広報ひの 平成28年(2016年) 11月15日号 第1387号 10面 ◎日野市国民健康保険データヘルス計画 糖尿病重症化予防事業 糖尿病性腎症を早期に発見する「微量アルブミン尿検査」 [監修]日野市医師会、日野市立病院 副院長 村上 円人、朝比奈クリニック院長 朝比奈 崇介 「糖尿病性腎症」とは、糖尿病の合併症の一つです。 これは、血糖の高い状態が長く続いて、腎臓の中の細い血管が傷つくことによって、腎臓の働きが悪くなる病気です。 この病気が重症化すると、体内に溜まった老廃物を取り除くための「人工透析」という治療が必要となる場合もあります。 「微量アルブミン尿検査」は「糖尿病性腎症」などの病気によって、 腎臓の細い血管が傷つき始めた初期の状態(早期腎症)を診断できる検査です。 早期の腎臓障害は基本的に症状がないので、早い段階で腎症を発見して治療を開始するために、この検査は重要です。 [問い合わせ先]保険年金課(代表電話番号042・585・1111) ■健診結果に異常のない方にも、ぜひ知っていただきたい「 微量アルブミン尿検査」 「よし!今年も健康だぜ!」 「そんなに飲んで大丈夫なの?」 「大丈夫!俺の体は、オールAだぜ?」 ある日… 「微量アルブミン尿検査?」 「健康な自分には関係ないでしょ?」 そんなあなたに知って欲しいのです。 ■微量アルブミン尿陰性・正常な腎臓 血液が腎臓に入って尿だけが出る ■微量アルブミン尿陽性・早期腎症の腎臓 血液が腎臓に入って尿とアルブミンが出る ◎糖尿病性腎症の臨床経過 ■糖尿病歴0~5年 [腎機能]GFR100以上 [尿の状態]微量アルブミン尿陰性・症状なし ■糖尿病歴5~15年 [腎機能]GFR100程度 [尿の状態]微量アルブミン尿陽性・早期腎症期 ■糖尿病歴5~15年 [腎機能]GFR100程度から腎機能低下 [尿の状態]顕性タンパク尿・タンパク尿 ■糖尿病歴20年~ [腎機能]GFR0 アルブミンは、比較的小さいタンパク質で、腎臓の機能が低下する前の早い時期に、 他のタンパク質よりも早く、尿の中に出てきます。 このことから、微量アルブミン尿を検査することで、より早期の治療につなげることができるのです。 これまでの研究によると、早期治療の開始により、早期腎症の約7割は、進行を止められることが分かっています。 (日本腎臓学会 CKD診療ガイドより、一部改変)(Araki S,et al Diabetes 54:2005; 2983-2987) ■腎臓の働きと尿タンパク 腎臓の重要な役割の一つに、血液をろ過して、体内に溜まる老廃物を尿として排泄する働きがあります。 「ろ過機能=腎機能」が正常で腎臓に病気がないときには、尿タンパクは陰性です。 しかし尿タンパクが陽性になると「ろ過機能」の低下が始まります。 尿タンパクの量が多いと、腎機能は早く悪くなっていきます。 健診などの尿検査で、尿タンパクの有無を調べるのはこのためです。 尿タンパク検査が陰性でも、微量アルブミン尿検査が陽性となる場合があります。 微量アルブミン尿検査で、症状のない初期の腎臓病をみつけて、治療につなげることができます。 ■日野市国民健康保険の「微量アルブミン尿検査」について(予定) 平成29年度の開始に向けて、今年度は下記【検査の対象となる方】の中から、一部の方のみを対象とした先行実施を予定しています。 【検査の対象となる方】 日野市国民健康保険にご加入中の方で、 平成27年度の日野市国保特定健診結果においてHbA1cが6.0以上(医療機関受診勧奨値よりも低い値です)かつ、 尿タンパクが出ていない(マイナス)、またはわずかに出ている(プラスマイナス)方。 対象となる方には、受診券を送付します。