第2回(仮称)日野市障害者差別解消推進条例策定検討委員会 会議録(要約) 日時:平成29年12月25日(月)午後3〜5時 会場:日野市役所5階 505会議室 出席者:妹尾委員 島委員 津島委員 村木委員 佐藤委員 藤田委員 有山委員 浅野委員 一ノ瀬委員 石川委員 高橋委員 重山委員 谷委員 岡田委員 根津委員 欠席者:奥田委員 堀田委員 山本委員 ●報告事項 〇新委員の紹介 新規委員(高島委員)、前回欠席委員(津島委員、石川委員、高橋委員、有山委員)の紹介、その他事務連絡。 〇スケジュールの確認 事務局から配布資料の説明。スケジュール確認。 〇前回の確認 (事務局) ・他市で条例制定後、実際に差別解消された具体的な動き、事例はあるか、という前回委員から出た質問については、第3回委員会で他市の条例等の比較をする際に説明させていただきたいと考えている。 ・障害者差別解消法第2条の障害の定義で「相当な制限を受ける状態」とあるが、「相当な」とは微妙な表現だと思うが、具体的な基準なようなものが存在するのか、という質問については、平成23年の障害者基本法の改正に当たっての制度改革推進会議において、「相当な」について、「極めて軽微なものを除く」とされている。 ・配布した第1回委員会の会議録(要約)案について修正がある場合は1月5日までに事務局に連絡してほしい。 (委員長) ・事務局から前回の質問に対する回答があったが、何かあるか。 (市民委員) ・ご回答ありがとうございます。障害当事者として、合理的配慮をどこまで求めていいのか、個々の事例に対して判断が難しいと感じている。「相当な制限」についても自分にとっては相当だが他人にとってはそうでもないという場合がある。条例では、そういう曖昧な表現をなるべく具体的にした方がよいのではないかと考えている。 (産業経済団体委員) ・どの程度まで合理的配慮の提供を申し出ていいのだろうかという話が出たが、合理的配慮というのは、行政・事業者の方で一方的に環境を整えるというものではなくて、申し出をした当事者と申し出を受けた行政・事業者が、話し合いをして相互理解を通して、行政・事業者に過重な負担がない範囲内で合理的配慮を提供していくことが求められている。当事者の方は、どの程度までということは度外視して、そのまま申し出ていただければよい、そういう性質のものだと思う。 ・ただ、労働の分野において事業主の合理的配慮は、障害者差別解消法では努力義務だが、障害者雇用促進法では義務になっているので、事業主はその点をよく理解して合理的配慮を行っていく必要がある。 ・もう一点、障害者差別解消法でも障害者雇用促進法でも、合理的配慮が求められており、例えばその中には、当事者の方への相談窓口を設けるということが義務付けられている。なので、法律で決まっていることをそのまま日野市の条例に反映させても、条例を制定する意義が薄れてしまうと思うので、法的な枠内以上の合理的配慮を盛り込んでいくことが大切だと思う。事業主と相互に確認した上で策定していくことが必要と思う。 (委員長) ・ありがとうございます。合理的配慮、障害者雇用促進法、条例の上乗せ横出し等、専門的な用語が出てきているので、確認しながら共有して進めていきたいと思う。 ●議題 〇条例について 事務局から「資料3 条例について」の説明。 (市民委員) ・条例制定過程について説明があったが、知的障害や精神障害を持っていると投票行動に難しさがある。自己決定ができない。質問だが、今度、市議会議員選挙があるが、立候補者が障害者差別に対してどのような認識を持っているか聞くことはできないか。 (委員長) ・私の知っている範囲になるが、ある自治体では知的障害者の方に対し、選挙に関する情報を文字ではなくイラストや写真を用いて作成し、障害者が選択しやすいように取り組んでいる例がある。これは参政権の行使に関する合理的配慮の一例ではないかと思う。 ・議員の認識については、既存の議員については、日野市の場合、障害者団体と議員との懇談会等がある。立候補者に対しては、街頭演説の際に質問するなどいろいろと方法はあると思うが調べてみる必要があると思う。 (関係団体委員) ・私は聴覚障害者で演説を聞いても分からないので、公開質問状を各候補者に送っている。回答を得て、障害者団体のメンバーにも情報提供している。 知的障害者については、施設の方でサポートがあると聞いている。 〇障害を理由とする差別解消推進に向けてのアンケートより日野市の現状把握(福祉、健康・医療・衛生分野) 事務局より資料説明。 (市民委員) ・障害者差別解消法の認知度について、48.7%が知らなかったという数字が高いのか低いのか分からないが、以前の日野市の広報で人権についての記事があったが、素晴らしい内容だと思った。