓発することは、どこかに入れられないかと思った。 (委員長) ・学校などでの教育は、どちらかというと、市の施策的な要素も含んでいると思う。市の施策について、条項がないので、今後、どうするかというところもあるが、具体的ないわゆる子供たちに対する研修とか、学校の教員たちに対する研修、市の職員に対する研修なども含めて行っていったらどうか、というご意見だと思う。 ・9ページ「6(事業者の責務)」に行きたいと思う。ここでは、合理的配慮の提供は義務であることが追加され、この文章の中に入っている。事業者の皆さんは、事業者の責務を見ていただければ、しなければならないことが一目瞭然でわかるかと思う。 (産業経済団体委員) ・事業者の合理的配慮の提供について追加されたのは、すごくいいことだと思う。 ・ただ、求められた場合には、合理的配慮の提供を行わなければならないという表現になっている。実際の場面においては、障害者の方から提供の申出は、なかなか難しい。特に知的障害、あるいは発達障害を含む精神障害の方は、提供の申出等を行うこと自体が非常に困難な場合が多い。だから、都の条例では第7条の2に規定が盛り込まれている。表明があった場合、知的障害、発達障害を含む精神障害等の本人による意思の表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者、コミュニケーションを支援するものが、本人の補佐をして行う表明も含むとなっている。 ・今回の案でいうと、うがった解釈をすると、申出があれば対応するというような、どちらかというと、消極的な対応になってしまうことがあり得る。当事者のコミュニケーションを支援するような方に、本人に代わって、そういう申出とか、日常で困っていること悩んでいること、こうしてほしいということがあれば、もちろん家族の方も含めて、そういうことの表明を補佐していただくことによって、より具体的に合理的配慮の提供が進むことがあると思う。できたら、条文の中にそういう意味での文章をつけ加えるか、もし難しい場合は、逐条解説になるかもしれないが、盛り込んでいただく必要があるのではないか。特に障害者の家族は、現実問題として、非常に大切な要素になると思うので、ぜひ条文の中に入れ込みたい。 (市民委員) ・今のご意見は、とても同感で、私も同じように自分の意思が言えない方に関しての言及は必要だと思う。それをどこに入れるかというところは、検討する部分があると思う。私は「6(事業者の責務)」の新しい追加の文言を見たときに、合理的配慮の提供を求められた場合には、合理的配慮の提供を行わなければならないとだけあるが、事業者として、合理的配慮は何なのかということが、具体的かつ実質的にわかるようにすることがとても重要だと思う。 ・コミュニケーションが難しい方からの申出を受けることも、合理的配慮の中に含まれるわけだが、まず合理的配慮の言葉からは、恐らく障害者が何か言ってきたら、それを全部受け入れなければいけないのかという印象をお持ちの事業者又は事業者以外の一般の方でもそうだと思うが、現状、そういう方がすごく多いと思う。 ・もともと合理的配慮という日本語訳自体も、私としてはどうかというところがある。どうしても与えられるもののような印象が、この言葉からはすごく受ける。事業者は、障害者がこれをやってくれと言ったら、やってあげるもの、事業者がやってあげなければいけないものと捉えがちだと思うが、実際にはそうではなくて、お互いのできることをすり合わせして、話し合う、調整することがポイントなわけで、この文章では、事業者の方がこれを読んだら、押しつけられているという印象を受けてしまうのではないかと懸念する。それだと、たとえ厳しい表現が使われていたとしても、実質的な改善につながらないのではないか。 ・産業経済団体委員のご指摘いただいた内容については、私の個人的な意見としては、後半の「9(合理的配慮の提供)」の項目に具体的に載せたらどうかと思う。 ・「6(事業者の責務)」の部分には、事業者は、合理的配慮がどういうものかをまず正しく理解して、その上で提供等を行う必要があると、理解の部分を追加していただけないかと思う。 (委員長) ・この部分に関しては、最初の「2(定義)」の合理的配慮で、合理的配慮はどういうものかといったものが定義で示されているということ、それから、具体的に出てきている「6(事業者の責務)」で、合理的な配慮をしなければならないといったことが書かれている。後半の「9(合理的配慮の提供等)」のところで、改めて合理的配慮は、建設的な対話を通して、個別の事案を検討して行うものだと記載して、リンクしていることを踏まえてご議論いただく必要があると思う。