郷土資料館特別展 ほどくぼ小僧・勝五郎 生まれ変わり物語 江戸時代の後期、文政5年(1822)11月中野村(現八王子市東中野)の勝五郎(8歳)は、突然自分の前世は、程久保村 (現日野市程久保)の藤蔵で、6歳の時に疱瘡(ほうそう)で亡くなったと話し大評判となりました。勝五郎は、「ほどくぼ小僧」と 呼ばれ、文化文政期の多摩地域や江戸で多くの人の知るところとなったのです。文人大名池田冠山や国学者平田篤胤(あつたね)を はじめ、当時の文人や学者によって多くの随筆や記録が残されています。 また、後には小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)も作品に取り上げ、海外に紹介しました。 郷土資料館では、平成18年から始まった市民参加の「勝五郎生まれ変わり物語探求調査団」とともに調査・研究を続けてきました。 特別展では、「勝五郎生まれ変わり物語」が地元程久保から発生し、多くの人々の心情に触れた出来事であったことや、この物語を 受け入れた文化文政期の社会や、これを書き残した文人たちなど、生まれ変わりをめぐるさまざまな物語を紹介します。 (郷土資料館電話:592・0981) ●会期 9月27日(土)〜12月14日(日)午前9時30分〜午後5時(入館は4時30分まで)※月曜休館(祝日の場合は翌日休館) ●会場 新選組のふるさと歴史館(電話:583−5100)※入場無料 ●主催 郷土資料館(電話:592−0981) ●協力・展示解説 勝五郎生まれ変わり物語探求調査団 展示の構成 ●導入 国学者平田篤胤『勝五郎再生記聞』と立体紙芝居で生まれ変わり物語の全容を紹介。 ●平田篤胤と勝五郎 平田篤胤の活動と門人となった勝五郎との関わりを紹介。 ●池田冠山・露姫と勝五郎 夭折(ようせつ)した露姫の再生を願った文人大名池田冠山の事跡と露姫への追悼を紹介。 ●江戸の文人たちと勝五郎 勝五郎の生まれ変わりに関心を寄せた松浦(まつら)静山など、多くの文人たちを紹介。 ●藤蔵と小宮家 藤蔵の家を継承する小宮家の資料を紹介。 ●小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と勝五郎 八雲は、明治30年に随想集『仏の畠の落穂』で「勝五郎の転生」を著し、勝五郎の生まれ変わりを海外に紹介しました。 小泉八雲の活動を紹介する資料や、勝五郎の生まれ変わりに八雲が関心を寄せた経緯などを紹介。 ●藤蔵・勝五郎ゆかりの地 調査団手作りのジオラマ(写真上)を中心に、程久保村・中野村のゆかりの場所の写真をパネルで紹介。 ●多摩の目籠作りと勝五郎 勝五郎父子が携わっていた多摩の地場産業目籠(めかご)作りを紹介。 ●勝五郎生まれ変わり物語探求調査団の活動紹介 足掛け3年にわたる調査団の活動を紹介。 ●勝五郎生まれ変わり物語情報コーナー 映像で紹介された丹波哲郎「大霊界3」や、関連刊行物など現代に至るまでの諸情報を紹介。 主な展示資料 ・国立歴史民俗博物館所蔵『勝五郎再生記聞』(平田篤胤が天皇に見せたものの写本)や、篤胤の草稿。他にも、地元に残る多くの 写本も展示します。 ・淺草寺所蔵『玉露童女追悼集』 露姫を追悼するために当時の人々が寄せたさまざまな追悼文や詩、歌などを巻物にしたもの。 ・小泉八雲『仏の畠の落穂』初版本。1896年ボストンで刊行されたもの(個人蔵)。 このほか、『仙境異聞』、『気吹舎日記』、『誓詞帳』(国立歴史民俗博物館所蔵)、『気吹舎門人帳』・『七生舞記』・『玉露童女行状』 (無窮会図書館所蔵)、『稲生物怪録絵巻』(日野市郷土資料館所蔵)、「玉露童女遺墨」「池田冠山書」などの軸類(小谷惠造氏寄贈 資料)『桑都日記』(八王子市極楽寺蔵 八王子市郷土資料館寄託 都指定文化財)、『武蔵名勝図会』(個人蔵 日野市郷土資料館寄託 都指定文化財)、小泉八雲縮緬本など関係資料(新宿歴史博物館所蔵)など、めったに見られない関係資料が一同に会します。 関連事業 ▼講演会 (1)平田篤胤の考える幽冥界 10月25日(土)午後2時〜4時/講師・遠藤潤氏(國學院大學研究開発推進機構) (2)文化文政期の多摩と江戸〜勝五郎再生譚(たん)の背景 11月1日(土)午後2時〜4時/講師・北原進氏(立正大学名誉教授) (3)池田冠山侯の人と思想 11月22日(土)午後2時〜4時/講師・小谷惠造氏(池田冠山研究家・鳥取県琴浦町教育委員長) (1)〜(3)の会場は新選組のふるさと歴史館/先着40人 (4)魂の探求者、小泉八雲 12月14日(日)午後1時30分〜3時30分/高幡山金剛寺五重塔地階大ホール/講師・小泉凡氏(島根県立大学短期大学部 准教授・小泉八雲曾孫)/先着200人※直接会場へ ▼見学会(先着20人) ・池田冠山・露姫父子ゆかりの地を訪ねて〜弘福寺・淺草寺・江戸東京博物館 10月11日(土)午前10時〜午後3時/JR両国駅集合 ・藤蔵・勝五郎ゆかりの地を訪ねて〜程久保 11月9日(日)午前10時〜正午/高幡山金剛寺仁王門集合 ・藤蔵・勝五郎ゆかりの地を訪ねて〜八王子市東中野 11月16日(日)午前10時〜午後3時/多摩都市モノレール大塚・帝京大学駅集合 ▼体験学習会など ・多摩の目籠を作ってみよう 10月19日(日)午前9時30分〜午後4時/新選組のふるさと歴史館/講師・山本恭三氏/先着20人※昼食持参 ・刊行物…図録『勝五郎生まれ変わり物語』(頒価1千円)・リーフレット(無料) ▼講演会、見学会、体験学習などの申し込み 講演会(4)以外は9月15日(祝)から郷土資料館(電話:592・0981)へ ※催しのない土曜日午後2時からは、展示解説と「大霊界3」の上映を行います。 ▲調査団手作りのジオラマ ▲国立歴史民俗博物館所蔵「七生舞の図」 ▲浅草寺所蔵「玉露童女追悼集」 ▲国立歴史民俗博物館所蔵『勝五郎再生記聞』 ▲国立歴史民俗博物館所蔵「平田篤胤肖像画」 ▲小泉八雲『仏の畠の落穂』初版本 ▲浅草寺所蔵「玉露童女木彫像」(11月5日(水)から展示) 今月の納期 国民健康保険税第3期 納付には便利な口座振替のご利用を (納税課)