障害者の就労についても市長と議長が訪問して挨拶をしているということで素晴らしいと思った。市のリーダーがこのようにアピールしていただくと助かる。是非、広報等を使って、時々でいいからアピールしてほしい。 ・うつ病とか発達障害とかで国民の5人に1人は何らかの形で精神科に通うことになると聞いた。そういうことをアピールしていくと障害に対する市内の雰囲気も変わっていくのかなと思う。 ・もう一点、精神障害者家族会で警察との懇談会をやったが、昔より大分親切に対応していただいていると実感した。 (市民委員) 各部署の取組方針について、福祉政策課の方針で「ゆっくり」、「丁寧に」とあるが、知的障害の方は、「ゆっくり」、「丁寧に」話しても分からない場合がある。カードを使うという話も以前あったと思うので、それも入れていただければと思う。 (委員長) 同じ障害という名前がついていても、それぞれ必要なものは違ってくるので、しっかり話した上で、どういった個別の対応が可能なのか検討することが大事ではないかと思います。 (関係団体委員) ・資料5の福祉政策課の具体的な取組内容について「手配を検討する」という文言が多いので、「手配する」としていただければと思う。 ・また、アンケートについて本人でなく家族の回答が多いのが残念だ。 (委員長) 事務局から福祉政策課に、上記の要望があった旨連絡してください。 (関係団体委員) 福祉施設の事業者として、アンケートの施設職員の対応が悪いという意見をみると非常に辛い気持ちになるが、対応が良かったという意見をみると気持ちが温かくなる。ハーバード大学のニコラス・クリスタキスという人が「つながり」という本で、地域である人が幸せだなと感じると、その周辺に住んでいる人の16%に伝播し、さらにそこから10%の人につながっていくということを書いていると聞いた。そういう意味で、良かったことを広く市民に伝えていくことが仕組みとして作ることができれば、皆が優しい気持ちになり、自分もそうしてみようかなと思うきっかけになるのではないかと思った。 (委員長) 今回のように共有を元に、障害当事者からのこうしてほしいといった部分と、事業者のどうしたらよいかという部分を、アンケートから、お互いに気持ちよくやりとりできるな、という対応の仕方を見つけていきたいと考えている。 (市民委員) ひととおりアンケート読ませていただいた。差別の反対は平等だと思う。健常者が障害者のことを考えていただいているのは非常にありがたいが、差別禁止と過保護は紙一重だ。アンケートに書いてあるようなことについて職員の方がいろいろと対応を考えていただいていると思うが、平等というより過保護になってしまう場合もあるように感じた。 (市民委員) ・発達障害、精神障害の部分を中心に読んだが、まともに対応していたら職員の人が大変だろうなと思った。職員ができません、やれませんと言ったとあるが、そう言いたくなるような状況があったと想像する。アンケートに書いてあることについて全て言葉どおりに受け止めると甘やかしにつながる場合もあるのかなと思った。 ・職員の対応をそのように理解してしまうことも、障害があることが原因の場合もある。相手がどういう立場・状況にいるか、場の雰囲気を読むということができないので。そういう市民もいるということをご理解いただきたい。 (市民委員) ・健康・医療・衛生関係で、当事者として、よく思うことについて発言させていただく。大きな病院であれば、バリアフリーがかなり整っているので、車いす利用者であっても事前に問い合わせることなく利用できるが、個人開業の医院の場合、事前に問い合わせてから利用することが多くなる。病院によって、どの程度設備を整えるということが、ガイドラインなどがあるようだが、どの程度の強制力を持っているのか、整備の状況、傾向などについて伺いたい。 ・また、障害者個人が各病院に問い合わせることについて、障害によっては難しい場合もありえる。地域の中で、どの病院はどういった対応も可能だといったアドバイスをしてくれる医療ソーシャルワーカー、相談窓口みたいなものがあったらいいなと思った。そういう取組があるか伺いたい。 (関係団体委員) アンケートで嫌だったことに関して、病院の記述が多い。医療従事者の障害者差解消法の理解が少ないような気がする。医師会に対して、この法律を理解していただくように求めたい。一般の人も含めて、法律の理解について啓発していくことが大事ではないかと思う。 (産業経済団体委員) ・資料4−2の「嫌だったこと」で、うちの課ではないと電話を切られたとか、税金を払ってないと大声で言われたとか、他の市に行ってくれと言われたとか書かれているが、これらについては常識的にクレームだと認識すべきだと思う。行政サービスとしての質の問題だと思う。これらについてはすでに対応しているのか。 ・例えば9番については制度の問題で、きちんと事実を説明する必要があるし、10番ではショートステイがひどい状態だったとあるので、対応しなければならないと思う。アンケートの結果として、こういう意見が出たことは分かるが、これらについてどう対応したのか。 (委員長) ・過保護になりすぎる場合があるという意見について、障害特性に応じたそれぞれの対応が必要な部分もあるし、おそらくある程度のマニュアル対応では、よかれと思ってやったことも本人にとっては不快な場合もあるのではないか。先入観や思い込みだけではだめで、本人からの要望をしっかり聞いた上で対応していただくということも必要ではないかと思う。 ・職員の対応をひどいと感じてしまうのも障害の一つではないかという意見もあったが、やはり窓口でアンケートに記載のあるような気持ちになる障害者がいることも事実なので、しっかり受け止めて改善の方法があるか検討していく必要があるかと思う。 ・病院のバリアフリーについては、合理的配慮と環境整備は分けて考えなければならないのではと思う。環境整備については、日野市にはユニバーサルデザイン推進条例があるので、こちらでできることもあると思う。環境整備によりできている現状と障害者の要望との差を合理的配慮でいかに埋めていくかといったところが課題と思う。病院の環境整備はどのあたりまでできているのか、関係課の委員から情報があればいただければと思う。 ・医療ソーシャルワーク的な情報を蓄積する機関、その他諸々については、少し調べてみる必要があるかと思う。 ・医師会、市民への障害者差別解消法の啓発について、重要な指摘だと思う。 ・アンケート結果への対応について、どうなっているかという意見もいただいた。 (市職員委員) ・都市計画課でバリアフリーに関する建築時の審査をしているので、診療所等の小規模な医療施設のバリアフリー化ができていないという認識は持っている。原因としては、どうしても一戸建て住宅程度の敷地に診療所を建てるので、入口に段差が生じてしまう、道路から建物までの距離が取れないといったやむを得ない事情がある。大きな病院、コンビニエンスストア、スーパーのようにいかない。 ・中に入ると、2階建てだとエレベーターがあったり、トイレも大きな多機能トイレにしたりしているが、入口がバリアフリー化できないのが残念だという思いがある。建築主は車いすの方が来たら職員が介助すると言われるので、それ以上の指導は市としてはしていない、許可せざるを得ないという状況である。 (委員長) ・環境整備の話になると合理的配慮の範囲を超えてしまう。入口の段差について、どの程度対応できるかしっかり話し合うことが必要だと思う。合理的配慮と環境整備については整理して考える必要があると思う。 (事務局) ・アンケートについては、今年2〜3月に実施した。回答をいただいた際に、所属が分かるものについては、個別に所属長に申し入れた。また、今年の3月と7月に職員研修を全職員対象で実施した。 ・ショートステイについての意見については、5、6年前のこととあり、現在はきちんとしており苦情等はないと認識している。 (産業経済団体委員) ・それであれば、この資料の右側に「必要な視点」に加えて、どう対応したのかについて記載していただければと思う。研修もやっているのであれば、その旨も記載してもらった方がネガティブな印象だけにならないと思う。 ・環境整備についていろいろとご意見いただいたが、障害者の利用しやすさを示したマップを作った例を知っているが、日野市ではそういうものは作っているだろうか。 (委員長) 随分前に、日野市で交通バリアフリー基本構想が作られる前に、私どもの団体でもバリアフリーマップを作ったことがある。ただ、情報を更新していない。また、施設のバリアフリーの状況を調べている方は知っているが、最新のものでどの程度のものがあるかについては確認してみたい。 (市職員委員) ・日野市では条例に基づいてバリアフリーの特定事業計画があり、公共的な施設に加えて民間の施設についても事業主さんにいつまでにバリアフリー化すると宣言していただいたものについては計画に記載し、進行管理、定期的な状況確認をしている。 ・5年前くらいに民間の建物も含めたが、非常に難しいのは店長が交代されると、引継ぎされていない、聞いてないということになったりして中々理解してもらえないことが実態としてある。 (委員長) 今回アンケートの回答を通して、日野市の現状をみてもらったが、日野市の差別解消のために何が必要か、自分達には何ができるのだろう、どんな条例にすればよいか、といったことについて、これまで意見をいただいてない委員から意見をいただきたいと思う。 (交通関係事業者委員) 今回のアンケートの回答には移動関係についての回答はなかったが、業務の中で、乗務員の対応がなってなかった、嫌な顔をされた等の意見はくる。