平成10年度以来再び財政非常事態 金融危機が市財政を直撃 経済情勢により市税等収入が大幅に減収 全国的に企業収益・雇用状況は大きな打撃を受けています。都内の区市町村で工業生産出荷量が一番多く、その影響が大きい当市の 法人市民税は、平成21年度において平成18年度のピーク時の3分の1(平成9〜21年度の比較)となり、大変厳しい市税収入 になります。 一方で、子育て支援、教育関係、高齢者サービス、医療費など市民ニーズに必要不可欠な経費は増えており、基金(貯金)を取り 崩すなどで対応していますが、大変厳しい財政状況です。 この状態が続くと基金が底をつき、市民の皆さまに提供するサービスに支障をきたす恐れがあります。今号では、厳しい市財政の 状況をお知らせします。(財政課) 市税の状況 ※平成20年度は当初予算額・平成21年度は現時点の見込額 市税総額 [平成9年度]299億円 [平成10年度]287億円 [平成11年度]276億円 [平成12年度]269億円 [平成13年度]269億円 [平成14年度]264億円 [平成15年度]260億円 [平成16年度]264億円 [平成17年度]268億円 [平成18年度]282億円 [平成19年度]294億円 [平成20年度]295億円 [平成21年度(予想)]約280億円 法人市民税 [平成9年度]29億円 [平成10年度]25億円【非常事態宣言】 [平成11年度]17億円 [平成12年度]18億円 [平成13年度]18億円 [平成14年度]15億円 [平成15年度]20億円 [平成16年度]29億円 [平成17年度]27億円 [平成18年度]32億円【法人市民税ピーク】 [平成19年度]25億円 [平成20年度]25億円【再び非常事態宣言】 [平成21年度(予想)]約10億円【大幅減少】 歳入の動向について ■昨今の経済情勢を受け、平成21年度は対前年度当初予算比で大幅な減 市税等の影響額:▲約23億円 市税等の影響予想 [平成11年度]320億円 [平成15年度]298億円 [平成18年度]320億円 [平成19年度]324億円 [平成20年度]326億円 [平成21年度(予想)]平成20年度に比べ▲約23億円 ※市税等とは、市税および交付金を含む ※平成21年度は、前年分法人返還金を含む 歳出の動向について ■人件費は引き続き抑制してきましたが、一方で自然的に年々増加する扶助費及び繰出金 市税など歳入が減る一方で、必ず支出しなければならない義務的経費(※参照)等は、大幅に減らすことが困難です。これまで、 行財政改革に取り組み人件費の削減や事業の見直しを実施し、経費削減を行いました。 (1)職員定数の削減 (2)職員給与、手当等の見直し (3)事務事業の見直しによる経費削減など 義務的経費等の推移(一般会計) 人件費…一般職員に対する給料等の経費 [平成11年度]115億円 [平成15年度]109億円 [平成18年度]104億円 [平成19年度]107億円 [平成20年度]100億円 [平成21年度(予想)]99億円 扶助費…子どもや高齢者・生活保護世帯に対して各法律等に基づき支出される経費 [平成11年度]71億円 [平成15年度]78億円 [平成18年度]89億円 [平成19年度]95億円 [平成20年度]94億円 [平成21年度(予想)]99億円 繰出金…一般会計から特定の目的のために支出する国民健康保険・介護保険等の特別会計・病院事業会計に繰り出す経費 [平成11年度]59億円 [平成15年度]63億円 [平成18年度]70億円 [平成19年度]67億円 [平成20年度]73億円 [平成21年度(予想)]76億円 ※義務的経費とは、人件費・扶助費・公債費(地方債の元金及び利子の償還金)の合計を指し、法令の規定あるいは性質上支出が 義務付けられ任意に削減することが出来ない経費 基金(貯金)の残高推移(一般会計)(平成21年3月末日) [平成11年度]25億円 [平成15年度]62億円 [平成18年度]74億円 [平成19年度]73億円 [平成20年度(予定)]87億円 [平成21年度(予想)]69億円 基金は今後減少見込 今後どうなるのか 収入の減は、平成21年度だけの問題ではなく税収減による影響で平成22年度からもより厳しい財源不足が想定されます。 緊急で行ったもの ●(仮称)市民の森ふれあいホール建設の休止 ●市長等の給料の減額 ●行政評価に基づく事務事業の休止・廃止 今後、一層の内部努力と行財政改革を実行します ●さらなる行財政改革の推進 (1)人件費のさらなる抑制 (2)委託業務のさらなる見直しによる経費削減 市民のために市民サービスを最優先に取り組みます ・子育て支援…保育園定数の増加や民間保育園2園の設置 ・教育関連…新子ども人口推計に基づき小学校の増築、小・中学校屋内運動場の耐震化 ・高齢者関連…特別養護老人ホームベッド数の増加 市民の皆さまへのお願い 限られた予算の中で、真に必要なサービスを堅持するために皆さまのご理解とご協力をお願いします。 再び財政非常事態宣言へ 日野市長 馬場弘融(ひろみち) 最も寒い季節・二月。日本経済もかつてない厳しさです。市長に就任した平成九年頃を思い出します。バブル経済が破綻し戦後 初めて右肩下がりに落ち込んだ時期でした。 でも当時は先が読めました。必要な改革を進め水ぶくれ体質を改善すれば何とかなる、と自信があったのです。 実際、市民はもとより職員の協力を得て、一次から三次まで行財政改革を着実に成し遂げました。人件費は大幅に下がったし、民間 委託など施策の見直しも順調に行きました。さらに庁内のIT化や時代の激変にあわせた工夫など、ずいぶん進んできています。 もう少しでトップレベルの行政に届くかなと思っていました。 そこに今回の世界同時不況。 工業都市・日野市。しかも有力な輸出企業が集積する日野市の打撃はとても大きいのです。「市民の森ふれあいホール」休止や理事者 の給料削減に加え、新年度予算でも切り込みを図っています。 加えて市民の皆さまにも、建設工事費や委託料、医療関係、ごみ収集・リサイクル関連から販売業に至るまで、幅広い分野で料金 などの見直しをお願いしています。子育てや福祉・教育、安全など基本は守りますが、一般施策については、見直す場面があるかと 思います。まさに財政非常事態の再来なのです。 とは言え、抜けないトンネルはないし明けない夜もない。厳しい試練を逆手にとって、大きなチャンスに変える覚悟です。これまで 培ってきた市民協働の市政運営を貫きながら、皆さまの和で困難を乗り越えたいと思います。 再度の財政非常事態宣言について、市民の皆さまのご理解を心よりお願いします。