もちろん自分から意見が言えない障害者がいることを理解してもらうためには、そういった文章も必要で、それをどこに入れるかというところも非常に大切だ。 ・合理的配慮は、どうしても事業者さんにやってもらう、やっていただくといったイメージがあるというご意見もあったが、数多くそういった配慮を既にやっていただいている事業者さんに関しては、おそらくこういった障害者の方には、こういった配慮が必要だということを既に認識している事業者さんもたくさんいると思うので、ここでは提供を求められた場合だけではなくて、そのことを認識し得る場合などの文章もつけ加えていけばいいと思っている。そうすれば、求められなくても、事業者の皆さんが既に把握をしていることに関しては、徐々に配慮が進んでいく、そういった整備が進んでいくと思う。 ・あと、事業者の皆さんが持っている合理的配慮のイメージだが、これは大事なことで、何が合理的配慮なのかといったことは、まだまだわかりにくいところだと思う。おそらくこの条例の中では、ソフトの部分を中心に、時には環境整備も含まれると思うが、事業者の皆さんが全て環境整備のことだけだと思っていると経済的な負担のイメージだけが先行してしまう場合もある。でも、決してそうではなくて、ソフトの部分、もちろん過重な負担がかからない程度に整備も含めて、どんどんやっていいといったことが、合理的配慮の中に含まれているので、こういった中身をどのように事業者さんに知ってもらうかというところも、大切になってくると思う。 ・「6(事業者の責務)」に関して、先ほど出た意見も踏まえて、ご意見があれば、聞きたい (交通関係事業者委員) ・今までの責務規定について、市の責務、市民の責務は、社会モデルの理解が必要ではないかという話があったと思う。同じように文面が似ているところもあり、事業者の責務でも、社会モデルの規定が必要になってくるのではないかと思った。 ・それと、先ほど関係団体委員が言われた点だが、我々も事業者であり、非常にわかりやすい形で条例に入れてほしい気持ちがあったが、ボリュームがあると、条例なのか、逐条解説なのかわからなくなる部分もあるので、そういったことを全て整理した上で、どこに盛り込むのが一番いい形か、事務局にお任せするのが一番よいと思う。 ・我々も合理的配慮のところは、全てわかっているわけではないし、逆に配慮し過ぎるところが問題になるようなことも多々ある。そういったところは、後日、できたら逐条解説に、モデル的なものや、事業者から見て、まだ出ていないものがあれば、掲載を検討することをお願いしておきたい。 (委員長) ・私も「6(事業者の責務)」でも、社会モデルについての理解を深めていくといったことも入れていただきたいと思う。 ・それから、どの部分にわかりやすく文章化していくかといったところが検討事項だと思うので「9(合理的配慮の提供等)」に進んだときに、どちらに入れたほうがわかりやすいのかといったところも、皆さんにご検討いただければと思う。 ・事業者の皆さんの合理的配慮はどんなことをすればいいのかという疑問に関して、わかりやすくするための方法として、まず紛争解決の仕組みの中に、事業者の皆さんが相談できるといった文章を載せているので、そういったところも皆さんに検討していただきたい。 ・先ほどパンフレットやリーフレットといったことも出てきていたが、具体的に合理的配慮は、様々な場面で、様々なことを想定することはできるので、おそらく蓄積をしていかなければだめだと思う。たくさんの合理的配慮の事例を蓄積していって、それが事業者の皆さんに役立てていただける材料になってくると思う。蓄積するためのツールを条例の中でどういうふうに示していくかが大切になってくると思うので、その辺も頭の隅に置いていただき、合理的配慮の規定を組むときに考えていただければと思う。 (産業経済団体委員) ・私も合理的配慮に関しては、確かにどういうものなのかイメージしにくいということは非常によくわかる。 ・先ほど私が申し上げた、申出の補佐や、ご家族等も含めた方の表明も考慮に入れたほうがいいのではないかということに関しては、どの部分に盛り込むかは、事務局で最適なところに入れていただければよろしいと思う。 ・私は、先ほどの「6(事業者の責務)」の中に入れてはどうかと思った。ただし、その後の「9(合理的配慮の提供等)」の中で、再度、逐条解説でそういう文言を加えておくなど、一カ所に入れればいいということではなくて、できればわかりやすく、逐条解説、あるいは条例の中など、バランスをとりながら盛り込んでいただけるとよろしいのではないかと思った。 ・合理的配慮の提供の「2(定義)」と「9(合理的配慮の提供等)」の中では、同じ表現で、建設的な話し合いを通じてということで、この文言が入っている。