前回の委員会では新しい車の導入の話をしたが、人の育成がすべてにおいて重要だと思う。先ほども平等にという意見があったが、条例もそのような視点で進められればと思う。 (教育関係委員) ・学校という施設にいるので、広く市民が利用する施設ではなく生徒中心の施設なので、教育的な観点で考えていくことになる。 車いすが必要な生徒、特別な配慮が必要な生徒がきた場合、今のところはその都度考えていくという形になっている。施設面での検討も当然行うが、基本的には合理的配慮の面で検討していくことになる。 ・委員長が言われているように対「人」の部分が非常に大事なので難しい。受け取る側、する側の意思疎通、これが教育でも難しく、一番大切になってくると思う。 (市職員委員) ・前に発言した委員と重なるところがあるが、コミュニ―ケーションが大事で、相手がどのように考えるか、こちらがどう考えているのか、しっかりと伝え合えるようにすることが大事。教育委員会、学校でもそういった面でうまくいかないケースもあり、一つ一つ改善していかなければならないと感じている。 ・学校で子供達が様々な教育を受けているわけだが、いろんな施設を訪問したり体験したりして関係性を作っていくことが次の成長につながると思う。例えば、障害ではないが、高齢者施設に行き交流をしたときに、小学校4年生の感想で、行く前には何かしてあげなくてはいけないと考えていたが、行っていろいろ話をしてみると、いろんなこと教えてもらえた、また是非関わりを持ちたいという感想があった。限られた時間ではあるが、そのような関わりを持つことで変わっていくのではないかと思う。 (市職員委員) ・いろいろな意見をいただいたが、やはり人が大事だなと思う。市では職員研修をやってきたが、まだまだ注意をいただくことがある。研修を受けた後でもトラブルが発生することもあり、日々改善、実践をしながらいい方向にしていくしかないと思っている。 ・丁寧な対応をしている職員も沢山いるので、その者達を中心に周りを引き上げていくよう取り組んでいくことが重要かと思う。 ・職員、または市民・事業者を含めて啓発活動をしていくことが必要だと感じた。 (市職員委員) ・障害者差別解消云々の前に、行政では当然いろいろな制度があって、それを周知する際に、広報に載せたり、ホームページに載せたりするわけだが、それで伝えたつもりになっているところが、相変わらずあるように感じた。 ・福祉分野のアンケートの17番で、耳が聞こえなくなって45歳までいろいろな福祉制度があることを知らなかったとあって、これは「良かったこと」の事例として書かれているが、なぜそこまで伝わらなかったのだろうと思う。行政として伝えているつもりで終わっているのかなと、どうしたら伝わるのか考えていかないといけないなと思った。 ・アンケートの「嫌だったこと」の事例については、誰でもこのように対応されたら嫌だろうな、当たり前だなと思うところが多々あり、そういう当たり前のことを当たり前にやることが大事だと思う。 (副委員長) ・千葉県が、条例を作る際に、これは差別ではないかという事例を調べていた中で、当事者の方は差別と感じていないが客観的にみてこれは差別ではないかという事例もあったようだ。また、今回はアンケートにより当事者からあがった声を元に検討したわけだが、日野市に住んでいて日野市のサービスを受けているからあまり厳しくは書けないという場合もあるかもしれない。 ・できれば、もっと細かく声を拾っていくことが大事だ。ヒアリング等を実施するのは日程的に難しいかもしれないが、本日のこの資料に載っていないような意見、取り上げなければならない問題が各委員からあれば、是非、今後の委員会で取り上げていただきたい。 ・聴覚障害の方が長い期間サービスにつながっていなかったという話があったが、本人としては良い事例と認識しているが、客観的にみてそこまで情報が届かなかったのはいかがなものかということがある。そういう本人の認識とは別に客観的にみてどうかと、平等な機会を保障されていたのかという視点で課題を掘り下げるような時間を、いずれかでとっていただければと思う。 (関係団体委員) アンケートについては、879件回収されたとのことだが、聴覚障害者の中には文章が読めない人もいる。手話通訳者を通して意見を聞くことが必要だと思う。聴覚障害者の回答数が少ないように思うので。 聴覚障害者から意見を聞いて、生の声を報告したいと思う。 (委員長) ・このアンケートが全てではない。身近で聞いていることなどあると思う。そういった意見を出しやすい委員会にしていきたいと思う。 ・今回いただいた意見は、これからの条例案に活かしていくために、今後また、まとめる時間も作っていきたいと思う。 〇その他 次回の委員会について事務局から説明。 8