<2面からの続き> 陣内 今、市民と一緒に「日野塾」というワークショップを行っています。 そこにはさまざまな方が来ていますが、みんな自分の地域を知りたいという好奇心が旺盛なのです。 初めて活動に参加された方も多く、これをきっかけに地域を見直して人の輪が広がれば、日野市の潜在能力も上がっていくと思い ます。 市長 行政が上手く、そのような方たちの考えを取り入れて、自分たちの発想がまちづくりに生かされていると実感出来ればいいと 思います。 主体的に責任を持ち一人ひとりが公民としてまちづくりにかかわる 陣内 そして、もうひとつ。2年前からかかわっている「仲田の森遺産発見プロジェクト」。日野本町の国の蚕糸試験場の跡地に 手付かずの森や用水が流れています。行政と市民が意見交換やイベントをしたりして、その環境を残そうと活動しています。 市長 野生的な森ですが、それを今の人たちが見ていいと感じています。残されている古い建物を修復して、美術館や、地元野菜を 使ったレストランにしてみれば面白いなと思います。 あの場所の一角には、平成24年に体育館機能を持つ複合施設が建ちますが、それ以外のところは、出来るだけ緑を残そうと考えて います。 陣内 子どもたちにとっても整備された公園で遊ぶよりもいいですよね。自然の森ですから。 市長 映画監督の宮崎駿さんが「危なくしないと子どもは育たない」と言っています。安全第一は大切ですが、少しの怪我も いけないとなると、子どもは育たないですね。 陣内 市長はよく「公民」とおっしゃるけど、自分たちが責任を持ち、積極的にかかわる公民として市民の皆さんが行動してくれる といいですね。 市長 最近は、この公民の考え方に賛同してくれる方も出てきてくれるようになりました。 用水を守るのもこの公民の考え方に通じるのですが、掃除からすべて行政にお願いしますではなくて、自分たちでごみはさらい ましたので、行政はごみを回収してくれとか…。そういうような行政と市民の関係が築ければいいと思います。 陣内 私も、日野市が持つ自然や歴史資産を守るため、市民の皆さんが主体的に責任を持ってかかわって欲しいと思います。多分 こういうことから公民に向けた活動が始まるのではと思います。 市長 それが市内じゅうに広がればと思いますね。 あとひとつ、自然を守ろうという話をすると、産業振興などの面から、まちが活性化しないのではと言われてしまうことが多いの です。今後、景観を復元するようなことを公共事業で行えば、大勢の人がかかわるし、いろいろなノウハウがそこに投入される。 21世紀型の地域づくり・まちづくりとして経済活性化に役立つかもしれません。 日野市らしい地域づくりを 陣内 今、イタリアからスローフード、スローシティ(注6)という質の高い生活環境を求めようという新しい考え方が発信されて います。 これからは、新しい視点で自分のまちの強み・アイデンティティーを自覚し、そこを伸ばしていく。そうすれば、まちに元気が出て 経済力の強化にも繋がっていくと思います。 今、人々が何に関心があるかというと、農業や自然とかかわりたいとか豊かな環境が欲しいということです。これは、世界に共通 しています。 市長 身のまわりに緑と潤いがあり、田畑を散策出来ること、これこそがレベルの高い生活ではないかという考えに、やっとたどり 着きました。私たちは、そういう時代に合ったまちづくりをしていくべきなのですね。 陣内 今後のまちづくりは、夢やビジョンをその発想の展開が分かる形で市民に伝えていくべきだと思います。 市長 私は、行政の取り組みに、先生方の研究要素が加わると力強い非常に説得力のあるものになると思います。 そういう点では、法政大学との研究が、わがまちの今後の施策の展開に大きな方向付けを与えてくれると思います。 自治に親しみ自治を楽しむ 市長 平成25年に市政50周年を迎えます。また同じ年、東京都では国民体育大会が開催され日野市も予定地とされています。 現在、それらを踏まえ新しいまちづくりに踏み出そうと第5次基本構想・基本計画や第2次環境基本計画などを作っています。 21世紀型の日野市のまちづくりは、地域の特性に合わせ、手づくりで一人ひとりが主体的にかかわっていただく、そのような形に なればと思います。 私は、市の今年のテーマを「自治に親しみ 自治を楽しむ」としました。市民の皆さんが、自分たちのまちに誇りを持ち、楽しみ ながら日野市らしいまちづくりにかかわって欲しいと思いますし、皆さんが、かかわりたいと思えるまちにしたいのです。 陣内 自然と上手く共存するまちという一番新しいまちづくりの課題にチャレンジされて、日野市発の地域づくりを近い将来紹介 出来るかもしれませんね。 市長 これまでこの地に生きてきた人々が一所懸命努力して、まちを守ってきた。私たちは、このことをしっかりと受け止めて次の 世代に渡していかなければなりません。 陣内 我々も、研究を通じて日野市に貢献出来ればと思います。ありがとうございました。 市長 大変貴重なお話をありがとうございました。 日野市長 馬場弘融(ひろみち) ▲日野用水クリーンデーには大学生の姿も 【用語解説】 注6 スローシティ…競争と効率とスピードを優先する社会から、人々が自然と食のつながりを持ってゆったりと暮らす人間 サイズのまちを目指す運動。 まちの話題 ■全日本ジュニアテニス選手権2010で豊田在住の細沼千紗さんが優勝! 8月5日〜17日に大阪市靱(うつぼ)テニスセンターで行われた全日本ジュニアテニス選手権で、豊田在住の細沼千紗さん(写真 中央)が、14歳女子ダブルスの部で優勝されました。 今後の活躍が楽しみです。 ■平成22年度中学生の「税についての作文」受賞者を発表 11月22日、南多摩納税貯蓄組合連合会主催の作文コンクールの表彰式が行われ、市内の中学3年生819人の応募の中から次の 方々が表彰されました(敬称略)。 市長賞…後藤優奈(三沢中)、南多摩納税貯蓄組合連合会会長賞…石川博晟(平山中)、東京都八王子都税事務所長賞…鈴木裕季菜 (二中)、国税庁長官賞…小池翔子(三沢中)、東京国税局管内納税貯蓄組合連合会優秀賞…赤松里佳(一中)、南多摩納税貯蓄組合 連合会優秀賞…赤松里佳(一中)ほか11人 ■都市農地を守るための要望書を国に提出 11月18日、市街化区域内に農地を持つ都内の38の自治体で構成され、日野市長が副会長を務める都市農地保全推進自治体 協議会が、農林水産省に農地の重要性を訴えるとともに、都市農地の減少を極力抑えることが出来るよう「都市農地保全を推進する ための要望について」を提出しました。 国土交通省に対しては、11月22日に別途要望しました。 日野市成人式 対象者には12月中旬に案内状を送付しました。案内状が届かない場合でも該当する方は直接会場にお越しください。 日時:1月10日(祝)午前11時〜午後0時30分※受け付けは午前10時30分から、会場:ひの煉瓦ホール(市民会館)※ 車での来場はご遠慮を。市民プラザにて記念撮影ブースあり、内容:成人式式典及び演奏など※車椅子スペース・手話通訳あり、 対象・資格:平成2年4月2日〜平成3年4月1日生まれの方※日野市に住民登録がない方、案内状がない方も出席可。対象以外の 方は入場不可、問合せ先:文化スポーツ課