これは重要なキーワードになるので、それはそれぞれの条文の中に必ず入れていくことをお願いしたい。 (委員長) ・次の「7(障害を理由とする差別の禁止)」では、障害者差別解消法に基づき、市民及び事業者の義務として、障害者及びその家族に対して、障害を理由とする差別をしてはならないといった文章が、事務局の案として出ている。これに関して、前回、特に皆さんからご意見はなかったが、今回、ご意見のある方はいるか。 (市民委員) ・質問だが、障害者差別解消法では、なぜ市民は、この項目の中に入ってこないのだろうか。変な見方をすると、市とか、事業者は、差別をしてはいけないけれども、一般市民の人は差別してもいいのかと思ってしまったのだが、これはなぜ解消法の中では含まれていないのか、何か理由があるのかを知りたい。 (委員長) ・確かに障害者基本法では、解消法とは違い、市民も差別をしてはならないといったことが書かれていると思う。 ・「7(障害を理由とする差別の禁止)」でなぜ市民が入っていないかだが、皆さん、3ページの「2(定義)」を見ていただきたい。「(3)障害を理由とする差別」で「不当な差別的取扱いを行うこと又は合理的配慮を提供しないこと」を差別と定義としていて、合理的配慮の提供の義務に関しては、市民は義務が課せられていない。そのため、7では市民が入っていないとなっている。 ・関連して、市民が差別をしてはならないということに関しては、その次の「8(不当な差別的取扱いの禁止)」で差別をしてはならないと、規定されている。こちらには市民が入ってくるということだ。 (市民委員) ・そうすると「7(障害を理由とする差別の禁止)」は必要だろうか。誤解を招く気がするので、これはなくてもいいのではないかと思うが、いかがか。 (事務局) ・ここでは以前にご意見の出た家族に対しても差別をしてはいけないことを含めているため、必要がないか検討したい。 (委員長) ・おそらく家族に対してという規定は、これまでほかの自治体を見ても、出てこない規定だ。これが十分、日野市のポイント、オリジナリティーにつながっていくところと思うが、その上で、ご意見をいただければと思う。 (市民委員) ・市民は、障害者や家族を差別してはいけないということは、とても大事なことで、市民というのは、すなわち、世間の目だ。世間の目が怖いから、特に精神障害者は、隠すということをするのだと思う。だから、自宅に死ぬまで監置してしまったり、虐待をしてしまったり、この子はうちにはいない、存在しないとするためには隠す。とにかく世間の目というのは怖い。 ・これが今の精神障害者の治療と言われる隔離治療だ。世界的に見ても、非常に遅れた治療方法だと思う。 ・障害を理由とする差別を、市も、市民も、事業者もしてはならないというところは、ポイントとして、私は大事にしていただきたいと思う。 (委員長) ・市民の皆さんが気づくということが、非常に大切だ。差別をしてはいけないということに、ある意味でこの文章から気づいていく。ただ、ここには、市民自体が入ってきていないといった矛盾もあり、合理的配慮の提供の義務を担っていないがゆえに、ここに入れられないといった制限が出てきてしまっているところがある。今、市民委員が言われたように、市民が差別をしてはならないといったことに気づけることが大事で、そのことによって、差別が減っていくということは大切だと思う。 (副委員長) ・今のご意見をどういうふうに条例に反映したらいいかと考えたのだが、禁止という項目の中で、一文を載せようとすると、市民のほうは、例えば差別をしないことに努めよう等、禁止という趣旨からは少しずれてしまうところがある。 ・もう一つの考えとしては、「5(市民の責務)」のところに、何が障害者差別であるのかということをしっかり理解をする、といった文言を入れて、まず障害者差別とは何か、それをなぜしてはいけないかということをちゃんと理解して、障害者が誰かということの理解、何が差別で、不当な差別的取扱いとはどういったことかということも含めて、理解を深めようというように入れるか。どちらかだと思った。いかがか。 (市民委員) ・グループホームを建設するというと、住民が反対することが今もあるそうだ。市民はこういうことにはむしろ協力しなければいけない、反対運動なんて、とんでもないことなのだということが、条例に規定があれば言えると思う。 ・それから、別の会議で、障害者がポスティングをやっているときに、住民が、ああいう人たちが入ってくると、気持ちが悪いからやめてくれと言ったというのだ。そういうことを言ってはいけない、ということが、条例にあれば言えると思う。そういうふうに、うまく条例に組み込んでもらいたい。 ・市民がどう考えたらいいか、市民にもう少し勉強してくださいと言えるように、こういうことが条例にあったら、障害を抱えた人たちは、本当に生きやすい日野市になるのではないかと思う。 (委員長) ・先ほど副委員長からのご意見としては「5(市民の責務)」のところに、どういったことが差別になるといったことを、もう少しわかりやすく表現できればといったご意見だった。若しくは、先ほどの「7(障害を理由とする差別の禁止)」のところで、禁止にはできないのだけれどもといった表現を入れてはどうかということだった。 ・それから、市民委員が言われたグループホームの反対をしてはならないとまでは、多分言い切れないだろうという気はするが、市民に対しての障害の理解だとか、障害者の社会モデルの理解といった部分では、先ほどの市の施策のような研修をしなければならないといったところが、つながってくると思う。それによって、市民の皆さんの理解を深めていくことにつなげていく、そういったご提案だと思う。 (産業経済団体委員) ・差別の禁止に関しては、市とか、事業者とか、市民ということではなくて、それこそ何人もというイメージだ。一番すっきりするのではないかという気がする。 (委員長) ・合理的配慮の義務の関連も含めて、どういうふうにするか、考えないといけないところだ。確かに今の表現だと、基本法では、何人も差別をしてはならないと言っているにもかかわらず、ここでは市民を抜いているから、誤解が生じる、おかしいという感じにも見えるということだと思う。 ・「8(不当な差別的取扱いの禁止)」だが、ここでは、市や事業者だけではなくて、全ての市民を対象としていることが書かれている。上から順に見ていく。「(1)保育に関する差別的取扱い」に関して、皆さんからご意見はあるか。 (市民委員) ・保育に関する項目を入れていただいたのは、とてもありがたくて、とてもいいことだと思う。 ・これは保育の部分だけではないが「正当な理由なく」という文言が結構たくさん出てくる形になっているが、よく遭遇するケースで、既にあるルールの中で、何かしらの利用を断られるというケースがある。 ・私の場合は、車椅子なので、一番よくあるのが、ここから先は土足で入ってはいけない場所なので、あなたは車椅子なので、利用できませんというケースがすごくよくある。もちろん場所にもよると思う。例えば病院の無菌室みたいなところに、車椅子で入っていいのかというと、それはもちろんだめだと思うのだが、ルールがあるということは、正当な理由になるのだろうか。それはいつも迷う、難しい交渉の部分だ。 ・これは合理的配慮の項目に持っていったほうがいいのかもしれないが、ここで「正当な理由なく」と書いてあるということは、正当な理由だったら拒否できるということで、既存のルールがこうなっているからというのは、正当な理由になってしまうのか。 ・ルールがある理由ではなくて、ルールだからといって拒否することは、差別の中でも、間接差別という言葉でも表現されていると思う。特にそういった部分に対しての言及がないので、ここで「正当な理由なく」という言葉をたくさん使うのであれば、既存のルールということだけを理由にして、それを拒否するということは、差別なのではないかということが、わかるようにできないかと思った。 (委員長) ・個人的に「正当な理由なく」がここで使われている理由としては、命のやりとりをするような理由だと理解をしていたが、「正当な理由なく」という言葉がたくさん使われているので、中身については、不明瞭なところが出てくる。 ・市民委員が言われた車椅子で入れない部分に関しては、どういった合理的配慮が必要かといったところの理解を推し進めていかないと、そこが変わっていかないのではないかと理解をしている。 ・合理的配慮のほうは、後で見ていただき、それが読み取れるかというと、現状の案では読み取れない。後であわせて考えていきたいと思う。 ・「正当な理由なく」といった文言について、事務局から補足はあるか。 (事務局) ・想定としては、先ほど委員長が言われたとおり、命にかかわるとか、事故が起きないといった、誰が見ても公平な立場から、正当な理由がある場合という意味で「正当な理由なく」という言葉を使っている。 (市民委員) ・日本というお国柄もあると思うが、ルールとか規律を重視する国民性だと思うので、ほかの人と同じようにできない、ルールを守れないということは、非常によろしくないことだという考え方が、広く、根強くあると思う。なので、この文章を読んで、正当な理由が命にかかわる、または事故になってしまうほどの重要なものだと、受け取る人はかなり少ない。詳しい知識をお持ちの方だけではないかと思う。 (委員長) ・私たちは、どうしても同じであることを求めがちであるし、そこから外れてしまうといけないといった、社会的なイメージや考え方がある。 ・「正当な理由なく」の言葉については、どこかで説明をしていくような形にするということで、次に進みたいと思う。 ・「(2)教育・療育に関する差別的取扱い」だが、皆さんからご意見があれば、いただきたいと思う。 (関係団体委員) ・前の会議にお話ししたのだが、名張市の条例の第12条で、教育における差別の禁止の中の第2項のところで、市及び学校等は、ともに学び、ともに育ち合うことを基本とし、という文言が入っている。禁止ではない話になると思うが、ぜひ入れていただきたいと思っている。統合教育の部分だが、権利条約の中でも、そういうことが打ち出されている。だからといって、すぐに特別支援学校をなくして、全部一緒にすべきだということではないと思う。 ・先ほど市民委員が言われたことは、ほかの委員会で、私が報告したことだが、つい先日、私たちの重度の知的障害の利用者の方が、ポスティングの作業中に、気持ち悪いから出ていけということを市民の方に言われた。私は報告を受けて、すぐにでも抗議に行きたいと思ったのだが、それをしたら、その方は、知的障害に対する、よりよくないイメージを持たれるだろうと思った。そういうふうに市民の方が思ってしまうのは、一概に非難できることではなくて、知らない、普段から接していないがゆえに、人間誰しもそうだと思うが、恐怖心を持ってしまうということがあると思う。今の日本の中では、保育園、幼稚園からもそうだが、学校のときから、既に違うレールを歩んでいるというところ、お互いに知り合えないというところが、恐怖心であったり、差別意識を持つきっかけになると思う。なので、日野市では、名張市に倣ってこういう文言を入れて、統合教育を目指していくような姿勢をぜひ条例の中に入れていただきたいと思う。 (委員長) ・ともに生き、ともに育ち合う、そんな言葉がここでは必要ではないかといったご意見だと思う。確かに教育の中で、これまでたくさんの障害についての教育が行われてきたわけだが、やはり教育の場面だけではなくて、地域の中で、それぞれが一緒に育って、出会うといったことが必要なのではないか。それによって、誰もが同じでなければならないといった考え方が少なくなっていくというところに、またつながっていくと思う。 ・ただ、ともに育ち合う、ともに学ぶといった文章が、禁止規定の中に入れられるかどうかというのは、少し考えなければいけないと思う。私もどこかに入れたいと、常々考えていたが、合理的配慮のほうにいれるべきなのか、若しくはもとへ戻って、前文の中に日野市の考え方として入れるほうがいいのか、そのあたりも重ねてご検討いただきたい。 (関係団体委員) ・ぜひ前文に入れてほしいと思う。私は経験がある。小さいときから、聾学校に通っていた。普通の学校とは別だ。なかなか健常の人とは交流できなかったので、苦しい思いをした。私には健常な弟がいるが、私が聞こえないことで、いじめられて、苦しい思いをした。教育の場で、障害に対する理解を広げることを前文に載せて、皆さんが読んでわかるように、つなげていきたいと思う。 (市民委員) ・質問させてほしい。これは、行政とか、指導者がこういう差別をしてはいけないということを言っていると思うのだが、子供はどうなのか。子供が子供を差別する、子供が子供をいじめる。これは、つい最近なのだが、ある方が、五十代の方だが、小学校のときのいじめが原因で引きこもりになって、四十数年、引きこもっていた。四十数年引きこもるということは、思春期のほとんど全てを引きこもって、対人関係はなくなってしまうわけだ。社会性もなくなってしまう。つまり彼の人生のほとんどが破壊されてしまった。必ずしもいじめだけが原因というわけではないと思うが、私が家族会で聞いている範囲では、いじめに遭ったという経験をした方がとても多い。 (委員長) ・全ての市民が差別をしてはならないといった規定になっているので、子供たちも含まれる。ただ、差別をする、いじめをするといった原因が、例えば、同じでないことに対して子供たちがいじめの対象にするとか、差別の対象にしてきた歴史もあるので、違ってもいいという意識がこれから育っていかないと、なかなか減っていかないと考えている。 (市民委員) ・この項目自体が、市及び事業者の差別的取扱いについてとされているので、入れられるのだろうかとは思うが、教育に関しては、障害当事者がどういった教育を受けられるのかということに対して、差別をしてはならないとともに、教育現場において、差別的な考え方とか、差別的な行為が行われていたときに、それを看過してはならないという文言を加えるということは、できないだろうか。 ・教育という現場の中で、差別をしてはいけないということを広く一般的なものにしていくために、禁止の項目なので、差別的なものがあったときに、それを放置してはならない、啓発に努めなければならないという文言がもし入れられるのであれば、教育に関連する部分として、入れたらどうかと思うが、いかがか。 (委員長) ・今のご意見は、差別禁止の規定に入りそうだろうか。場所は考えないといけないという気がした。 (事務局) ・教育にかかわらず、差別があったときに、放置してはならないということは、全部にかかわることだと思うので、それをどうやって含められるか考えたいと思う。 (市民委員) ・強調したいことなのだが、子供の時期に、差別的扱いをされたとか、あるいはいじめに遭ったとか、虐待に遭ったとか、神経的な圧迫を受けたとか、あるいは本人が素養を持っていたということもあるかもしれないが、思春期の扱いはとても大事で、こういうことが差別条例の中にあったら、学校現場の先生方に対する啓発にもなるのではないかと感じた。 (委員長) ・全て学校の場面でということではないと思うし、地域でどういうふうに支えていくかといったところも、大事なことだと思う。 ・これまでの意見を踏まえて、差別禁止の規定の中だけでは盛り込めない部分もあるかと思うので、条例の全体の中で、どういうふうにできるのか、検討させていただきたい。 ・「(3)福祉サービスの提供に関する差別的取扱い」だが、いかがか。 (市民委員) ・福祉サービスに関しては、施設の入所や通所だけが対象なわけではないと思う。「など」と記載はあるのだが、施設の入所と通所以外のものがあることがわかりづらいと思った。(関係団体委員) ・市民委員の言われるとおりだと思う。福祉サービスというのは、介護なども含まれるのかどうか。例えば障害を持っている高齢者の方が、障害プラス介護で、介護を使っている場合、この拒否も含まれるのかどうかがわからないので、対象の範囲をわかるようにしたいと思う。 (事務局) ・特に障害の福祉サービスに限ってはいないので、介護保険も含めた、全ての福祉サービスが入ると考えている。ここは差別事例のアンケートをもとに作成しているので、事例で挙がっていた施設入所の強制とか、通所の強制などを想定して書いた文章になっている。 (市民委員) ・これだけだと、入所、通所だけのように感じてしまう。例えばだが、障害の区分とか、レベル等にもよるとは思うのだが、ヘルパーさんを自宅に導入したいという場合、状況を余り勘案されずに、拒否されてしまうケースがあるという話を聞いたことがあるので、入所、通所と限定するよりは、全般であることがわかる文章のほうが、より適切ではないかと思う。 (委員長) ・施設入所や通所などが見えにくくなるので、出して書いたのだと思うのだが、逆にそれが強調されて、一般的なものが見にくくなったような感覚もあるので、表現の仕方を工夫して、一般的なものも含めて、もちろんあるといったところが表現できるといいと思う。 ・「(4)医療の提供に関する差別的取扱い」に関して、皆さんからご意見はあるか。 (関係団体委員) ・医療サービスだけではなくて、保健も含めてほしいと思う。 (市民委員) ・つい最近、テレビで放映されたのだが、『長すぎた入院』というタイトルで、原発があったおかげで、退院できたという話だった。原発の周りに5つぐらい精神科病院があって、原発があったおかげで転院をして、転院をしてみたら、あなたは入院する必要はありませんと言われた。8割、9割の人が、入院する必要はないのに、40年、50年入院していたという、そういう放送があった。 ・正当な理由もなく入院してしまうということが、現実にある。今もあるみたいなので、これは強調しても、し過ぎることはないと思う。 (委員長) ・それでは、次回はこの続きから、かつ、一番大事な合理的配慮の規定についても取り扱っていきたいと思う。今回の資料を読み込んでいただき、またご意見をいただきたい。 (産業経済団体委員) ・次回、どうしてもこちらの場に出られないので、私の意見を言っておきたい。「9(合理的配慮の提供)」の(4)のところだ。「労働者を募集するとき、労働者の採用及び労働条件を決定するとき」とあるのだが、「労働者の就労にかかわる相談支援を行うとき」を、加えてほしい。募集するときと採用条件を決めるときだけではなくて、合理的配慮の提供ということでは、就労後のほうが、ボリュームが圧倒的に大きいので、就労後の相談支援を行うときという言葉を入れていただきたいと思う。 (委員長) ・今の意見も踏まえて、次回、検討したいと思う。合理的配慮の規定については、どう表現するかも、検討の課題になってくると思う。相談の場面、支援を必要とする場面、情報提供をする場面、このようなことを考えられると思うので、皆さん、事前に考えていただければと思う。 〇その他 ―次回の委員会日程について事務局から説明― 1